国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年6月19日)

メニューを飛ばしてコンテンツへ進む

 

 

 


  冬柴大臣会見要旨(平成19年6月19日)
ラインBack to home

 

平成19年6月19日(火)
9:46〜10:02
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、国会提出案件が12件、法律の公布の決定が2件、政令の決定が3件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告するものはありませんでした。
 私から1点報告致します。本日の閣僚懇談会におきまして、国土交通省発注の水門設備工事をめぐる談合事件に関しまして、先週金曜日の委員会において、事実関係の調査と改善措置の取りまとめを行い、昨日公正取引委員会に報告した旨を報告致しました。今後、改善措置を完全に実行することにより、再びこのようなことが起こらないように努めてまいることも申し上げました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日、国交省がエレベーターの関係で、大手5社全てで1年間だけで40基以上もストランドが破断していたという発表があったのですが、業界だけの問題なのかも含めて、大臣のご所感をお願いします。
(答) 今お話がありましたように、(社)日本エレベータ協会から、過去1年間にストランド、複数の素線が結られて一つのストランドが構成され、8つのストランドから1本のワイヤーロープが出来上がっているわけですが、そのストランドが破断したということについて、業界大手5社、すなわち三菱ビルテクノサービス(株)、日立ビルシステム(株)、東芝エレベータ(株)、日本オーチス・エレベータ(株)、フジテック(株)の5社ですが、その5社で、41件42基で破断が起こっていたという旨の報告がありました。我が国を代表する業界大手5社全てで、過去1年間にそのようなストランドの破断があったということは、私にとっては本当に驚きであり、遺憾だというように思います。通常の使用状態であれば、1年間で正常な状態からストランドの破断にまで至るということは考えられないわけです。ストランド破断はあってはならないものだというように思っていたわけですが、現実にはそういうようなことが起こっていたと。ストランド破断の原因としては、経年劣化、これは私どもはちょっと考えられないと思っているわけですが、あるいは、今回初めて指摘されたことですが、ロープと滑車との間に異物が挟まりまして、ロープが異常な摩擦を受け、破断の原因になったというような可能性があると聞いています。経年劣化によるものについては、定期検査を着実に行っていれば、破断に至る前に然るべき対応が可能であったと考えられますし、また、異物混入につきましては、異物の混入によるストランドの破断に至らないような構造といいますか、そういうものを講じる必要があるというようにも考えます。これまで緊急点検の実施を要請していなかった三菱電機ビルテクノサービス(株)と東芝エレベータ(株)に対しまして、昨日、緊急点検の実施を要請したところです。大変な台数になりまして、三菱電機は18万2千基、東芝については8万7千基ということです。また、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会におきまして、2つのことを検討していただいています。エレベータ主索の経年劣化をストランド破断に至る前に確実に捉えられるような定期検査の方法の見直しや、あるいはそこで知られたことについての報告体制や報告の内容等についての見直し。2つ目はストランド破断に至るような異物の混入を防止するエレベーター構造のあり方について、ご検討いただき、再発防止に万全を期していきたいと考えているところです。
   
(問) 骨太の方針2007ですけれども、本日の閣議で閣議決定すると聞いています。国交省の案件が相当に盛り込まれていますけれど、どのようなご所感があるかということと、もう1点が今回の骨太に関しましては、ばらまきであるとか総花的といいますか、各省庁の案件が相当に盛り込まれているということもありまして、そういう批判もありますけれども、大臣はどのような感想をお持ちですか。
(答) 国土交通省の部分につきましては、公共事業予算の削減関係、あるいはアジア・ゲートウェイ構想の関係などの大きな課題が記述されることになると思います。1つ目の公共事業予算の削減関係につきましては、5月8日の経済財政諮問会議におきまして、私から「成長力の強化と地域の自立・活性化、安全・安心の確保など、真に必要な分野での社会資本の整備を進めるという公共投資の課題への対応を考えますと、こういうものについて国土交通省は責任を負っているわけですから、公共事業関係予算の削減ということは、もう限界にきている」ということを率直に申し上げました。2011年にはプライ マリーバランスをプラスにするという行財政の問題については、当然、内閣の一員として協力もしなければなりませんし、歳出・歳入一体改革についても積極的に協力をします。けれども、基本方針の2006というものが昨年6月に決まったわけですけれども、そこではこれを1〜3%の範囲で削減していくというように大議論の結果決めたわけです。それに対して基本方針2007に3%を削減するということを書き込むべきであるというご意見が学識経験者の方々から出ましたので、これはあまりに大きすぎると。これは1〜3%と決めているわけで、予算編成時期にその問題については、十分検討をして、1〜3%の範囲でどうするかということを、その時点で決めるべきであって、それを前の年の閣議決定から1年も経っていない今の時点で3%で固定して、3%を削るべきだとか、またそれ以降も3%を削るよう努力するべきだとかいうように書き込むということは、私は影響が大きすぎて反対であると申し上げたところであります。今回の2007では、「国、地方を通じ、引き続き、基本方針2006に則り、最大限の削減を行う」というように書いていただいたということは、私の発言等を採り入れていただいたのかなというように思っています。ただ誤解していただいたら困るのですが、私は歳出削減に消極的だというつもりは全くありません。したがいまして、年末の予算編成時点でどのような判断をするかは、その時点で決めたいと思います。現に昨年も、1%、3%という激論をしましたけれども、昨年度末の予算編成時期には、3.5%の削減を私は容認しています。そういうことから考えましても、基本方針2007の中に3%で固定して書くということは反対と、申し上げたということであります。そう言ったから消極的であるとかといったことではないということを皆さんにご理解いただきたいと思っているところであります。
 次にアジア・ゲートウェイ構想についてですが、航空の自由化のみならず、港湾の問題について貿易手続きの改革についてのハード・ソフト面についてのプログラム等が盛り込まれています。
 国交省としましては、基本方針2007の原案に示された成長力強化と財政健全化を車の両輪として一体的に改革を進めていくという方針の下に、今後取り組んでまいりたいと思っています。少し長くなりましたけれども、そのように考えています。
   
(問) 昨年の通常国会で改正されました建築基準法が、明日から施行されます。国民の関心は、耐震偽装、強度不足のマンション・ビルが、今後建つことが無いのかどうかにつきると思います。施行に当たっての大臣としてのご所感を伺いたいのですが。
(答) 私は、今後、そういうものが絶対に建たないと確信をしています。それは、ご案内のとおりですけれども、ピアチェックとダブルでやる。構造計算におきましても、そういうものについて精通した人たちに関与していただき、しかも、その責任の所在を明らかにするために、ユーザーに対しても、どういう人が設計に関与したかということも明らかにするように義務付けていきますし、無責任なことはできないと私は思います。いろいろな誤りもあるのでしょうけれども、中間検査、あるいは完了検査についても、従来の扱いよりは相当厳しくしていますし、何よりも、建築士の素質、そういうようなものを向上させるための講習も義務づけていきますので、私は二度とこういうことは起こらないと思っていますし、国民の皆様方にも、そのようにはっきりと申し上げておきたいと思っています。
   
(問) 熊本県の川辺川ダム事業に、電源開発(株)が、参加困難という回答をしたということですが、これについてのご所感と、発電目的が無くなった川辺川ダム事業ですが、ダムの必要性というのは変わらないでしょうか。
(答) 結論的には、私は変わらないと思います。これは、球磨川の地形を見ていただいたら分かりますけれども、昨年も一昨年もその前も水位が計画高水位を超えたり、その近くまで迫ったりしているわけでして、そのような意味では、利水というよりは、治水という役割が非常に期待されるものです。私は、電源開発(株)が、利水というものについて、いろいろな事情があったのでしょうけれども、今回、それは止めにすると言われたからといって、治水という本来の目的が変わるものではないと思っています。したがいまして、それに基づいて、これからいろいろな手続きを進めながら、整備計画をきちんと策定していきたいと思っています。
   

過去の大臣会見へ

ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2007, Ministry of Land, Infrastructure and Transport