国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年6月29日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年6月29日)
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平成19年6月29日(金)
9:25〜9:45
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が12件、政令の決定が2件と人事案件です。
 私の方から4点ご報告を致します。1点目は、本日の閣議において、「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。この計画は、本年1月に施行された観光立国推進基本法の規定に基づいて策定する観光立国の実現に関する基本的な計画です。これから申し上げる数値は、原則として2010年目標です。1番目、訪日外国人旅行者数を1,000万人以上とする。2番目、日本人の海外旅行者数を2,000万人とする。3番目、観光旅行消費額を30兆円にする。4番目、国内旅行による1人当たりの宿泊数を年間4泊にする。5番目、これは2011年目標ですが、国際会議の開催件数を5割以上増やすなどの目標を、年次を定めて掲げるとともに、その達成のために必要な政府の施策等を定めています。お気づきになったか分かりませんけれども、5つ言いましたけれども、1、2、3、4、5という数が頭に付いています。これらの目標につきましては、たまたまではありますが、頭の数が1から5まで並ぶような分かりやすい数字となっています。観光立国の実現に向けて、広く国民の皆様がこの目標を心に留めていただきますよう願っている次第です。政府と致しましても、本計画に沿って、一丸となって、観光立国を推進する施策を総合的かつ計画的に実施してまいります。私自身も、観光立国担当大臣として各省庁をリードしながら観光立国の推進のため、全力を尽くしてまいりたいと考えています。
 2点目は、6月24日から27日までの4日間の日程で、中国の北京、青島(チンタオ)、大連を訪問しました。まず、北京におきましては、急遽会議に出席できなくなった楊元元中国民用航空総局長の代理である楊国慶副局長との間で会談をし、羽田−上海虹橋間の旅客チャーター便の運航等につきまして、話をしました。そして、出来れば10月8日頃から日中双方1日2便ずつ運航すること、北京オリンピック期間中において羽田−北京間に臨時チャーター便を運航すること等に合意する文書に署名をしてまいりました。この10月8日というのは、偶然にも1年前の10月8日に総理が初訪中をしまして、温家宝首相との間で、この虹橋について前向きに検討しようじゃないかという合意がされた日に当たります。また、日中国交正常化35周年というのは、今年の9月29日がその日です。30日は日曜日、1日から7日までは中国の国慶節を囲む連休になっていまして、10月8日というのは、29日から見れば仕事をする初めての日ということもありまして、いろいろ協議の結果、10月8日という日にちにした次第です。なお、青島(チンタオ)、大連においては、第2回日中韓観光大臣会合に出席を致しまして、邵h偉中国国家旅游局長及びキム・ジョンミン韓国文化観光部長官との間で、3国間の観光交流の促進や協力の強化に関する青島宣言を採択し、署名してまいりました。
 3点目ですが、平成17年4月25日に発生し、多くの尊い命が失われましたJR西日本福知山線列車脱線事故に関する事故調査報告書の提出が、昨日、航空・鉄道事故調査委員会からありました。お亡くなりになった106名の乗客の方、そして1名の乗員に、改めて心より哀悼の意を表するとともに、562名にも上るお怪我をなされた方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思います。今回の報告書、特に建議3件、及びJR西日本に対する4件と国土交通省に対する1件の所見につきましては、厳粛に受け止め、その内容を精査し、速やかに対応できるものについては、まず、本日付けの通達で指導する等の措置を講じるほか、検討を要するものにつきましても速やかに検討に着手する等、真摯に対処してまいりたい。そういう決意です。この報告書の提出を契機として、運輸における安全確保の重要性に対する認識を新たにし、再びこのような事故が起こることがないよう、全力を挙げて国土交通行政を進めてまいります。なお、ただ今申し上げたことは、本日の閣議においても、私から同様の趣旨を発言したところです。
 もう1件、去る2月27日にロシアのレミチン運輸大臣が私のところへ訪問されて、大臣室で会合しました。その際、EUに対してはロシア上空通過料を段階的に撤廃するというようなニュースがその2日程前に一般紙に出ていましたので、私は、「向こうだけやるというのは、おかしいではないか。日本もヨーロッパに行くのに、ロシアの上空を飛ぶのに、今、多額のお金を払っているけれども、向こうを撤廃するのであれば、こちらも撤廃してもらわなければなりません。イコールフッティングでやってもらわなければ、乗客は全部EUのものになってしまうではないか」という話をしました。「それはそうです。イコールフッティングでやるようにしよう」というようなことを、そこで言われまして、早速、交渉を始めました。そこで、6月20日から23日に東京で開かれた審議官クラスの協議におきまして、本邦企業の日本航空とか全日空ですけれども、シベリア上空通過に関する上空通過料のEU並みの段階的撤廃を約束してくれました。日欧企業によるコードシェアの運航制限の撤廃も合意をしてくれました。非常に大きいと思います。ロシア側については、新規ロシア企業の成田−サンクトペテルブルグ線の開設を、私の方は約束しました。そのような、交渉によって、上空通過権、あるいは、コードシェアの運航制限の撤廃を勝ち取ることが出来たことは、非常に大きいと思いますので報告を申し上げます。以上です。


質疑応答

 
(問) 福知山線の脱線事故の関係なのですけれども、昨日もご所感を伺ったのですけれども、改めてということと、今、大臣も仰られましたけれども、検討を要するもの、いろいろ時間が掛かりそうなものもあると思うのですけれど、今速やかにと仰られましたが、どのくらいの期間を考えられているか、難しい問題が含まれると思いますがお願いします。
(答) この事故につきまして、お亡くなりになられた方に対し、改めて心より哀悼の意を表しますとともに、お怪我なされた方々に対して、心よりお見舞いを申し上げます。昨日、事故調査委員会からこの事故に係る調査報告書が提出されました。委員会におかれては、事故発生直後から昨日に至るまで、事故原因の究明につきまして、精力的な調査、解析等の作業が行われました。約1千人の方からいろいろな意見や事実関係についての供述を頂戴しました。また、事故を再現するために模型作り等いろいろなことをやっていただきました。慎重かつ広範な審議がなされたことと認識しています。その苦労に敬意を表しますとともに、成果物である報告書の内容については厳粛に受け止めなければならないと認識しています。昨日提出していただいた報告書の中の建議、所見につきましては、その内容を十分に精査をして、速やかに対応できるものについては、本日にでも通達で指導いたします。それ以外のものについても、可能な限り早期に検討を開始する等真摯に対処してまいりたいと考えています。具体的に、インシデント等の把握及び活用方法の改善ついて建議がありましたが、これについても調査をして、交通政策審議会鉄道部会技術・安全小委員会に報告して、どう対処するべきかという問題について、結論をいただき次第対処しなければならないと思います。運行記録装置等をインシデント等の把握のために活用すること及び事故等の必要な分析の徹底について、通達で事業者を指導することとしています。列車無線による交信の制限という建議がありますが、これについても、早急に検討を行い可能なものについては速やかに事業者を指導したり、あるいはその他のものについても必要な検討を進める必要があります。例えば、指令と運転士の交信の規定、あるいは走行中運転士がメモを取ることを禁止する、列車の運行状況をリアルタイムに輸送指令員が把握できる装置の活用等による運転士の負担の軽減や、車掌の活用等による指令と運転士が行う交信の減少、それぞれについて、検討すべきものについては早速検討し、そして早急にできるものについては通達を発するというようなことがあると思います。それからメーカー担当者等への関係法令等の周知徹底ですが、速やかに機器の製造会社や受託者に対して関係法令等の周知徹底を行うと、これも通達で行えると思っていますが、なお検討すべきものについては検討するということです。西日本に対する所見については正確に伝え、これに誠実に応えるように指導する必要があると思っています。国交省に対する所見の中で事故発生時における車両の安全性向上方策を研究せよということについては、早速研究に着手しなければならない。例えば鉄道総研などで研究してもらおうと思っています。それから、車両の強化や座席の形状、パイプが背の所にぶつかると怪我をするので、それを板面のような型にして、衝撃を受けたときに怪我をするのを少なくするということですけれども、これは鉄道総研等で研究していただきまして、早急にできるもについてはそのように製造会社等に指導していくことになろうと思います。昨日受け取ったばかりなので、これから検討して、出来るものについて早急に、そしてまた誠心誠意実現をさせたいと思ってます。
   
(問) 観光立国推進基本計画に関連して、一部報道で、国交省で観光庁の創設を検討して、来年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めたという報道があるのですが、これについての検討状況、事実関係と大臣のお考えをお聞かせください。
(答) そのような検討をしていることは事実です。様々な検討をしていますが、現時点では、観光庁というものについて決定をしたという事実はありません。検討は進めています。その結果、そうなれば予算要求も当然やっていかなければならないと思います。
   
(問) 庁の創設に向けて、まだ課題があるとすればどんな点が課題だと大臣はお考えですか。
(答) 我が方では、審議官を中心に6つの課で80人くらいの人が、観光立国の政策について取り組んでいるわけですから、一つの塊としては、非常にまとまっているように思われるのですが、いろいろな局と関係しているので、そういうものをどのように整理していくのかということが大きな課題だと思います。街づくりとか、またこの間成立した「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」といったものといろいろなところで絡むのです。そういう意味で、検討させていただくということであります。
   
(問) 福知山線の関係なのですけれども、ご遺族とか専門家の方達からは、国に対する責任の追及が甘いのではないかというようなご指摘がありますけれど、その辺りのご所感と、あともう1件、大臣のお立場だと難しいかもしれませんが、そういう流れの中で事故調のあり方がもっと独立したものでないと、身内に甘くなるのではという指摘も受けると思うので、事故調のそのあり方ということについても、お聞かせいただける範囲でお話いただけますでしょうか。
(答) 事故調査委員会は責任を追求したりするのが役割ではありません。事故調査委員会の法令を見ていただいたら分かりますけれども、客観的、中立公正に事故の原因というものを出来るだけ見極めて、その上に立った安全対策というものはどうあるべきか建議をしていただくといったことが仕事なのです。それから独立性については、ご存じのように国家行政組織法8条に規定されており、この委員については、両院の同意が必要でありまして、勝手に私が任命したりするものではありませんし、そして今回の調査でも私は指示する根拠がありませんから、一切指示等しておりません。したがいまして事故調査委員会はその独立した立場で、中立公正にやっていただいているというように思います。責任を追及するというのは、裁判所とか別の機関であろうと思います。
   
(問) 昨日、報告のあった脱線事故の関係なのですけれども、調査報告書が分厚くて、私たち記者も何度も読んでようやくこういうことかと理解できるのですが、分かる人が読めばすぐ分かるのかもしれませんが、昔の事故調の報告書に比べれば、随分分かりやすくなったとは言われるのですけれども、もっと分かりやすくしていただくように大臣の方から言っていただけないだろうかと思うのですが、どうでしょうか。
(答) 先程も申し上げたとおり、大臣の方から指示することが出来ないのです。ただ今のようなお話があったということは、皆の心に留めるであろうと思います。
   

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