国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年7月31日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年7月31日)
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平成19年7月31日(火)
10:01〜10:33
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が4件、国会提出案件が3件、政令の決定が20件と人事案件です。当省の関係では、政令の決定が2件あります。「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の施行期日を定める政令」と「広域地域活性化のための基盤整備に関する法律施行令」がありました。それ以外に、私から2点ご報告があります。
 1点目は、本日の閣議終了後、内閣総理大臣が本部長、内閣官房長官と私が副本部長を務める第1回総合海洋政策本部会合を開催いたしました。本部会合におきましては、海洋政策に係る重要事項について審議する参与会議の設置について事務局より報告を行うとともに、局長級の幹事会を設置することについて本部決定を行いました。海洋政策については、政府一体となって、集中的かつ総合的に推進していきたいと考えてるところです。
 2点目は、7月16日に発生した新潟県中越沖地震については、新潟県内の観光関連産業や地域経済に大きな影響を与えていると聞いています。今日の朝刊にも甘利経済産業大臣のメッセージが掲載されていますが、柏崎刈羽原子力発電所については、現在全て安全な状態で停止しています。また、地震発生直後の放射能漏れについてもごく微量で周辺環境や地元産物に与える影響は全くないものと聞いています。したがいまして、これから夏の旅行シーズンが本格化してまいりますが、交通面も徐々に回復してきていますので、国民の皆様には是非ご安心を頂き、新潟県にお出かけをしていただきたいと思います。閣僚懇談会のことはあまり言わないことになっているのですけれども、今日の懇談の中でも、甘利経産大臣から、海水に漏れ出したという放射能物質につきましても、平常空気中に存在する同種のものについての10億分の1、ppbオーダーであって、全く人体には影響ないと。欧州から日本へ飛ぶ飛行機で受ける線量の100万分の1くらいだし、レントゲンの300万分の1というような微量なもので、人体に全く影響がないので、そのことを国民の皆様に分かっていただきたいということを仰っていました。私の方も観光立国の関係で大変心配しているのは、この震災被害とともにその後の観光被害です。せっかくの夏の旅行シーズンです。また、新潟県には素晴らしい海岸、海辺と海水浴場があるわけですけれど、そういうものについて、せっかく予約しているものが風評被害によってキャンセルされるということは、我々にとっては辛い話ですので、国民の皆様にもその辺をご理解いただきたいと思います。交通の便も必死に回復に努めましたところ、1カ所崖崩れのところがどうしても時間がかかりますけれども、その他はほとんど開通しておりますし、開通していないところでも、例えば鉄道が開通していない部分についてはバス等による代替手段があります。高速道路は全部通っていますし、国道8号線も通っています。そういうことで、是非お出かけしていただきたいと思うところです。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 日曜日の参議院選挙なのですけれども、参議院で民主党が第一党になる一方で、自民・公明党両方とも歴史的な大敗になったわけですが、今回の選挙を受けて、敗因というか、理由というのは何だったか、どうだったとお考えでしょうか。
(答) 与党として、衆議院で3分の2以上の議席を頂いているにもかかわらず、これほどの大敗を喫するということについては、大きな国民からのご批判、政治に対する注文というものがあったものと思いますし、これは謙虚に受け止めまして、国民の気持ちというものを今後の政治に反映させていかなくてはならないという思いです。
 まず1点は、やはり「政治とカネ」という問題で、我々と同僚の閣僚ですけれども、説明が十分果たされていなかったのではないか。その根拠としまして、現行の法律に定められたとおりやってるという回答だったわけですけど、それでは現行法というものが国民の目線とは一致していないということになるわけですから、こういうものについては、早急に与党である我々が、この間改正したばかりですけれども、もう一度改正していかなければならないのではないかと思います。それから、同僚ですし、尊敬する人達ばかりなのですが、発言に不規則と申しますか、適当ではなかった発言がありました。こういうものが重なり、選挙終盤までそういう言動があったということは残念です。それから、やはり年金の記録の問題と本質的な制度の問題、これを私は峻別して、と選挙中も申し上げたところですが、年金記録の問題については、昨年の9月26日に発足したばかりの安倍内閣だけが責任を負うものではありませんけれども、しかし、政治は結果責任ですから、この安倍内閣で悪いところは直しますということを申し上げ、そのような手段も取っているところです。ただ、指摘に対する反応が遅かったのではないかという野党の批判には、率直に反省すべきだと思います。これについては、5,095万件にも及ぶ不突合の部分について、来年の3月までにはきっちりと名寄せをするということを申し上げておりますし、1億人の加入者全員に対して、来年10月までにはその加入履歴を通知するという制度を作っています。記録の問題についてはそういうことです。それから、制度自体の問題につきましては、年金全部についていろんな混同した議論でややこしいのですが、私どもとしましては、公務員共済年金と厚生年金、すなわち雇用者の保険、これについては一元化し、保険料率を徐々にですが18.3%まで引き上げようと。そして、給付については、現役世代所得の50.2%以下には下げないという改正をしたわけでありまして、我々は、これで十分安定した制度となっていると思います。ただ問題は、国民年金です。国民年金については未加入の人とか、いろんな部分があります。それから、給付額が40年間かけて6万6千円という金額が妥当なもなのかどうかとか、いろんなものがあります。こういう問題について、人生の中では保険料を払えない期間もありますので、遡って納付することができる期間が現在2年しかありませんが、これを延ばすというようなことを考えてはどうかとか、あるいは、25年間掛け続けなければ掛け捨てになるというのは、もう少し考えるべきではないかとか、いろんな問題点があります。しかし、野党の、例えば6万6千円の最低保障年金を全部税金で払うという案は、私どもはどうしても肯ずることはできません。20兆円を超える大変な金額になってしまいます。その財源の手当とか、もっともっと考えなければなりません。それから、皆様もそうだと思いますけれども、雇用者がいるところは、会社なり国家なり地方が半分持つわけですけれども、国民年金については、雇用者はいません。したがいまして、相当保険料が、普通のサラリーマンの倍額を支払わなければ、同じ扱いができないということがあります。そういう問題を含め、真摯に制度設計について与野党で論議をして、そして国民にそれをよく理解してもらって、どういう選択をされるのか、いつまでも年金の問題が政治の第1番に上るというのはおかしいと思うわけでして、我々としては、今後早急に、国民に納得した上で安心していただける制度を構築したいと思います。今回の選挙を総括しますと、いろいろあるとは思いますけれども、政治とカネ、閣僚の不適切発言、あるいは年金の問題、こういうものが国民に十分納得いただけなくて、そして、与党が大敗北を喫する結果になったという反省をしています。
   
(問) 今、敗因として3点挙げられましたが、その一方で安倍総理は今回の選挙において、私を選ぶか、民主党の小沢代表を選ぶかという選挙だということを繰り返し仰ってたわけですが、そうした結果を受けて、今回の早い段階で続投を表明されたわけですが、この姿勢を大臣としてどうお考えでしょうか。
(答) 私を選ぶか、小沢さんを選ぶかというのは、象徴的に仰っていることであり、参議院選挙は政策を選ぶ選挙であって、衆議院選挙こそ総理大臣を選ぶ選挙で。これは憲法上もそうなっているわけです。安倍総理を選ぶのかということは、安倍総理が今進めている国、地方、併せて770兆円という巨額の国の債務を、我々の子孫に承継させることなく、我々の世代でその解決の糸口をきちんと付けていく。はっきり言えば、プライマリーバランスを2011年にはプラスにするのだ。そのためには、厳しい歳出歳入改革とか、公務員の削減とか、そういう非常に多くの政策を実行しているわけです。それは、安倍総理としても、国民に公約をしていらっしゃるわけです。こういう政策を選ぶのか、それとも、国の今の債務をどうするのかということについては、小沢さんはあまり仰っていないのですが、そうではなく、いろいろな当面の問題、農業者に対する保障とか、あるいは、国民年金について、最低年金保障を6万6千円ずつ等しく65歳以上の人に渡すとか、あるいは、子供手当というものを0歳から中学生まで一人あたり月額2万6千円ずつ渡す、5兆8千億円いりますけれども、そういうことはおっしゃっている。こういう、言わば、ばらまきという形の政策と、どちらを選ばれるのですか。政策を細々と言えないので、端的に、私を選ぶのですか、小沢さんを選ぶのですかと仰っていると思います。私は、それしかないと思います。したがいまして、私は、このようになりましても、衆議院で3分の2の多数を占めている与党が選んだ総理ですから、今まで公約した問題に、責任をもって取り組むという発言は、私としては、国民を裏切るものではないと、それで結構だと思います。我々与党の中で安倍総理が引き続きやるということについて、コンセンサスが得られるということが前提ですけれども、現在のところ、それで良いのではないかということを、与党の人は言っていますし、公明党の代表も引き続いてやっていきますという意思表明をしていると伺っていますので、私はそれで良いのではないかと思っています。
   
(問) 選挙が終わって8月上旬にはシーリングがあり、予算に向けての作業が始まっていくわけですが、今回特に選挙を振り返ると地方を中心とした1人区での敗北が目立ったことを受けて、一方で諮問会議の民間員が明日の諮問会議等で3%削減を提案してくると思うのですが、そういうところで今までの大臣の見解もあったと思うのですが、公共事業3%削減については、今後どのような対応していくべきだとお考えでしょうか。
(答) 先程も申し上げましたとおり、プライバリーバランスを2011年までにプラスにする。これは至上命題です。安倍内閣の至上問題ですから、これを実行するために必要な前年度比削減ということは協力をしなければならない。私共は身を切られるような痛みを伴いますけれども、しかしそれは知恵を絞って重点化、効率化をすることにより、真に必要な公共事業はどうしても実行していくという気構えで取り組んでまいります。しかしながら総理も仰っているとおり2006年骨太方針で合意した、1%ないし3%の削減という幅があるわけです。これは今回の選挙もそうですけれども、私もできるだけ地方に出て事情を聞くようにしていますが、社会資本整備に対する要求は地方ではもの凄いものがあります。そういうことも含めながら、これから十分に協議していかなければならない。骨太方針2006で示された基準に従って、私どもはできる限りの努力をしていかなければならないと思っています。これは財政諮問会議にも私は申し上げたとおりでして、意見は変わっていません。
   
(問) これ以上の削減は厳しいという発言だと思うのですが、そこは変わっていないという理解でよろしいでしょうか。
(答) そのとおりです。
   
(問) 今回の選挙結果を見て、自公の選挙協定は一方的でしたよね。公明党が自民党に一方的。それと、優秀な現役の議員さんが公明党で何人か落選されましたよね。もう1つは、現場で動いている運営員の方々の何人かに話を聞くと、結局は何のメリットがあるんだと、自公協力で我々は全然メリットがないのではないのか。もう1つは、「清潔な党」、「庶民、中小企業の味方」という公明党の特性が埋没しているということで、このまま協力体制を維持すると組織が持たないという意見も時々聞くのですが、そういった声は上がってきていませんか。
(答) 私には聞こえてません。優秀な参議院議員を選挙区で3人も落としてしまいました。本当に残念至極であります。しかしながら良く見てみれば、例えば愛知の山本保議員につきましても、優秀な議員だと私は高く評価しているのですが、この人が6年前に頂いた票に8万7千票も上積みしているのです。それで落選。それから埼玉の高野博師議員は8万4千票上積みしてる。それから松あきら議員は3万1千票上積みしている。いずれも過去最高です。しかしながら、それでも落選したというのは、今回の選挙は逆風というか大暴風の中でそうなった。では、それだけの上積みはどうしてだろうか、これはやはり自公連携の中で自民党の先生方も本当に協力していただいたと私は思います。そういうことは良く承知していますし、自民党が協力していないから落ちたということとは繋がらないと私は思います。このような選挙が終わった直後は、一生懸命応援すればするほど、応援した人にとっては落選したということについての残念さがある、記者の中にはこのようなことを言われる方がいらっしゃるかもしれませんが、客観的には私どもが言った点を理解すれば、私はそうではありません。それから、もう一つの清潔な党という意味では、今回も政治資金規正法の改正法を成立させました。しかしながら、それでは十分でないということで、先ほど冒頭の質問に答えたように、政治とカネというものについて国民がご納得いただけなかったということについて、もう一度考え直さなければいけないのではないか。具体的には、政治資金規正法の再改正ということも射程に入れて考えなければならないと思います。これについては、やはり公明党がキャスティングボートを握りながら、今までやってきたことは事実です。ですから、ステップ・バイ・ステップであり、劇的に何もかも変えることはできません。公明党と自由民主党では、政治資金の集め方や必要度も全然違うわけですから、そのようなことを理解しながら国民にご納得いただくようにしていかなければならないと思います。  
   
(問) 東京大気汚染訴訟の和解協議の件ですが、首都高速道路会社の医療費の拠出を巡って、先日石原都知事が大臣対して5億円からの上積みを要請されました。一方においては、首都高側はその余裕がないということで、5億円が限界と仰っています。この点について、大臣は首都高に対してどのような態度で臨んでいらっしゃるのかお聞かせ下さい。
(答) 私は前から言っておりますように、石原都知事にもそのとき申し上げたのですが、民間の会社にした以上、私どもがいくらにしろと言うことはできません。ただ、出資比率で言えば、東京都は5割を出してますが、周辺の埼玉県や千葉県も出資しています。よって、そこで上がった利益を、過大に東京都のぜんそく患者だけに使うということは、私は法律家ですから、それは少し趣旨が違うのではないかと、このようなことを申し上げたわけです。別に首都高を弁護しているわけではないです。客観的な理論を説明したわけです。他の知事は、それはそうだという顔をされていたのではないでしょうか、私はそう思います。会社は会社の考えで、こうだけどこうすると政策的に判断することはあると思います。それを、国土交通省が独立した会社に対して、こうあるべしということは言えません。
   
(問) 安倍総理大臣の続投が決まり、9月にも内閣改造が行われるという話がありますが、先ほどの政治とカネの話の部分で国民からなかなか信頼が得られなかったいう発言がありましたが、改造にあたっては赤城農林水産大臣については、引き留めるお考えはないということでしょうか。また、大臣自身については続投されるというお考えでしょうか。任命権者は安倍総理ですが、大臣としてのご所感はいかがでしょうか。
(答) あなたが最後に言われたとおりです。任命責任者の考えることです、私は全く真っ白です。
   
(問) 政治資金規正法の再改正を考えているとのことですが、具体的には領収証添付をより厳しくする等、今以上に何か具体的なことを決めるのでしょうか。
(答) 我々が出すのであれば、自由民主党とすりあわせないと出せません。公明党の人数を考えていただければわかると思います。法律的には独自案は出せます。しかしそのようなわけにはいきません。出す以上は衆議院で可決できるようなものにしなくてはいけない。そういう意味で自由民主党としても、早速、昨日、各政治家に対して、意見の聴取を始めているようです。そういった意見と我々の意見とをよく接合して、国民の意思も示されているわけで、それを協議をして、そして摺り合わせて案が作くられるであろうと思っています。
   
(問) 数年前に斡旋利得処罰法とかを作った時は、公明党が自民党を引っ張って議論をしていたような記憶があるのですけれども、今の大臣のお話を聞いていると、自民党に遠慮しているのかどうか分かりませんけれども、法律以上のことが出来ないというですね。昔に比べると公明党らしさが少なくなっているような感じがしないでもないですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
(答) 斡旋利得処罰法は私と当時の政調会長代理であった谷津さんとの間で、本当に侃々諤々と議論をしながら、マスコミに見つからないように会合の場所を国立国会図書館にしたりとか、いろいろ場所を変えながら、議論したのです。その時の政調会長が亀井静香さんだったのですが、そこに乗り込んできて、「おい、お前等何をやっているんだ」ということを言われました。逆に私も「何を言ってるのですか」と、やったのですよ。そういう経緯で斡旋利得処罰法を作ったのです。その時には私設秘書はダメだということになって、公設秘書だけにしたのです。ですけれども、翌年に私設秘書でいろいろ問題が起きたこともあり、今度は私設秘書も加え、改正しました。その公明党の熱意は少しも変わっていません。ですけれども、最終的には、亀井静香さんも納得したから成立したのです。そうではなく反対のまま出しても通らないのです。その前の政治家個人に対する企業団体献金禁止も、私がそれを言った途端に150人以上の代議士が集まって、反対決議を自民党は行いました。しかしながら、一生懸命説得をして、時の総理の小渕さんや野中官房長官、森幹事長等の政治決断で、そうしようということになって、確か平成12年1月1日から禁止されたわけです。そういうものもこちらが言ったら全て通るというものは一つもないのです。ですから、私が今言っているのは、私どもの方は、ポスターにしてもボランティアで貼ってくれると。しかし、自民党の方では印刷して置いておいたら、それは選挙が終わるまでそのままの状態であると。1枚を貼るにも何百円というお金がかかるのだということを言われました。だからあなたのところはいいじゃないかと、濡れたら可哀想だということで上からビニールまで被せてくれるではないかと。金を出さなくても出来るじゃないかと。私のところは違うのだと言われました。そういうことで、政党によってお金の必要度とか、選挙のやり方も違うと。そういうことを無視して政治資金規正法とかを勝手にやっても納得されない、これは連立を組む前も組んだ後も未来永劫そうなのです。それを変に作られたら、その政党が衰退するということを意味するわけですから必死です。でも、我々はそういうことをしながらも前進させなくてはならないということで、総理も昨日の会見では、この問題について、やはり改正する必要があるということを言ってるわけです。そういうことから、いろいろな反対はあるであろうけれども、これを前進をさせていこうという努力をして公明党が推進力となります。それがなかったら出来ません。そういうことで、やっていかなくてはならないという気概は少しも変わっていません。
   

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