国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣退任会見要旨(平成19年8月27日)

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  冬柴大臣退任会見要旨(平成19年8月27日)
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平成19年8月27日(月)
13:39〜14:12
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。今日の閣議で辞表を提出してきました。私から1点報告があります。8月20日から23日までの4日間の日程で、中国の上海及び揚州を訪問してきました。揚州におきましては、李建業中国共産党揚州市委員会書記と会談したほか、上海においては、杜江国家旅游局副局長と会談するとともに、日中国交正常化35周年記念交流行事に出席し、また、上海虹橋空港を視察してきました。今回の訪中は日中交流の原点を確認し、その重要性を再認識する出張となりました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨年の就任から1年足らずですが、お世話になりました。まず、1年を振り返って、冬柴色というか、自分ならではのことができたというのはどういう点があったのか。またもう一方で、1年間でやり残した部分はどういうことがあったかと、振り返ってお願いします。
(答) 私ならではということはちょっとどうかと思いますが、若干自負できるかもわからないのは、上海の虹橋空港と羽田との間の定期チャーター便を、10月8日から飛ばすことが実現できると確信していますが、そのことです。これは私が幹事長時代の人間関係、唐家璇国務委員あるいは王毅駐日大使とは、数年以上のお付き合いがありました。そういうことから、どうしてもこれは実現しなければならない、国交35周年の佳節を祝う年のシンボルとしても、是非やってほしいということを申しました。楊元元民用航空総局長も当初、大変難しい問題なんだと、法律的にも技術的にも難しいんだということを仰っていましたけど、最後は「頑張るよ、とにかく努力する。」と言ってくれました。唐家璇国務委員もはっきりと、上海市の空港であり、すでにCIQいわゆる外国人が入国する際の税関とか検疫とか、そういう施設も全部取り払って、そして、国内専用空港にしたと。そしてまた、上海はものすごく発展しているために、中国各地からの国内便の乗り入れが殺到して、余裕は全くなく、そういう中で日本だけ乗り入れるというわけにはいかなくなると。そういうことを考えると本当に難しいんだと。法律上も国のものではなく、上海市のものだということを具体的に言われまして、大変難しいということを言っていましたけど、最後は「任しておきなさい、君は古い友達だ。」と。とにかく難しいけど任しておきなさいと言ってくれました。実際は、安倍総理が昨年の10月に突然中国を訪問して、温家宝総理とお会いになった時に、その方向で検討しようということを言われた時から始まっています。私が12月に行った時はそのような状況で、その前に事務レベルで交渉したけれども大変難しい状況でした。そしてまた、こちらに温家宝総理がお見えになった時に、安倍総理との間で、「これは飛ばそうじゃないか」ということになったけれども、いつからやるかということがなかなか決まらなかった。10月8日というのは前回も詳しく説明しましたけど、9月29日が国交35周年で、30日は日曜日です。1日から7日までが中国の祝日です、長い祝日です。そして8日ですから、29日から初めて仕事をする日が10月8日です。10月8日ということは、35周年と密接に牽連するということで、その日を無理にお願いしたということを考えますと、口はばったいですが、私としては、良かったかなという感じがします。後は、皆役所の優秀な職員がいろいろ考え、されているものについて私なりに判断して行ってきたことが多いわけですが、その中でも非常に残念だったのが、入札関係で官製談合の適用第一号だと言われたときには本当に残念でした。私がつきあっている国土交通省の幹部、それから現場の方も、皆ものすごく真面目な人で一生懸命やっています。その中で、一部そういう疑いをもたれたということについては非常に残念でした。そのようなことはやめようではないかと主導していた国土交通省であるだけに、非常に私もショックを受けましたし、二度と再びこのようなことが起こらないようにしなければならないと決意をしたわけです。このときには、昔いた人の中からそのような疑いを受けた人が出たことについて、事務次官を始め、官房長にも責任を取ってもらいましたが、私としてはこれは大変ショックを受けた事件でしたし、国民に心からお詫びを申し上げなければならない。二度とこのようなことを起こさないようにしたい、というのが私の気持ちでした。その他、議員立法ですが、観光立国推進基本法を成立していただいた。そしてまた、海洋基本法を成立していただいた。海洋基本法においては、私が初代の海洋政策担当大臣を拝命したということは生涯の思い出です。また、日本籍船が非常に少ない、95隻しかない。日本人船員というものが、外航船においては昭和39年には5万7千人いましたが、現在2千6百人に激減して、しかも高齢化していらっしゃる。日本は貿易立国で、日本の輸出入品は食料も含めて99.7%を船で運んでいる。そのようことを考えたときに、日本船籍も日本人船員もいないということは、国家の安全保障上非常に危ないという感じもしまして、私としては、トン数標準税制の導入等、ずっと考えていた事がありますので、海洋政策を担当させていただいたことは非常に嬉しいし、今後頑張っていかなければならない。観光立国については小泉政権の時から始まったことですが、ビジット・ジャパン・キャンペーンの最終年、2010年まであとわずかですが、去年は訪日外国人数が733万人を上回ってますが、1千万人にするということはなんとしても実現しなければならないと思っておりますし、その最終年が平城遷都1300年という佳節を刻みます。これは大きな話でして、これをなんとしても、2010年のビジット・ジャパン・キャンペーンの最終年の非常に大きな目玉としても、1300年記念事業というものは、できれば政府を挙げて国家の事業として成功させたいと思っているところです。それから、道路特定財源は本当にどうなるのかと、去年の年末に、皆様方もご存知ですが、本当に侃々諤々の議論をして、私は真に必要な道路は造ると言う言葉では絶対に納得しない、そんな言葉で従来の税率を維持することはできないと私は言い張りました。私は給付と負担というものは、給付とバランスが取れてこそ初めて、納税者に納得していただけるのだということを申し上げまして、その道路の整備について、具体的な道路計画をこの年末までに明らかにする。それによって初めて、この暫定税率を維持していくことについて、納税者の納得がいただけるだろうと思いまして、そのようにさせていただきました。また、従来造った高速道路の利便性を高め、また、利用する人にとって良いとしていただくための料金の引き下げ、これは財源を伴いますので、道路関係の歳出として認めてもらうということもさせていただきました。そのようなことも思い出がありますし、今後是非、納得いただけるような解決を図っていかなければなりません。来年の3月には、暫定税率の法律が切れますから、本当に納得していただかなければならない大仕事だろうと思います。その他、これは地元のことですが、関空第2期です。私も議員連盟のメンバーとして、これは、本当に紆余曲折がありましたけれども、第2滑走路の供用開始が8月2日に行われました。地元から選出していただいている議員として、立場を越えて本当に嬉しいことでして、生涯の思い出に残ることだったと思います。その他、いろいろありましたけれども、職員の本当に昼夜を分かたない支えによって、私も大過なくここまで来られた11ヶ月だったと振り返っております。その他、海上保安のこともいろいろあるのですが、みんなが知らなかった、1日100件くらいの立入検査を昼夜を分かたずやっている。辺境の魚釣島の領有を巡って、中国の方からがんがんやってくるのですが、それを、家庭を離れて何週間も船の上でやっていただいています。この356隻という海上保安庁の船艇の4割は、非常に老朽化していて耐用年数が過ぎています。こういうものを最新型のものに、代替整備を急がなければならなりません。そして、日本の海上保安の職員は12,411名です。これで、世界第6位の広さの海を守っていくというのは、驚異的なことで、他の国に比べれば、とんでもない人員です。これは、人員削減の真っ最中でして、増員というのは難しいですけれども、しかし、これだけ広い海域の安全確保を考えたときに、私は人員をきちんとするということも是非必要だと思いますので、しっかり予算要求していかなければならないと思っています。竜巻は佐呂間のことから発して、なかなか科学的に事前に予測することは難しいようですけれども、しかし、ドップラーレーダーというものを導入することにより、ある地域でこういう竜巻が起こる可能性があるということが予想できることから、補正で日本の国土全部を覆うことのできるドップラーレーダーを配備させていただいたということも、一つの思い出です。
   
(問) 改造人事について、いろいろと報道も出ていますが、これまでに、大臣の方に、総理及び官邸から人事についてのご相談はあったのでしょうか。
(答) 私にはないです。
(問) 党の方からも無いということでしょうか。
(答) 党の方からは、もし、そういうことがあれば、大変忙しい職のようだけれども、是非受けて欲しいという話はありました。
(問) 国土交通大臣をということでしょうか。
(答) そうです。ここの仕事は守備範囲も広くて、見ていても大変なようだけれども、もし、そういうことがあれば受けてもらえるかということです。そういうことがあれば、私としてはお断りはせずに、それは使命として、頑張らせていただきますということは、話し合ったことはありますけれども、具体的にどうこうということはございません。
   
(問) 先の内閣で、問題発言や政治と金の問題で閣僚が相次いで辞任し、松岡さんにいたっては自殺しました。振り返ってみて、先の内閣について、どう思われていますか。
(答) 安倍総理自身が掲げられた歳出・歳入一体改革で、日本の財政をなんとしても、子孫に大きな債務を残すということにならないようにしなければならないということは、私も全く賛成でして、そして、総理はその方向に邁進されたと私は思います。その意味では、その方向は絶対間違っていない。私も苦しい中で、公共事業費を削減するとか、道路財源を一般財源化するとか、言われることは辛いです。しかし、歳出・歳入一体改革を通じて、聖域なく進めることによって、2011年にプライマリーバランスを、なんとかプラスにしようという大変な事業です。そういう心意気に非常に共鳴したのです。ところが、辞任のきっかけはつまらないことなんですね。私も横に座っていて、みんないい人で優秀な人で、道義的に非難されるべきことなのかなと思う点もあるのですが、しかし、久間さんのあの発言にしても、前後を読んだら、なにも悪意を持って言っているわけでもないし、あそこは長崎の被爆地ですし、そんなことはないのだけれども、出てきた言葉自身は、私の立場としては、絶対に言ってはいけない禁句だと思いました。出てしまった以上は、綸言汗のごとしで、元には戻れません。したがいまして、私はご自分で判断するべきではありませんかということを、ここで申し上げたのです。それはそういう意味なのです。だけど、本当にいい人です。尊敬する人です。ですけど、たった一言が、やはり、辞任になったし、そして、多くの人の安倍内閣に対する信頼を傷つけたことは事実だろうとは思います。その意味で非常に残念です。それから、柳沢さんについては、私は非常に思い入れがあるのは、ものすごい勉強家ですし、でも、あの言葉から発してこの11ヶ月本当に針のむしろに立たされた閣僚だったと思います。私はそれまでも友人としてお中元やお歳暮をいただいたりするぐらいおつきあいをした人でして、本当に残念無念という感じです。その意味で政治家の発言というものについては、非常に重いということを感じました。
   
(問) 今日の午後には新しい内閣が発足されますけれども、新しい内閣に求めること。また、新しい内閣で仮に前の内閣同様に問題発言があった場合に安倍内閣は果たして持つかどうかという問題があるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(答) まだ発足もしていないのに論評の限りではありませんけれども、やはり今度は、誰が官房長官になられるか知りませんけれども、つまらないことで人気を落とすようなことにならように目配りをきちんとすべきであろうと思います。まあ、そういう認識は皆さん共通していると思いますけれども、前の官房長官が悪いわけでもないですけれども、それは反面教師として、今回の発足する内閣がそういう失言とかがないように。本当に政治的な大失態とかをして辞めるのではなく、そういうことで、人気をどんどん落としていったというのは、ものすごく残念だったと思います。もう一つ選挙の反省としては、日本の経済、私どもが連立を組んだ8年前と比べるとものすごく様変わりしているのです。それはいいのですが、その課程で、例えばニートとかフリーターとかそういう人達は従来いなかったのです。不況の10年の中で、会社も新卒者の採用を著しく控えたりして、機会に恵まれなかった人達が犠牲になってしまったと思っています。そういう人達も徐々に正常な状況で勤められるようになりつつあると思いますけれども、その後遺症が残っているのが格差と捉えられている面はあると思います。定率減税を廃止したことでものすごく増税だということですが、あれは恒久的減税で、恒久減税とは似て否なるものなのです。当時のことを私はよく知っていますけれども、小渕政権の時に銀行はどんどん倒産する、中小企業も倒産の山、そうした失業の山という中で、どうやって消費を増やすかという苦肉の策ということで、国と地方で3兆3千億円の減税なのです。これは全て借金やっているのです。国債発行しているわけです。将来の子供達や孫達からお金を借りて、現在の我々が使っているわけです。ですからこれは臨時的なもので、景気が回復すれば1日も早く元に戻さなくてはならない話なのです。しかしながら、6年やって20兆円以上の債務、これは利息を入れたらすごい金額になりますけれども、そういうものをばらまいたわけですね。しかし今ここに至ってやめるのは当たり前だと私は思います。しかしそれが増税だということになりました。ですから選挙の直前に税金が増えるわけですから、そういう不幸な面もあります。地方に対する三位一体改革で今までの補助金を止めてですね、そしてそれを地方の法人なり、個人の住民税に振り替えました。税源移転しました。これも税収の少ない地方にとっては、大変厳しい話です。今までであれば補助金という形でどんな辺境な地でももらえたものが全部なくなってしまって、全部、地方税に振り替わるわけです。ですから4月に所得税はすごく減ったのです。けれども、6月頃には地方税がものすごく増えるという、そういう現象が増えたり、いろいろなことが今回の参議院選には国民から見れば、この内閣は何をやっているのだというように映ってもおかしくないようなことが、重なったように思います。しかし、私どもが今後取り組むこととしては、景気回復による果実を、大企業だけではなく中小企業に均霑しなくてはならない。そしてまた、正規社員だけではなく同じ仕事をしている非正規社員、パートの人たちにも所得が増えるようにしなくてはならない。あるいは、国だけでなく地方に均霑しなくてはならない。これは過程の一つだとは思いますけれども、それを加速しなくてはならない、私はそう思います。そんな問題であるように思われました。
   
(問) 外遊中に中華航空機の事故がありましたけれども、その事故調査が進んでいるところではありますけれども、帰ってこられて初めてなので、改めてあの事故についてどのようなご感想か、お聞かせいただけますか。
(答) 私は、日本の事故調査委員会の能力を高く評価する一つの事例だったように思われます。あれだけの事故をほとんど数日の間に事故の原因をきちっと確定することができたということは、非常に能力が高く評価されて然るべきではないかと思っております。あれだけのことが起こり、死者が1名もでなかったことは、本当に嬉しい限りです。聞いたときは、1人でもそういうことがあるようなら、中国から引き返して来るつもりでした。本当にそういう気持ちだったけれども、1人も亡くならなかったことは、本当に幸運だったと思います。あれを見たらびっくりしますよ。それから、ゲートがないのですよね。もしゲートがあれば、ターミナルの方も類焼したのではないですか。いろいろな面で、本当に不思議な事故だと思います。しかし、同型機も日本にありますので、製造元のアメリカの方から全部点検してほしいという話もありますので、9月18日までということで、時間もありますけれども、我々の方はエンジンに一番近いところのビスについては全部点検が進んでます。それ以外にまだ両脇に3カ所ずつありますので、そこも全部点検をすることにしておりまして、安全・安心を確保しなければならないと思います。
   
(問) その関連で、今回アジアからの外国航空会社の航空機が起こした日本国内の事故です。90年代以降そのような事故が日本で非常に増えてまして、今後さらに航空自由化であるとか、外国航空会社の日本への運航が増えれば、このようなリスクは増大するかと思います。それについて、国として何らかの安全性確保の手立てを本腰を入れて検討しなくてはいけないのではないかと思うのですが、これについてお考えを伺えますでしょうか。
(答) 我が国に飛来する飛行機については、我が国もその点では監督権限がありますから、例えば今回、中華航空に対して、原因等を踏まえてですけれども、現時点でも分かった範囲では厳しく注意し、再発しないような措置を行政的な手段として行っているところです。それから、台湾と我が国は国交がありませんけれども、その中華航空の国元として、しっかりと監督をやってもらいたいということについては、関係機関を通じて、申し入れをすることとしています。今後もいろいろな国からいろいろな会社が日本に入ります。我々としては外国のものだからということだけではなく、日本の空港を利用する以上、国土交通省の厳しい監督を受けていただかなくてはならないと思っています。
   

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