国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年9月26日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年9月26日)
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平成19年9月26日(水)
12:15〜13:06
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。閣議で、内閣の発足にあたっての総理談話を決めましたけれども、これは官房長官からその通り皆さま方にご報告されますので、私からは省略させていただきます。以上です。


質疑応答

 
(問) わずか1ヶ月くらい前の話ですけれども、改めて再任されたことについての抱負を教えてください。
(答) 本日、宮中において福田総理大臣侍立の下、天皇陛下から国務大臣を任命しますという辞令を頂戴いたしまして、国務大臣に再任いただきました。誠に名誉なことであり、そしてまた、身に余る光栄です。一生懸命頑張って期待に応えたいと思います。その後、官邸に戻りまして、補職が行われました。総理大臣から私に対して、国土交通大臣を任命するというお話がありました。それから、観光立国担当大臣も命じられました。もう一つ、海洋政策担当大臣です。この三つの補職をいただきました。それぞれについて簡単に抱負を申し上げしますと、国土交通大臣は大変職務が広く、皆さま方がよく御案内の通り、旧建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁という4省庁を合わせた役所です。約62000人の職員がいます。外局としても、海上保安庁、気象庁、国土地理院等があります。大変幅の広い仕事ではありますが、私は、子供や孫たちが、自信と誇りを持てるような国土をつくることではないかと思います。そして、それをもう少し詳しく言えば、安全・安心の国土、国際競争力の強い国土、また、地方の活性化あるいは再生も大切だと思いますし、なんと言っても国民に快適で豊かな住生活を保障すること、こういう仕事が大切だと思います。もう少し申し上げますと、陸・海・空の公共交通を担当します。したがいまして、そういうものがテロに狙われたり、事故を起こしたり、あるいは災害に遭ったり災害で壊れたりすることがないように、対策をきちっと立てていくことが大事だと自覚しています。もう一つ、快適で豊かな国民生活を保障するためには住宅が必要です。御案内の通りですけれども、終戦後、420万戸にも及ぶ個人住宅が不足していました。したがいまして、まず数を増やそうということで、住宅建設計画法が施行され、それに基づいて5年計画で8回、実に40年にわたって住宅をつくっていこう、数を増やしていこうという政策がとられました。それを支えたのが住宅金融公庫であり、あるいは公営住宅制度でありました。そのようにしてきましたけれども、ここへきて、世帯数よりも住宅が随分余りました。過剰になってきました。ここで、住生活基本法が施行されまして、いいものをつくり、きっちりと保守管理をして、大切に長く使おうではないかという精神で、今までの住宅に対する政策が大きく転換しているのが現時点だと思います。私はこの方向は正しいと思います。総理からは、つくったものを長く大切に保守管理していくストック型社会の構築、200年住宅の推進をお願いしたいという指示がありました。福田総理は自民党の調査会長として、200年持つ住宅について取りまとめをされた責任者でもあります。私もこれは大賛成です。今までのように、30年ないし35年でつくっては壊すという住宅、一世代だけがそこに住んで、そしてそれを壊していく、これは資源の無駄であり、環境面からも好ましくありません。これがもし、総理がおっしゃるように200年持つことになれば、数世代の人が同じ住宅を使うことになります。これは、相続以外に売買もされるわけでして、外国における中古住宅市場が大変盛んですけれど、日本では現在のところそういうものが熟していません。今後の政策として、そのような良質なストックについての市場を創っていくということについて、政府は環境整備していかなければならないと思います。また、200年持つということは、中に住む家族構成も、高齢者が住む場合もあれば、子育て世代、あるいは結婚前の子供がいる家庭もあります。すなわち、間取りというものはその世帯によって、子供部屋が欲しい時もあれば、大きい部屋だけでいい世帯もあります。したがって、住宅はスケルトンをきっちりと、外郭をきっちりとして、中は柔軟に間仕切りが変えられるような、そういうものが望ましいと思いますし、200年持つとなれば、街並みや景観とマッチした住宅でなければならないという、社会資産としての個人住宅の問題も生じてくると思います。そのようにいろいろな問題が生じてきますけれども、一戸の住宅を一世代だけでお金を払っていかなければならないということになりますと、例えばそれが2000万円の住宅であれば、2000万円のローンを一代限りで払わなければなりません。しかし、200年保持つ住宅が2000万円でできるかどうかは別として、それを5世代で負担することになれば、一世代ではその5分の1で済むことになります。住宅費が軽減されるわけです。そういう意味で、これから国土交通省としては200年住宅を住生活基本法の中に据えて、国民に普及するような政策をとっていきたいと思っています。それから、観光立国についてはもう多く言うことはありませんけれども、6月29日に観光立国推進基本法に基づく基本計画が閣議決定されました。それに基づいて、2010年までに訪日外国人の数を1000万人にしよう、昨年は733万人でしたけれども、なんとしてもこれを実現したい。その他、同じ年までに外国へ出ていく日本人観光客を2000万人にしようということです。これは1753万人でありますが、この3年半ほどの間に2000万人にしようという大きな目標を立てています。私もそれを実現するために、トップセールスとして中国を既に4回訪問していますし、インドへは1回、韓国へも1回行っています。もう一つその関連で、9月29日、東京都大田区にある羽田空港から上海市の真ん中にある虹橋空港へシャトル便が、日本の会社が1日2便、中国の会社が2便、合計4便飛ぶことになります。これは、日中国交正常化35周年の署名をされた日が9月29日ですから、シンボル的な事業として私は捉えていますが、来年の北京オリンピック、また、2010年の上海万博を射程に入れて考えれば、大変な日中交流のツールとして、便利に使われることになるだろうと期待しています。最後になりますが、海洋政策担当大臣としての抱負ですが、来年の1月を目途に基本計画を策定したいと現在一生懸命やっています。その中で、いわゆるトン数標準税制を導入したいということが一つです。御案内の通りだと思いますけれど、昭和49年には約1500隻以上あった日本籍船は、現在95隻に激減しています。外航船員ですが、57000人いた日本人船員が現在2600人に激減しています。これでは、日本が食料から資材、エネルギーまで輸入するのに、99.7%を運んでいる外航船が日本籍船でない、日本人船員ではない人によって運ばれているということは、安全保障上好ましいことではないと思っています。したがいまして、日本籍船を持つことについてのインセンティブ、それが利益に繋がるという制度が諸外国ではとられているわけで、それがトン数標準税制です。是非、来年20年度に導入できるように、万全でやっていきたいと思います。その他、日本は海洋国家であります。447万平方キロという広い海域で、世界で6番目に広い海域を排他的に支配できることが国際的に認められているわけです。それは安全とか環境保全とか、あるいは資源の開発利用、またそれを支える離島の保全ということは非常に大事なことでありますが、その中で皆さんもお分かりのように海上保安の果たす役割、期待される役割は非常に大きいわけです。では海上保安が今どうなっているのかというと、巡視船艇が365隻程あると思いますけれども、その4分の1が法定耐用年数を過ぎ、陳腐化・老朽化しているのです。こういうものを早急に代替、整備しなければならないと思います。昨年の補正、あるいは今年度予算で相当造ってもらいましたけれども、引き続ききちんと頑張っていかなくてはならないし、また現在12,411名しかいない海上保安の職員ですが、諸外国と比べても、ものすごく少ないのです。私はやはり必要なものは増やしてもらわなくてはならない。特に巡視艇はあるけれども、その乗組員がいないために、それを動かす時間が1日に8時間しかないということになっている。空き交番ゼロ作戦ということがありましたけれども、交番はあるけれども、巡査がいないというのと同じでありまして、私は空き巡視艇ゼロ作戦を取りたいと思っています。複数クルー制を採用し、増員をして日本の巡視艇というものが四六時中監視の目を光らせることができるような体制を組んでいきたいと思っております。長くなりましたけれども、3つの補職をいただきましたので、そういうものを中心に頑張っていきたいという思いで一杯です。ちなみに今年の3月25日に能登半島地震が起こりまして、今月の25日でちょうど半年を迎えます。7月には新潟中越沖地震があり、そういった地震によって破壊された道路、鉄道、空港等も全部回復しました。ただまだ避難しておられる方々がおられますので、これからそういった方々に合った住宅を、今は仮設でありますから、恒久住宅をどうしていったらいいかを今後地元の県市とよく協議をしながら、皆様方が喜んでいただけるような住宅をつくっていきたいという思いでいます。
   
(問) 重点とはちょっと違うかもしれませんが、道路特定財源の関係で、昨日の就任会見でもおっしゃっていましたけれども、改めて年末までに道路中期計画を作成するという流れになっていますけれども、福田さんが自民党総裁の会見等で一般財源化について慎重ともとれる発言をされていて、真意の方は分かりませんけれども、その関係で大臣のお考えに変更があるのかないのかお聞かせください。
(答) 私は昨年末の道路特定財源に関する具体策を立案するために直接関わり、当時の内閣、あるいは当時の政府の立場として合意をしたわけであります。それは暫定税率を20年以降も維持しながら、それによって入ってきたものが自動的に道路の整備の財源に使われるという、そういう仕組みを改めるための法律を来年の通常国会に提出するということです。そうするために、安倍総理からも言われたのですけれども、納税者に十分に説明をして、そしてその人達のご理解を得てそのようにしたい、そういう具体策を作って欲しいとおっしゃったわけです。大変難しい話ですけれども、私は税というものは負担であり、暫定税率というものは本則よりも高い税率を負担してくださいというからには、そこから上がる税収について、納税される方々が受益を受けるという、受益と負担というバランスがとれていないと納得してもらえないと思います。福田総理の話を聞いていますと、総理もそのような趣旨でおっしゃっているように思います。私もそのとおりだと思います。したがいまして、払っていただく方に納得いただけるような道路整備、道路に関係する支出をいただいた税金でやっていきますという計画を作ります。具体的には年末までに5年から10年の中期において行われる道路整備を明確に示す。そしてそれに必要な整備費の総額も示していくということが納税者に納得していただける唯一の道であろうと私は思います。また道路整備以外にも、既にできあがっている高速道路の料金を何回も払わなくてはならないとか、高すぎるとか、あるいは画一の料金で払うことにより非常に不公平・不平等という点もあります。それは高速道路を整備していくのに長い年月がかかっているからそのようになるわけでして、これを一度社会実験をした上で見直すということも行うわけです。ただし、道路株式会社に経営を委ねた以上、政策によって一方的に国の施策として負けてくれということは言えません。したがいまして、十分話し合いの上で減収になる部分については、道路特定財源から道路歳出として認めていただくということも交渉し、そういうものも結構だということで、ご案内の通り具体策にも書き込んでいただいたわけです。私はその線に沿って進めていきたいと思います。私のところへ毎日毎日知事さん市長さんや地元のいろいろな方々が遠方から要請に来られますが、その8割は道路を早く整備して欲しいというものであります。私も週末には地方へ出張して道路の状況等を見せていただくのですが、その際も1日も早く整備して欲しいと。こういうことが多くの国民の要請である以上、道路整備を急がなくてはいけない。予算は少なくとも重点的・効率的に真に必要なものから整備をしていかなくてはならないと思っています。以上です。
   
(問) 暫定税率の維持の関係ですけれども、維持するには来年の通常国会で提出をしなければならないということですけれども、やはり参議院の方での第一党は民主党ですが、その辺で国会の論議がどのようになるかということが気になるのですが、大臣はどのようにして暫定税率維持に向けてやっていくお考えなのかということをお聞かせ願えないでしょうか。
(答) 税率を維持するということは、受益の方も維持するということです。さっき申し上げたとおりです。税率を下げるいうことは受益となる道路整備もできないということになります。したがいまして道路整備を急いでおられる地方の声や、地方に限らず首都圏でもここを整備して欲しいという話があるように、どこでもそのような要望があるのです。野党の方々も多くの国民の支持に基づいて今回の戦績も収めれられたわけですから、きちんと話し合いをすることで、その方々の意思に沿う解決というものが必ず図れるのではないかと思っています。よく協議を重ね、国会論戦の中で国民に分かるようにしたい。税率が下がることはありがいたいのですが、それによって自分たちが求めている道路整備が遅れる、あるいはできないということになれば、ではどうするかということは国民が選択されることだと思っています。
   
(問) その地方の話ですけれども、地方の格差是正という観点から公共事業のあり方というのも改めて注目されると思うのですけれども、公共事業に対する大臣の考え方はどうでしょうか。
(答) 公共事業もそうです。港湾にしても今外国からのコンテナが随分上がっていて、スーパー中枢港湾以外に我々の方も随分伸びており、もう少し深度の深い港を作って欲しいとか、たくさん要望があります。そういうものについて応えていくためには、いつも言うことですけれども、平成10年の多い時の14兆9千億円に比べて、今年は6兆9千億円と半分以下になっています。言われたものを何もかもつくるということはできませんが、真に必要な社会資本整備を重点的に効率的に行うことが必要です。また施工についてもどうすれば安くなるのかということも必要ですし、あるいは入札の合理化ということも必要です。いろいろなところで知恵を絞って乏しい財源の中でも、地方のある地域を整備することによって新しい企業がそこへ張り付くことが可能である、あるいはそうすればその地域の若者に雇用の機会が与えられる、そのようなことがあるわけです。したがって、そのようなものを重点的に判断していかなければならないと思っています。大分県中津港のことをよく申し上げますが、あそこの港湾整備により、ダイハツ、トヨタ系の企業が大きな投資をしてくれました。5300人の雇用機会が地元の青年たちに与えられています。非常に大きな話だと思います。そのようなことは枚挙にいとまがありません。道路や港湾を整備したことよってその地方が活性化し、雇用の機会が生じる。このような事例は、全国どこにでもたくさんあります。そのような意味で国民にも公共事業投資というものがいかに大切なものであるか、無駄の典型みたいに言われたことがありますが、決して無駄なものではないと確信をしていますので、よく理解していただくように頑張っていきたいと思っています。
   
(問) ボンバルディア機のことについて伺います。海外においてですが、9月に着陸トラブルが3件あり、日本の利用者からも事故が多すぎるのではないかという不安の声が以前にも増していると思われます。この間、国土交通省の対応は、外国の事案なので事故の詳細が分からないままボンバルディア社の点検指示に従って、その箇所に問題がなければ飛ばしているという姿勢と受けとめられます。そのような受け身の姿勢でよろしいのかという疑問があります。路線の維持は重要なことで、大前提ですが、まずは安全・安心が大前提ではないかと思います。日本の空の、安全・安心を守るという日本の航空当局として、これほどトラブルが続いているボンバルディア機を飛行させることを認めて良いのか、今一度見解をお聞かせ下さい。
(答) ボンバルディア社は、カナダに本社のある航空機製造会社です。日本でも、高知県で胴体着陸をした衝撃的な映像が全国に放送されました。その時に、ボンバルディア社はもちろんのこと、これを監督している官庁のあるカナダ政府に対しても我々としては事故原因の究明あるいは改善策を強く申し入れ、カナダからも担当官やボンバルディア社の職員が来ております。また、航空・鉄道事故調査委員も詳細な調査をしています。また、今回の海外事故を受けて、主脚のこの部分について点検して欲しいとか、1万回以上飛行したものはこのようなところを見て欲しいといったいろいろな通知がされており、我々としましては1万回の飛行回数ではなく、点検をもっと厳しくして全てのボンバルディア社の飛行機について、その欠陥があった部分について、検査をきちんとして、それをクリアしたものしか飛ばしてはいけないこととしております。決して受け身であると私は思いませんし、ヨーロッパでこの1ヶ月に3件も事故が起こったことも周知しています。その度に我々としては、ボンバルディア社はもちろんのこと、照会もし、事故内容を共有化する作業はきちんとしておりまして、不安なものは飛ばさないというのは当たり前の話で、そのような気持ちで行っています。この飛行機はプロペラ機ですが、事故を起こす以外の部分については非常に性能が良くて、離島間や近距離の飛行については意外にも代替機種がありません。これを止めれば、例えば大阪伊丹から高知までの飛行機を調達できないとか、離島への飛行機が調達できないといったことが起こります。我々としては、その欠陥があった部分、あるいはそれ以外の分についても、今までボンバルディア社が起こしている細かい事故についても検査をして、安全を確認しながら飛ばしているのが現状です。我々としては日本の事業者に対して、これについては事故をおこさないようにあらゆる指導をしているのが現状です。以上です。
   
(問) 道路特定財源の話ですが、福田総理は特定財源の用途についてもう少し慎重に議論を詰めたほうがいいとおっしゃっています。その発言の趣旨をどのように受け止めていらっしゃるかという話です。昨年末の合意は、暫定税率を維持しつつ道路歳出に充てた上で余った部分を一般財源にするという内容でしたが、この合意自体、政権が変わったことによって見直しの余地が出てきたというお考えはありますか。それとも、これはあくまで前提として今後の制度設計に臨まれるというスタンスでしょうか。
(答) 今後、それについての立法をしなければなりません。その過程で十分検討させていただくことになると思います。道路歳出を取って、残りがあれば一般財源にというように具体策に書いてありますが、総理の発言は、一般財源に回して納税者とかけ離れた全然違うところへ使うということは、納税者の理解が得られないのではないか、そのような趣旨ではないかと私は思います。したがって、一般財源に回すにしても、例えば、CO2を削減することに役立つ環境対策等、それが納税者にとって役立つものに充てなければならないのではないかという趣旨のように私は受け取っています。これは、来年の立法に向けて新しい総理の下で十分そのような点を確認しながら作業は進めていかなければならないと思います。
   
(問) 去年の合意では、道路歳出の部分についてかなり視野を広げるというか幅を広げるような決着だったと受け止めてますが、大臣ご自身も、昨年末の合意における一般財源という意味合いについて、今おっしゃったようにやはり納税者の理解を得る上では、ある程度幅は限られてくる部分があるという考えでよろしいですか。  
(答) 使途が限られるのではないでしょうかね。例えば、いつも渋滞している1時間のうち50分以上しまっている地獄の踏切について、連続立体交差にすることによって、そのような渋滞に巻き込まれずに走行できるといったようなものは、納税者も納得していただけると思っています。そのように関連性をわきまえて、これは道路歳出に入れるべきだ、あるいは道路歳出とは言えないがそれに納税者の意図するところに裨益している歳出なんだという、説明をつけることでご納得いただけるのではないかと思います。これから十分に検討させて頂きたいテーマです。
   
(問) 安倍内閣では拉致問題が最重要課題として掲げられていました。現在、日本では北朝鮮籍の船舶の入港を全面的に禁止しています。この制裁措置の期限が切れたときにこの制裁を維持していくお考えがあるのかどうか、福田総理は総裁選の際に、圧力と言うよりは対話を重視する、北朝鮮外交でそう述べてましたけれども、それについて、総理とどのような会話をされたのですか。
(答) 全て、国民と共にということですから、向こうが何も譲っていないのに、こちらが譲っていいのかどうか、その時の状況を、あるいは、今、六者会合が開かれ、そういうものに関連して、2国間の拉致の問題について話し合われるという時に、そういうものをどうするのかということは、具体的に話をしないといけません。何も進展がないのに、こちらが一方的に、ここを開けたから解決するというものではないと思います。交渉というのは、そんな客観状態をこちらが作り出しながら、譲るべきところは譲っていくということでないといけないと思いますし、対話と圧力のバランスもよく考えながら行われるのではないかと思います。私は、そういう法案を提案していく立場でございますので、十分、新しい総理とも協議をして外務大臣とも協議をして決めていくべき事項だと思います。
   
(問) トン数標準税制について、先程抱負を述べられていましたのでお聞きします。トン数標準税制は、特定産業の優遇税制だという指摘がありますので、改めて、ご意見を伺いますが、一つは日本人船員、日本籍船を増やすということには、どのような意味があるのでしょうか。もう一つは、トン数標準税制導入が、そういったことに着実に繋がるのかどうか、併せて、導入する制度について、現状の検討のところをご説明願います。
(答) 現在、海運先進国と言われる国では17カ国がトン数標準税制を導入しています。そういうものがあったればこそ、今日の海運の隆盛があるということを、私も直接聞いたことがありますし、職員に外国に行って視察してきてくれということも申し上げましたけれども、我々も導入するからには、そういう日本籍船を増やし、日本人船員を増やすのに裨益するような仕組みにします。私は、それが船主だけの利益になってしまうということにはならないと思います。それから、特定の事業に利益を与えるのではないかという議論はあると思いますけれども、日本の現状を見ていただくとわかりますように、食料自給率は40%で、残り60%は海運に依存しているわけです。輸出入の99.7%は、外航船舶によって運んでいただいています。エネルギーも、鉄鉱石を始め原材料も、みんなそういうことです。日本はそれを加工して自動車を作っています。これも外国に売る場合には、全部そのように運んでいます。そういうことを考えたときに、日本籍船ではなくともお金を払えばやっていただけるというのが現状です。平和の時はそうですが、何か事故があった時にそれでできるのだろうか。国民の生活に直結しています。そういう意味ではその特定の業界とはいえ、私は国民の安全安心、あるいは、安全保障という意味でも非常に重大な役割を果たしている業界だと思います。他に外形標準課税をとっている例があります。電気とかガスとかは、かつて業種限定で事業税が外形標準課税でした。しかし、それは電気とかガスを考えてみれば分かります。国民生活に直結して、安定した経営、そしてその資金も大変たくさん必要になります。そういうことを考えたときに、国民は納得して特殊な法律が作られます。私も今回、外形標準課税を導入するについては国民の理解が得られると確信しています。
   
(問) 今回の福田内閣を作るにあたって、安倍改造内閣からほとんどの閣僚が残ることになりましたけれども、その中でも大臣として再任された理由をどのように受け止めてらっしゃるのかということと、福田総理とのこれまでの関係の中で、エピソード等、もし何かありましたら、改めてお伺いしたいのですが。
(答) 臨時国会の会期中に安倍総理が健康を害されて退陣しましたが、大事な法律が控えています。そういうものを考えたときに、直ちに、今日、新内閣を発足しているわけですけれども、数日以内には所信表明に対する代表質問、あるいは予算委員会など、もう目白押しです。例えば国土交通行政、あるいは観光立国、あるいは海洋政策と言いましても、1年間私はやらせてもらいましたけれども、まだまだ細かいことなど、分からないことがいっぱいあります。毎日のようにレクチャーをしていただいて、自分なりに理解しながらやっているわけでして、その蓄積なしに、突然予算委員会の質疑を受けろということが、本当にそれで良いのかどうかを考えたときに、短い会期の中で残された期間も少ないということを考えたときに、再任が適当だという判断をされたのではないかと思います。福田総理とは、昭和11年生まれで、私が6月29日生まれで、福田総理が7月16日生まれで、もう一人昭和11年生まれで山崎拓さんが12月生まれですけれども、幹事長と官房長官の時に、よく食事をする機会がありました。3人とも昭和11年生まれで、「俺が一番上の兄貴やな」というような話とかをしました。まさか総理になられるとは思いませんので、「同じ頃に我々の母親はお腹が大きかったよな」といったつまらない話をしていました。私は瀋陽生まれで、山崎さんが大連生まれで「同じ満州で、母親の腹が大きかったよな」という、たわいのないことを言ったりしました。その他、お父さんが日韓議員連盟の会長だった時に私も日韓議員連盟に入れてもらいまして、一緒に何度もソウルに行ったりしまして、その時に、福田さんも一緒に行っていました。あるいは、「議連を作るから、お前も入れ」とか「公文書を保管する」とか、あるいは、靖国の問題ではないのですけれども、国民の戦没者に対する追悼施設として国立の無宗教のものをつくるということについても「一緒にやろう」というような話でやった時期があります。
   
(問) 道路特定財源の話なのですが、先程の話では、道路歳出を上回る部分については、道路に関連する事業に使うと。使途はある程度限られるのではないかというお話でしたが、そうなったときに、一般財源化という言葉とは少し趣旨が違ってくるのではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
(答) あんまり趣旨が違ったら、納税者は怒るのではないでしょうか。やはり、納税者が納得していただくというのが前提です。揮発油税でしたら、本則は24円30銭です。48円60銭も取っているのです。それをまったく違う福祉とか、老人医療とかそれは必要なのですけれども、そのお金かどうかは別として「それはちょっとちがうのではないでしょうか」という議論が出るのではないでしょうか。ですから、それは道路に使いますということで、平成15年に5年間に限ってこれだけの道路を造るということで決めたのです。それが切れるわけですから、それを0円にしろという議論は十分にあります。しかし、それは維持しながら、入ってきたものは全部道路に使うという仕組みは止めましょうということです。しかし、必要な道路はきちんと造るということでないと誰も納得しません。そのために、それを維持していくのであれば、それに見合う給付、すなわち「道路をこのように整備します。いつまでに整備します。」というものが必要なのではないでしょうか。それが、いろいろ始末したりして、その道路歳出を超えた部分は一般財源にと言われているのですが、その使い道についても、福田総理は、「環境対策とか関連するようなものだったら納得してもらえるのではないか」ということをおっしゃっているわけで、その部分については、これから議論をしなければならないと思います。
   

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