国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年10月2日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年10月2日)
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平成19年10月2日(火)
10:47〜11:15
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が3件、国会提出案件が25件、条約の公布が2件と人事案件です。私から3点報告を申し上げます。1点目は、9月29日に日帰りで、中国の上海を訪問しました。9月29日はちょうど、日中国交正常化、日中共同声明調印の日から35周年目に当たる日でした。この記念すべき日に、羽田空港と上海虹橋空港との間に国際旅客チャーター便の就航が実現しました。私はその初便を利用して、9時10分羽田発、11時20分上海着でして、正味2時間10分の飛行時間でした。大変便利です。向こうでは、楊元元中国民用航空総局長と会談をしまして、本チャーター便の就航実現に対する楊総局長のご努力に対して謝意を表明するとともに、日中航空関係のより一層の進展等について意見交換を行いました。今後とも、航空関係を始めとする中国との人的・物的交流の推進に努めていきたいと思っています。2点目は、第10回観光立国推進戦略会議の開催についてご報告申し上げます。昨日午後、第10回観光立国推進戦略会議が初めて官邸以外の場所、来年のサミットの会場である「ザ・ウィンザーホテル洞爺」において開催されました。私は残念ながら国会開会中であり参加できませんでしたが、高橋はるみ北海道知事の他、地元の方々も出席されまして、サミット開催を契機とした北海道観光振興策について、活発な意見交換が行われたとの報告を受けています。会議においてはご意見の一部として「北海道ならではの美しい花や湖、これを発信しよう。冷凍物ではない本物の食材の提供などを通じて、付加価値を高め、消費単価の上昇に繋げることが必要。」とのご発言があったと聞いています。北海道は四季折々の楽しみを提供できるすばらしい地域です。この魅力に惹かれて北海道を訪れる外国人観光客は急増しています。ちなみに、昨年は59万1千人で、4年前は29万人くらいですので相当伸びています。そういうことで、サミットを契機として受け入れ環境の整備や観光PRの強化を図って、北海道の活性化が図られるような具体的な取り組みが重要であると考えています。戦略会議のメンバーの皆様には、できるだけ早く具体的な提言を期待するとともに、北海道の観光を核にした持続的な発展ができるよう、実効性の高い施策を講じていきたいと思っています。3点目は、ご承知のとおりですが、昨日、世界初の地面が揺れる前にそれを知らせるという画期的なシステム、緊急地震速報の運用が開始しました。大変な技術でして、気象庁を始め、関係者の皆さま方の10年ぐらいの期間に亘る研究の成果だという喜びの声がありましたけれども、非常に画期的なことだと思います。いろいろこれからも改善しながら、減災、すなわち震災からは逃れることはできないけれども、震災から生ずる損害を軽減するということに努めて参りたいと思います。


質疑応答

 
(問) 臨時国会がいよいよ本格化しますけれども、昨日の福田首相の所信表明演説でも、野党との協調ということを前面に押し出されています。国会運営を今後どうしていくかについて、大臣としてのお考えを教えてください。
(答) 福田総理の所信表明演説は、いわゆる自立と共生ということを基本にして、若い人には希望を、そしてお年寄りの方には安心を与えるような温もりのある政治をしたいというのが基本的な姿勢だと思います。その上で、国会においては対話、いわゆる話し合いを中心にやっていく。これは、衆議院で3分の2を超える勢力を持っていましても、参議院で過半数を割ってしまい、17議席も足りません。そうであれば、両方が角を突き合わせていたのでは、法律が1本も通らなくなります。法律だけではありません。同意人事もあります。予算もありますし、優位だと言いましても、向こうが明確に反対したものを押し切るというのは中々難しいし、国民の支持を得られないだろうと思います。そういう意味で、総理が話し合いということを再三あらゆる場面で言われたということは当然のことだし、私も国会対応としては、そういうことでやっていこうと思っています。国土交通省の関係部分を見ましても、全て網羅的に書いていただいているなと思いました。海洋政策のところだけ論及はされていませんが、今回は臨時国会における所信ということで、来年の施政方針にはもちろん入ってくるだろうと思いますけれども、これ以外は網羅的に入っています。安全・安心ということについて、震災のようなものから建築の問題についても論及をしていただきまして、我々はこれまでの大量生産・大量消費というものに代えて、こういう安全・安心ということが主導理念になるのではないかという指摘は、全くそのとおりだと思います。また、国際競争力につきましても、アジア・ゲートウェイ戦略、観光立国等に論及をいただきました。また、地方につきましても、再生等につきまして論及をいただきましたし、また、快適で豊かな国民生活につきましても、200年住宅について論及をいただきました。我々が今一生懸命目指していることについては、網羅的に触れられたと思っています。2011年に国、地方を合わせたプライマリーバランスを黒字にするんだということ、そして、そのためには歳出・歳入一体改革を徹底してやっていくんだということも論及をされました。そうしますと、必然的に真に必要な公共事業ということを重点的・効率的に行っていくということに繋がってくるのだろうと思います。従来の方針を維持しながら、国会対応では野党との協議ということを大切にしながら、国民の期待に応えていかなければならないと思っています。
   
(問) 上海−虹橋線に、大臣がいらっしゃいましたけれども、その日の夜に帰ってきて、日帰りということで。一日四往復ということで始まりましたけれども、日帰りするにはなかなか厳しいというか、帰りを成田に帰ってくればできないことはないという話を聞きますが、大臣実際にいらっしゃって戻ってきてですね、どのようにお感じになられましたか。
(答) ご指摘のとおりです。ダイヤを見ていただければわかりますが、帰りがちょっと早いです。両方とも国内空港でございまして、本当に羽田空港も虹橋空港も立て込んでいるんです。従いまして、発着枠を今後どう工夫して確保していくかということになると思います。朝の行きは9時10分でいいのだけれども、帰りをできればもう少し夕刻の時間にならないかと。羽田に相当遅く着いても、都心に帰り着くことはできるわけですから、そこら辺の工夫がいるでしょう。8月の末に、9月29日に行おうではないかと言っていただいて、関係者にとっては準備も大変だったわけです。機材の調達や空港のターミナルビルも、走りながらこれを決めてきた経緯がございます。そういう意味でこれから改善していく方向としては、ご質問のような方向があると私は思っています。
   
(問) 民主党の藤井税制調査会長のインタビューがある新聞に載っていまして、道路特定財源の見直しに関しまして、自動車取得税と自動車重量税をゼロにすべきだと語っておりますけれども、これについて、ご所見、ご感想をお願いします。
(答) そういう減税は国民にとって喜ばしい面とその税収を持って道路を整備しているという事実があるわけです。毎日のように知事を筆頭に要請があります。ほとんどが道路整備です。重量税のうち譲与税が3,600億円、自動車取得税が4,900億円でこれらは地方分です。この二つが飛んでしまうと、8,500億円について地方の財源になんらかの手当をしなければいけなくなります。それとは別に国に5,500億円ですから、1兆4千億円という税収がなくなるわけです。藤井さんがおっしゃるとおりにすればそうなります。それをどうするのかということと併せて考えなければならないのではないかと思います。ただこれをどこかから無駄を削ってという規模ではありません。したがいまして、それをどうするのかということと併せて協議を重ねなければならない問題ではないかと思います。
   
(問) 先週の8月の住宅の住宅着工戸数の統計なんですが、6月の改正建築基準法の施行を受けて、かなり急激な落ち込みを提示しております。この件に関して、国交省側で新制度による落ち込みについて準備不足の指摘もあるのですが、大臣どのようにお考えでしょうか。
(答) 7月は対前年同月比で23.4%の減、8月は対前年同月比43.3%の減と本当に相当な落ち込みを示しています。ただ、木造2階建住宅等の小規模建物については、6月の3.7万件に対しまして、7月は2.6万件と落ち込みましたけれども、8月は3.5万件とほぼ従前に近い水準に戻りつつあります。その他の建築物につきましても、6月の2.1万件に対して7月は1万件弱と落ち込みましたけれども、全体の状況は徐々に回復しつつあります。これは先行の指標でもあります確認件数が戻りつつあるわけです。若干と言ったら申し訳ないけれども、新しい制度に対して不慣れな点があって、申請する建築士の側もそうですし、受付をする特定行政庁とか民間の確認検査機関といったところも不慣れなところがあり、そしてまたピアチェックがあるものですから、非常に緊張するというか、堅くなるというか、慎重になるようです。そこで6月29日から財団法人建築行政情報センターのホームページにおきまして、改正建築基準法の施行に関する一連の情報提供をワンストップサービスで行っております。これも前から申し上げていますが、Q&Aを作成し、7月18日から行っています。電話による相談窓口も9月18日から設置するなど、一生懸命対応しています。そしてまたそれに加えまして、都道府県単位で技術者を招きまして説明会を開催したり、あるいは相談窓口を10月上旬に設置する、あるいは全国各地で開催される研修会へのアドバイザーの派遣を10月中旬から開始するということで、きめ細かな情報提供等の取組みを強化・継続することによって確認手続きが遅延している状況を早急に取り戻したいと考えております。ご案内のとおりでして、今までの制度では、元請けの建築士が署名するだけで、その構造計算を誰がやったのかということが全然分からないという問題があったわけです。そういうものに関与した人は全て署名していただくとか、あるいはそれを事前に説明をすることで非常に責任が明確になります。これまでと違って責任が明確になった上、違反した場合の罰則も強化ということです。それから先ほども申しましたように、一定規模以上ですけれども、ピアチェックという形でもう一度審査し直すという部分もあります。そういうことがもう少しすれば慣れてくるであろうと思います。着工件数は経済指標として非常に重く見られている部分です。今年度の着工件数は百十何万件だったとか百二十万件だったとかですね。そういうものがぐっと落ち込むということは、非常に重大に受け止められるわけですが、今回の落ち込みというのは、確かに非常に大きいけれども、事務的な処理が不慣れであるが故に起こっている問題であると整理できると思います。
   
(問) 先程の民主党に対する姿勢なのですけれども、与党側が話し合いを重視するという姿勢はよくわかります。藤井税制調査会長が与党側との話し合いは一切するつもりはないと言われてますが、そのような民主党の姿勢をどのように感じていらっしゃるか、どのような姿勢で打開されていく必要があるかとお考えでしょうか。
(答) 国会論戦で処理をすればよいという話ですが、記者さんの方がよくおわかりかと思いますが、あそこで話し合って結論が出ると言うことはないと思います。結局は採決ということになります。これは、そのように拒絶するということを国民が支持するのか、あるいはこのような問題はもっと話し合って早く解決する方がいいのではないかという国民の意思が示されるかという問題につきるのであろうと思います。例えば、今のテロ特措法の問題につきましても、国際世論がどうかですし、あるいは法律そのものに安全保障理事会のテロ非難決議のことが書かれており、その決議は、各国はそれぞれの立場において、自主的・主体的にテロと戦うべきと安保理が満場一致で2001年9月12日に発出したものです。日本は決してアメリカに追従しているわけではなく、国連決議を受けて独自の判断で、やれることはやるということです。戦いの中へ自衛隊を放り込むということはできません。その場合にいわゆる後方地域でどんなことができるのかということを考えたときに、給油活動というものが、日の丸を掲げて多くの艦船に給油するということで、テロとの戦いの一部への積極的な参加になるということを国民によくわかっていただきたい。そして、周辺海域はタンカーが毎日日本に向かって原油が運んでいる道筋ですから、そのようなところの安全も確保できるということからやっているわけで、皆様の新聞における世論調査の結果を見ますと、このようなことがほぼ国民の皆様の間に浸透しつつあるように思います。そういうことであれば、我々としては、やはり政治家同士が国益を考えたときに、どのようにあるべきかという結論が出てくるのではないかと思います。税の問題に関しても、廃止したら喜ぶ人はいるかもしれませんが、道路を建設する財源が無くなると言われたら納得がいかないという世論は出てくるだろうと思います。地方の私に対する要請書の第1項は「道路特定財源を堅持して下さい」です。政治家として、そういう雰囲気をどう考えるかということであろうと思います。
 
   
(問) 現時点では民主党の方は、大臣がおっしゃる受益と負担の関係で言えば、負担を減らすことについてはよく言っていると思いますが、受益の部分をどうするかといったときによくわからないと思います。その辺はどのようにお考えですか。
(答) まさにそのことを申し上げたいのです。そのような協議をしたいわけです。藤井議員の地元も私のところへ、もの凄く道が細くてトンネルは対向車とすれ違いできないのでどうこうしてくれと要請がたくさんあります。その建設費をどうするのだといういう話です。
   
(問) 談合違約金の関係で伺いますが、会計検査院の調べによると、全国の自治体で数十億円の違約金を取っているということですが、大臣のご所感をお願いします。
(答) 損害賠償の予約をしていれば、しかも談合ということが認められれば、請求するのが当たり前です。今回のような指摘がなされ、地方もそれをやられることと思います。そして、その事業に国からの補助金が入っていれば、当然それは国に返還されるべきものですので、私どもも厳しく請求しなければならないと思います。損害金を受け取った部分にこちらに未入金のものがあれば、きっちり返していただきます。また、損害を請求する地位にあるにも拘わらず請求していないものについては、早急に手続きしていただきたいということを申し上げ、それが入金されれば、我々に支払ってほしいということになると思います。
   
(問) 住宅着工戸数の関係ですけれども、7月8月の落ち込みは予想していたレベルなのか、想定以上の落ち込みだったのかということ。電話での相談など、結局落ち込みを見てからの対応だと思うのですけれども、そのように後手に回った部分があったとはお考えにならないかということ。どれくらい経てば従前のレベルまで回復するかという見通し。3点お願いいたします。
(答) Q&Aは早くからやっていまして、これを掲載したのは7月18日です。これまでに、ホームページに222件に及ぶ詳しいQ&Aを、ほとんど定型的になっているのですけれども、早くからずっと掲載しています。落ち込みと予想の関係ですけれども、23パーセントから次は43パーセント、これは非常に大きいです。けれども、申請件数がどうなっているかというと、滞留しているわけですね。それを比較したときに、もちろんきちんと確認していくわけですが、いずれ戻っていく。先行指標が落ち込んでいるわけではなく、それは近い将来元に戻っていくと考えています。
   
(問) 検査機関の問題という感じですか。一番の原因がどこにあるかというと。
(答) 我々は姉歯元建築士の事件を受けて法改正しましたけれども、皆建築士の資格を持った人たちばかりですが、いろいろな方がいらっしゃって、構造計算とか設備とかそれぞれに得手がある。そういうものについて我々は一つの制度を作りました。資質を上げようということだろうと思います。申請する人も検査する人も両方です。適判員の数が東北など地方によっては少ないようですけれども、そういうところには中央から派遣をするとか、そういう手も打っているわけです。それが十分なのかどうかはありますが、地方ではボリュームの大きな建物がどんどん建つという事態ではありませんので、いずれ近いうちに回復すると思っています。
   

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