国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年10月19日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年10月19日)
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平成19年10月19日(金)
9:31〜9:47
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は一般案件が4件、国会提出案件が18件、と人事案件です。当省の関係では、一般案件が一件ございます。特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第5条第1項の規定に基づき、「特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件」の決定がございました。ご案内の通り、北朝鮮船籍の船舶の入港禁止の措置期間を20年4月13日までの6ヶ月間延長するということについてのものです。私から、少し長いのですが3点ご報告したいことがあります。1点目は、東京地区タクシーの運賃改定の問題です。2点目は、貸切バスの安全対策についてです。3点目は、大阪空港で発生した管制トラブルについてです。順次申し上げます。まず、昨日付けの物価問題に関する関係閣僚会議において、東京地区タクシーの運賃改定についてご了承をいただきましたので、本日、運賃改定に係る上限運賃の公示を行うこととなりました。改定率は7.2%、上限の初乗運賃は2kmが660円を710円に改定します。改定内容等の詳細については後ほど資料を配付し、担当部局より説明させていただきます。今回の運賃の改定は、運転者の労働条件改善を主な目的とするものです。事業者等におかれましては、確実にその実現に取り組んでいただくことを求めたいと思います。また、一定期間経過後、その実績を利用者に明確に示すことにより、利用者の理解を得られるように強く要請します。本件についての私からのコメントにつきましては、お手元に「談話」を配付させていただいておりますので、そちらをご参照いただければ幸いです。2番目の、今年2月の大阪府吹田市でのあずみの観光バス重大事故を契機に、貸切バスの安全対策につきまして、6月から関係業界等の実務者を中心とする検討会において協議を進めてきましたが、本日報告書をとりまとめました。報告書の詳細については、後ほど担当部局よりご説明させていただきますが、例えば、貸切バス事業者の評価制度の検討、貸切バス業界と旅行業界の連携の強化等が盛り込まれています。今回の報告書に盛り込まれた各施策については、関係者が早急に取り組んでいただくとともに、国土交通省としても、貸切バスの安全性の確保に向けて、強力に取組みを進めていきたいと決意しています。3番目の大阪空港で発生した管制トラブルですが、9月6日及び10月5日にそのようなことが起こりましたので、タスクフォースを大阪空港事務所に派遣いたしまして検討させておりましたが、中間報告として管制官とパイロットとの間の交信の確認を徹底することや使用滑走路に関しまして交信する際に使用する用語を改善をすること等、今後改善すべき対策等を取りまとめました。これも後ほど詳細について調査検討をタスクフォースから説明申し上げたいと思います。本件のようないわゆるヒヤリハットの事例でも一歩間違えば大惨事となる要因を含んでおりますので、きちんと教訓を得ることにより、将来のトラブルの未然防止や業務の改善につなげてまいりたいという考えでおります。ご理解をいただきたいと思います。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) タクシーの運賃の改定なのですが、総括原価方式の見直しが争点になっていたと思うのですが、その点はどうなったかお教えいただけますでしょうか。
(答) 今後そういうものについても、鋭意検討を進めていただきたいということであります。今回の運賃そのものに絡めてではありませんけれども、本質的な問題としてそういう点も論点になりましたので、十分に業界で検討をしていただきたいし、我々としても検討したいと思います。
   
(問) 平塚市のエスカレーターの問題に関して伺いたいのですが、利用者の利用の仕方というのも大きな問題があると思うのですが、平成12年に建築基準法に保護板の設置などが義務付けられて以降も重大な事故が相次いでいると思うのですが、こうしたことが新たな対策等を進めていかなくてはいけないのではないかという声もあると思うのですが、大臣のご所感はいかがでしょうか。
(答) 今回の問題は我々の示した基準を勘違いされているのではないかとも思われますので、そういったものを設置している各事業者に対して注意を喚起しているところですけれども、事故を防止するために吊した板が本来は手すりよりも20センチ下まで設置していただくことになっていたのですが、それがそうではなかったということで、それがそのとおりに作られておれば、そういうことにはならなかったかもしれないというように思いますので、まずはその我々の基準に従ってやって欲しいと。そういうものについて調査をし、そして事業者がもし間違っていれば直して欲しいということであります。それ以上は例えば緊急停止装置とかですね、そういう問題については、非常に良い面もあるけれども、反面将棋倒しになってより大きな事故を起こす可能性もありますので、そこのところは十分検討しなくてはならないと思います。現在のところは我々が示した基準に従って設置されているかどうか、もしされてなければ改善して欲しいということで処理をしたいと思います。
   
(問) タクシーの値上げのことで教えてください。結局、大臣は先程7.2%とおっしゃいましたけれども、業者の申請の一番下の数値だと思いますけれども、そこに落ち着いた経緯とか、ねらいみたいなものがあればお話いただけますでしょうか。
(答) 一番大きいのは、申請理由の中にも書かれているように、運転者の収入所得が一般の労働者に比べて低い数字になってしまっています。これを改善しようと。それ以外には、燃料が22%も上がっています。そういうものを考え、経営あるいは労働契約の内容等、本質的な問題も含みますけれども、そういうものをよく検討して、7.2%というところに収歛しました。一番多いのが18%を超えるような申請ですけれども、物価問題に関する閣僚会議等の議論も踏まえ、今みたいな問題点も併せて考えて、落ち着いたところがそういうところです。
   
(問) タクシーですけれども、利用者にとってみれば、また懐が痛むといいますか、お年寄りなど初乗りで近くの病院に行こうとしてタクシーを使っている方なんかは、非常に大きな負担になる気がするのですが、今回の値上げについて利用者の理解が得られるとお考えでしょうか。
(答) 今のお話のとおり心配な点もありますけれども、12年間上がっていないんです。何回も申し上げていますが、運転者の所得が非常に低下してしまっています。家庭を持った人が、大黒柱の仕事としてはできない水準まで落ちてしまっています。奥様の所得とか自分の年金とかある人でないと運転者ができないような賃金の水準に落ちてしまっていることは、安全性とか乗客の利便性の確保とかいろいろな面で不安があります。そういう意味で今回の値上げは、随分議論もありまして、また、皆様の報道もありまして、私は理解していただけるのではないかと思います。一律に710円にしなければならないわけではありませんので、そこから1割下がったところまでの間で各事業者が申請される運賃を我々が自動的に認可する。それより下になれば、個別に理由をきちっと説明して我々に申請していただくことになりますけれども、東京では今までの経験では無いようでありますので、その間の範囲で収まってその後は事業者の工夫によってやっていただくことになります。理解は得られると私は思っています。
   
(問) タクシー会社の場合、どこもだいたい似たようなサービスで、せっかく規制緩和で競争が厳しくなって、その分サービスなどが改善するというのが規制緩和の趣旨であった気もするのですが、これまでサービスの工夫を業界として利用者の理解が得られるほどやってこなかったのではないかと思いますが、今後どういうことを期待するかも含めて、これまでと今後につきましてお願いします。
(答) 業界自身としてはいろいろなサービスでお客さんとトラブルを避けるとか、いろいろな面で乗車場所において整理をするとか、いろいろ工夫をしていただいておりますし、ご指導もしていただいています。申請から見れば値上げが十分でありませんが、私はぜひ運転手の人たちが若干でも一般の労働者に近づくようにとの思いでやっておりますので、業界もそれをご理解いただいていると思いますし、一層のサービス向上につなげてほしいと思います。従来から一生懸命やっていただいていると思います。
 
(問) タクシーの値上げについてですが、閣僚会議で了承を得るにあたって、こういうことを検討してくれなどの要請はあったのでしょうか。
(答) 先ほど話があったように、私は労使間の契約内容であり、タクシーの経営が他の会社の経営と違いまして、タクシーに乗って運転者が外へ出てしまえば、あとは使用者の具体的な指揮監督が及びにくいというものです。ですから労働者が仕事をサボタージュしてもわからないですよね。しかしそれについては長い間の知恵かどうかわかりませんが、歩合給が大層を占めていまして、売上げに比例して、売上げが上がれば実入りもいいというような形がとられています。それも極端に進んで、何か自動車をリースにするようなリース料だけを納めて、あと取ってもいいとかですね、いわばお客さんと運転者にリスクを負担してもらうような経営形態だといけないと思います。そういう契約の内容についても踏み込んで改善できるように、というようなお話は頂戴しています。
   
(問) 談話の最後に書いてある「検討を進めていく」という中には、当然入ってくる理解でよろしいでしょうか。
(答) 当然そうです。
   
(問) 12年間上がっていないのは、消費税が上がったことに伴って自動的に上がったものを除けば、との理解でよろしいでしょうか。
(答) そうです。
   

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