国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年11月2日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年11月2日)
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平成19年11月2日(金)
8:52〜9:10
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は国会提出案件が19件、政令の決定が4件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。私から1点報告があります。アジア・ゲートウェイ構想において、地方空港においては、アジア各国との自由化交渉を進め、外国航空会社の乗入れを実質的に届出化するという方針を決めました。これに基づいて、韓国など各国と自由化交渉を進めていますが、今後は、交渉妥結前でも、相手国企業から具体的な要望があれば、暫定的に外国航空会社の地方空港への乗り入れを認めることとし、本日、その旨を航空局より外国航空会社に通知することとしております。これにより、地方空港の国際線が充実し、アジア各国との交流促進や観光振興が進むことを期待しております。後ほど事務方から説明させます。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 先日発表された9月の新設住宅着工戸数なのですが、また過去最大の下げ幅になりました。これについてのご所見と、今いろいろ周知徹底策とか対策取られていますけど、今後、追加して何か対策を取られるお考えがあれば教えてください。
(答) 新たに導入されました構造計算適合性判定制度につきましては、申請件数、判定件数とも、大幅に増加してきています。一時的に停滞していた手続きが、9月になって動き始めたのではないかと考えています。10月の4週まででも、相当顕著に増えています。国土交通省としましては、実務者向けに配布するリーフレットを30万部用意してお渡しするとか、大臣認定書の写しの添付や計画変更に係る確認を要しない軽微な変更に関する取扱い等の適用面の改善を省令改正等で明確化していくという新たな取組を行うこととして、10月30日に公表したところです。いずれにしても、建築確認手続きが大幅に遅延している状況は、早急に改善すべきものと認識していますので、実務の現場に即したきめ細やかな情報提供を始め、建築確認手続きの円滑化に向けて、全力で取り組んでいきたいと思っています。
   
(問) 建材メーカーのニチアスが耐火材の性能を偽装していたということがありましたけど、これについてのご所見と、耐火性能の試験方法について、改善など何らかの見直しを考えられていることがございましたら教えてください。
(答) ニチアス株式会社は相当の大手ですが、軒裏の準耐火性能試験において、軒裏というのは一番火が回りやすいところですが、その試験結果に有利になるような含水率の高い繊維混入けい酸カルシウム板等を用いた不正な試験体を使用して、大臣認定を受けていた建材が20件あったということが判明しました。その報告が10月17日にニチアスから国土交通省にあったわけです。今回の事案は国民の生命・財産等を保護することを目的とした建築基準法における大臣認定制度の信頼性を傷つけた誠に遺憾なことであると思っています。国土交通省としては、10月30日付けで20件の大臣認定のうち16件について認定を取り消しました。また、ニチアスに対しては認定取消しの建材を使用した建築物を特定し、張替え等の改善策を講じること、並びにそのような不正が生じた原因究明、再発防止策を10月30日に書面で指示したところです。なお、残りの4件につきましては、ニチアス株式会社の自社試験で必要な性能が確認されたという報告を聞いていますので、改めてその4件については性能評価機関で性能確認のための試験を行った上で、その結果を踏まえ必要な措置を講じたいと思っています。不正受験を行ったわけですが、この再発防止策につきましては、国土交通省として今後検討していくこととしています。なお、その中で試験方法の見直しも含めた措置も考えていく必要があると思っています。
   
(問) ニチアスの件なのですが、刑事告発というのは国交省として検討されているのでしょうか。
(答) 事案がわかれば事案に従って告発をすることが公務員の義務になっています。罪名は何かということを考えると、大臣認定の条件を満たした製品だと言って、それを信用させてその性能が十分でないものを売りつけ、代金を貰ったということですので、その製品を買った人に対して詐欺罪が成立すると思います。したがってそれは財産罪ですから、そのような被害を受けた人に告訴をする権利があり、それはその人が告訴するかどうかということにかかります。それ以外に、そういう事実が明らかになったということで、我々公務員ですから、告発をするかどうかということを関係の法務省や警察庁と検討して、今後どうするか決めていかなければならないと思っています。
   
(問) 今、おっしゃった詐欺罪ということで言いますと、被害者というのはハウスメーカーという認識ですか。
(答) そうですね、買った人です。ニチアスから不十分な製品を十分なものだと思って買わされた人、代金をニチアスに払った人、その人が被害者です。
   
(問) 国民の感情としても、なんらかの形で認定の取消し以上の処罰がニチアスに及ぶことが期待されていると思いますが、その意味でハウスメーカーサイドにそういった告訴なり、被害感情をはっきり打ち出すべきだというお考えでしょうか。
(答) 告訴をするかどうかということは、被害者が判断することですから、それに対し、我々がサジェスチョンするということではないと思います。ただ、我々として、そういう犯罪事実を認知したということになれば、告訴ではなく告発という手続きをするかどうかを関係の部署と相談していくというのが、現在の立場です。
   
(問) 国土交通省は、ニチアスの隠蔽工作について、会長、社長、専務の3名が隠蔽し、事実を把握しながら売り続けていたということも把握されていますけれども、告発の段階で会社とともに、隠蔽をした社長などの役員に対しても、告発の作業をするのでしょうか。
(答) 告発するとはまだ決めていませんので。告訴不可分の原則ということで、関係者の一人を告訴すれば、捜査機関はその関係者全員が告訴されたものとして扱うことができるので、いちいちこの人がどうだとかいうことで告発する必要がないという仕組みにはなっています。しかし、政治的にどうするかということは別の問題ですので、今後の検討課題でしょう。
   
(問) 住宅着工なのですが、7月、8月、9月とこれだけ落ち込みが激しいと、7−9月期のGDPに与える影響はかなり大きいと思いますが、ここまで落ち込みが続いて、なお拡大しているということについて、国土交通省の責任という意味ではどうお考えでしょうか。
(答) それを回復することが責任だと思います。今、一生懸命やっています。国民の安全安心を守るためには、こういう改正もやむを得なかったと思いますし、それなりの有益な改正だったと思います。ただ、それが十分に習熟をしていないとか、過大に反応したとか、罰則もつきました。そして、特に遅れているのはたくさんの事例を出したところが多いわけでして、地域によってもばらつきがあります。したがって遅れているところには集中的に、過大な反応をしないよう指導していかなければならないと思います。全体的に遅れたということについては、本当に大きな影響が出ていると思いますので、一日も早く取り戻さなければならないと思います。しかしこのような耐震性能のない物件が出回るということは絶対に許されないことでございますので、我々も一生懸命やりますので、国民の皆様方にもご理解を賜りたいと思います。
   
(問) ニチアスの件ですけれども、法務省及び警察庁と相談というか、話し合うとおっしゃったのですが、これは既に始まっているのでしょうか。
(答) それはまだどういうことかということは、事案の性質上、あまり言うべきことではないと思います。私は詐欺罪が成立すると確定的に言いましたけれども、そういう問題につきましても専門に扱っているところと相談しなければなりません。
   
(問) 住宅着工に関連しまして、今後の見通しについて以前は年内には回復と示されていましたが。
(答) そうですね。そうありたいと思ってます。ピアチェックについては非常に改善がはっきりしております。新しく導入したピアチェックについては、6月は0件、10日しかありませんから0件です。7月が1件、8月が52件、9月が208件、10月の第4週26日までが704件と非常に伸びています。ピアチェックを受けて最終的に確認が終わったということで着工となるわけですから、今後そういうペースで、9月が208件、10月も第4週までの参考値が704件ということですから、私としてはこれからも増えていくだろうと思っています。
   
(問) ニチアスの関連なのですが、検査機関の試験方法の見直しを含めて検討したいという話をされましたけれど、今後どうなるかだと思うのですが、大臣は具体的にどのようにこの制度を変えていくべきというお考えをお持ちでしょうか。
(答) ニチアスがどのような方法で合格させたのか調べ、今のやり方ではそのようなことを許してしまったわけですから、そのようなことが起こらないようなものを考え、採用するという改善をしなければならないだろうと思います。
   
(問) どちらかというと、今は性善説に立ったチェックの仕方と言われていますけれど、今後はやはりこのような手口で持ってくる会社もあるという見方でチェックをしていかなければならないということでしょうか。
(答) 悲しいけれど、そうですね。このようなことが起こるとは考えられないです。そこまで予測して大臣認定しなければならないのは非常に悲しいことだけれど、このようなことが起こった以上は、そのようなことも配慮してやらなければならないと。本当にとんでもない話ですけれども、そうですね。火事を見たことはありますか。私は何度も見たことがあります。最初に軒裏から煙がすっと出て、わっと火が走るんですよ。そのような場所だから耐火材を使用しているのに、それが燃えるようなものを作って売るなんて、とんでもない会社だと思います。ですから、そのようなことを十分に認識して大臣認定をしているわけで、それに合格したものが不十分だったのは大変遺憾です。したがいまして、二度とこのようなことが起こらないような検査方法を考えていかなければならないと思います。
   
(問) 一点だけ確認なのですが、ニチアスについては、ハウスメーカーが詐欺罪で告訴するのが一番あり得べき、わかりやすい姿だと思うのですが、省として告発することは、理屈としてあり得るのでしょうか。
(答) 先ほども言ったとおりです。法律的にはあり得るということです。
   
(問) 心情的な話なのでしょうが、ニチアスの社長、会長はそれを認識した上でこのようなことをやっていたということで、責任の取り方といいますか、その辺はどうすべきとお考えですか。
(答) これは本人の判断でしょう。皆さんの批判を受けて、あの方たちがどう判断されるかだと思います。私は今ここでそこまで言うことは差し控えた方が良いと思います。その結果起こり得ることを考えたときにどう判断されるのか、それは本人によく考えていただかなければならないし、皆さんもそれに対する意見とか批判とか報道されることだと思います。
   

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