国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年11月20日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年11月20日)
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平成19年11月20日(火)
9:32〜9:58
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は一般案件が2件、国会提出案件が13件、条約の公布が2件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。私から一点ご報告がございます。タクシー事業につきましては、著しく供給過剰な地域について、道路運送法に基づき、国土交通大臣が「緊急調整地域」に指定し、新規参入や増車を禁止する措置を講ずることができることとされていますが、今般、指定の基準を一部見直した上で、宮城県の仙台市を緊急調整地域に指定することとしました。仙台市については、車両数が規制緩和後50%近く増加する一方で、営業収入は減少傾向を示しているほか、事故の発生件数は全国平均と比較して高い傾向となっていますので、私としては、緊急調整地域の指定はやむを得ないものと考えています。一方、安易な増車が運転者の労働条件の悪化を招いているという指摘を踏まえ、緊急調整地域の指定に至る事態を未然に防止するための運用上の措置である「特別監視地域」等の指定制度を見直し、増車等に際して事業者に労働条件等に関する報告を求めるなど、運転者の労働条件の悪化や不適切な事業運営の下で行われる供給の拡大について、事業者の慎重な判断を促すための新たな措置を試行的に導入することとしました。具体的には後ほど資料を配付し、担当部局より説明させていただきます。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 今のタクシーの関連ですが、いろいろ規制緩和が進められてきて政府全体としても規制緩和の路線を進めてきたのですけれども、今回の措置によって規制を強化すると、規制改革路線に一部逆行するのではないかという見方もあると思うのですが、それについてご所感をお願いします。
(答) 決してそうではありません。規制緩和という大きな流れに逆行する措置を取ろうとしているわけではありません。これは規制緩和をしたときに、法律の中に組み込まれていた「緊急調整地域」、いわゆる行き過ぎたものについて規制緩和の大きな流れの中でそれをチェックすることができるという規定が当初から組み込まれていたわけです。したがいまして、これを慎重に適用しようというのが今回の措置でして、仙台では規制緩和以前2千台であったものが千台増えまして、合計3千台になったということです。仙台の過当な供給過剰状況は、この規制緩和の大きな流れの中においても、若干見直す必要があるという判断をしたわけです。
   
(問) 建材の耐火性能偽装の関連なのですが、防耐火材全ての大臣認定について不正取得があったかどうかを調べ始めましたけれども、業者からの報告が基本となっていますが、これによって大臣認定制度の信頼性が保てるかどうかということについてご所見をお願いします。
(答) 大臣認定対象件数が約1万4千件弱あります。早急に国がこの全部を主導的にやろうとすれば、長年月と巨大な費用がかかります。したがいまして、当面、自主的に検査し、そしてその結果を早急に報告して欲しいということをしたわけです。ただ、それだけではおっしゃるような心配がありますので、抜打ち的にサンプルをその中から国が採って、すなわち報告が正確であるかどうかについてもきちっと検証していきますよということを含めて、皆さんに自主的に報告して欲しいと申し上げているわけです。私は一番早くこういう問題を処理する方法として、こういう方法の方が良いのではないかということで今回の措置を執っていまして、これによって大臣認定の信頼性が毀損されるとは思っていません。そうではないように努力していきたいと思います。
   
(問) 先日の大阪市長選で、自民党と公明党が推薦なさった現職の方を民主党と国民新党が推薦した新人の方が破られて当選なさいましたが、そのご所感をお願いします。
(答) 私は関さんの応援にも急遽駆けつけました。それは、関さん自身のこれまでの大阪市政に対する取組を高く評価していましたので、関さんにもう1期やっていただいて、なんとか所期の成果を上げて欲しいという思いで駆けつけたわけです。私が評価したことは、関さんは当選されたときに4年間で職員の数を7千人減らしますと、それから行政経費も削減しますと約束していたのですね。それから2年間過ぎて4千5百人の削減に成功しています。ご案内だと思いますが、大阪市の労働組合は大変強く、いろいろな指摘をされたところでありまして、その中にあって目標値の半分以上を達成されました。そして関さんは、今回の選挙では当初7千人と言っていたのを3千人追加して1万人削減するとおっしゃって、そのうち4千5百人は既にできました、残り5千5百人は必ずやりますというのが今回の公約だったのです。それが一つと、この間に1200億円の行政経費を削減したということです。それから15年ぶりに市債残高を減額にした。こういう計数上明らかな成果がありまして、それに対してスタンダード・アンド・プアーズというアメリカの有名な格付会社が、大阪市について東京や横浜と同じ21段階の上から4番目という評価をつけました。今まで大阪市は日本の格付けでは最低だったのです。ところがアメリカの著名な格付会社が高い評価を与えた。また、別のもう1社も、これも非常に有名な会社ですが、上から3番目と相次いで高い評価したということで、関係者が大変びっくりするくらいの成果なのです。私はこれを是非続けていただいて、大阪市の復権、復興になんとしても取り組んで欲しいという思いで応援に駆けつけたわけですが、選挙は残念な結果になりました。新しい平松市長においてもこの改革は後戻りはしてもらいたくないという思いです。平松市長については労働組合の強い支持等で当選しておられますけれども、大阪市のために、商都大阪、大阪復権という意味でがんばって欲しいと思っています。
   
(問) それだけ確かな実績を持っていられる方が破れたということは、逆に国政で先の参院選以来、政治と金の問題、年金の問題等があり、今も防衛省を巡ってスキャンダルめいた話が延々と続いていますが、国政への影響が大きかったという考えはございますか。
(答) 私自身それが全く影響ないとは言えませんけれども、ただ、大阪市といえども、たくさんある地方の選挙ですので、それが国政レベルにどのように影響するかということについては、私ははっきりとは分かりません。
   
(問) 大臣への質問としては適切ではないかもしれませんが、公明党の牙城といわれる近畿、それも大阪でこのような結果になるということも含めて、やはり与党に対する批判と言いますか、世論の声は厳しいということはありますか。
(答) 公明党は90%近くの支持者が関さんに理解を示して投票していると思います。しかし、友党である自由民主党については、いろいろな考えの方がたくさんいますので、それぞれの考えで投票し、公明党ほどの得票率にはならなかったというのが新聞報道です。私はそれで良いのではないかと思います。公明党の人で支持した人から見れば、けしからんという考えになると思いますけれども、やはり政治というのは、いろいろな考えがそこに寄り集まってするわけでして、公明党のように、我々の言うことを理解して協力をしてくださるというような強固な支持を組織的に作るというのは大変困難な作業なのだろうと思います。負けたことは残念ですし、今後もやろうと言った以上は、その目的に向かって本当に一致結束してやっていただきたいけれども、なかなかそこまで自由民主党の組織は、そう一律にはいかない組織なのかなという感じはします。そういう中で、信頼関係を強めながら、国家・国民のために結束してやっていきましょうというのが我々の立場です。
   
(問) ゼネコンの竹中工務店が港区に作っているマンションで、市川市と似たケースなのですが、はりの鉄筋を間違えて取り付けるという施工ミスがありました。大手ゼネコンでこういう施工ミスが続いていることについての所感をお願いします。
(答) 注意深くやっていただきたいという強い思いがありますが、今回は幸いにして、工事監理の方で、施工上、設計図と違うことが行われたことを見つけたということは救いだったと思います。それに基づいて、これを修復するためにその部分を取り壊してもう一度やり直すというわけですから、そういうことをきちんとやるということになれば、我々が期待していたとおりの形です。間違えたということは非常に重要な問題ですけれども、間違いに早く気が付いてそれを修復するということは、私どもが仕組みとして期待しているとおりに行われています。こういうことは起こらないにこしたことはないですけれども、起こった場合には、きちんとやっていただくということは、私はそうあるべきだったろうと思います。
   
(問) 竹中工務店から国土交通省への報告はあったのですか。
(答) 見つかった時に住宅局にそのとおりに行われて、今報道されているような形で、早急に修復しますという報告も受けています。
   
(問) タクシーの件なのですが、先程の大臣のご発言は緊急措置について昔からそういう制度があったからとおっしゃっていましたが、一部後半の方で述べられた特別監視地域については、部分的に何か運用を見直されるということなのでしょうか。見直しについては、やはりこれまでの規制緩和の流れから考えると、参入について厳格化するという方針に転換するということなのでしょうか。
(答) 転換とまでは言いませんけれども、勧告というか、お願いです。それは増車する際に、安易に増車することによって労働条件が下がらないように、そこのところを念頭に置いて、増車する際にはどれだけの売上げで、運転者にはどのように利益を配当するのかということを我々の方で調査させていただき、申告していただくというのが一つ。そしてそれが、我々が考えてこれはちょっと実行するのは難しいのではないかという場合には、減車することを勧告させていただくということです。これも強制力はありません。事実上そういう運用をしていきたいと思っています。そうすることによっていたずらにどんどんタクシーが増えることがないようにします。増えるのはいいのでしょうが、増えることによって運転者の所得が全国平均から著しく乖離するという状況です。そういうことが起らないように何とかしたいし、こういうことが続いていくと仙台の二の舞になるわけです。仙台のように法律上の権限を行使しなくてはならなくなります。そういう恐れがある地域について、それも限定をした6地域をそのようにしますということですから、私は決して規制緩和の流れを変えるとか、止めるとか、いわんや逆戻りするとか、そういうことは一切考えておりません。
   
(問) 耐火性能の偽装の問題ですが、先程おっしゃった抜打ち的なサンプル調査ですけれども、現時点での試算では2億円位費用がかかってしまう見込みがあるようですが、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
(答) 今検討させていただいています。これは受益者に全部負担してもらうといっても約1万4千件もあります。私はほとんどはごまかしたりしているところはないと思っています。そういった一部の人がやったことに対して、いたずらに全ての人達に費用を負担させるというのは不公平な感じがします。ただ、かといって公費でやるとなると、いろいろなところと相談し、承諾もいただかないといけませんので、今検討を進めているところです。そういうことで今日はご勘弁いただきたいと思います。
   
(問) 今と同じような費用負担のお話ですが、先週、国直轄のダムの水門設備の関係で非破壊試験技術者資格証明書が偽造されていたケースがあったと公表されました。これに関して緊急調査を行っていると思うのですが、こういったケースの費用負担というのはどうなるのでしょうか。
(答) 特定した者の偽造で増えたということになれば、当然その人にやってもらわなくてはいけないでしょう。ですが、それが一般的にそうではないかということで今回の約1万4千件の人に対して平等に負担しろというのはおかしな話だと思います。そこを悩んでいるわけです。ですからニチアスでいろいろ細工をして本来大臣認定を受けられないものを受けたということが明らかになれば、これはいくらかかろうとニチアスに負担をしてもらうのは当たり前の話です。水門の問題についても今調査をしていますけれども事態が明らかになれば、それはやった人が負担をしてもらうというのは当然の話です。しかしそういうことがあるから他にもあるのではないかということで、一般的にこれを広げて1万4千件に及ぶ人達についてまで調査等を行ったり、それをもう一度検証したりした場合にかかる費用を、誰が負担するかは別問題だと思います。
   
(問) 首都圏のマンションの販売の落ち込みが続き、14年ぶりの低水準といわれていますが、原因について大臣はどのような要因があるとお考えですか。
(答) よく分からないところもありますが、これは便利な良いところでは地価が上がって、マンション一戸当たりの値段も高いという問題が一つあると思います。今回の建築基準法の改正その他で確認、ダブルチェックなどに時間がかかり着工が激減したというのはご案内のとおりですが、そのようなことも関係しているのかもしれません。
   
(問) 関西のウトロ地区についてですが、韓国政府も支援を検討しているということです。本日、京都府から陳情に来ると思いますが、ざっくばらんとしたご所感をいただけますでしょうか。
(答) 戦中、昭和16、17年頃、国家総動員法や徴用令で大阪伊丹空港を軍用空港にするために拡げるときに、中村地区にそのような人たちをたくさん徴用し、作業に従事させました。中村地区に飯場を作り、その人たちに住んでいただいきました。それが今日まで解決できなかったという事例があります。ウトロも全く同じことです。京都に飛行場を作るために来てもらいました。現実には作れなかったのですが。ウトロ地域にそのような人たちの飯場を作り、住んでもらいました。このようなことが戦後そのままになっていて、今日まで来ています。ウトロについては、土地の所有権を巡り裁判でずっと争いがあり、つい最近最高裁で所有権が確定しました。その上に住んでいる人たちは家屋収去、土地明渡しの強制執行を受ける可能性があるという状況になりました。私は、公権力によって連れてこられたような人たちに定住の土地として与えられた土地について、そのようなことが起こるのであれば、我々が解決しなければならないと思いました。みんなで力を合わせて解決していくべき事案ではないかと思います。中村地区はこのような地でしたので、空港騒音対策ということで地域としての措置を取り、市営住宅等を建て、そこに居住するということとになりました。中村地区の方は大変喜んでいます。ウトロの方もそれを見て、「我々としてもそうして欲しい。」と強く望んでいらっしゃることから、今、京都府、宇治市、そして国がどう対応していくか協議を重ねています。ただ、土地の所有権については私所有になったので、韓国政府が国会の決議を経て、相当なお金を出し、半分を買い取るに足りるか少し足りないかぐらいのお金を拠出してくれることになりました。急遽そのような土地に公営住宅を建て、ウトロの人たちが居住することができるのではないかと関係者が努力しているのが現状です。
   

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