国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年1月8日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年1月8日)
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平成20年1月8日(火)
9:57〜10:26
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。本日の閣議は、一般案件が1件、政令の決定が1件と人事案件です。当省に関係するものは特にありません。私から2点、ご報告したいことがあります。まず1点目として、本日から国土交通省の英語による表記に「トゥーリズム(Tourism)」を加えることとさせていただきました。後ろのボードと前の演台にも入りました。これまで、私も観光行政等で外国を8回訪問させていただいていますが、観光行政は諸外国への積極的な対応を行う機会が非常に多いにもかかわらず、国土交通省の英語名称に「トゥーリズム(Tourism)」が含まれておりませんでした。今般観光庁の創設が政府レベルで認められたことを契機として、この機会に名称を改めることとしたものです。次に、構造計算プログラムについてご報告します。構造計算プログラムについては、残念ながら完成に至っておらず、大臣認定が遅れています。しかし、実務界から1日も早い大臣認定プログラムの完成が求められていることから、国が特例的・主体的に関与して、次の措置を講じたいと思います。一つ目に、1月21日に、先行して開発している株式会社NTTデータの構造計算プログラムの仮認定を行い、試行利用を開始します。試行利用に当たっては、NTTデータとプログラムの利用が見込まれる建設会社・設計事務所及び指定確認検査機関・構造計算適合性判定機関によるコンソーシアム(協議会)を設置し、ソフトウェアの不具合の確認(バグチェック)などを行い、構造計算プログラムの開発を促進します。二番目に、今後行われる正式な認定後、速やかに大臣認定構造計算プログラムの利用を開始できるよう、コンソーシアムでは、全国の設計事務所等に対してプログラム利用に関する研修会を実施します。これらの取り組みについて、NTTデータを始め関係者には一層のご尽力をお願いしたところであり、国土交通省としましても、プログラムの開発と普及の促進に最大限の協力をしていきたいと思います。詳細については、後ほど住宅局から説明させます。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 道路特定財源である揮発油税などの暫定税率を延長する特措法についてなのですが、政府・与党が、昨日、予算案よりも先行して処理することを見送る方針を確認しました。民主党についても、暫定税率については対決姿勢を崩していないので、3月末までに成立できないと地方の予算にも影響するような状態に陥るのですが、これについての大臣のご所感をお願いいたします。
(答) 今、お話がありましたように、もしこれが3月末日までに成立しないということを想定すると、財政がものすごく厳しい中で、国レベルでは1兆7千億円の減収が生じます。それから、県、市町村では9千億円の減収が生ずるわけです。これをどのように対処するかということです。それから、私どもは中期計画で示した真に必要な道路整備を行っていくわけですが、これは高速道路を造るだけではなく、例えば開かずの踏切を解消していこうとか、あるいは学童が1日40人以上通学に利用している道の中で歩車道の区別がない危険な道が4万4千kmもあり、これを1日も早く解消したい、これにも道路財源を使っているわけです。もちろん、高速道路料金の引下げなど社会実験をやっていますが、こういうものについても相当大きな予算をここからあてにして引下げをしようと考えていまして、2兆6千億円の減収になれば、これをどうしようと本当に思い悩みます。もし、暫定税率を全部廃止して、本税は一般財源にするということになってしまったとすると、私どもが今、道路整備をあちらこちら国の直轄などでやっていますが、こういうものが止まります。整備できなくなりますから、そのうちどれを造らなくするのか、どうするのかと大混乱が生ずると私は思います。したがいまして、私の立場としては、与党、野党が協議して、国民のご意志も伺いながら、なんとしても3月で切れてしまうようなことにならないように是非お願いしたい。政府・与党で決めたのは、奇策は用いない、要するに予算の審議に先立って1月中にこれを衆議院で可決して参議院に送るという奇策は使わないということを合意されたのだろうと思います。けれども、これから審議が始まり、3月末まで十分日がありますから、そこで、私が今述べたようなことで国民のご同意を得たいと思います。今、ガソリンが非常に高騰して国民生活を圧迫し、1円でも安くして欲しいということが国民の願いであり、それはよく分かります。しかし、それは物価の問題でして、物価はその時期によって上下します。しかしながら、道路を今後どう整備していくかというのは国家百年の計です。これから概ね10年間で1万4千kmの自動車道路を整備することは国際競争力を強化する上において重要です。また、地方の再生・活性化というのは大きな内閣の使命でもあり、与野党通じて格差をなくそうということが言われている中で、道路整備がそういうものの解消において占める地位というのは非常に大きいのです。私が1年3ヶ月この地位にあって、連日、地方からこの道路を早く整備して欲しいと特定しておっしゃっています。そういうことを考えるときに、私はそのような国民の願いは必ず国会の審議に通じるだろうと、通じなければならないと私は思います。したがって、年度内の成立は必ずなされるだろうと私は思います。
   
(問) 年末に整備新幹線の政府・与党検討委員会の下にワーキンググループが設置されました。ワーキンググループは1月中に初会合を開くということですが、初会合の開催日時及びスケジュールがありましたら教えて下さい。
(答) 1月中の開催は予定しておりますが、具体的な日程等は調整中でまだ決まっていません。また、その中で検討すべき案件は、言うまでもなく未着工部分を着工するための新規財源をどのように求めていくかが焦点になると思います。これについてはあらゆる案を検討していく必要があると思いますが、残念ながら現時点では利害関係者もたくさんありまして、全く調整してない中で、その方向を私が述べることは適当ではないと思います。しかしながら1月中に開催を予定しているワーキンググループでは、そういうことが具体的に検討されるだろうと思います。
   
(問) 構造計算プログラムですが、大臣がおっしゃったように仮認定というのは特例的な措置だと思います。その他、いろいろな建材などを通じてもこういった措置をとったということはないのではないかと思いますが、このようなことをやるのはなぜでしょうか。また、NTTデータだけをそのようにするというのはなぜでしょうか。
(答) 6月20日に法を施行しました。構造計算というものは大変複雑で、しかもそれをダブルでチェックすると、一定の規模以上の建物ですが、構造計算書は私も見ましたが、床面積1万u程でもすごい構造計算で、見たら全部数字です。そういうものを作る、またこれを再審査する、2回チェックされるわけですから、審査する人たちにとっていちいち計算し直していたら大変なことだと思います。そういうことから、今まで訓示規定でありますが、21日で申請から確認を下ろすとしていました。それを70日まで延ばしたというのは、そのような複雑な作業が予想され何回も行う手間を考えたときに、それぐらいの時間が必要であろうということからそうしたわけです。その時に武器になるのが我々が想定していた大臣認定プログラムでありまして、これをきちっと使ったということが明らかにされれば、その部分についてのチェック作業は大幅に減少する、半分程でできるのではないかと言われて期待しています。これはもちろん社会資本整備審議会の建築分科会等にお諮りし、専門の学者、あるいはプログラマー等々の意見を伺いながら、こういうものを作って、専門の業界にお示しして、そういうものを作ってほしいということを申し上げていたのです。当初の予想では、できれば6月20日から近い日にこれができなければ、実際は混乱するわけですから、できると期待していましたが、思いのほかプログラマーにとって難しいということが徐々に分かってきました。一番先行していたのが株式会社NTTデータでして、その他にもう2社やっていますし、あと10社程度が今も作業を進めていただいています。そういうものが出てくれば、多くの市場性を有することになるのだろうと思いますが、現実には、我々に申請していただいていて一番先行しているのが株式会社NTTデータです。これについては、分科会におきまして、いろいろな入力をしたりしながら、3ヶ月半くらい作業を進めているわけですが、詳細に学術的にするのは必要ではありますけれども、しかし、一日も早くそういうものが無ければ困るという社会的なニーズも有りますので、過去には例の無い特例的な扱いとして、これを仮に認定して、我々も乗りだして一日も早くできるようにしようということです。なぜNTTデータだけなのかということについては、そこが一番進んでいて、3ヶ月を超える期間にいろいろなチェックを重ねて、完成も間近いというところが株式会社NTTデータだけでしたので、こちらを先にしています。後発会社につきましても、なるべく早く作っていただいて、我々が認定できるようにがんばっていただきたいと思っています。
   
(問) 試行から実務に使っても良いということですか。
(答) 今実務ですぐにそれを使うということではなく、これをコンソーシアムにおいて、いろいろな不具合のバグチェックを行っていくということでして、それをそのまま使って設計するということは考えていません。これは正式な認定後直ちに使えるように、今からそれを使う方々を集めて研修会を行っていくということで、正式認定後は直ちにそれが使えるようにしたいというのが現状です。
   
(問) 着工の落ち込みを少しでも早く回復するのが目的ということですか。
(答) そうです。
   
(問) 大臣認定プログラムの仮認定の試行ということですが、仮認定することによって、今後の見通しとして、大臣認定プログラムがどのくらいの時期にできてくるとお考えかということと、これが今落ち込みを続けている住宅着工の遅れについてどのように寄与してくるとお考えでしょうか。
(答) それについては、後ほど実務を担当している住宅局から詳細に説明します。いつと言われると、私は一日も早くとは思います。しかし、一日も早くでも、だいたいいつ頃かというのが皆様方の関心だと思いますが、引き続いて行います住宅局からの説明に譲りたいと思います。それから、どう裨益するのかということについては、まだ12月の結果が出ていませんが、確認件数及び着工件数ともに、まあ、うなぎ登りというのは言い過ぎかもしれませんが、正常に向かっていることは事実です。しかしながら先ほど申し上げたように、これが正式認定されて直ちに作動するということがあれば、今まで70日を予定していたものが約半分ぐらいになると聞いていますので、相当裨益すると思います。なお、戸建て住宅等については既に正常化しています。問題はこのようなものを使わなければできないような、大きな計算が必要なものについて、まだ正常に戻っていないということですので、これが威力を発揮することを期待します。
   
(問) 開発の遅れの部分ですが、先ほどプログラマーの方もなかなか難儀しているという話でした。開発会社の話を聞くと、国のいろいろな基準の示し方、策定が遅れた部分があったという非難もやや聞こえますが、その部分についてはどのような認識をお持ちですか。
(答) 相当技術的な話ですので、後ほど住宅局の説明の中で詳細に聞いていただきたいと思います。いずれにせよ国が勝手に作成したのではなく、専門家の意見を聴きながら、この点についてはこのような機能が必要だ等、最先端の方々のご意見を伺いながら提案をしているわけであり、なかなかそれを現実に移すのは大変難しいと聞いています。これが遅れているかどうかについては、後ほど住宅局に聞いていただきたいと思います。
   
(問) 年末に横浜のグレイスという中堅マンション分譲会社が経営破綻しました。もともと売り上げが低迷していたところに、建築確認の遅れ等が響いて資金繰りが悪化したと報じられていました。詳しい話はよく分かりませんが、中堅会社まで影響が出ているということに関していかがお考えでしょうか。
(答) 私どもは、そのようなことが起こらないように中小企業庁とも早い時期から協議をし、ご協力をいただきながら政府系金融、また中小企業信用保証協会による別枠保証というようなもので手厚く対応し、こういうことによる資金難については回避するようにしています。当初対象業種は15業種でしたが、20業種を追加していただきまして、全部で35業種、ほとんど網羅的に対象とし、今おっしゃった資金難による倒産をしなように、なんとか一過性のものにして、民間需要自身が落ち込んでいるわけではないので、技術的な面が遅れていることによって資金難が生じることがないように、手当しているつもりです。したがって、グレイスさんがどのような理由や状況をもって倒産したのか、詳らかではないので論評できませんが、そのようなことが起こることのないように早くから手は打っているつもりですし、この会見を見られる方もそのような意味で大いに利用していただきたいと思っています。
   
(問) 道路特定財源の話に戻りますが、先ほど年度内になんとか成立させたいというお考えを示されましたが、年度内に成立させるためには今後どのような対応をしなければいけないとお考えでしょうか。
(答) 全てのことはみんな分かっているわけで、地方の首長、議長はほとんど来ていただいていると思います。それから、地方に住む道路整備を渇望されている方々、このような方々に対して、昭和62年に国土開発幹線自動車道建設法及び建設大臣告示で1万4千キロの具体的な道路を示し、これを国で造ることを示しています。したがって、各地方において、法律で約束されたその道路をいつ造ってくれるんだ、早くやって欲しいという要望が強いです。これは当たり前のことです。20年経った今日までに65%しかできていません。残りの35%、4,900キロメートルを私どもは概ね10年以内に造ります。例えば、そのうち2,900キロは今回の道路中期計画の中で、どこからどこまでか、整備費はいくらかかるか、できあがればどれほどの利益を地元にもたらすか、この利益というのは経済的効果だけではなく、新幹線の駅まで近くなる、大きな病院まで近くなるなどというような16項目にわたるメルクマールを設け、それに対して客観的に評価し、その道路の必要性を測っています。B/Cは1.2以上ということにしていますので、1億円でできた道路は1億2千万円以上の利益をもたらします。不要な道路は一つもないという結論になりました。個々具体的な地方のどの道のどこからどこまで造れるのか、いつ造るのかというような問題はありますが、私どもは概ね10年以内に完成させる、できないまでもその姿はきちっと現れるようにするということを約束しています。それが4月1日から止まってしまうということになると、地方では大きな影響があるでしょう。3月、4月の地方議会で予算を審議されるにしても、その歳入欠陥をどうするか、今整備している道路をどうするかなどということが大きな問題になると思います。そのような中、ガソリンを25円引き下げるということでいいのか、それとも、道路整備というものは国家百年の計あるいは地方の活性化のためにはぜひ必要なのかということが大きな議論になると思います。そういうものが必ず国民の声として政治に反映するでしょうし、また、しなくてはならないと私は思います。わずかな期間ですが、そのような国民の声が反映され、我々も今から予算委員会その他で質問を受けると思いますが、そこで私の思いの丈を客観的事実として申し上げることにより、是非この3月末には予算とともに関連法を成立させていただきたいです。これは私の悲願ですので、がんばりたいと思います。それ以外の奇策は考えていません。
   
(問) やはり民主党をいかに説得していくかに尽きると思いますが、これからの道筋というか、戦略はどのように描いているのでしょうか。
(答) それは挙げて、政党にお願いしたいと思います。我々行政が政治に関与し、いろいろ行うのは奇策でしょう。私はそうではなく、国会の中で政党同士でそのようなことを十分協議し、決めていっていただきたいと思います。
   
(問) 16、17日にもと言われていた内閣改造が見送りになりましたけれども、感想はございますか。
(答) それは総理大臣が行われることで、私から感想もなければ、コメントもありません。
   

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