国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
臨時冬柴大臣会見要旨(平成20年1月23日)

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  臨時冬柴大臣会見要旨(平成20年1月23日)
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平成20年1月23日(水)
9:22〜9:46
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の臨時閣議は、法律案の決定が2件です。当省の関係では「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案」の決定が1件ありました。この法律案の内容につきましてはご案内のとおりですけれども、大きく分けて3つの項目があります。1点目は、揮発油税等の収入額の予算額を毎年度道路整備に充てる措置の適用期間を平成20年度以降10年間延長するとともに、揮発油税等の収入額の予算額が各年度において道路整備費を上回る場合には、必ずしも当該年度の道路整備費に充てる必要はないものとすることです。2点目は、地方道路整備臨時交付金制度の改善、地方道路整備臨時貸付金制度の創設を行うことです。3点目は、高速道路の利用者等の利便を増進し、その負担の軽減を図るため、国土交通大臣が同意する計画に従い、高速道路株式会社による高速道路料金の引下げとスマート・インターチェンジ等の整備を目的として、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の債務を政府が承継することです。我々の対応は以上の3点です。この法律案を含む道路特定財源の関連法案を一体として年度内に成立させることに対し、最大限の努力をしていきたいと考えています。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 暫定税率を今後10年間維持していただきたいという法律案が今日閣議決定したわけですけれども、改めて国民の理解を得るために、大臣としてどのような手段で国民に訴えかけていかれるのか、お考えをお聞かせください。
(答) 国民の皆様におかれましては、耐えることができないような価格までガソリンが値上がりしています。その負担を軽くして欲しいという気持ちは十分分かります。ですから、それに対する手当は本当に何か考えなければならないと思います。一昨年は交通事故による死亡者が6千人を切れなかったんですが、昨年は半世紀振りに5,744人で6千人を切りました。自賠責の保険料は死亡事故や障害などの保険危険の確率で算定されるものですから、最近の道路整備等によるものが大きいのですけれども、事故及び死亡事故が非常に減る傾向にあり、私どもも一生懸命考えて、保険料をもっと極限まで引下げしてはどうかと考えています。発表されているように普通車で9,260円の値下げでして、これについて同意を求められれば同意して、早急にそのようにしたいと思います。そうすれば、例えば1リットル25円の差額があるとした場合、約400リットル弱相当になりますので、普通に走っている人であれば40リットルずつ入れても10回分で、約1年間ぐらいの分をなんとか手当できるのではないかなという感じを受けています。そういうこととは別にですね、今ご案内のように大都会では開かずの踏切がたくさんあります。東京などは数珠を繋いだような状態です。早急にやらなければならないというところだけでも全国で4,300件あります。それから、40人以上の学童が毎日通学しているにもかかわらず、歩車道の区別がない道路もあります。子供が一列に並んでいるその横を、自動車が相当なスピードで通り抜けるような場面に出くわすのですが、私は本当に怖い感じがします。お母さん達も、このような道路をなんとかして欲しいという陳情を大臣室に持って来られるのですが、このようなところが4万4千キロあります。早急に直さなければいけません。その他にも、脳梗塞や脳内出血など一分一秒を争う緊急の病気でも、最寄りの大病院へは1時間以内には到達できないような場所もあります。あるいは、大型車がすれ違えないような道路もたくさんあります。こういうものについては、早く直さなければならないというニーズは国民が等しく持っていると思います。大都会には密集住宅街というところがあります。ここでは大地震や火災の時に、大惨事が起こります。東京の某所では、一番広い道路で6メートルしかないというところもありました。それを10メートル拡張して16メートルにするということも行ってきました。このように道路を巡っては、大きな高速道路を造るだけではなく、国民の毎日の生活に身近で、必要な道路整備もたくさんあります。もちろん幹線道路網の整備は、日本が今から少子高齢社会に入って、さらに人口減少社会にまで入ったということになりますと、国際競争力という意味でも、港湾とか空港から生産拠点あるいは消費拠点にスムーズに流れるようなことができるような道路網の整備が急がれます。私どもは道路の中期計画の素案を作成していますけれども、見ていただければ分かりますが、詳細に分析をしていて無駄な道路は一つも造りません。そして道路を造る時にも、きちんと評価しながら進めていくと書いています。これを国民によく分かっていただきたいのです。国会論戦の場はもちろんの話ですが、あらゆる機会を通じて、今日もそのような場だと思いますが、ご理解をいただきたい。多くの国民がガソリン代を下げてもらいたいと言うのもわかりますが、我々の子供や孫たちの日本が豊かであり続けるために、力のある10年間に整備をしなければならない道路があるのです、と丁寧に誠心誠意説明してご理解をいただきたい。また、ご理解を得るよう努力しなければ、この法律をスムーズに通すことはできないと思います。国民の支持がないといけないと思います。そういう意味で、国民の支持を得るためにあらゆる機会を通じて誠心誠意説明して、お分かりいただけるようがんばらなければいけないと思います。
   
(問) この法案の国会での通過時期ですが、衆院の通過時期は1月中が良いのか2月中が良いのか、意見がバラバラなのですが、個人的な意見で結構ですので大臣のご所見をお願いします。
(答) これは全く国会の問題ですから、国会対策を担当されている方々が熟慮に熟慮を重ねて、私も幹事長を長くやらせていただきましたが、党の責任者が本当に真剣に考えて下さっていることです。したがって、所管の大臣がそれについて意見を述べることは僭越でもあります。私はなんとしても、年度内にこの法案を成立させてもらわなければならない、そういうことを射程に入れて皆さん真剣に考えていただいていると思います。ですから、それ以上のことは申し上げることはできません。これがもし通らなかった場合のことを考えれば恐ろしいです。今世界的にも経済が大変な状況です。そのような中で日本がこんなことをやっていると、本当に恐慌のトリガーが引かれかねないような、私はそれくらい混乱すると思います。私はそういうことも国民のご理解を得るために、総務大臣にもご意見を伺いながら、抽象的な2兆6千億円、7千億円という金額ではなく、それぞれの地域でどれくらい影響があるのか、このような問題は私どもも分析できますが、そこは総務省の所管ですので、総務省のご意見を伺いながら、あなたの村、あなたの町はこれぐらい影響を受けますと説明したいと思います。あるいは私どもが行っている直轄事業や新直轄事業が止まらざるを得なくなります。それによる影響は、その土地土地によってありますから、そいういうことも十分にお話しをして、なんとしても3月中に通していただきたいということを申し上げたいと思います。
   
(問) 今回の道路の法案ですが、そもそも振り返ると一般財源化を認める内容になっていますが、この点についてのご評価はどうでしょうか。
(答) 一般財源化と言われますが、それはその年度年度で税収が道路整備費を上回った場合に、その分を一般財源として使っていただくということですから、太宗は道路整備に使わせていただくということについては変わりはありません。そうでなければ、税を負担する方に、払った税金を全然道路と関係のないものに使わせて下さいと言っても、それはおかしいよということになります。それについては一般の税でやってもらわないと、我々が払う税金はハンドルを握っているが故に必要な道路ということで始めた税金ではないのですかと言われます。ということで、納税者の方々に十分に説明をし、その理解を得つつ具体策を作りなさいということでした。その点が非常に大きいわけでして、納税者が、道路のために払わせておいて、それを全然違うところに使うのはおかしいと言うことは当然の話であり、税の理論からもそうだと思います。しかしながら、今日申し上げた第1点のように、その年度年度にどれほどの税収があるか、年度年度に道路整備費にはどれくらいの必要があるかということは変動いたします。したがってそれを超えた部分については一般財源に回します。去年も今年も回しました。また来年度予算の中でも回すことになっています。そのような考えです。
   
(問) 先ほども国土交通省としては無駄な道路は一本も造らないという姿勢でしたが、その点に関しては今回の制度改正は前進だったと言えるのかどうか、その点の評価はいかがでしょうか。
(答) それはもう前進を目指して皆が努力しているわけですから、後退ではありません。
   
(問) 今回も一般財源化を盛り込んでいますけれども、内容を見ますと大臣としてはあまり前向きというか、そんなに賛成ではなくて、あくまで国民の理解を得るために盛り込んだということなのでしょうか。
(答) いいえ、それは言い方だと思うのですが、前の安倍総理がおっしゃったのは、税率を維持しつつ、一般財源化を目指して納税者に十分説明し、納税者のご理解を得つつ具体策を作ってくださいということでした。ですから前提としては税率は維持しなさいと。ということは、特定財源の使途は特定されているわけで、それを一般財源化するために了解を得ないさいということですから、非常に難しいですよね。納税される方のご理解を得るためには、抽象的な「真に必要な道路は造ります」というような言葉では不十分で、誰が真に必要かということを判断するのかという議論が起こりますから、それでは納得していただけない。多くの国民のご意見を伺いながら、19年中にこれから中期に整備する道路をきちんと特定して、そしてその整備の総枠の予算も国民に明らかにしないと、これはとでもじゃないけど国民の皆さんにどう説明したら良いのか、どうしたら納得していただけるのか、それは難しいということを当時の官房長官や財務大臣に申し上げました。そして19年中に道路の中期計画の素案を作り、その中には先ほど申しました開かずの踏切とか通学路の改修とかを盛り込むのはもちろんのこと、高速道路料金の引下げなどは国民の要望も強いわけでして盛り込みました。株式会社である道路会社に委ねてしまった道路については、政策的に我々がこれを値下げして欲しいということが言えなくなっています。そういうことを言うためには、道路会社が値下げによって被る損害というものがありますが、ご案内のとおり45年で40兆円を払うという約束があり、それをきちんとつつがなく支払いができるような手当てをしなくてはなりません。というわけで我々は道路会社が日本高速道路保有・債務返済機構に支払うべき債務の一部を引き受けるという非常に複雑な話ではありますけれども、そういう手当てを20年度に提案する法律の中にきちんと明記しますということも合意したのです。したがって、新たに道路会社が道路を造る費用を我々が負担するということでは全くなく、すでにでき上がっている道路を有効活用していただくためということです。高速道路が高いからということでどんどん一般道を走られたのでは、高速道路は活用されません。通行料金を下げることによって、今まで一般道を走っていた車が高速道路を走ってくれるということになり、それは環境問題などいろいろな問題を解決するわけです。そういうことにも使う、使ってもよいということを合意し、その線に沿って、今回、立法し、提案させていただいています。
   
(問) 今回の法案ですと、予算の未消化分を翌年度以降に繰り越せるような形になるようですが、そのような仕組みを折り組んだねらいをお聞かせください。また、繰越金が出ることと、本来、余剰分は一般財源化するという考え方との整合性について、どのようにお考えでしょうか。
(答) それは納税者のご意向に沿ったものです。納税者は10年という長いスパンで出たり、入ったりすると考えると思います。一般会計に出る部分については、もう予算がありませんので、前年度で余り、一般財源化した分を財務省に一般会計から再び道路財源に入れてもらいます。いろいろな形があります。補正もあれば、他の形でもあります。他の政策を実施する過程で、道路を敷設する部分もあります。そのようなものについてもいろいろ考え、最後、10年経ったときに、差引きを計算したらいいと考えています。道路を造るために払ってくださいと言ってお支払いいただいている税金が全く違うところでどんどん使われては、やはり納税者にご理解いただけないと思っています。そういう思想でやっています。
   
(問) 普段とお声の調子が違うのですが、体調的なものでしょうか。これから国会でご説明にかなりご苦労されると思うのですが、それで体調を崩されたのかと思いまして。
(答) そうですか。このようなことをあまり威張った口調で話すのもいかがかと思いまして。体調は万全です。ご心配ありがとうございます。
   
(問) 今日、整備新幹線の政府・与党のワーキンググループの第1回会合がありますが、改めて、財源の問題等について国土交通省としてどのようなお考えで臨まれるかお聞かせ願います。
(答) ワーキンググループの会合は今日昼ごろに開催されます。私は出席できないのですが、副大臣に出席していただきます。未整備区間を着工するとした場合、どれぐらいの経費が必要になり、その財源をどこに求めるかが最大の論点だと思います。その内容をどのように考えているかですが、今からそれをワーキンググループで検討していきます。政党にも入っていただき、特に政党のほうで検討していただきたいと思います。我々はいろいろな資料を提供したり、準備しますが、具体的にどれをどうということはまだ皆さん方に申し上げられるような内容まで煮詰まっていません。政党の代表として出てこられる方々の意見を伺いながら検討しなければなりません。また、利害関係のあるいろいろな団体もあるでしょう。そのような団体とも調整を図りながら、結論は得られると思います。現在はそういう段階です。
   
(問) 与党は各区間それぞれ提案しているところがあると思いますが、与党が求めるところまでいかない可能性もあるのですか。
(答) 数字的にははっきりしています。以前、見積もりしたときの金額ですが、北海道新幹線は1兆8百億円、北陸新幹線は8千5百億で、非常に大きいお金です。ですから、それをどうするかみんなで考えなければならないと思います。
   

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