国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年3月28日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年3月28日)
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平成20年3月28日(金)
9:30〜10:00
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が17件、政令の決定が4件と人事案件です。当省に関係するものでは、今、資料を配付していますが、高等海難審判庁長官について、4月1日付で任命することについて、ご承認を頂きました。また、独立行政法人建築研究所、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構及び独立行政法人奄美群島振興開発基金の理事長について、4月1日付けで任命することについて、ご了解をいただききました。私の方から3点ご報告があります。
 1点目に、本日は閣僚懇談会において、町村内閣官房長官より、「公共工事の品質確保に関する当面の対策について」の機動的な対応に関するお願いがありました。国土交通省としては、直轄事業において総合評価方式の拡充等に取り組むとともに、地方公共団体等についても簡易な総合評価実施マニュアルの周知等の支援を講じてきましたが、地方への普及はいまだ必ずしも十分ではなく、災害対応等地域に貢献している企業等が適切に評価されなければならないと考えています。このため、直轄事業の対策を強化するとともに、地域ブロックごとに発注者協議会を設置するなど、地方公共団体への公共工事の品質確保対策を強力に支援していきます。特に、赤字受注による下請けへのしわ寄せに対応するよう、低入札価格調査基準価格の見直しを図り、4月から手続きを行う直轄事業に適用していきたいと考えています。
 2点目は、道路関係業務の見直しに関連する支出の適正化についてです。まず、先般国会でもご議論があり、適正化に向けた方針を示したタクシー乗車券使用の適正化についてですが、使用基準の統一化等を図るための通達を各地方整備局等あてに発することとしました。その主な内容は、タクシー乗車券の使用基準の統一、管理の適正化、関係書類の保存期間の明定等となっています。また、職員のレクリエーション等のための用具等については購入しないこととし、今般、それを徹底するため、あらためて各地方整備局等に通達することとしました。詳細は、後ほど事務方から説明させますが、いずれの措置についても、道路整備特別会計からの支出に限らず、国土交通省全体の支出について適用します。道路関係公益法人における職員旅行への支出については、旅行費用の半額以内で、かつ、1年間1人1万円を限度とする方向で、また、今般実施した各法人の職員親睦団体への支出に関する調査結果を踏まえ、当該支出は取りやめる方向で、現在、改革本部において検討しています。さらに外部有識者の意見をもとに検討を進め、最終的な方針をとりまとめたいと考えています。
 3点目は、高規格幹線道路などの手続きの見直しと海峡横断プロジェクトについてです。お手許に資料をお配りしているように、高規格幹線道路や広域的な機能を有する地域高規格道路については、路線指定や区間指定など手続きの節目節目で社会資本整備審議会(道路分科会)に諮るとともに、そのうち重要な事項については、国幹会議に報告する方向で、手続きの見直しを行います。具体的には、今後、社会資本整備審議会(道路分科会)において、秋までに見直しを審議していただきたいと考えています。また、海峡横断プロジェクトの調査については、個別のプロジェクトに関する調査は、今後行わないこととするなど重点化を図ります。私からは、以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日、福田総理が道路関連の法案等について、一般財源化等を含む新しい提案をされましたが、民主党の方は拒否すると伝えられていますけれども、この状況について大臣のお考えをお教えください。
(答) 昨日も申しましたように、総理といたしましては年度末を間近に控え、このままいくと暫定税率が期限切れを迎えてしまいます。そうなれば一般国民の日々の生活はもとより、各地方公共団体も相当混乱をきたしてしまうという危機感から、総理自ら党にも諮らずに政府として大英断をされたのだろうと思いまして、その心中は私が察するには余りがあります。行政を預かる者、最高責任者として、国民や地方公共団体の困惑や混乱をなんとか防ぎたいという熱意の表れからなのだろうと思います。それに対して、野党の方が協議会における検討について、協議する始めから拒否を表明されるということは、いかがなものかと思いますが、これは与野党間の協議の内容ですから、それ以上のコメントは私としては差し控えたいと思います。いずれにしましても、真に必要な道路はいかなる事態になろうとも、私としてはどうしても造っていかなければならないという強い意志を持っています。したがって、私はその方向に向かって、最後の最後まで努力をしていくつもりです。いろいろな提案がありますけれども、与野党で合意され、それに基づく議員立法による法案が修正されるまでは、今提案しているものが私としても内閣としても最良のものであるという確信の下に提案しているわけですから、その年度内成立ということを、最後の一瞬まで願いながら、全力を尽くさなければなりません。それが私の責任だと思っています。
   
(問) 公益法人の職員親睦団体の支出なのですが、これは支出を止めるということでよろしいですよね。これを止められる理由と、何に使われていたのかということは把握されているのでしょうか。
(答) 職員旅行については、私の知る限りにおいて、あるいは税務当局における各企業の支出に対する取扱いに照らしますと、やはり皆様方もそうではないでしょうか、毎月、例えば何千円でも積み立てて、それに対して雇用者の方から福利厚生費という形でいくらか支援されるということが、日本社会としては普通だろうと思います。そういうことを考えますと、そういう支出は半額以上は本人に1年間積み立てていただくようにして、それに対する補助は1年間に一人1万円以内であれば、社会からも国民の目線に立ってみても、批判されることはないのではないかと思います。ですから、職員旅行についてはそのように処置しようということで、各公益法人に対して、そのような基準で協力を求め、そうしてほしいということです。また、50の道路関係の公益法人について調査しましたら、10の法人で職員の親睦団体に対する支出があったことがわかりました。親睦団体で旅行を行うということはよくあるわけですけれども、その際には今言ったような基準で考えてほしいと思います。また、今後はこのような形での支出は取り止めていただきたいというように、我々としてはお願いし、協力の約束をしていただいているところです。
   
(問) 1年で一人1万円以内ということで、それは過去に遡って、1万円は良しとして、差額分を返還させるというご決定なのですか。
(答) それを含めて、第3者委員にお諮りします。私もいろいろ言われたからということで、すぐに反応して全部こうだということではなく、私がどう見てもひどいものだと思ったものについては、国会の答弁の中で、半分は返していただきますというようなことを言いましたけれども、そうでない分について、そこまでどうなのか。こういうことは社会常識に照らして冷静に判断していただかなければなりません。4月までにきちんと出したいと思います。もちろん、行き過ぎた分があると判断された場合には、しかるべく返還についても考えなければならないというのは当然の話です。
   
(問) 昨日の福田総理の新提案について、記者会見の質疑内容も、一夜明けて精査されたのかと思いますが、改めて、質疑の中で野党が合意しなかった場合についても、一般財源化については進めていくという発言について、ご所見をお願いします。
(答) 私も、記者会見の議事について、未定稿ではありますが、検討させていただきました。福田総理は、「道路特定財源制度につきましては、今年の税制抜本改革時に廃止し21年度から一般財源として活用します。その際、地方財政に悪影響を及ぼさないような措置を講じます」と、紙に書いたとおり述べておられます。それに対して、ずっとやりとりがあって、最後に質問で、「仮に野党との合意が得られない場合でも、21年度から一般財源化をすると国民に約束しているということでよろしいでしょうか。」という聞き方でした。それに対して「ええ。これはどういう状況にあろうとですね、今、私が申し上げたことは、守っていきたいと、このように思っています。」 と、このようにおっしゃっているわけで、非常にいろいろな読み方があると思います。私としては、総理が紙に書き、しかも読み上げられた、「今、私が申し上げたこと」ということは、道路特定財源制度につきましては、「今年の税制抜本改革時に廃止し21年度から一般財源として活用します。」と、これは全部にかかっていると思います。
(問) つまり、税制の抜本改革がなされない場合は、後段の一般財源化はなされないということですか。
(答) そうでないと、全体を読んでもそうですし、そのように読むのが正確ではないかと私は思っています。
   
(問) 国土交通省が発注する公共工事のうち、道路の橋の補修とか耐震化など、維持補修の工事の入札が軒並み不成立になるという状況が相次いでいて、特に関東地方整備局では今年度3件に1件が不成立になってしまうという、とんでもない事態になっていますが、このことについてのご所感と対策等があればお願いします。
(答) いろいろ発注についてはご批判もあり、我々としては公平、公正の競争の下に発注を行わなければならないということで、考えられるいろいろな手を打っていますが、これでは誰も応札できないというようなことが出てきているのだと思います。我々としてはそのままいくわけにはいきませんので、いろいろと後戻りしない方向で前向きに進む方向でこれを何とか契約が締結できるような方向に工夫を重ねているところです。
   
(問) 確認ですが、高規格幹線道路と海峡横断プロジェクトの関係ですが、これはあくまでも、今、整備計画等に載っている計画を取りやめたということではないということでよろしいでしょうか。
(答) 取りやめとはできません。
   
(問) あくまでもその都度適宜判断していくということですか。
(答) そのとおりです。しかも、その時には国会で判断いただけるような、それは大きな長大橋等のお話ですが、そのような手続きを取ります。それ以外に社会資本整備審議会の道路分科会等に諮り、必要なものについては国幹会議に報告をするというような、より重い手続きを考えます。それから候補路線の中でも問題になった長大橋のようなものについても、もちろんのことですが、加えて一つ一つ金額も大きいですので、国会で判断していただけるような、そのような形を考えています。具体的にはもう少しきちっとまとめますが、私は今、その覚悟をご報告申し上げるところです。
   
(問) 総理の新提案についてですが、総理としてぎりぎりの決断であっただろうということですが、ぎりぎりの決断をさせるに至った大きな要因の一つとしては、やはり国土交通省自身が不適切な支出があっただろうと私は思いますが、そのように決断に至った国土交通省の責任のようなものは改めて大臣は何かありますか。
(答) 私もあなたがおっしゃるとおりだと思います。総理があそこまでの決断をされたということの原因、縁由と言いますか、この中に道路特定財源という貴重な財源に対する、国民の税金に対する感覚と支出のあり方についていろいろご批判を受け、総理の心にもいたく響いたと感じますし、私も全く同じで、誠に申しわけないとの思いで一杯です。したがいまして、それに対する責任の取り方については、私が本部長となって改革本部を立ち上げて進めているわけです。これを4月を目途に、総理から、私は6月と言いましたが、前倒しするようにとのお話もありました。私は、今日の発表もその一環であり、決まったものからきちっと外部に発表してもらいたいと総理のお話もあり、やらせていただいているわけですが、この外部の方々のご意見も伺いながら、国民の目線に立って、国民からそこまでやればその点については分かったと言っていただけるまではやらなければならない。それが国土交通省を今預かっている私の責任であると思います。それ以降の問題については適時判断をお示しして、国民に応えたいと思っています。
   
(問) ギリギリの決断と言いますが、平成21年度から税制の抜本改革がありますが、平成21年度に一般財源化というのは小泉元総理でもなかなか踏み切れなかった時期です。そこまでギリギリの判断で、一般財源化とおっしゃっているにもかかわらず、税制の抜本改革が行われないときには一般財源化もなされないと解するのは、我々は昨日のニュースを見て、やっぱり国民は一般財源化するんだと受け止め、それぐらいの判断だろうと見ていると思いますが、それでも大臣は税制の抜本改革がなされない場合には、一般財源化もないというお立場ですか。
(答) これについてはいろいろな立場の人がたくさんいると思います。私としては先ほども申し上げましたが、必要な道路は造らなければならないという使命があります。それは地域によってばらつきがありますが、多くの首長の要望のもと、117路線で700箇所と全都道府県にわたり直轄工事をやっています。こういうものを本当に続けられるのかどうかという瀬戸際まで来ています。これは国民経済だけではなく、地方も大変な痛手になってしまうと思います。そういう責任が一方にあります。一般財源化ということは、とりもなおさず私にとっては、今まで道路特定財源を維持するために受益と負担という形で、自動車ユーザーの方々にも納得していただけるように、大変な労力を用いて中期計画を作っているわけです。そういう背景から見れば、直ちにどうあろうと一般財源化します、と言うことは、私としてはそうでございますかとなかなか言うことはできません。今までの私の議論を聞いて下さい。1月26日以来今日までの国会における答弁等見ていただいたら分かりますが、これはなかなか難しいと思います。しかし、そのように決まれば私としては従容として従います。しかし、まだ決まっていないではないですか。これを決めるにためには与野党、あるいは与党の中にもいろいろな考え方がありますので、私がそうですかというわけにはいかないのです。それは、おわかりいただけると思います。
   
(問) 中期計画を10年から5年にして、最新のデータに基づいて決め直すということですが、当初は最新のセンサスが今年の秋ぐらいにまとまるというご説明だったかと思います。これはその税制の抜本改革の議論も夏以降秋から本格化してくると思いますが、その前にセンサス自体も前倒しでまとめるように急ぎたいとか、そういったお考えはありますでしょうか。
(答) これは見てもらえば分かりますが、口で言うだけじゃなく大変な作業です。ご存じかと思いますが、全国を6,000ブロックに分け、それを6,000×6,000通りのOD、いわゆる出発点と到着点を全部調べて、そこへ落とし込みます。6,000×6,000というのは3,600万通りです。そういうものを算出して、個々の整備する区間に当てはめていきます。大変な作業であることはおわかりかと思いますが、それ以外にも、都心回帰や都心居住者の公共交通利用者、高齢者、女性免許取得者の増加等、いろんな社会現象あるいはGDPの伸び等、このようなものを全部勘案します。簡単にはできません。その間先生方のご意見も伺いながら、ある場合にはパブリックコメントをしなければならないものもあったりと、そう簡単にいかないと思います。したがって、申し上げたとおり、いくら総理でも秋も深い秋にもなるかもしれません。そういうものができないと新規着工はなかなか難しくなります。そういう状況だと思います。
   
(問) 整備新幹線の未着工区間の財源確保をめぐり、昨年来、政府・与党でワーキンググループ等で活動されてきたと思います。年度内に一定の結論を出すということだったと思うのですが、年度末まで残る日はわずかです。今後の見通しについてお話しいただけませんか。
(答) 私は政府・与党ワーキンググループのメンバーではありません。鉄道局長が出席していますので、逐一、報告は聞いていますが、私としては、平成16年の政府・与党合意に書かれていることが全てだと思います。財源の手当てが着工を決める最大の要因です。新たな問題として、並行在来線の問題はどうなるのか、地方負担はどうなるのかなどという問題があります。枠組みは今のように地方が逼迫していないときに決めたものなので、それを何とかしてほしいというという話など、ワーキンググループでは話題がたくさんあるようです。幸い、今年度内に長崎の新幹線の着工が決まり、一昨日、私から鉄道建設・運輸施設整備支援機構に認可書をお渡しできる段階に至りましたが、それ以外の未着工区間については、財源の手当てが明確にならない限り、今年度末までにこれをどうするか決めるのは難しいと思います。だいたいそのような雰囲気で報告も受けています。
   
(問) 三菱重工が開発している三菱リージョナルジェットですが、昨日、全日空が発注を決め、今日、おそらく、事業化の正式決定があると思います。それについて、ご期待のほどをお伺いします。
(答) ボンバルディア社の飛行機はドメスティックの連携には非常に便利な飛行機ですが、あのようなことが度々ありましたので、日本で最高96人乗り程度のちょうど良い飛行機ができれば便利です。そのような状況にあって、全日空がその一部の購入を表明されたことは、開発に拍車をかけるのではないかと思います。これから本当に製造に着手されることになると、我々も型式の検査などをしなければなりません。私どもからもその工場近くに17人体制で駐在しており、そういうものについて適宜対応できるようにしていこうと思います。これはやはり良いニュースだと私は思います。
   
(問) 一部の航空会社はまだ安全性が担保されていないということで、導入の決定になかなか至らないこともあるようです。製造国として、国土交通省も耐空性等に責任を持つことになると思います。40〜50年ぶりの国産機ですし、初めてのジェット旅客機ということで、ご懸念はありませんか。
(答) どんなことにも懸念はありますが、日本人の手によるものですから、最善を尽くし、世界の期待に応えられるような機体が開発されることを願うばかりです。私は信頼しています。
   

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