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大臣会見

谷垣大臣会見要旨

2008年8月26日(火) 10:40 〜 11:01
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

 おはようございます。今日は10時から閣議がありましたが、今日の閣議で当省関係でご報告することはありませんでした。閣僚懇談会では、環境大臣から、「将来的に一般公用車の全てを次世代自動車にすることを念頭に、大臣公用車については、京都議定書約束期間内に、次世代自動車の導入を進めて欲しい」という趣旨のご発言がありました。国土交通省では既に大臣公用車にハイブリッド自動車を導入しているのを始めとして、平成16年度以降は、新たに導入した一般公用車の全てを次世代自動車を含む低公害車とするなど、積極的に低公害車の導入を進めてきているところでです。今後とも低公害車の導入促進に努めていきたいと考えています。

質疑応答

(問)経済対策の取りまとめが大詰めだと思いますが、国土交通省から要望されている内容などで、差し支えない範囲である程度具体的に教えて頂ければと思いますので、宜しくお願いします。
(答)「安心実現のための総合経済対策」ということで、今週内の取りまとめに向けて、内閣府中心に作業が大詰めに向かっているところだと思います。我が省としては、国民生活とか、あるいは運輸・建設産業への影響といったことを最大限考慮しているということですが、原油とか食料といった基本的な要素価格の変動、高騰問題に対応出来る社会を作っていかなければならない訳ですが、要するに持続可能社会ということだと思います。それに向けた対策を中心に色々調整をして頂いているということです。

(問)経済対策ですが、今日、トラック業界の人たちが色々な所で集会を開くと思いますが、高速道路料金の値下げということを大臣も仰られたと思いますが、それが業界に対して効果あるものになるのか、そこら辺についてどうお考えでしょうか。
(答)今、詰めの最中ですけれども、高速道路料金の引き下げということは、既に6月27日の対策にも入っている訳ですが、それをさらに拡充していきたいということで、今、調整をしています。これは、高速道路料金の負担というものは、トラック事業者にかなり大きなものになっていますので、私はかなりの効果があるのではないかと思っています。

(問)業界内から「付け焼き刃」ではないかというような意見も聞こえたりしますが、その点をどのようにお考えでしょうか。
(答)「付け焼き刃」という意味合いがよく分かりませんが、私は効果があると思っていますので、「付け焼き刃」というご表現があるとすれば、理解しがたいなと思いますが、どのようなお声があるかは、よく耳を傾けていきたいと思います。

(問)今の関連ですが、トラック業界の方は燃料サーチャージを国土交通省も後押ししながら導入しようというところなのですが、実際今、物流業界全体の大体5%程度しか導入にいたっていないと。これについては、今後、燃料サーチャージ制度を更に推進していくお考えなのか、あるいは、トラック業界を支えるために何か他の考えというのがあるのか、如何でしょうか。
(答)結局、素材価格というか、要素価格というか、こういうものの高騰を乗り越えていくためには、基本的には転嫁をしていくと、勿論転嫁をしていけば国民消費者あるいは国民経済全体の負担になってくるということは否定できません。転嫁が出来ないと一部の所に価格高騰のしわ寄せが来るということになりますから、基本的に転嫁をどうできるかということを工夫していくというのはまず第一に行うことだと思います。そういう意味では、サーチャージというのは転嫁を実現するための手法であるので、一生懸命やらないといけないと思います。ただ、問題は前のオイルショックの時は経済全体が成長していく過程で起こったことであるし、また、あの過程を通じて所得等も上昇していたということもあって、転嫁というものが割合やり易い、当時は当時で苦労した訳ですが、今から考えると比べると比較的やり易い環境にあったということだろうと思います。ところが、今日はまだ完全にデフレ体質というもから脱却出来ていない中での問題ですから、先程5%と仰いましたが、経済構造全体の中で難しさがあるのだろうと思います。ただ、先程申し上げましたが、そういう中でも転嫁出来なければ一部にしわ寄せが来ると、そういう意味では、高速道路料金引き下げ等は、最終価格を転嫁した場合でも国民経済全体を考えてやり易い体質を作るということに資するのではないかと考えています。

(問)サーチャージについて、普及が進まない理由の一つに相対的に運送業者が荷主にに対して立場が弱いという事が挙げられると思いますが、国交省としてはそこをどのようにしていけばいいとお考えですか。
(答)今仰ったことは、先程申し上げた全体の経済体質がなかなか転嫁しにくい経済環境にあるという大きな背景があって、それぞれの業界同士の力関係というものがあるのだと思います。ですから、サーチャージに関しては、我々も呼び掛けるということを今も一生懸命やっていますが、それをしなければいけないと思います。ただ、それに加えて先程申し上げたような転嫁した後、あるいは転嫁し易い環境といいますか、そういうものを作っていかなければならない訳でありまして、これは多面的な努力が必要だと思います。繰り返しになりますが、高速道路料金引き下げというものもそういう環境を作る、直ちにそうとは言えないかもしれませんが、そういう環境を作る一つの手立てかと思います。

(問)経済対策の関係では、補正予算を伴う議論が前提のような形になっていますが、補正予算の規模について政府・与党で大分意見が異なっていますが、大臣としては大型補正予算を打つべきだという与党の意見についてどう思いますか。
(答)今詰めの最中ですので、私から特にどうだということを申し上げようとは思いません。やはり、今の時点で必要な施策をきちっと織り込んでいくということではないでしょうか。

(問)トラックの話の次に離島航路についても原油価格の高騰でかなり窮地に陥っている所もあると聞いていますが、去年は十数億円で、今年は今回の対策について去年の2倍は必要ではないかという試算も出ているようですが、それについてはどう思いますか。
(答)原油価格の高騰等を考えると、昨年より予算といいますか財政的な裏付けも必要ではないかと思います。また、色々考えている中に今までの離島振興策ということだけでは必ずしも十分ではないと、例えば、今まで単独航路でしかない所でなければ出来なかったのですが、もう少し余地がないかということも色々検討していますので、昨年よりは必要なのではないかと思っています。

(問)航空業界への対策というのは何かお考えでしょうか。例えば着陸料ですが。
(答)まだそこまでは考えが進んでいませんが、今サーチャージをやっていますが、このサーチャージも先ほど申し上げたような環境の中ではなかなか苦労があるだろうと思っています。

(問)昨日、九州地方整備局長が熊本県知事に対して球磨川水系の河川整備計画に関して川辺川建設を盛り込むというようなご説明をされました。熊本県知事が9月に川辺川建設の是非を判断されますが、その前に国土交通省として川辺川ダムの必要性を訴えたというように、こちらとしては受け止めてよろしいでしょうか。
(答)これにつきましては、我が方からも知事に状況というか説明を申し上げています。それからご承知のように有識者会議といいますか、これも色々な議論があり、22日にとりまとめの審議があったということでございますから、熊本県知事はこれからこういったことを材料にして判断されるんだろうと思っています。知事がどう判断されるかということを良く見守って参りたいと思います。

(問)昨日の話の中では「穴あきダム」についてもはっきり国土交通省としてご提示されたと思いますが、有力な選択肢としてご提示されたということでよろしいでしょうか。
(答)そうですね。昨日は2つの案を提示させて頂いたということだと思いますが、両案それぞれ今仰った「穴あきダム」も有力な選択肢として考えていくということではないでしょうか。

(問)最近頻発している海賊の対策のことですが、政府の総合海洋政策本部の方でも何か新たな法制等の検討されているようですが、これについて大臣のご所感をお願いします。
(答)これは今仰いましたように去年発生した海賊事件は263件ということですが、平成18年から比べると24件増加しています。我が国の民間企業が運航ないし関与しているような船舶が海賊に奪取される、襲われるという事件が起きています。こういう中で今総合海洋政策本部で検討して頂いていることは、航海自由の原則が勿論ある訳ですが、海賊行為に関してはそれを処罰する立法を持っている国がオランダ、ドイツ、フランス、アメリカ、ロシア、イギリスでありまして、そういう国と同じように海賊行為を抑止する、取り締まる、あるいは処罰するための刑事法制といいますか、法体系といいますか、そういうものが必要があるのではないか、いわゆる普遍主義と言われているものを採用する必要があるのではないかということを中心に議論しているところです。2月8日の法制チームの会合でその海賊取り締まりのための法制度上の枠組みを検討すると決定して、海洋基本計画の中でもそのような規定があるということでございますので、この秋を目途に中間報告を行うという方向でやりたい。今鋭意ご検討願っているところです。

(問)その場合でも海上保安庁の巡視船艇を仮にソマリア沖までに派遣するのはなかなか非現実的な気がしますが、そういうことまで想定されているのでしょうか。  
(答)結局航海自由の原則の中で例外的な海賊行為というものをどう処罰するかという法制をつくるということと、7つの海全部を日本が処罰し取り締まるのが現実的か、あるいは可能かという問題とは別の問題だろうと思います。要するに諸外国のように普遍主義というものが無ければ、それを処罰する法体系が今、いくつかの国は持ってる訳ですけれども、日本としては持っていないという事でありますので、そういうものはやはり持つと。しかし、それをどのように執行していくかというのはまた別の観点から考えていく必要があるのではないかと思います。

(問)新しい法案は国会にどこが提案するのでしょうか。海上保安庁でしょうか。
(答)これはまだ決まっておりません。法執行機関が海上保安庁であるということになれば国土交通省として出すということもあると思いますし、それからこれが刑事法制ということになれば法務省ということもあるかもしれないし、それはこれからでありましてまだそれまで詰まってるわけではありません。

(問)太田農林水産大臣ですが事務所費が計上されてたという事が明らかになったのですが、同じ内閣の閣僚として、あるいは政治家としてでも構わないのですが、大臣のご所感を頂きたいのですが。
(答)中身をよく知りませんので、一知半解なことを簡単にコメントしないということが私の主義ですけれども、「李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」ということがありますけれど、やはりあまり誹りを受けないように身を処すという事は、閣僚の立場にあるものとして必要なことではないかと思います。

(問)昨日全日本空輸に対して、公正取引委員会が新シートを巡って排除命令を出しましたけれども御所見をお願いします。
(答)公取委より全日空が景表法違反だということで排除命令を受けたという報告を受けているところでございます。問題となった広告は見て、記憶もあります。中々具合が良さそうだなと思って見た記憶がございますが、直ちにそれを十分提供する訳では無かったということでありますので、こういう利用者の誤解を招く広告表示は望ましいことではないと思います。ですから国土交通省としても昨日付で文書により指導を行って改善措置の報告を求めたということであります。

(問)その背景には儲からない路線からどんどん徹底する一方、儲かる路線で上顧客に対しては良いサービスを提供するというサービス競争があったと思うのですが、公共交通機関として、民間企業とは言え、そういう姿勢は如何でしょうか。
(答)顧客が満足するようなより良いサービスを提供するということは民間の航空会社として当然考えることだと思います。今仰った不採算の路線から撤退するというような問題。これはなかなか難しいところがあると思います。自由化でどんどん競争をしていくということになれば、そのような現象が起こらないということも限らない。さりとて全部自由化をしないでいくと本当に効率的なものができるのかと言うことがありますので、一番良いバランスのとれた着地点を経営上も求めて頂かなければならないのだろうと思いますが、なかなかこういう原油価格の高騰の中で悩みもあるのだろうと思います。