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大臣会見

臨時冬柴大臣会見要旨

2008年8月1日(金) 14:00 〜 14:34
国土交通省会見室
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)1時30分に官邸で臨時閣議が開かれ、冒頭、総理から本日内閣改造を行うというお話がありました。そして、総理から10ヶ月余りについての、回顧があり、その中で道路の話も出ましたけれども、緊急災害時に機敏に行動出来たことは良かったと、TEC−FORCEの話だと思いますが、そういう話も頂きながら辞表の取りまとめをした訳です。以上が今日の閣議の報告です。

質疑応答

(問)改めてなんですが、正式に辞表の取りまとめがあって、その思いはいかがでしょうか。
(答)もう朝、相当詳しく申し上げましたので、再度申しませんけれども、特に週2回このようにして皆様にお集まり頂いて、色々な質問を頂戴しました。その中には大変鋭い質問で、私共が気が付かなかった部分についてのご指摘等も頂戴して、私もそれは直ぐに政策を改めたりもさせて頂きました。心から皆様方に対して感謝申し上げるとともに、皆様は若い訳ですから、私の子供よりももっと若い訳ですから、頑張って、日本の国家・国民のために頑張って頂きたいという感謝の言葉だけです。

(問)公明党との関係ですけれども、終盤に道路予算の削減のことが出たり、国土交通行政に対してやや批判的なスタンスもあったかと思いますけれども、その辺板挟みになるようなところもあったかと思いますが、ご所見はいかがでしょう。
(答)私はあまり板挟み的な感じはありませんが、色々な意見はあります。あまり金太郎飴のように、いつも同じということでは面白くないので、公明党もそれだけ成長したのかと思います。私は幹事長を8年も務めさせていただきましたが、その間も色々な意見がありました。しかし、それを根気よく話し合って、収斂をして最後は一人残らず賛成をしていただいた。例えば国旗・国歌法案等も大変なものだったと思いますけれども、そういう経験もあります。当時、我が党の7割くらい反対していました。そういうものも膝詰めで話し合いをすることによって収斂する訳で、最後は皆納得して頂きました。ですから道路の問題についても、それは国土交通省、私が言っていることと同じ事を公明党も言うということは、気持ち悪いことで、違うことを言って頂くことが前進だと思います。私もそれを聞いて、またそれを糧に思い直すことがあれば思い直します。ということでやってきたと思っています。
(問)幹事長を8年勤められていて、その前には野党であった時代もおありで、まあ与党になられて、幹事長を8年勤められて、今回といいますか1年10ヶ月前に大臣、政府の側の人間といいますか、政府の側となり幹事長時代または野党時代と比べて、この大臣の1年10ヶ月を総括して、比べられるとどのようなお立場だったかというふうに思いますか。
(答)そうですね。私は案外頑固者なんですよ。ですからやっぱり記者クラブでお話しする時になんか書けって言われたから私は「一を持ってこれを貫く」と書きました。「我が道は一を持ってこれを貫く」というのが正確ですが、一っていうのは一ですから初めです。初めに初志、初心を貫くということだと思います。私は昔からそう思っているのですが、政治家というのは方向を決めるときは熟慮しなければならないし、あまり早とちりもいけませんけれども、熟慮して決めれば後はぶれないと。ぶれたらこれは信頼されなくなると思います。ですから幹事長時代もそうですし、私自身この道路の問題はじめ、色々な問題や困難な問題がありましたけれども、役所の方と話し合って、その方針で行きましょうとなった以上は、いろんな批判がそこで巻き上がっても、私はこれを最後まで貫かなければならないし、そうでないと役所の人はどの言葉を信用して良いかわからなくなると思うんですね。まあそういう意味で頑固に見えるかもしれないが、私はそれを信頼を得る一つの糧だったと思います。もう一つは、私は昔から座右の銘は何ですかと言われるとちょっと難しいのですが、「鞠躬盡瘁」という諸葛孔明の言葉を言うのですが、「鞠躬」というのは、腰をかがめて姿勢を低くして頭を垂れるということです。「盡瘁」は、「瘁」という字はやまいだれですから、自分の心、心命を賭しても国家・国民のために尽くすということです。私は、三国志の諸葛孔明のこの言葉が好きで、初当選以来、「座右の銘は何ですか」と言われたら「鞠躬盡瘁」ということを言ったり書いたりしていましたが、平素もそうあるべしと心がけてきたつもりです。国政や政治に携わる者は、堅実でなければならないのは当たり前ですが、一つは頑固にきちっと自分のポジションというものを明確にして、それがブレないということも信用を得る一つの方法だと思いますし、それから、偉そうにするということは絶対にいけません。私はそう思います。誰に対しても頭を低くして頑張るべきだろうと、きれい事ですけど、そのように思ってやってきたつもりです。これは公明党時代であろうが、大臣だろうが、野党時代だろうが、与党だろうがそうだと思います。私は、そういう意味で、大きな財産だと思いますが、与党、野党問わず、あるいは新聞記者の方々でも沢山の友達がいます。声を懸けて頂く方がいます。

(問)在任中、国交省職員の不祥事が相次いで、大臣給与を返納されたり色々とあったと思いますが、職員の方にどのような思いですか。
(答)私が目にする職員は、本当にすばらしい職員です。昼夜を分かたず、本当に真面目で優秀なのです。そういう人がいる反面、事件が起こると本当に慚愧に堪えない。何故こういうことが起こるのか色々と考えますが、私は最初からそういうことがわかった時に、コンプライアンスの徹底等と訳の分からないことを言わずに、野党から野次られたり笑われたりしましたが、そんなことをしたら人生の割に合わないということを徹底して、例えば、談合なんかに関わった場合には、民事も刑事も雇用関係もさらに、公正取引委員会からも攻められますよと、そして、折角、優秀な大学を出て、20年も30年も一生懸命真面目に勤めて、それが全部ご破算になる。退職金まで没収されますよ、年金まで減額されますよ、損害賠償まで言われますよ、逮捕されるかもしれませんよ、刑務所に入るかもしれませんよ、公正取引委員会から課徴金を言われるかもしれませんよ、こんなに割の合わないことはありませんよ、ということを具体的に申し上げるのです。失礼だけど。奥さんも子供さんもいるでしょう。その人達のことを思えば出来ないでしょうと、そういうことを思って欲しいということを申し上げました。自分は、弁護士をやっていますから何が起こるか全部予測がつきますから、そういうことを具体的に申し上げて指導して欲しいということを幹部の方には申し上げている訳です。本当に、ものすごく優秀で、皆さんよく知っていると思いますが真面目です。そして私は、日本の官僚というものは、世界にも比類がないほどのシンクタンクだと思います。従って、これを公務員改革とか何とかで潰してしまうような、やる気を無くしてしまうようなことをするのは、私は許されないと思います。だから、公務員改革の時にもそういう視点で私は何回か発言したのです。若い人が自分のライフサイクルということを考えて、そして、自分が一生懸命やれば老後は安心して暮らせるんだという、そういう保証無くしてしまうということを、代議士に言われるのはいいけれども、公務員はもうちょっと大事にして欲しいと私は思います。そういう意味で公務員改革、誰も天下りしたくないです。したくないけれども勧奨退職というものがあるのです。これを止めるのか止めないのかというところから、公務員改革を始めて欲しいです。勧奨退職で何人辞めると思いますか。国土交通省の職員6万2千人の中で900人程勧奨退職です。60歳にならないのに、辞めてくれるかと。そういうことを言わないと、新しい人を採れないようになっています。5年間で5.7%純減と言われればそういうふうになるのです。ですから、そういう人たちが全部天下り、OBがいるから悪いように色々と言われても、ではどうするのだということになると私は思います。そしてその人たちは、この世の中では大変優秀で有益、国家としても有用な人だと思います。そういう人たちが十分に働ける経験を活かせる、知見を活かせるそういうものを作ってあげなければ、私はこのシンクタンクは壊れてしまうのではないかと心配をしているのです。いろいろとそういう思いをしました。ですから、私が職員の方に申し上げるのは、あのTEC−FORCEの働きをあちらこちらでやって欲しいということです。それによって、国土交通省に対する見方はもの凄く変わると。総理が「いやTEC−FORCEで道路をとり返しましたね」と密かに仰ったことがあります。それほど機敏にやった、そして一生懸命やっている、優秀だ、他に代替措置がない、と言うぐらいまで、皆出来るのです。ですから頑張って欲しいと思います。

(問)国土交通省の職員は大変優秀で真面目であると仰いましたが、優秀な職員が集まっている大きな組織でなぜ不祥事が度重なって起きるのか、何か体質や根源的な問題等で大臣が内々に思われたことはありますか。
(答)やはり多くの人がおられる、6万人を超える1つのミクロコスモスです。そういう中には色々な人がいます。ですからそういうことを前提にこの組織、あるいは上の人の監督や心配りというものが必要だと思います。今回も色々な問題が起こった時に申し上げるのは周りで分からなかったのかどうか、変な動きだと感づいたらそれを知らせて欲しい。別にチクリでもなければ何でもないのです。そういうものが受け入れられるような投書箱等そういうものを匿名でもいいから知らせてもらって、そういうものが把握されれば徹底的に調べて見直しに進むというようなことが必要だと思います。これはどこの世界でもそうではないでしょうか。

(問)公明党との関係の話ですが、公明党の方が道路財源の見直しで、自動車重量税の暫定税率を引き下げろという主張をされていますが、もし大臣が退任されれば党に戻ることになりますが、その中でどういった形で主張されるのでしょうか。
(答)これからその税率については税制の抜本改革の時に検討するということが5月13日の閣議決定の中に入ってますから、その中で当然議論をします。私も党にいる時に、自動車重量税についてはずっと公明党のマニフェストをみて頂いたら分かりますが、検討するということは入っています。自動車重量税についてはこれは福田赳夫さんの答弁でやっているわけで根拠が若干少ないのと、そういうことがあって随分前からそれは言われている問題です。そういう問題を内部でよく検討して、私も議論には参加します。それで出て来たところでお話しをしたいと思っています。

(問)まだ確定はしてませんが、後任の大臣に望まれること、これだけはぶれないでやって欲しいというのはありますか。
(答)課題はもの凄くあります、気が遠くなるほどに沢山あります。新しい人が選ばれれば、引き継ぎを行う訳であり、その中で詳しく申し上げたいと思います。ただ道路については私は税制がどうなろうと必要なものは絶対に着実に整備をしていかなければならないと。これは国民の声だと私は思います。そういう意味でそれは引き継ぎたいと思います。

(問)まだわかりませんけれども再任されなかった場合は、8月8日から北京オリンピックが始まりますけれども、かなり何度も在任中、中国に楊元元さんに会いに行かれたと思いますけれども中国に行こうかなと思いますでしょうか。
(答)全く明日のことも考えてません。

(問)国土交通行政は非常に多岐に亘っています。午前中の会見でも色々思いを言って頂きましたけれども、特に印象に残っている出来事は何か、たくさんありますでしょうけれども、挙げてげて頂くと何でしょうか。
(答)やっぱり私は最初から言うように国土交通行政というのは国民の安全と安心です。そしてまた多くの子供や孫たちが自信と誇りを持てるような国造りをする、こういういことだと思います。そのように見たときに、今、地球が温暖化という大変な環境問題の中にあります。今この環境問題はどちからと言えば温室効果ガスの削減というところに焦点が当たっています。しかし、削減であってゼロにできない。2050年に半分にするということでも大騒動です。それまでは今排出している温室効果ガスの半分以上が出ています。その影響というのは必ずあります。どんなことになるか。IPCCのパチャウリーさんという議長の話を聞きましたが、その方が言うには、このようなことによる影響は数世紀に及ぶだろうと。数百年です。当面今世紀の末までに、降雨量と干ばつが地域によってはひどいものが起こると予想される。それから海面が上昇する。止められない。68センチは上がるだろうと。ここ2、3日の雨の降り方も異常です。1時間に100ミリを超えることなんてほとんど無かったんです。今はものすごく起こります。パチャウリーさんは、100年確率で考えていた考えていた河川行政を、20年、30年確率で考えないと対応出来なくなるということを仰いました。確かに石川県金沢市の河川増水については、別に破堤したわけではない。陸橋の部分を閉める暇がなくてそこから水が溢れたというようなこともありました。今までは考えられない話です。もっと自動でやらなければならない。安全・安心というものを考える上では東京もそうです。海面が上がってしまえばゼロメートル地帯は今よりも5割増しになります。名古屋もそうです。大阪もそうです。そのようなことを前提に国土交通省の行う社会資本の形成をどんどん削っていいものではありません。これをやっておかないと、ちょっとした台風とか地震、高潮、津波が来たときに大変なことになります。そのようなことを考えるとダムでもそうです。ダムは必ず一定の容量の水を蓄えてそこで止めることができる。計算ができる。ですから国土交通省の国民に対する安全・安心のための施策は、今の地球温暖化問題における緩和策です。温室効果ガスを少なくするということは勿論大事です。大事だけれど、それと同じようにそういうものに適応する。そういうことが起こったとしても我々が生き残ることが出来る、安全が守れる適応策を考えなければならない。考えるだけではなく実行しなければならない。実行するのは、日本では国土交通省です。私は、そういう意味で、社会資本の形成というものは、そういう方向に大きくシフトしなければならないのではないかと思っています。

(問)大臣は、国交省と合わせて海洋政策担当大臣も兼務されていますが、こちらについても一言、総括を頂ければと思います。
(答)我が国の海洋は、陸地面積の12倍、陸地面積37万7千平方キロメートルですが、447万?と世界で6番目に広い海洋を管理することが国際的に認められている。今まで古代から日本人というのは、恩恵を惜しみなく受けて今日がある。貝塚とか昔の古墳とか見たらわかるでしょう、そういうものの骨とか貝殻が沢山あります。そういうものを食料にしてタンパク源にして日本人というものは発達してきたということです。今後はメタンハイドレイドという次世代の燃料、エネルギーが日本近海には大量に埋蔵しているということが研究によって明らかにされました。もしこれを開発し利用出来るようになれば、資源国家です。日本は小さな資源の無い島国だと言われていたけれどもそうじゃない。資源国家です。希少金属だって海底にはあります。従いまして、海洋というのは、これまでも日本人に色々な大きな恩恵を与え続けてくれてここまで発展はしてきたけれども、また違った面で海洋というものを我々は見直さなければならない。私は10年以内にこの海底資源を商品化するような産業を育成してやれば、子供達は資源国家の子供さんになります。私はそういう夢を持っています。夢じゃなく現実なんです。37万7千平方キロメートル、世界で61番目の国です。小さな国ですけれども、何故それが447万平方キロメートルも持てるのか。離島なのです。その離島を中心に円を描く。私はこの前、南鳥島まで行って来ましたけど、南鳥島は周囲5.5キロメートルしかないんです。ここから1,950キロメートルもはなれている。そういうところにポツンとある島です。しかしそこに円を描きますと43万平方キロメートルもEEZを、経済水域を確保しています。日本の全部の領土よりも広い。そうゆう島を、離島を大事にしなきゃいけないし、我々はきちんと管理しなければいけない。しかし、十分に管理されてるとは思えません。海洋政策担当大臣になってから、離島へ沢山行ってきました。海洋政策は色々あります。海上輸送も大事です。輸送がなかったら日本人は生きていけません。そういうことで、外航海運、内航海運の振興ということも非常に大事です。海洋政策はやることが沢山あります。

(問)今日の閣議で辞表を提出されたわけですけども、この後留任ということも可能性としてはあるわけですけれども、率直に辞表を提出されたときの気持ちをお聞かせ頂ければ、ご感想といいますか。
(答)こんな浅学非才な私がここまでやらせて頂いたことは、幸せだったなあという感じですね。もう晴れ晴れとした気分です。明鏡止水というかな、そんな感じです。

(問)1年10ヶ月の任期をご自身で評価すると何点くらいになりますか。
(答)さっきも言いましたけれども、落第点ではなかっただろうけれども、私の時に道路特定財源を失ってしまいましたからね。これは相当減点になりますね。そう思ってます。一生懸命やったけれども防げなかったです。そんなことを言ったら、また怒る人も出てくるかもしれないけれど、そうではないんです。道路を造るっていったら、ものすごい大きな金と時間がかかるんです。安定的な財源が無かったら中々着手出来ないです。田 中角栄先生がお作りになったらしいけれども、私の間にこれが無くなる訳です。ただ、私は先程も申しましたけれども、税制がどうなろうとも必要な道路は造っていかなければ、この国の国際競争力とか、あるいは成長力を引き上げるんだとか言ったところで、あるいは地方の格差を無くすんだと言ってみたところで、先程も言ったように、道路というものがいかに大きな経済効果があるか、そういうことを知ってるから地方は造って欲しいということを仰っているのです。そのように私は思っております。そういう道路特定財源が一般財源化しますから、その中で必要と判断される道路は着実に整備するという予算を獲得していくことはなかなか大変だろうという感じは致しました。本当にありがとうございました。また今後とも宜しく。