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大臣会見

谷垣大臣就任会見要旨

2008年8月2日(土) 14:24 〜 15:17
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

 谷垣禎一です。今日、総理から国土交通大臣ということで補職ということをして頂きました。国土交通大臣と観光立国担当大臣、それから海洋政策担当大臣を仰せつかりました。大変幅広い仕事を所管している役所に参りまして、政調会長として党の国土交通部会での議論は報告を聞いておりましたので、ある程度分かっているつもりでおりましたら、これはなかなか大変な所に来たなあと。懸命に務める所存です。クラブの皆さんには色々お世話になると思いますが、どうぞ宜しくお願いを申し上げる次第です。どうぞ宜しくお願いします。後は、ご質問を頂いて答えるということでいいですかね。

質疑応答

(問)今、広い範囲だと仰ったんですけど、改めて、抱負と社会保障費の獲得等の問題で、例えば道路予算の削減等公共事業費の削減とか言葉は悪いのですが、国土交通省の権益と反するような部分もあると思うのですけれども、その中でどうリーダーシップを発揮していかれるのか、そういった辺りをお聞かせください。
(答)国土交通省という役所がしている仕事は今申しましたように大変広い仕事ですが、要するに我々日本国民は日本の4つの島を中心とする国土で生活している。私の思いとして、日本という国は歴史も伝統も豊富なものがありますし、四季折々の自然にも恵まれた所で暮らしているわけですが、国土交通省の仕事は、総じて言えば、この国土をきちっと守り、そして我々の子孫にまで美しい、そして住み易いこの国土を伝えていく、こういうことではないかと思うんです。ですから非常にやりがいのある仕事を頂いたと思っています。私はいわゆる2世議員ですが、昔、私の父が役人を辞めて衆議院に立候補しました時、当時私は高校生でしたが、「親父何故選挙なんか出るんだ、国会議員、政治家になるんだ」と聞きましたら、私の地元は由良川という大変荒れる川のある町ですが、由良川の治水をしっかりやって地域の人達の暮らしを安全なものにしたい、安心なものにしたい、と父は答えました。それを今思い出しています。そういうことで非常にやりがいがある仕事だと思っておりますが、他方、昨今は色々な問題が、これはまた非常に大きな役所であるが故の、現場を沢山抱えた役所であるが故のいろんな問題点とも言うことができると思うのですが、国民の目から不信を買うようなことがいくつか起こっておりますのは大変残念なことだと思います。行政というのは、国民の信頼があって、本当にしっかりした仕事をしてくれるんだなあと国民が思って初めて意義のある仕事をちゃんと行うことが出来る。そういう意味で今役所を挙げて、しかも大臣である私が先頭に立って国民の信頼を取り戻して、本当に胸を張って仕事が出来るというようにもっていかなければならないと思っております。国土交通大臣というだけではなくて、観光立国担当大臣としても、人口が減っていく時でもありますから、海外の力をうまく利用しなければ日本の成長は望めないという中で、ビジット・ジャパン、YOKOSO!JAPANということをやっていますが、これは非常に日本にとって大事な仕事だと思います。まだまだ、しかも発展の余地がある仕事だと思います。それから海洋政策担当大臣ということでもあります。今計画を作ってそれを実行していく段階にありますが、大陸棚等の問題も調査しているところですけれども、これは国益とも非常に密接な関係があるということでこの分野も非常に重要だと思っています。それだけに、私も非才に鞭打って頑張りたいなと思っている次第です。

(問)何故、谷垣さんは今回国土交通大臣に選ばれたとご自身ではお考えなんでしょうか。
(答)総理からお電話を頂いた時に、総理はあのように上品な表現の方ですから、総理の表現通りだったか明確に記憶していないのですが、私の受け止め方は、「谷垣さん、道路特定財源の「落とし前」をつけて、「落とし前」なんて下品な表現は多分使わなかったと思うのですが、私の印象としては、政調会長としても関与した仕事だから道路特定財源を一般財源化していくという道筋をちゃんとつけてと、こういうふうに総理からご要請を受けたと思います。勿論、今申し上げたように、この私の仕事はこれだけに留まるものではありませんけれども、この間の国会の非常に大きな課題であったこの一般財源化という問題に道筋をきちっとつけていくということがまず必要なことかなと思います。

(問)その関係において、昨日の就任会見で大臣が真に必要な道路を絞り込むということを何度も仰ってましたけれども、それは道路中期計画のことを指している、と私は理解したんですけれども、今後絞り込み作業はどういった形でやっていかれるおつもりなんでしょうか。
(答)これは新規需要予測等々もやらなければいけないわけですし、本当に必要な道路は何かというのは国土交通省の立場としても勿論議論しなければならないわけですが、同時に、地方の声なり、地方の見方というものをどのようにこなしていくかということもなければならないだろうと思います。ですから、その辺りの議論をしっかりこれからやっていくということがまず必要なんだと思います。

(問)その関係で言うと、昨日の会見でも「地方の道路財源をどう確保するか議論していかなければならない。その中で道路特例法の見直しも必要だ」と仰ってましたけれども、例の臨時交付金のあり方も含めて地方の道路整備費をこれからどういった形で見直していくのか大臣何かご所見が政治家としておありでしょうか。
(答)よく言われますように、国の方は道路特定財源、いわゆるオーバーフロー等と言って、そういうものをどのようにしていくかという議論がずっとありました。そういう議論が辿り着いたところが一般財源化していけということになったわけですが、国の意向はそういうことですが、地方はオーバーフローという議論とはまたちょっと違う状況に基本的にあるので、地方で道路を造っていく時に特定財源だけでなく、いわゆる地方の一般財源からも入れてやっているという状況がありますから、そこが全部無くなってしまうと、それをまた国から地方に持っていってやっていく仕組みが法律で出来ているわけです。それが全部なくなってしまうとたぶん地方は非常にお手上げの状況になると思いますのでそれに変わるものをどうやって作っていくか、これは色々技術的な仕組みもあると思います。ある意味で言えば、むしろ、これこそが特定財源の特定財源たる所以であったようなところもありますので、一般財源化の議論とは論理的には矛盾するところが無いわけではないと思いますが、地方の財源をやっぱり今の状況ではある程度確保していく必要がある、これはおそらく大方のお声だろうと思います。私もそう思っていますし、地方関係者もそう思っていると思いますので、やっぱりある程度安定性のある仕組みを作っていく、考えていくことが大事なのではないかと思っています。

(問)先ほどのご発言の中で国民の信頼をリーダーシップを発揮して取り戻したい、とありましたけれども、前の大臣の冬柴さんも繰り返し取り戻したいと言いながら不祥事が相次いで、結局在任1年10ヶ月の中で11ヶ月分の給与を自主返納するという事態になったんですけれども、どのような形でこうした負の連鎖を断ち切って国民の信頼を取り戻す、どういうリーダーシップの発揮の仕方をお考えになっているのかをお聞かせください。
(答)談合に関しては既に訴訟も始まっていると聞いてます。色々な無駄遣いに関して冬柴大臣の下でも4月の何日でしたか、道路関係のものはおやりになりました。そういうものはきちんとフォローアップして、しかも中でこっそりやらずに、オープンにしていく。色々な物事の決定の仕組みをオープンにしていくことが第1ではないかと思います。国土交通省の仕事というだけではなく、政務調査会長として、色々役所の仕事振りをある程度見てきた訳ですが、有る意味で好循環、悪循環というものがあるのだろうと思います。悪循環というのは、昔は多分役所の方々は、最後は政治が守ってくれると思っていたのではないかと思います。ところが今は、若い政治家の方々は役人をバッシングしなければ支持を得られないということを正面から仰っる方もおります。そうしますと、政治と役人の関係がだんだんギスギスしてきて、我々からしますと、他の閣僚の担当の役所のことは言ってはいけませんが、社会保険庁等々の問題でも、何故もう一歩前に出て仕事をしないのかなと思ったことがありました。ただ、最後は守ってくれるという信頼感があれば一歩前に出て向こう傷を負っても多少失敗しても良いけれども、徹底的にバッシングだということになると、一歩前に出て仕事をするより、指示されてから動いた方がという「指示待ち」的な心理も出てきているのではないかと思います。私は物事の決定を出来るだけオープンに、それからフォローアップ等々もオープンにやっていく。そういう透明度を高めていくということが一番大事だと思いますが、もう少しやっぱり行政なり、公務員が一歩前に出て仕事をしよう、指摘されてようやくやるよりも、一歩前に出てどこに問題があるのかということに取り組めるような気風を作っていく。そろそろそういうことを考えませんと、上手くいかないのかなという気持ちを持っています。

(問)無駄遣い等で、党にいらっしゃった頃に公共工事等の改革をさらに進めるようにと国土交通省に仰ったことがあったと思いますが、今回、国土交通大臣になられて、無駄遣い、公共工事等の改革についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)それは、先程申し上げた、冬柴大臣の下でやられたことをフォローアップして、出来るだけオープンにしていくということもありますし、それから、党の方でも無駄撲滅チームというのをやっていまして、かなり色々な議論もありました。特に今年の概算要求基準の中にも政策の棚卸し等をやって、新たな調整枠を作っていこうということもあります。そういうものも積極的に活用していくためには、どのようにやったら無駄なところを省いていけるのかという徹底的な努力が必要だろうと思います。新規に施策を作るときは、割合皆張り切って良いものを作ろうと努力すると思います。ところが、何年か経つと、惰性になるというと言葉が悪いですけれども、最初出発した時の理由も段々薄まってくることがあります。それから、やっている途中でやり方が変わることもあります。何年か経って、果たして続ける必要があるのかどうかとか、そういうことをよく考えながらやっていくということは、相当大きな効果が出てくるのではないかと思います。

(問)無駄遣いの関連ですが、一つの要因として、巨大官庁であるが故に出先機関に対して監視が及ばないという問題が言われていますけれども、出先機関の改革とかについて、考えはいかがでしょうか。
(答)「出先機関の見直し」というのは、既に第二次報告でやっていくことになっています。それをしっかり議論していかなければならないが、特に二重行政を廃止するという観点から、徹底的にやっていく必要があるのだろうと思います。ただ、昨日も申し上げたかと思いますが、もう一つは国土交通省の仕事のやり方として、地方とよく意見交換しながら、具体的に道路を造るとか河川を改修するとかいっても、地方の実情、地方の仕事振りと無関係にやる訳にはいけませんから、その辺の連携関係を見失って、「国土交通省は霞ヶ関の頭だけで物を考えて、地方の実情なりに配慮しない役所になったな」、と言われてしまっては、元も子もないということがあります。その辺のところをよく睨んで、二重行政を廃していくというような考え方が必要なんだと思います。

(問)初めての閣議で総理から急激な原油高対策をやるようにという指示があったと思いますが、国土交通省として様々な公共交通機関を所管をしている立場として、航空会社とか離島航路とか色々な影響が及んでいると認識していますけれども、この辺どのようにお考えでしょうか。
(答)原油高対策というのは、我が役所に限らず、これからも対応をしなければならない非常に大きな課題だと思います。国土交通省は今仰ったような燃料の高騰によるトラック運送業をどのようにしてくのかとか、航空業界がどうなのかという問題もありますし、色々な公共事業等で資材価格の高騰といったものをどう適切に転嫁して反映していくかという問題もあります。今、川下デフレみたいな時ですから、川上インフレだけれども川下デフレみたいなところで、転嫁するのが非常に難しいというのが、前のオイルショックの時と比べて今回の特色で、前のオイルショックの時は全体が伸び、賃金も伸び、そういう中でオイルショック分を吸収したという面がありますが、今回はそれをし難いというというところに悩みがある訳で、やはりサーチャージ制みたいなものをどう有効に利用していくかとか色々なことがあると思います。更には、そういうものが全部転嫁された時には、今度は国民経済全体でこなしていかなければいけない訳ですが、そういう中で、例えば高速道路料金をどうしていくかという課題もあるのだろうと思います。国土交通省だけで全部出来る訳ではありませんが、非常に重要な課題ですので、これこそ機動的に対応していく必要があるのではないかと思います。

(問)公共事業費なのですが、事業費としてはピーク時に比べて数字上は半分以下になっていて、来年度は3%に加えて2%を削ると。そういった公共事業費の今の水準をどのようにご覧になっているのかということと、来年度予算編成にどのような姿勢で臨まれるのか、お願いします。
(答)確かに、かつて公共事業は景気の下支えを担ってもらおうということもあって、非常に多い時期もありました。ずっとこのところ、シーリングをかけて来年に向かっても3%シーリングでやる。そういう中で出来るだけコスト削減の努力をしていくことは、引き続き必要なことだろうと思います。ただ、考えなければならないのは、公共事業が地方経済を下支えするとか、地方の総需要との関係でどうなるかという役割は、全く果たす必要が無くなったのかと言えば、もちろん必要なインフラを作るということですが、今もやはりそういう面で若干期待がない訳ではないだろうと思います。特に、地方にとって本当に必要な産業が全く壊滅してしまうというのも困るので、色々な点から考えていかなければならない面があります。大きな流れは、そういう中でコスト削減の努力をしながら、3%シーリングのようなものを果たしていくということが必要ではないでしょうか。

(問)重点化枠について、国交省としてどのようなスタンスで取り組んでいくのでしょうか。
(答)まだ、今までどのように検討してきたかについて十分聞いていないのですが、自民党の政調の中では、私の代理をして頂いた園田さんが中心になって、無駄撲滅の中で、つまり、さらに深掘りをして新たな調整枠を作るための財源をひねり出そうとして努力をしていました。その中で、かなり国土交通省の事務方との調整なり色々なこともあったと思いますから、先程申し上げましたが、政策の棚卸し、果たしていつもやってきていることをまたこれからもやるべきなのかどうかということを検討していくことになるだろうと思いますが、今、どういうことがある程度頭の中にあるのか、これからよく事務当局に聞いて私も研究したいと思います。

(問)道路の話ですが、「真に必要な道路の見直しを進めたい」との認識ですが、そうは言っても、結局見直した結果、同じ結論でしたということも十分あり得ると思いますが、思惑として、10年で59兆円という今掲げている中期計画の大きな数字というのは、減らしていく方向に向かうべき、あるいは向かいたい、というふうに現時点では考えていらっしゃるのかどうか。
(答)中期計画をどのように作っていくかという中で、私も頭をクリアにしていかなければいけません。私、実は、真に必要な道路をどうリストアップしていくかというような具体的なことは、いわゆる道路族やそうした立場でやったことがありませんので、一からそういう勉強をしていきたいと思いますが、59兆円という数字は、どちらかと言えば、特定財源制度があって、その特定財源制度、特に暫定税率制度等を支える思想的根拠ということもあったのだろうと思います。つまり、特定財源制度があって色々な物事を考えていた時代から、それを一般財源にしてやっていくということになりますと、つまり他の公共事業の考え方とある意味では共通になってくるのだと思います。59兆円という数字は、やはり特定財源制度と表裏一体の関係だったと思います。だから、その辺を含めて真に必要な道路は何なのか、それは一体どれくらいの金額になるのか、というのを勉強していかなければいけないと思います。どうも今まで効率性というか採算性という点に重点を置いて議論されてきたことが多かったと思います。確かに昔の道路公団制度等、要するに有利子の金を借りて造るということをやると採算性というのが背景になければならないのは当然ですから、採算性という議論が一つあるのは私は当然のことと思います。しかし、もっと大上段に振りかぶって言えば、「全ての道はローマに通ず」と言いますが、ローマで道路を造っていたのは採算性をとる為だったかというと決してそうでは無いのであって、やはり国全体の、先程申し上げた言い方ですと、国民の安心・安全や国の大きな発展の方向等そういうものを考えていかなければならない。真に必要な道路と言う時の考え方というのは、もう少し広い観点から捉える必要があるのではないかという気持ちがあって使っている文言です。

(問)道路の関係で、なかなか一般論だと難しいと思いますが、例えば、大臣の地元の京都縦貫道はまだ完成していませんが、あれは真に必要な道路だとお考えですか。
(答)私はそう確信して推進しています。例えば、舞鶴という港があります。環日本海時代と言われますが、この港をどう活用して発展させていくかということを考えると、どの港もそうですが、自分の港の後背地は何なのかということが必要だと思います。舞鶴という港を考えると、後背地というのは京阪神というふうに考えるべきなのでしょうが、やはり京都府にある舞鶴という港を考えると、京都には色々なベンチャー企業等があります。そういうものとの連携を考えるということになると、やはり今の状況で言いますと、丹波町と和知町との間は一般道に下りなければいけないという形になっている。例えば京都の企業に行って、「舞鶴港でこういうふうにやりたいおたくはその沿海州に色々とあれがあるんだったら是非舞鶴を利用して下さい」と言っても「道路がね」となってしまいます。今は、近畿自動車道、昔は舞鶴線、今は敦賀線と言っていますが、これがありますから大阪や神戸とは結び易いのですが、やはり、京都にある港としては、近畿自動車道がなければ港は考えにくいということがあります。それからもう一つ、ご多分に漏れず、京都全体では人口10万人当たりの医師の数は他の都道府県に比べて決して低くないとなっていますが、京都北部については、実際、お医者さんは京都市内に固まっておりまして、私の地元の町は人口8万人程の町ですが、一時は産婦人科医がいなくなりまして、そういうようなことをある程度、安心して一つの生活圏を作るためにも必要な道路だと思います。それからこの役所では、YOKOSO!JAPANというのに非常に力を入れていますが、私は人口が減っている中で、バブル期の経済成長による内需拡大の後、小泉政権の時代はグローバル化の中の外需に頼って経済を回復してきた面があります。どうもサブプライムローン問題の発生以来、アメリカの景気もどうなるのか、中国もオリンピック後どうなるんだということも考えますと、内需拡大というのは人口が減ってくるとなかなか難しい。そういう中で、インベスト・ジャパンとか、ビジット・ジャパンというのを上手く使わなければいけないと思います。その時に、京都の持っている観光資源をどう使っていくか、京都はもっと頑張ってビジット・ジャパンやYOKOSO!JAPANの何というかコンセプトを広げていく仕事を我々の地域でやらなければいけないと思いますが、そういう観光資源を活用するという意味でも、私は極めて意味があるのではないかと、やや我が個別の選挙区的事情を申し上げましたが、以上のように思っています。

(問)大臣から仰いましたが、舞鶴道を通って大阪・神戸に抜ける道が出来ているわけで、京阪神一体で考えたら、本当に必要な道路かと考えられますが。
(答)もう一つ申し上げると、環日本海、日沿道というのがあります、日本海側にずっと通っていた道路です。京都府の北部はああいうものが抜けています。それは何故かというと、京都から宮津に向けてそういう道路によってしようという考えから抜けています。ですから、やはり太平洋側あるいは山陽の道路も必要ですが、日本海側の道路も私は不必要だとは思いません。そういうものに近畿だけで考えて、京阪神ということを考えると、それは神戸・大阪と繋げられれば、名神もあるではないかということになりますが、どうもそれだけなのかなという気がします。すいません、我が選挙区的事情の話を申し上げて。

(問)そうしますと、前大臣は無駄な道路は無いと仰ってましたが、一般論として「必要のない道路」とはどういった道路でしょうか。
(答)「必要のない道路」ですか。必要のない道路を一般的に言うのは難しいですね。しかし、例えば京都縦貫自動車道は今のような考え方の下に造ろうというふうになっているわけで、それは例えば全く過疎地であっても、過疎地であるが故に必要な道路というのもあるかと思います。もう少し一般的に言えば、あまり似たような道路が沢山通ってこれもあれもいるのかね、というのはあるかもしれません。そこら辺はよく見ていかなければ行けない点だとは思います。

(問)分権の関係で道路と河川についてお伺いしたいのですが、国から都道府県へ直轄国道と一級河川を移管する際に、地方の方からは受けたはいいが財源も人も来ないという状態では、全く何のために受けたのか分からないと、かなり疑心暗鬼が広がっていますが、この点についてどうするべきとお考えですか。
(答)私は疑心暗鬼の気持ちというのも分からないわけではないです。一級河川、また直ぐ我が地元的なことを言って恐縮ですが、由良川という川は京都府内を流れている川ですから、今度の見直しの中では対象となる川になるんだろうと思いますが、非常に荒れる川です。私の地元の町は堤防神社というものがあり、堤防自体がご神体になっているということは、どれだけ先ほど私の父も国会に出る時に「その川を治めたい」ということで出たんですが、どれだけその水害に苦しんできたかという、全国にいくつか似たような川があるわけですが、そのうちの1つだと思います。結局京都府からして見れば、それは全部京都府でやってくれと言われてもお金の無いところではなかなか出来ない。これは私はそうだと思います。その川の流域の住民の殆どが反対なのは、やはりいざとなったら国のお金がいるのではないかと思っているからだと思います。それから、権限の委譲についても今度の岩手・宮城地震が起き、まして相当色々な問題があるわけです。本当に岩手県なり宮城県だけであの河川を管理していくためのノウハウ、人材を持てるかというと、例えばその人材、今国が持っている人材を岩手県に持って行けと言うだけで全部解決出来るかというとそうでもないと思います。各都道府県がそれぞれ持ったらなかなかノウハウの蓄積も少ないということもあるかもしれません。だから、非常にここが根本的に難しい問題だと思います。ただ、これはそうはいってもその議論をやっているとなかなか進まないかもしれないと私は思います。ですから、それが無いと駄目よ、と一般論でやるよりも個別の河川で、この河川はどうだろうというような具体論を進めていかないと、今のような一般論でいくと一歩も進まなくなるのではないかという思いがございます。

(問)8月12日は日航機墜落事故で遺族らが御巣鷹山に慰霊登山する日です。前の大臣は70歳を超えたご高齢でした。ここ最近、大臣がご一緒に慰霊登山されたという例はありません。大臣はどうお考えでしょうか。
(答)御巣鷹山の下の上野村には慰霊碑がございますが、昨年は上野村に参りました時にその慰霊碑を遙拝して参りました、昨年の8月です。今年どうするかはまだ国土交通大臣になったばかりで、日程もよく分かっておりません。どういう時間があるか少しよく見て、出来ることなら私も一度あのような惨害のあったところはどのようなところか見てみたい気持ちはございますが、まだそういう日程がとれるかどうか定かではございません。

(問)2点あります。1点目は統廃合が論議されている北海道開発局の問題に関しての基本的なスタンスと、あと、延伸問題が出ている北海道新幹線新函館〜札幌間の基本的な姿勢をお願いします。
(答)まだ北海道開発局の問題については、十分勉強する暇がないので、固定的な結論を持っているわけではありません。あのような不祥事が起きたわけですので、その原因なりその事実関係を徹底的に究明して、再発しないように持って行くことが第一なのではないかと思いますが、その上でどういう体制が一番ふさわしいのか私自信も勉強したいと思います。それから新幹線の問題ですが、整備新幹線の問題は私自身は昔から青森で止まっていた時期、岩手県で止まっていた時期、色々な時期がありますが、やはり青森までとか、新函館までというのは私は基本的には中途半端だと思います。やはり、札幌まで歯を食いしばってやると。九州新幹線の方も、今博多から新八代までやっているんでしょうけど、歯を食いしばってやるというのがやはり必要だと思います。しかし、それはそうですが、何事も先立つものが無い中で、行け行けどんどんとラッパを吹くわけにもいきません。今も実際に前倒しで建設資金として着工部分をやっているわけですから、なかなかその財源というものを見つけ難い状況にあるということは事実で、今一生懸命議論して頂いている訳です。それからやはりもう一つ考えておかなければならないことは、資材価格が最近は相当高くなってきておりますから、着工部分をどうきちんと計画通り進めていくかというのも相当問題が色々あるのではないかと思います。そういった全体を見て考えていかなければならないのだろうと思っています。

(問)北海道開発局の問題ですが、現在地方分権改革推進委員会の中でも縮小ですとか北海道局自体も地方整備局に格下げにする等の話が出ていますが、この辺りのスタンスは、話し合われている委員会の中の状況を追認するというか、どういったスタンスなのかお話し下さい。
(答)先ほど申し上げたことの繰り返しですが、そこはまだ明確な、こうだというスタンスがあるわけではありません。勉強してまたお答え出来ればと思っています。

(問)3点ございます。1点目がまず道路の話ですが、10年で59兆円という計画ですが、大臣の話を聞いていると、減らすのかそれとも必要な道路は必要だと言って、そのまま維持するのか、方向性がちょっと見えにくくなってきた感じがしますが、確認ですがこれは減らすという方向で間違いないでしょうか。
(答)方向性が見えないと仰いますが、私は一般財源化していくという事の意味は、長い時間を、今すぐ、1年でどうとかそういう話ではなくて、たぶん何年かもうちょっと中長期に時間をとってみると、ハードからソフトへということが進行していたというイメージで私は考えているわけです。つまり、今までの道路整備計画が全部無駄であればドラスティックになるでしょう。だから何が無駄か、何が必要か不必要かということをきっちり洗い出す作業、予めこうだということではなくそういう作業をきちんとやって、地方の考え方もよく取り入れて、そういうものを造っていく中で自ずと姿が現れてくるのだろうと私は思います。大きな流れはおそらくそういう、道路特定財源を一般財源化しようということになってきたのは、ある程度整備が進んできた公共事業、一方でこれから社会保障等々のソフト事業が必要になってくるだろうという認識の中で出来てきたわけですから、大きな流れがそういうふうになることは間違いないだろうと思います。因みにちょっと脱線して言わせて頂ければ、私は消費税、社会保障目的税ということを言っている1人でございます。私の夢はいつか消費税を、社会保障、目的税にしてやったけれども、もうこんなに社会保障に充てる必要はないのではないかと、硬直化するから、一般財源化せよという日が何時来るかなあという日を夢見ているわけでございます。

(問)2点目と3点目ですが、2つめは、今度一般財源化等、色々と財務省と折衝することが多いと思いますが、元財務大臣として、財務省と共に話し合いを進めていくかというスタンスの話と、あと3点目が昨日の会見から含めて空港の話、外資規制や羽田の国際化、あとタクシーの規制問題、そこら辺のスタンスを。
(答)一杯ありますね。何でしたっけ。まず、財務省との折衝のスタンスですか。これは、国土交通省として、やっぱり基本的に固めなければならないことは、さっき申し上げた事の繰り返しでありますが、必要な道路は何だということをきちんと理論的に整理をして、国土交通省が自分だけの考え方でやるというわけではなくて、地方の声もよく聞きながら必要な道路は何なのかということをきちんと整理し切るという所が無ければ、その上で財務省だってああいう立場ですから、一般財源化するといってもなかなか税収が減るということは辛いという立場もあるでしょうし、共通なところもあれば相反するところもあるわけでございますが、我々の基本的な立場はやはり必要な道路は何かということを明快に把握していくということにあるのではないのかなと思います。それから空港規制ですが、これは私が党におりました時も、太田誠一さんの委員会でいろいろ議論をして、なかなか太田さんもまとめるのに骨を折られて、少し政府内で検討しようということになっているわけですね。ですからそこでの検討を、これから始まるところだと聞いてますので、その検討を私もよく見守りたいと思っておりますが。先程人口が減る中でビジット・ジャパンとかインベスト・ジャパンとか、小泉内閣以来の大きな方針、基本的方向はやはり貫かなければならないものだろうと思いますが、ただ、やはり安全保障上の観点とか、Jパワーの問題でもいろいろな議論がございましたが、基本的なエネルギーの問題とかそういうものをどう守っていくかということも一律に考える必要はないので色々な手法があると思いますが、その辺をよく勉強していくということではないでしょうか。タクシーは、かつてかなり固定的な制度をとっていたので、弊害がいろいろ指摘されていたことも事実でございます。ある事業者が投資する能力が有るのになかなか投資が出来ないとか、そういうようなこともありましたので、その反省は今も基本的に踏まえて、色々なことを考えていくということが必要じゃないかと思います。他方、問題点も色々指摘されている訳で、地域によっては全く過当競争、過剰競争になって、ドライバーの収入もとても食べていけないような所得しか得られないような地域もあって、サービスも低下するというような地域があるわけですので、その辺りをよく考えながらやっていく必要があるということではないでしょうか。

(問)また道路に戻るのですが、真に必要な道路は何かという理論的な整理をしっかりしたいというお話ですけど、基本的に道路局というのは道路を造るというのが仕事の部局であって、そういうところを中心に議論をすればそれはそれで自分達の事業を正当化する論法の確立ということになると思います。自分たちの仕事そのものが道路を造るということですから。一方、これまでの道路の必要性、色々もめてる議論のなかで、例えば地方ですとか、冬柴さんも仰ってましたけれども、例えば、ガードレールがまだ無い通学路がこんなにあるとかですね、車がすれ違えない道路もこんなにあるということを道路整備がまだまだ必要な論拠にするのですけれども、これを逆に言うと、これまでそういうところの整備を怠ってきたということの証左であると思います。そういう意味で言うと、新規に造るということから、これまである道路を使い易くしていくということに大きく舵を切るですとか、そういった部分の定義付けを、道路局を中心にしっかりしていくというよりは、谷垣さんがいらっしゃったことで、谷垣さんが強烈なリーダーシップをとって、もっと舵を強烈に切るくらいのことが必要なのではないのかというふうに期待するのですが、そこを重ねて、ちょっと同じようなご質問ですが。
(答)今仰ったことは、必要な道路というのは新しく造るという所に傾きがちだという事でもあるのかもしれません。ただ、ある程度道路整備ということは進んできたわけですから、今まで造ってきた物のメンテナンスや使い勝手をどう良くしていくかというのに、だんだんウエイトが移っていかなければならないのだろうと私も思います。だから、その辺りはよく見て、資源配分を適切にやっていかなければなかないということは当然ですから、私も道路局には資源配分の適切性、適正さというものを更に意識して仕事をしてもらいたい、という指導をしたいと思います。ただ、もう一つ、やはり欠点も指摘されるのですが、技術者の意欲という物を全く無視してよいとは私は思いません。それがあまりにもオーバースペックなものを造るとかの弊害は指摘されます。だから、そういうところは十分注意していかなければなりませんが、何か新しい可能性を創っていこうという技術者の努力、これは道路に限りませんけど、そこはある程度刺激していかないと良い物は出来ていかないという面もあるのだと思います。何を言ってるかお分かりかと思いますが、何か色々あれもこれもと言うと方向性が見えないと言われちゃいそうですが。私はそういう意味で資源配分、段々メンテナンスとかそういうところに持っていかなければならないという、さっき仰った意味だとすれば私は全く同感でございます。

(問)59兆円のその方向性が自ずと見えてくると言うことだったのですが。
(答)59兆円っていう数字を、道路特定財源制度が無くなった時に、つまりこれはここからの大きな議論だと思いますが、他の計画では数字が入らなくなって、むしろ定性的な目標にしてるということがありますね。だから今あるのはこの59兆円とそれから科学技術基本計画の25兆円くらいではないでしょうか。だから数字を入れる必要があるのかないのかということも議論していく必要があるのではないのかと思いますけれども、今のところ、このシーリングのすう勢が続けばそれは相当程度低くなっていくということはある訳で、このシーリングをどこまで続けていくかということはまた別個にあるのだろうとは思いますが、今のシーリングの情勢、すう勢を考えていけば、ある意味では圧縮される傾向にはあるのだと思います。

(問)座右の銘が「いつも口笛を吹いていこう」という。
(答)色々座右の銘もその時都合が良い物をポケットから取り出しますから、色々なのがあるのですけどもね。
(問)現時点での座右の銘等好きな言葉を教えて頂けますか、その意味も。
(答)意味ですか。今一番都合の良いのが何だか忘れましたけれども、「いつも口笛を吹いていこう」というのはですね、あんまりしょぼんとしたってしょうがないじゃないかと。苦しい時も眼を上げて行こうぜ、と言う意味で言ってるので、今、国土交通省も色々苦しい時だと思いますから、あんまり口笛ばっかり吹いてると叱られるかもしれませんが、やっぱり眼を上げて先を見て前向きな気持ちで行こうぜというのは必要なのではないでしょうか。

(問)趣味と休みの日とかは。
(答)趣味も色々ありますけれども、晴れていれば、そして気温があまり38度とかにならなければ自転車に乗るというのは今一番やっている事でございます。
(問)都内も走られるのですか。
(答)まあ都内も走ります。
(問)地元も走られる。
(答)そうですね。選挙区に帰って走ってますと、有権者に遊んでいる風に思われても困りますので選挙区に帰った時は比較的仕事をするというスタイルでやっています。
(問)どんな自転車ですか。
(答)私の乗っていますのはロードレース用の自転車です。他にもツーリング用の自転車とかいくつかありますけれども、今、主に乗っているのはロードレース用の自転車でございます。