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大臣会見

谷垣大臣会見要旨

2008年8月29日(金) 10:41 〜 11:02
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)今日10時から閣議がありましたが国土交通省に関係するものでご報告することは特にありませんでした。私からは以上です。

質疑応答

(問)総合経済対策がまもなく公表になるかと思うのですが、国土交通省絡みでも高速道路料金の値下げ等色々あるのですが、可能な範囲で具体的にどのような対策があるのかということと、先日21年度予算の概算要求が公表されましたけれども、18パーセント増の6.9兆円ということで予算の額、公共事業の額等に対して大臣自身のご所見を伺えればと思います。
(答)まず総合経済対策ですが、これは政府・与党協力して調整を進めてきたところです。国土交通省としては2つの観点がありまして、一つは原油価格高騰で大きな打撃を受けている国民、業界がある訳です。そのような所に関しては即効性のある対策を出していかなければならないということだと思います。それから、地震や集中豪雨等に対する緊急対策は直ちに効果が見えてくるという必要があると思います。そのようなどちらかというと即効性が求められる施策が一つ流れとしてあります。もう一つは原油価格高騰と言いましてもある意味で構造的なものがある訳ですから、そのような構造変化、それから低炭素社会、このようなものに日本の経済体質、社会の体質を変えていくと、ややこれは中長期的な施策だと思いますが、そういったもう一つの体系があるだろうと思います。この2つを併せて推進していくことが安心実現のための総合対策とういことになると思います。今仰った高速道路ですが、高速道路料金の引下げというのがまず一つポイントでして、原油高騰への対応に重点化するということで高速国道それから本四高速、これを対象にしまして、一つは物流効率化のために深夜割引を拡充していこうと、それから夜間割引時間帯の拡大と、こういうことが一つあります。もう一つは地域の観光振興も考慮しますと地方部における休日の昼時間帯の割引の導入が出来ないかということで指示をして検討を進めてきました。具体の内容を言いますと、まず実施時期ですが、10月を目途に開始して約1年間これをやろうということです。予算規模は約1千億円、平成20年度予算を活用して行うということです。割引率はメリハリをつけて半額程度に出来ないかと、これは最終的には高速会社が決めることですので、高速会社等にそのような検討をお願いしているということです。今開始時期は10月を目途にと申しましたけれども、やはり今のような状況の中で国民の期待も大きいものがあるのではないかと思いますので、社会実験等で9月の中旬位に前倒しをするように、そのような工夫を検討するように事務方に指示をしたところです。今申し上げたのが高速国道、本四高速が対象でありますが、もう一つ、首都高速、阪神高速ですが、これにつきましては距離別料金が今まで検討されてきた訳ですけど、導入時期は当面延期する、そして引き続き両高速会社と調整していこうということで当面は延期するということにしました。一応総合経済対策に関しては以上です。もう1つは概算要求を本日財務省に提出するということで今まで整理をしてきましたが、なかなか例年にも増して厳しい状況だと思います。地域経済の色々な状況であるとか、あるいは自然災害等々ありますので、自然災害の被害状況等こういったものを踏まえると、我々の役所が取り組まなければならない課題というのは重要性を増しているのではないかということです。そこで、概算要求については3つの柱立てで、1つは安心・安全で豊かな社会を作っていこうという柱が第1です。それから2番目は、地球環境時代に対応した暮らし作り、持続可能性といったものを考えていこうというものです。3番目は、地域の活力と成長力の強化、この3本を柱として事業施策を重点化していこうということです。もう1つは、政策の棚卸しで無駄の排除を行うということで今までやってきましたが、少なくとも、これを1,125億円、国土交通省の中でやっていこうということで、メリハリをつけてやっていくということです。概算要求に盛り込んだ事業施策は、いずれもその3つの柱で必要なものだということで組み立てた訳ですが、その中でもやはり力を入れなければならないことを敢えて申しますと、1つは昨日から集中的な豪雨が起きていますが、地球温暖化に伴う雨の降り方の変化等々があるかと思います。要するに、水の災害リスクにしっかり対応する枠組みをこの際作る必要があるという、そういった枠組みの創設です。それから、岩手・宮城内陸地震の際にもTEC−FORCEということで緊急災害対策派遣隊が一生懸命やってくれた訳ですが、その充実強化も必要であろうというようなことです。それから、道路や河川の社会資本についてはこれから老朽化というものがかなり進んでくると危惧されるというか、そういった可能性が高い訳です。そこでそういったインフラの長寿命化という計画をきちんと作っていく必要があると、戦略的にインフラを維持管理していこうというようなことです。それから高齢化社会に対応して住宅のセイフティーネットの充実、歩行者や自転車にとって安全で快適な道路空間を造っていくということも求められていると思います。それからこういう地球環境の下でひまわりの後継機、地球環境観測気象衛星ですが、これを次期のものをきちんと整備していくということは大変大事なことだと思います。それから新たに広域地方計画等が策定されますが、広域ブロックがどう実質的に発展をしていくか、その推進、それからまちづくり交付金の重点化というのも必要だと思います。それから成田、羽田ですが、2010年に羽田の第4滑走路が出来る等々大きな変化がこれからありますが、成田、羽田を一体的に利用しようということになると、50分台を目指す鉄道アクセスの改善等々、そういう形での一体的利用を進める必要が航空施策ではあると思います。それから今度の経済対策にも入っている訳ですが、引き続き原油価格高騰対策等々でトラック、離島航路等の支援、それから地域公共交通の活性化というようなそれぞれの地域の取組を推し進めていくということがあるだろうと思います。それから10月から観光庁が発足する訳ですが、魅力ある観光圏をどのように作っていくか、観光立国の推進です。それから、海洋立国、海洋政策を担当することも私の担当ですが、船の最先端の省エネ技術等々をどのように開発していくかというようなことです。そういうことが今の政策課題として強力に推し進める必要があるのではないかなと思っているところです。棚卸し等々で2%削減するということを、こういう重要課題推進枠に充てられるように、これからの予算編成過程で我々もしっかりとやっていかなければならないと思います。それから、道路も増やしているじゃないかということですかね。公共事業関係費については3%シーリングが掛かっている上に、棚卸し等々で更に2%というものがありますので、それを要望基礎額として、その上で概算要求時点では基礎枠の1.25倍まで要求出来るということになっていまして、それをそのまま計算すると、前年度の1.19倍まで要求出来るという枠組みになっています。それで、道路関係につきましては21年度から一般財源化するという閣議決定がある訳ですが、こういう閣議決定に基づいて、これも閣議了解された概算要求基準に従って要求を行うということで、合計3兆904億円ということになっていますが、これは対前年度比で1.11倍ということになっています。ただ、道路については、現在無駄の排除の徹底を図らなければならないということでやっていますし、それから交通需要推計とか事業評価手法、これをどのように見直していくかを議論中ですので、こういう議論をしっかりやって、これからの予算の議論に向かっていかなければならないということであろうと思います。

(問)昨日、次官から公用車削減についてのお話があった訳ですが、大臣ご自身は国土交通省の公用車のあり方について今後どのようにするべきだと思いますか。
(答)基本的に無駄を削減するというのは、随時やっていきませんと、なかなか放っておきますと、段々無駄がどこか見えないところで膨らんでくるというのは、役所に限らず人間社会の常ですから、こういう公用車の問題点というのは、指摘された時にきちんとメスを入れて本当に必要なものに、国民の理解が得られるものにもっていくということが大事ではないかと思います。そういう観点できちんと見直していくということであろうと思います。昨日、次官から基本的な方針はご説明したと思いますが、そういうことできちんとやらなければいけないと思っています。

(問)高速道路の引下げなのですが、一部は9月中旬に前倒しというようなお話がありますけれども、大臣はこの部分を前倒ししたいとか、そういう具体的なお考えというのはお持ちでしょうか。
(答)結局、先程申し上げたところをまず下げる訳ですが、9月中旬からというと前倒しですよね。それをどのように出来るかはまだ具体的にきちんと詰めろと言っていまして、まだ私は具体的なものは報告を受けていませんが、原油価格高騰の中で対応策ですから、是非とも出来るだけ早くやっていくということが、必要であると思います。

(問)社会実験との言葉があったかと思いますが、つまり利便増進計画のスキームとは別にということですか。
(答)今までやっているのもありますから、これは特に首都高速と阪神高速は今までやっています。そういうものを継続するということもあるのではないかと思います。

(問)昨夜からの大雨で、全国的にひどい被害が出ているようですが、そのことについてのご感想と何か対策というのがあればお願いします。
(答)国管理河川で見ますと、氾濫危険水位を越えた河川が延べ1水系で多摩川水系で2河川です。避難判断水位を越えた河川が延べ3水系で利根川、木曽川、多摩川です。はん濫注意水位を越えた河川が庄内川、阿武隈川、荒川ですので合計6水系11河川です。それで、昨日からの雨の降り方を聞くと、関東地方と中部地方の12地点で1時間の降水量の記録を更新するということです。本当に記録的な豪雨となったと、これは今までの常識、常識と言ってはいけませんが、やはり相当注意して見ていかなければならない状況だと思っています。先程申し上げたようなことに対応してこれから何をやっていくかということも予算要求の一つの柱になる訳です。一応は昨日から今朝にかけてはそういうことになりますが、引き続き警戒を要するということですので、緊張して対応していかなければいけないと思います。

(問)距離別料金ですが、当面というのは要するに今年度はやらないという理解で宜しいのかと言うことと、始めるのはどのような環境になれば始められるとお考えですか。
(答)当面というのは、大体少なくとも一年間位はということだろうと思います。これはどうなったら始めるかというのはそれぞれの主体とも調整していかなければいけないので調整を詰めながらのことです。イメージとしては、これはどちらかというと長距離の方には値上げになりますから、今のような原油価格の高騰を皆なで何とか転嫁出来ないか、国民全体の負担をどう減らせるか考えている時ですので、少なくともちょっとタイミングは現在ではないであろうということでありますから、それぞれの実施主体ともよく調整しなければなりませんが、そういう全体の経済情勢と言いますかそういうものも見ていく必要があると思います。

(問)首都高速、阪神高速の距離別ですが、債務の償還に影響を及ぼす可能性があると思いますが、どのようにお考えですか。
(答)出来るだけ財務体質のことも考えながら計画したという面もありますから、今仰るような要素が全く無いとは思いません。ただ、全体の経済情勢を考えますと、長距離料金が重いものになっていくのは必ずしも望ましいことではないという全体的な判断の中で行ったことでありますから、その辺は今後の経済情勢、原油価格の情勢等もよく見ていくことをしていかなければいけないと思います。