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大臣会見

谷垣大臣会見要旨

2008年9月9日(火) 10:42 〜 11:03
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

 今日の閣議で、当省に関係するものでご報告することは特別にございません。私の方から1点ご報告致します。「高速道路料金の引下げ」についてですが、この計画案が高速道路会社及び機構より、今日からパブリックコメントということでプロセスが開始されます。また、国民からの大きな期待に応えるため、この計画案のうち、早期実施が可能な一部について、来週から社会実験として前倒しで引下げを開始致します。具体的には、全国の高速国道や本四高速で9月16日火曜日から夜間割引時間帯の拡大、22時から0時の間に3割引、それから休日昼間割引の導入、9時から17時まで5割引、これを開始する予定です。詳細につきましては、後程事務方から説明をさせますので、そちらでお尋ね頂きたいと存じます。私からは以上です。

質疑応答

(問)9月10日告示の自民党総裁選ですが、大臣は不出馬ということですが、かなり立候補される方の政策の違いが大分鮮明になってきてますが、大臣ご自身として支持される方や応援される方のスタンスは決まったものがあるのでしょうか。
(答)まず第1に色んな方が出馬するということになりましたので、自民党はかなり多様な見解がある政党ですし、国民の今の色々な国民生活の現状に応えていくためには色んな観点から幅広い議論が行われることが必要だと思いますので、こういう形になってきたことは、私はまず歓迎したいと思います。そして私自身のスタンスは今日私共の政策グループで昼に議論をすることになっています。それが出ましてから私自身がどうするかを決めようと思っています。
 
(問)先日JR西日本の尼崎の脱線事故の件で、JR西日本の経営者が書類送検されましたが、まだ立件されるかどうかは分かりませんが、そのことについての所感をお願いします。
(答)これは大変大きな事故でしたし、問題点も今まで検討、解析がなされていますように色々あったということですから、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいと思いますし、二度とこのような事故が起きないような検討、対応というものをきちんとしていかなければならないということだと思います。書類送検ということですが、捜査の過程ですのでそれについては私の方から特別なコメントは差し控えさせて頂きたいと思います。先程申しましたように、これからどうやってこれを教訓として公共交通の安全を図っていくかと言う点について、まず我々が第1に取り組まなければならないことですが、今までに技術基準の改正や運輸安全マネジメント制度の導入ということを図って参りました。それから航空・鉄道事故調査委員会の機能を強化した運輸安全委員会が10月1日からスタートするということですので、そういったものを十分に機能させて安全の確保に力を尽くしていきたいと思っています。
 
(問)熊本県の川辺川ダム建設の件ですが、先般知事に面会をされた九州地方整備局の局長が「ダム建設をしないという選択肢ならば水害を受忍してもらわなければならない」という発言をし、地元の方から局長の罷免を求める声等も出ているようですが、それについてのご見解をお願い致します。
(答)「受忍」という言葉がどういう意味合いの言葉であるのか、私も聞いたとき若干とまどいを覚えたのは事実です。要するに不法行為等々で、昔、「受忍限度論」や「新受忍限度論」というような議論がありましたが、最近ではあまり聞かない言葉になりました。どうしてここで「受忍」という言葉が出てきたのかということは、いぶかしく思わないでもないということです。敢えて局長の表現を彼の職務に即して考えてみれば、このダムが無ければある条件を超えた時の水害を避けることは出来ないと、こういう趣旨だったと思いますが、やはり表現なり説明の仕方としてはもう少し別の措辞を選ぶべきではなかったかと思います。
 
(問)福知山線の事故の件ですが、今の社長が当時ATSを付けなかったことに関して危険性に対する予見可能性があったということで送検されているとすると、その当時、国の責任というか、国も予見出来たのではないかという気がします。国が適切な対策を取らなかったと考えられると思いますが、そのことに関しては如何でしょうか。
(答)刑事上の問題に関してはまだ捜査の途中ですから、検察としてどのように判断されるかということを我々は見守っていかなければいけない訳です。今のご質問は基準の立て方に問題があったのではないかという、おそらくそういうご趣旨で質問されたのだろうと思います。確かに、今の水準のATS−Pというものを設置していれば事故は避けられたという分析が航空・鉄道事故調査委員会でもなされている訳ですが、当時はカーブにあれだけのスピードで突っ込んで行くというようなことは考えにくいということで、そういうことを前提にして基準を立てていなかった訳ですから、当時の基準からすれば違反している訳ではない。しかし、現在、そこまで慎重に事故防止に対応していくことを考えれば、設置していくということになっているのだろうと思います。その辺りをどのように判断していくかというのは検察が取り調べをしながら、我々もよく注目していかなければいけないと思います。
 
(問)捜査の段階でコメントを差し控えたいということだったのですが、大企業のトップが書類送検されるという事態で、山崎社長は続投を宣言されていますけれども、書類送検という事実そのもので、社長が続投を決めたということについてはどのような考えでしょうか。
(答)書類送検ということをどのように考えるかという、一種の司法上の問題と言って良いのかどうか分かりませんけれども、無罪の推定とかいろいろなことが確定するまではある訳です。そういう中で、経営者としてどのような判断をされるのか、あるいは私共は行政の立場にありますから、行政としてどのような判断をするかというのは、それぞれ色々な要素があるだろうと思います。私としては、警察から検察に移ったという段階ですので、もう少し捜査の進展というものを見守っていきたいと思います。
 
(問)川辺川ダムの関係なのですが、国土交通省の方では、いわゆる穴あきダムというのを提案されるということで、大規模ダムで穴あきダムの前例がないだけに、地元では不安あるいは困惑のようなものがあるようですが、それについては如何でしょうか。
(答)私も技術的なことは十分分かりませんけれども、恐らく技術的な面も検討の上でそういう提案をしているのだろうと思います。もう一つは環境面に対する対応ということも視野に入れてそういう対応案を作ったのだろうと思います。ですから、色々なご不安があれば十分それに対して説明していくということは必要だろうと思います。
 
(問)九州地方整備局長の発言で、昨日、次官にも同じ質問を申し上げたら、次官は「内容的には適切ではなかったと思う。」と仰っていましたが、やはり大臣もそのように思われますか。
(答)「受忍」という表現が、少しどういうことかなと思います。確かに、ダムを造れば有る意味で環境面の影響があったり、生活面の影響があったり、色々なことがあると思います。他方、これだけ我々の経験したことがないような降雨量が最近起こっている訳で、そのような時にどのような手立てを講じたら良いかということは、我々も責任を負っている訳ですから、議論しなければいけないのですが、やや説明としては穏当を欠くと言いますか、そういう面があるのではないかと思います。
 
(問)知事の賛否表明が明後日に迫っている訳ですが、この発言が現地での決断に何らかの影響を与えると思われますか。
(答)それは蒲島知事のご判断ですから、あまり遠くの方から一知半解で推測は避けたいと思います。
 
(問)JRの事故なのですが、司法の判断というのはこれから下されることになると思いますが、県警の見解について、国土交通省がこれから技術安全の基準を多少強化したり、もう少し指導強化を強めるとか、何か行政的に変更されるようなことはあるのでしょうか。
(答)先程少し申しましたが、技術基準の改正とか運輸安全マネジメント制度の導入ということで、今までの分析と言いますか、今までの調査の結果というものは取り入れているのではないかと思っています。ですから、こういうものをきちんと活用していくということが、まずあるべきことだろうと思います。
 
(問)総理が辞任を表明されてから、内閣支持率が上がるという現象が起きていますが、これは大臣、どのように分析されますか。
(答)これはちょっとよく分からないです。あまり言葉に出してきちんと分析ができる訳ではありませんが、ある意味で言えば総理が退任をされるということは相当ショックを与えることでしたから、あえて言えば、少し時間が経って、その時のショックから少し冷静に見ていくという雰囲気が出ているのかもしれませんが、今の段階でそう判断して良いのかどうかです。あまりこういう所で申し上げるような感想ではありませんので失礼致しました。
 
(問)先程ご説明頂いた高速道路の件ですが、緊急総合対策の一環ということで、前倒しというかなり大きな決断だったと思うのですが、今回前倒しで進めるに当たっての大臣のご感想を改めてお伺いしたいのですが。
(答)原油価格の高騰、エネルギー価格の高騰にどのように我が国が対応していくかという非常に大きな中での一つの対応策です。ですから、原油価格等は一時の緊迫した状態よりは若干少し事態が変わってきていることもあるとは思うのですが、まだまだ投機マネーをどうするかとか、今まで原油価格は高くなると色々なことが声高に叫ばれるのですが、低くなってくると投資がなかなか十分にいかないとか、高くなってくると投資がここのところ不十分だったとかいう議論になる訳ですので、喉元を過ぎれば熱さを忘れるということではいけないので、長期的な視野で見ていかなければならない。それから、資源小国の日本が、エネルギー高騰に対応するための戦略的な武器という物は何なのかというような検討、国民的合意を創っていくというような、そういう幅広い問題はまだ依然として残っていると思います。それから更に言うならば、こういうことは本来、転嫁をすることによって解決をしていかなければならないし、転嫁をしたあげく最終的には消費者、国民経済全体でこれを受けていかなければならない訳ですが、その重荷に国民経済全体が耐え得るためにはどうしていくのかという問題があるのだろうと思います。特に、川上インフレ、川下デフレと言われるような状況が完全に克服出来ていない訳ですから、まだまだ経済政策とか何かで手を打たなければならないことが沢山あるだろうと思います。そういう中で、こういう措置は物流のコストを下げられる、ある程度下げる効果がある訳ですから、現実にエネルギー価格を転嫁出来なくて苦しんでいる産業に対して一定の効果はあるでしょうし、全体の物流コストを下げるということから、原油価格高騰の国民経済に対する重荷と言いますか、あるいは消費者に対する重荷という物をかなり緩和する力があるのではないのかなと思います。
 
(問)先程福知山線のことに関しまして、航空・鉄道事故調査委員会が運輸安全委員会になるということなのですが、航空・鉄道事故調査委員会の機能強化というのは、今度は海が入るということ以外に具体的にどういうことを考えていらっしゃいますか。
(答)ここはまだ私も十分勉強してないのですが、現実に委員会としての機能、人事機能、独立性、こういう物も高まってくる訳です。そういう中で工夫をしていかなければならないことだと思います。
 
(問)福知山線に戻りますが、結局、山崎社長達が書類送検されたということで、刑法上のテクニック等色々とあるのでしょうが、本来的に責任があるのは無茶な高速化をし、更にはダイヤの過密化を進めた、既にお辞めになっている井手元会長等にあるのではないかというのが遺族の方々の心情だと思いますが、その辺は如何ですか。
(答)その辺はもう少し全体の解明を私は待ちたいと思いますが、ある意味で高速化というのも求められている面がある訳ですが、そこにどう安全性を確保していくかということが同時に無ければいけない訳で、今回の山崎社長の書類送検の中でもそういう問題は議論されていくのだろうと思います。ですから、今まさにそういった刑事の過程が進んでいるところですのでやはりその議論をよく我々も注視したいと思います。
 
(問)総裁選の件ですが、金曜日の午前中の段階で結構明るい表情をなさっていたので、てっきり出られるのかと思っていましたが、あの段階からある程度心には決められていたのですか。
(答)先日記者会見で申し上げましたが、私自身は福田さんを総理総裁にという流れを作った一人ですし、福田さんがお辞めになるということに対して十分補佐と言いますかそういうことが出来なかったという思いがありますので、自分が先頭に立って手を挙げるという状況かなという気持ちはずっと持っていたということです。
 
(問)今回は出ないということですか。
(答)ここでの記者会見で「万物は流転する」と訳の分からないことを申し上げましたが、状況は色々な変化がありますので、先のことまで全部分かりません。