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大臣会見

谷垣大臣会見要旨

2008年9月12日(金) 10:50 〜 11:07
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)今日の閣議は、国土交通省関係では1件、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」の決定がありました。それから閣議が終わった後、第1回宇宙開発戦略本部会合が開かれ、宇宙開発戦略本部の運営等についての決定がありました。この会合はこの前の国会で成立しました宇宙基本法に基づいて設置されたもので、今後適宜開催されます。我が省におきましては、気象観測業務や地図・測量業務といった所管業務を遂行する上で宇宙開発利用を行っています。今後とも国民生活の向上等に資する宇宙開発利用の推進に努めて参りたいと考えています。私からは以上です。

質疑応答

(問)熊本の川辺川ダムですが、昨日県知事がダム無しの治水対策を求めるよう表明したのですけれどもそれについて大臣のご所見をお伺いしたいのですが。
(答)昨日、熊本県知事のそういう意向が表明された訳です。事前から熊本県知事が大変この問題悩んでおられるということがある程度伝わってきてはいました。ですから、色々な可能性はあり得るのだろうとは思ってはいましたが、知事がこの期間、色々な方の意見もお聞きになり、その上でこのような判断をされたということは重く受け止めなければならないと思っています。知事としても大変悩まれた末にこのような結論を出されたのだろうと思います。今後のことですが、河川管理者として国土交通省としても方向というか態度を決めていかなければならない訳ですが、そのためにはまず何よりも知事のお考えを、昨日私共も記者会見等々である程度は把握してはいますけれども、よく伺う必要があるのだろうと思っています。昨日の記者会見で判断する限り、知事の仰ったことは大きく言えば2つ、一つはダム以外の治水の手段というものをもう少し詰められないかということであったろうと思います。それからもう一つは生活再建と言いますか、ダムを造るということで多くの方が故郷を立ち退かれたということがある訳でして、その地域についての生活再建というものをどうしていくかという、大きく言うと2点の問題がある訳です。それを我々はどう受け止めていくかよくお話を聞いてみないと判断がまだ出来ないところです。そういう事を伺って我々もよく考えて然るべき結論を出さないといけないだろうと思います。

(問)知事のご意見を伺わないといけないとのことですが、大臣自身として知事とお会いする事はあるのでしょうか。
(答)直ぐにそういうことがあるかどうかは分かりませんが、差し当たって今日の午後に熊本県副知事が九州地方整備局に来られて色々お話があるということですので、まずそこから始まるということです。

(問)先日の10日に、最高裁が土地区画整理事業について計画段階でも訴訟を起こすことが出来ると判例変更をしたのですが、これについての大臣のご所見をお伺いします。
(答)昭和41年に最高裁判決がありました「青写真判決」ですが、私は学生時代の行政法を勉強していた頃で懐かしい判決ですが、それを見直して地方公共団体による土地区画整理事業の事業計画の決定について処分性を認めるという判決で、一審に差し戻したと、原判決を破棄し一審判決を取り消して一審に差し戻したということです。つまり処分性というものをもう少し前の段階で認めたということで、これはおそらく行政訴訟というものの上では非常に大きな意味のある判決であると思います。私はまだ中味をよく勉強していないので昔の何十年も前に勉強した知識なので正確かどうか分かりませんが、行政訴訟の上では非常に大きな判決なのではないかと思います。こういうことが我々の仕事の上でどう影響を及ぼしていくかということはよく研究していかなければなりませんが、要するに地方公共団体による事業計画の決定の段階から抗告訴訟の対象となり得るということですので、今までも当然そういう計画決定をしていく上では、きちっと手続きを進めていき色々な方々の意見も聞きながら、ヒアリング等を行いながら適正に手続きを進めてきているということでしょうが、そういうことの適正さといいますか、そういうものが求められるのではないかと思います。国土交通省としては従前も行ってきた訳ですが、自治体等がこういう計画を進めていく上での適切なやり方というものについてきちんと相談にのり指導していかなければならない。こういうことにまた力を入れていかなければいけないということだと思います。

(問)川辺川ダムの件です。昨日首相、官房長官が地元の意向を重視しなければいけないということで、中止に向かうような雰囲気も官邸の方から伝わってきてますが、大臣のご所見として中止に向かっているという雰囲気で捉えていらっしゃるのかということ、もう1つは昨日熊本県知事と電話でお話をなさったと伺ってますが、生活再建のお話しかと思いますが、その辺の昨日のお話しについてもお願いします。    
(答)今雰囲気と仰いましたが、雰囲気というのをどう申し上げればいいのでしょうか。

(問)どのように解釈しているのかということです。
(答)これはごく堅く申し上げますと、河川管理者は国土交通大臣、国土交通省ですから、知事の判断がそのまま国土交通省の判断になるという訳にはいかないので、やはりそれは国としての検討をきちんとしなければいけない。公式的、制度的にお答えすればそういうことになります、これがまず大前提です。ただその上で地元の行政を扱っておられる知事が、色々な意見を踏まえた上で、賛成・反対色んな意見があって大変苦悩された上だと思いますが、こういう判断をされたということは軽々には扱えないということも間違いありません。先ほど申し上げたように、県のご意向、知事のご意向も十分に我々としては伺う必要がある。その上でどういうボールが出せるのか出せないのか、生活再建の色んな手法もありますから、そういうこともよく伺わなければならないと思います。それからダムに代わる手法といっても、今まで国土交通省の検討の限りにおいては、球磨川においては代替手段は簡単ではない、難しいということでこういう議論をしてきたのだろうと思います。何があり得るのか、私は球磨川の特質は十分に承知していませんが、私の地元には由良川という川があります。その由良川で見ていますと、たとえば農地を全部守ろうとすると堤防がなかなか造れない。では居住地域を全部守ろうとすると、例えば農地はある程度の雨で犠牲にせざるを得ない。そこら辺りをどういう遊水地を作るにしても、どのような判断でやっていくのかというのは、色々な手法が私の地元の川でもあり得るのだと思いますが、ある程度の決断も必要だろうと思います。私は球磨川の特質はまだ十分分かりませんので、よく話を聞かなければなりませんが、地元の方々のお考えもあると思います。その辺りもよく話を聞かせて頂かなければならないと思います。雰囲気というのはなかなかお答えしにくいのですが、そういうことを早急に詰めなければいけないと思っています。昨日、知事からお電話を頂いたことは確かでして、あまり十分長時間お話した訳ではありません。知事としてはこういう決断をしたということであり、ただ、知事としてもこういう決断をされたけれども、今申し上げたようなこれから川をどのように治めていくか、あるいは生活再建といいますか、地域をどのように持っていくかということに関しては、当然のことながら国土交通省とも協力していかないと、なかなか出来ないことは沢山あるので、そういうことはよくお話を聞いてやっていきますということを申し上げた訳です。

(問)私が記憶するところによりますと、大臣の就任会見の時に、今お話が出た由良川のお話をされて、大臣のお父上が政界に転じられる時に、治水というところが政治家の一つの仕事なんだと。それを受けて、大臣は「とてもやり甲斐のある仕事に就いた」と仰いました。昨日、知事は「当然流域の住民の財産、生命を守るということも大切なんだけれども、流域の環境を守るということも大切なんだ。」というお話をされました。政治家として、そこらへんの考えの違い、これはあるのかどうか分かりませんが、そういう知事のお言葉を聞いて、どう感じられたのかというのをお聞かせください。
(答)まだ私なりに申し上げられる結論がある訳ではないのですが、やはりこういう問題に関しては、時の変化と共に、国民の意思というか住民の考え方も変化してくる面があるのかもしれません。それと、まだ十分治水が出来ていなくて、しょっちゅう水害に見舞われる時の住民感情と、ある程度治水が出来てきて、それ以上に、この頃のように時々ゲリラ的な集中豪雨みたいなものがあって、球磨川の上流のような所で起こり得るのか、主としてあれは都市の問題なのか、私もよく判断が付きませんけれども、しかし、今までとは異なる形の雨が降って何年に1回の洪水に対応しようということより上を求めていくということになりますと、普段はあまり関係は無いけれどより高いものを求めていこうということになると、「今の生活、今の環境とどうだ」というまた新しいフリクションが起きてくるのだろうと思います。その辺りをどう判断していくかということが背景にあると思います。ですから、私は河川技術、治水の技術については良く分かりませんが、勿論そういうふうに横で聞いた門前の小僧くらいの知識しかない訳で、新しい技術的な手法の開発というのがあり得るのか、あり得ないのかという、色々なことを考えていかなければならないかもしれません。その辺はまだ何とも言えないので、我が省の専門家にその辺も聞いてみたいと思っております。

(問)川辺川の関係なのですが、昨日首相や官房長官が地元の意向を尊重する、優先されるべきだというお考えを示されていますが、ダムの中止ということも選択肢として検討されるということはそういうことで宜しいのでしょうか。
(答)我々は、まだ結論を出している訳ではありません。よく熊本県側のお話も伺おうということでもありますし、仮に今仰ったようなことがあり得るとしても生活再建等々どういう形でやっていくのかという仕組みの問題もあります。これは今、ダムを造ったらという前提の上ですが、あの地域の生活再建と言いますか、新しい道路をつけたりとか、ダムを造っていくという仕組みの中で進んでいる訳です。それは仮にダムを造ろう、造らないということになっても必要なものもあるだろうと思います。その辺りをどうしていくかという今後の事業を進めていく手法の問題もありますので、そこの辺りも含めて色々考えていかなければならないのだろうと思います。今全部お答えを申し上げるだけの用意はまだありません。

(問)総裁選ですが、どなたを支持するかはお決まりになりましたか。
(答)これはあまり言わないようにしようとしてまして、自分の考えと出来るだけ近い方にしようと思っております。

(問)では、与謝野さん。
(答)ご想像に任せます。現段階では。

(問)現段階ではということは何だかの段階ではそれは表明されるのですか。
(答)まだそこはいろいろ皆さんのお話を伺いながら考えていこうということであります。

(問)言わないかもしれない。
(答)まだちょっと。