交通機関の整備・外国人対応
最終更新日:2024年3月22日
快適な旅を実現する環境の整備
新幹線、高規格道路、国内航空等の高速交通網を活用し、三大都市圏をはじめとする大都市圏と地方、また、地方と地方をつなぎ、快適な旅を実現する環境を整備し、訪日外国人旅行者も含め地方への流れを創出する。
また、新幹線開業、コンセッション空港の運営開始、多様な交通モード間の接続(モーダルコネクト)の強化等と連動し、観光地へのアクセス交通の充実等により、地方への人の流れを創出する。さらに、観光地と連携した道路案内標識の改善によるわかりやすい道案内を実現するとともに、規制の弾力化等を通じた多様なアクセス交通の実現を図る。訪日外国人旅行者等がより安心してタクシーや貸切バスを利用できるよう、環境を整備していく。
※【観光立国推進基本計画】より
航空ネットワークの回復と強化
インバウンド需要の回復・増加に的確に対応するため、航空ネットワークを支える航空・空港関連企業の経営基盤強化を図るとともに、「地方イン・地方アウト」のインバウンド再生による地方活性化や訪日外国人旅行者の受入拡大のため、地方空港の着陸料軽減等の取組により、早期の国際線再開・路線定着等を図る。
航空会社の復便や新規就航促進・増便に向け、地方空港や地方公共団体と連携しながら、航空路線商談会等の場において、海外の航空会社に対し、復便、新規就航、増便を積極的に働きかけるとともに、インセンティブとして日本政府観光局が協働でプロモーションによる支援を行う。また、感染拡大防止と両立する形での国際航空ネットワークの回復を図り、引き続き、成田空港、関西空港、中部空港や地方空港において、我が国との往来の増加が見込まれる国や地域との間で戦略的かつ積極的にオープンスカイ(二国間での国際航空輸送における企業数、路線及び便数に係る制限を相互に撤廃する航空自由化)を推進する。さらに、二国間でのオープンスカイの推進に加え、東南アジア諸国連合(ASEAN)との地域的な航空協定に向けた協議を推進していく。加えて、航空ネットワークの維持・発展やサステナブルツーリズムへの関心の高まりに対応するため、持続可能な航空燃料(SAF)の導入や空港の再エネ拠点化を含む航空の脱炭素化を推進する。
また、地方空港・港湾も含めた出入国審査等の状況を十分考慮して、審査ブースの増設、施設の拡張等やCIQ体制(税関・出入国管理・検疫体制)の整備を図る。訪日外国人旅行者数の実績も踏まえ、関係省庁が連携して物的・人的体制の効果的な整備を進める。
さらに、空港地上支援業務の労働力不足により訪日旅客の利便性が損なわれないよう、省力化・自動化を推進する。令和7年までの空港内における無人自動運転の導入を目指し、自動運転レベル4相当(特定条件下における完全自動運転)の導入に向けた実証実験を実施し、必要となるインフラの設置や運用ルール等の検討を進める。加えて、空港におけるグランドハンドリング体制の強化のため、空港ごとに地方公共団体等の関係者が連携し、人材確保や業務効率化等に取り組む。
また、ビジネスジェットの利用環境を改善するため、諸手続の改善、ビジネスジェット専用動線整備等の空港利用環境の整備等を実施する。
※【観光立国推進基本計画】より
国際拠点空港等の整備
令和7年及びその後を見据えて、航空需要の回復及び増加に的確に対応するため、空港の機能強化等に取り組む。
首都圏空港における年間発着容量約100万回の実現を目指し、羽田空港においては、新飛行経路の着実な運用に向けた取組や機能拡充に向けた空港アクセス鉄道の基盤施設整備等を進めるとともに、成田空港においては、地域との共生・共栄の考え方の下、C滑走路新設等の機能強化の取組を進める。関西空港については、運営権者である関西エアポート株式会社や設置管理者である新関西国際空港株式会社等と連携し、第1ターミナル改修等の機能強化を推進し、関西3空港における年間発着容量50万回の実現を目指す。中部空港については、将来の完全24時間化を見据え、事業実施主体である中部国際空港株式会社等と連携し、ターミナルビル改修等の機能強化の取組を推進する。
三大都市圏以外の空港については、訪日外国人旅行者を地方へ誘導する観点からの取組を進める。航空需要の回復及び増加を見据えた空港の機能強化のため、福岡空港の滑走路増設事業、那覇空港の国際線ターミナル地域再編事業、新千歳空港の誘導路複線化事業等を引き続き実施する。
あわせて、空港経営改革による真に魅力ある空港の実現を目指し、既にコンセッションが開始されている空港以外の国管理空港についても、地域の実情を踏まえ、空港運営の民間委託の実現に向けた取組を推進する。
また、航空管制処理容量の拡大のため、管制空域の上下分離や複数の空港周辺空域(ターミナル空域)の統合等による空域の抜本的再編を図る。さらに、我が国の操縦士の不足が航空輸送を確保する上でのボトルネックとならないよう、必要な操縦士の養成・確保を行う。
※【観光立国推進基本計画】より
クルーズ再興に向けた訪日クルーズ本格回復への取組
国際クルーズ船内におけるコロナの集団感染を受けて令和2年3月以降、我が国への国際クルーズの運航は停止していたが、令和5年から国際クルーズの本格的な受入れを再開する。また、日本船社ではクルーズ船を新造する動きもある。
日本におけるクルーズ再興に向け、安心してクルーズを楽しめる環境づくりを進め、令和7年に訪日クルーズ旅客をコロナ前ピーク水準の250万人まで回復させるとともに、外国クルーズ船の寄港回数がコロナ前ピーク水準の2,000回を超えることを目指した取組を推進する。また、地方誘客を進めるため外国クルーズ船が寄港する港湾数について、令和7年にコロナ前ピーク水準の67港を上回る100港とすることを目指して取り組む。
具体的には、関係業界団体が作成した感染防止対策ガイドラインを各クルーズ船社が遵守して船内の感染防止対策を徹底し、また、寄港地においても、港湾での感染防止対策を進めることにより、日本全体で安心してクルーズを楽しめる環境づくりを進める。
あわせて、既存ストックを活用したクルーズ船の受入環境整備や寄港地を探すクルーズ船社と港湾管理者のマッチングを図るサービスの提供、クルーズ旅客の受入機能の高度化等によりクルーズ船寄港の「お断りゼロ」を実現する。
また、旅客施設等への船社の投資に併せ、国・港湾管理者が岸壁の整備や利用調整等のハード・ソフト両面からの支援を行うことによるクルーズ船の長期的かつ安定的な寄港の確保や、民間事業者による旅客施設の整備に対する支援により、世界に誇る国際クルーズ拠点の形成を図る。
さらに、クルーズ船寄港の地域経済効果を最大化させるため、寄港地の地方公共団体とクルーズ船社が連携し、寄港地での消費を船内等で喚起するスキームを構築するとともに、内陸部を含めた広域に及ぶ上質な寄港地観光造成に向けた取組を進める。
これらに加え、全国の港湾管理者等で構成する全国クルーズ活性化会議と連携して瀬戸内海や南西諸島等の新たなクルーズ周遊ルートの開拓を進めるとともに、多様化する訪日クルーズニーズに対応したプロモーションや海外の国際展示会への出展等、訪日クルーズ寄港促進の取組を進める。
※【観光立国推進基本計画】より
国際交通機関へのアクセス向上
主要な首都圏空港、関西空港等への鉄道アクセスの更なる改善を図るため、アクセス線の整備について、事業化に向けた関係者間の具体的な検討を促進する。JR東日本羽田空港アクセス線、なにわ筋線等の事業着手後の設計・工事等を着実に推進するほか、空港アクセス乗換駅等の利便性向上やバリアフリー化の推進を図る。
また、空港・港湾・鉄道駅等へのアクセス等、高規格道路の整備・活用に取り組むとともに、空港アクセスバスについては、令和3年度に実施した運賃設定の弾力化や、運行計画(ダイヤ)の提出期間の短縮等による手続簡素化により、引き続き空港アクセスの利便性向上を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
地域交通を活用した観光地の魅力向上・高付加価値化とMaaSの実装推進
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)に基づき、観光振興の取組を踏まえた地域公共交通計画の作成を促す。また、便利で利用しやすい公共交通の確保による地域の回遊性・周遊性の向上、交通やサービスそのものの観光資源としての活用等、地域交通を活用し、交通事業者が観光事業者と連携して行う、観光地の魅力向上・高付加価値化に資する取組を支援していく。
さらに、ストレスフリーで快適に旅行できる環境を整備するため、多様な輸送資源の活用に取り組むとともに、観光地におけるMaaS(Mobility as a Service)について、多言語対応やサブスクリプション等、旅行者目線での実装を推進することにより、旅行者の移動・周遊の利便性を向上させる。国家戦略特区においては、過疎地域等における訪日外国人旅行者をはじめとする観光旅行者を中心とした運送需要に対応するため、自家用自動車の活用を図る。加えて、バスターミナル等におけるバリアフリー化、無料Wi-Fiの整備、多言語表示の充実等の訪日外国人旅行者の受入環境整備を図る。
バス利用拠点の利便性を向上するための集約交通ターミナルの戦略的な整備、SA・PAを活用したバス乗換拠点の整備、地域バス停のリノベーションの推進等により、多様な交通モード間の接続(モーダルコネクト)を強化する。
「道の駅」等の駐車場にカーシェアリング車両等を配備し、バス等の公共交通との連携を強化することで、旅行者の周遊促進を図る。
観光等による地域の活性化に資する地域交通を推進する観点から、地域限定型の無人自動運転移動サービスの導入に向けた取組を支援する。
※【観光立国推進基本計画】より
MaaS等の新たなモビリティサービスの基盤整備の支援
各地域におけるMaaSの実装に向けたシステム構築支援や、交通情報のデータ化や混雑情報の提供を行うシステムの導入、キャッシュレス決済手段の導入、AIオンデマンド交通やシェアサイクル等の新型輸送サービスの導入をはじめとする、MaaSの基盤整備の取組を支援する。
※【観光立国推進基本計画】より
公共交通事業者等による利便増進措置
空港、鉄道駅、バスターミナル、旅客船ターミナルについて、外国語等による情報の提供やインターネットを利用し観光情報の閲覧するための措置等を進めるとともに、インバウンド旅客のニーズに対応するため、キャッシュレス決済等の交通事業者への導入支援や、公共交通機関間の相互利用の促進を図ります。
新幹線等を利用する訪日外国人旅行者の国内移動の活性化
訪日外国人旅行者の国内移動の活性化のため、訪日外国人旅行者が鉄道を利用し国内を広く周遊できるよう、企画乗車券の造成促進やジャパン・レール・パスの商品内容の充実を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
観光地へのアクセスの利便性向上
観光地へのアクセス利便性を向上させるため、観光旅行者のニーズに合った観光地周辺での交通の充実及び共通乗車船券等の造成・改善を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
わかりやすい道案内等の充実
道路案内標識の英語表記の改善・充実、道路案内標識と観光案内ガイドブックやパンフレット等の連携、交差点名標識への観光地名称表示、国土地理院作成の英語版地図との英語表記の整合の確保等により、訪日外国人旅行者を含む全ての道路利用者にわかりやすい道案内を実現する。
特に、北海道における訪日外国人旅行者のドライブについては、官民(観光・交通関係団体、行政等)が一体となって促進を図る「北海道ドライブ観光促進プラットフォーム」において移動経路等のGPSデータを継続的に活用すること等により、安全・安心を高める情報発信の充実、ドライブ観光の海外への魅力発信等を行う。
※【観光立国推進基本計画】より
幹線鉄道の整備
整備新幹線については、現在建設中の北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)、北陸新幹線(金沢・敦賀間)について、着実に整備を進める。また、未着工区間である北陸新幹線(敦賀・新大阪間)や九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)については、引き続き必要な検討等を実施するとともに、関係地方公共団体等との調整を進める。
さらに、リニア中央新幹線について、水資源・環境保全等の課題解決に向けた取組を進めつつ、三大都市圏やその周辺地域をつなぐ高速かつ安定的な交通インフラとして、沿線の地方公共団体とも連携し早期の整備を促進する。
これらの高速鉄道ネットワークの拡充を通じ、地域間の移動時間を短縮させ、観光旅行者の広域的な移動の高速化・円滑化を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
都市鉄道の整備
既存ストックを有効活用した連絡線整備や相互直通化、地下鉄の延伸、鉄道駅の交通結節機能の高度化等により、公共交通のネットワークの充実度を高めるとともに、鉄道駅のバリアフリー化、無料Wi-Fiの整備、多言語表示の充実等を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
高速道路の整備等
観光地域へのアクセスや観光地域間の周遊の利便性を向上させることによって地域全体の魅力をより高めるため、観光地域へのアクセスや地域間の交流・連携の強化を図る高規格道路の整備を推進する。
高速道路料金については、観光振興や地域活性化を一層推進するため、周辺地域や観光関係事業者等と連携した企画割引である周遊パスの実施や観光周遊パスの平日のみの利用についての割引拡充、観光振興の観点からの料金割引等、高速道路会社の創意工夫を生かした積極的な料金施策を展開していく。
また、スマートインターチェンジ等の整備により、観光旅行者の利便性の向上を図っていく。
※【観光立国推進基本計画】より
地域内の道路・道の駅の整備
地域内の道路について、観光の振興に寄与し地域の経済・社会を支えるため、地方の自主性を生かしつつ、観光施設、インターチェンジ等へのアクセス確保等の整備を支援する。
また、「道の駅」について、それ自体が観光資源にもなることを踏まえ、令和7年までに「道の駅」を地方創生・観光を加速する拠点とするため、キャッシュレス導入や外国人観光案内所の日本政府観光局認定の取得といった訪日外国人旅行者対応を推進する。
※【観光立国推進基本計画】より
道路交通の円滑化
道路ネットワークの整備やボトルネック解消策等の交通容量拡大策に加えて、国、地方、民間等が連携した協議会等を活用し、観光地周辺の空き駐車場の予約による観光交通の分散等、ビッグデータを活用しながら既存の道路や駐車場の容量・空間を最大限活用する取組を推進する。また、地域や公共交通との連携による車利用者の交通行動の変更を促す交通需要マネジメント施策の実施や、カーナビゲーションに道路交通情報をリアルタイムに提供する道路交通情報通信システム(VICS)の情報内容・精度の改善・充実、ETC2.0サービスの渋滞回避支援等の機能の活用等により、道路交通の円滑化を図るとともに、これらを支える車両内外のデータ連携基盤の構築を進めることで、観光旅行者の利便性の向上を図る。
さらに、観光旅行者が多く通行する道路等において、季節や時間による交通流の変動に的確に対応するため、信号機等の交通安全施設等の整備を推進するとともに、プローブ情報を活用した交通管制システムの高度化等を推進することにより、交通渋滞を緩和し、交通アクセスの改善を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
旅客船ターミナル・旅客船の整備
離島をはじめとする各地域の玄関に相当する旅客船ターミナル及び旅客船のバリアフリー化や無料Wi-Fiの整備・多言語表示の充実等の訪日外国人旅行者の受入環境整備等を図ることにより、サービスの多様化・高度化を加速させる。さらに、キャッシュレス決済システムの整備や、旅客船ターミナル及び旅客船における感染症対策を実施し、快適で安心・安全な旅行ができる環境整備を図る。
※【観光立国推進基本計画】より
マリンレジャーを活用した地域観光の振興等
プレジャーボートの収容保管能力の向上と放置等禁止区域の指定拡充等の規制措置を両輪とする公共水域の適正な利用の促進や、「海の駅」を活用し、地域の特性を生かしたイベントやクルージング等のマリンレジャーの体験機会の提供の取組を地方公共団体や関係団体等と連携して推進する。
※【観光立国推進基本計画】より
港湾空間・みなとオアシスの整備等
港湾について、人流・物流の交流拠点としての機能に加え、周辺に運河や倉庫群が数多く残されていること、親水性のある港湾緑地が存在すること等の魅力を生かしつつ、港湾の施設整備等のハード施策やみなとオアシスの登録等のソフト施策により、美しい港湾空間の形成を図る。令和5年3月末までに157か所が登録されているみなとオアシスを通じて、「みなと」を核とした魅力ある地域づくりを引き続き推進していく。
また、訪日外国人旅行者の周遊促進・消費拡大や安全・安心な旅行環境の整備のため、港湾におけるICT等を活用した受入環境整備や災害時の多言語対応強化等を支援する。
※【観光立国推進基本計画】より