ページトップ

[本文へジャンプ]

政策について
ページ本文

ロス・フィンドレー

印刷用ページ

最終更新日:2010年4月12日

(株)NAC 代表取締役(北海道倶知安町)
ロス・フィンドレー

主な経歴

1964年
オーストラリア・メルボルン生まれ
キャンベラ大学(スポーツ科学専攻)を卒業後、アメリカやスイスでスキーのインストラクターを経験
1990年
来日、札幌でスキー学校のインストラクターを経験
1992年
後志管内倶知安町に移り住む。建設会社で働きながら、スキーのインストラクターを続ける
1994年
NAC(ニセコアドベンチャーセンター)を設立

カリスマ名称

「通年型アウトドア体験観光のカリスマ」

選定理由

 冬のスキーによる観光しかなかった北海道ニセコ地域に、ラフティングなど夏の体験観光の魅力を付加し、広く国内外から観光客が集まる通年観光の地に変貌させた。また、「日本リバーガイド協会」の設立に当初から参加し、ラフティングツアーの安全性やサービスの向上を通じて、ラフティング人口の増加に寄与した。

具体的な取り組みの内容

 ロス・フィンドレー氏の活動拠点となっているニセコ地域は、北海道の南西部に位置し、「ニセコ積丹小樽国定公園」の一角を占めている。東に名峰羊蹄山、西から北にわたって連なるニセコ連峰、このすそ野に広がる豊かな丘陵地帯、そして中央部を清流「尻別川」が流れ、これに多くの中小河川が流入するなど変化に富む自然環境に恵まれ、四季折々の美しい自然景観が味わえる地域である。
 また、国内屈指のスキー場を多数抱え、スキーリゾート地として全国からスキー客が多数訪れる地域である。

ニセコとの出会いとラフティング事業

ロス・フィンドレー
ロス・フィンドレー氏は海外でスキーのインストラクターを経験した後、1990年に来日。札幌でスキー学校のインストラクターをし、その後、ニセコ地域の自然に惹かれ、1992年、倶知安町に移住した。

しばらくは、建設関係の仕事をしながら、冬はスキーレッスン、夏は趣味で尻別川でのカヤックに打ち込んでいたが、日頃から、ニセコ地域のすばらしい自然環境を活かしたスポーツで仕事をしたいという思いを持っていた。また、「ニセコ地域は冬はスキーを初めとするウィンタースポーツを楽しむことが出来るけれども、夏はこれと言ったレジャーがなく手持ちぶさたな観光客が多い」ということも感じていた。

 ロス・フィンドレー氏は夏の間、人々ができる何かを創造したいと思い悩んでいた。当初カヤックの事業化を考えたが、カヤックはすでに北海道内で事業化されていたことや、多くの技術の習得が必要なスポーツである。そこで、同乗するツアーガイドの指示に従うだけで技術や知識を必要としないラフティングに着目。1995年にNAC(ニセコアドベンチャーセンター)を設立し、事業化に取り組んだ。
ロス・フィンドレー
激流鵡川を一人でラフティングボードを操作、楽しむ

事業展開による夏の観光地化

ラフティングは、ラフティングボートというゴムボートに乗って、急流や清流を川下りするスポーツで、営利を目的とする商業ラフティングでは訓練を受けたガイドが同乗するので、誰もが手軽に楽しめるが、当時、国内ではほとんど知られておらず、また、川は危ないものと言われた時代であったことから、その事業化は手探りの状態であった。


ロス・フィンドレー氏は事業化にあたって、ラフティングツアーの安全性を高め、また、4月中旬から10月末まで春・夏・冬の各シーズンを楽しめるようにするため、ツアー客に防水機能の高いドライスーツを着用させた。

初年は200人を目標としていたが、徐々に口コミで広まり、また、新聞に取り上げられたこともあって、そのシーズンは1,500人が体験した。現在では年間約3万人が、NACが提供するラフティングツアーを体験している。
ロス・フィンドレー
ラフティングツアー風景
年々体験客が増えてきたことに伴い、NACが提供する体験プログラムも多様化させた。夏場はラフティング以外にダッキー(※1)、カヤックの体験やニセコのフィールドを活用したトレッキング、キャニオニング(※2)など、冬はスキー・スノーボードのレッスンは言うに及ばずスノーシュー(※3)によるツアーなどを実施し、多くの利用者に喜ばれている。

ロス・フィンドレー氏が始めたこのようなニセコの自然を利用したアウトドアスポーツ事業は、ニセコ地域に体験観光を満喫できるという新たな魅力を付加した。このことにより、スキーやスノーボードをメインとする冬の観光が中心であったニセコ地域は、夏になっても道内外から観光客、修学旅行生が訪れるという通年観光が実現することとなった。

(※1)ダッキーとは、ラフティングの1人もしくは、2人乗り用に作られたもの。正式にはインフレータブルカヤックという。カヌーのゴムボート版で安定性や耐衝撃性に優れる。
(※2)キャニオニングとは、渓谷の地形を活かして泳いだり、流れたり、滝壺に飛び込んだりしながら、川を下っていくスポーツ。
(※3)スノーシューとは、雪の上をスムーズに移動するための道具。西洋版の"かんじき"

若者の雇用機会の創出

ロス・フィンドレー
ラフティングガイドを指導するロス・フィンドレー氏
また、ニセコのような田舎の小さな町では、若者が働ける職場が非常に少なく、過疎化の一因となっているが、アウトドア活動を快適かつ安全に楽しむ観光客が増えることは、そこに働く質の高いガイドに対するニーズも必然的に高まり、新たな雇用機会が生まれることになる。
 ロス・フィンドレー氏は、アウトドア事業は若者が憧れるアウトドアライフスタイルと地元で生活するという環境を地域の若者に提供することになり、若者の地元定着による地域の活性化にもつながるものと考えている。実際、NACは、当初3人のラフティングガイドを雇って始めたが、現在では30人以上のフルタイムガイドと多くのパートタイマー、サポートスタッフを抱え、約80名の人が働いている。
 このように、若者達が働きながら自らの技術をスキルアップし、新たなビジネスを創造するという循環が生まれ、ニセコ地域の活性化につながっている。

若者の雇用機会の創出

ロス・フィンドレー氏の活動に触発され、ニセコ地域では、ラフティングツアーを手掛ける業者だけでも7業者にのぼるなどアウトドアを手掛ける事業者が増加した。また、全国的にも営利を目的にラフティングツアーを催行する企業・団体・個人の数が急増したが、一方で、これらを統括する団体や行政機関は存在せず、営業活動に対する許認可制度も皆無であった。このため、充分な知識・経験・実績、安全管理能力や設備がなくても、一定の資機材と人員さえそろえれば、誰でも翌日からラフティング事業が展開できるという、一種、野放図に近い状況が展開され始めようとしていた。
 もともとラフティングは、ボートから落ちることもある危険性をはらんだスポーツであり、ロス・フィンドレー氏は、このような野放図な状況では重大な事故が発生する可能性があると感じ、行政機関の指導を待つのではなく、業界として自主的な対策を講じる必要があるという認識から、全国の仲間と共に具体的な対策の検討を進めた。その結果、1997年5月、同業者13社により、我が国における商業ラフティングのさらなる普及と発展のために安全とサービスの向上を目指す「日本リバーガイド協会(RAJ)」を設立した。
 同協会では、加盟業者の総意により安全面の自主規制を設け、あわせて事業者相互の情報交換や研修会を実施するなど、事業内容の質的向上に取り組むとともに、安全管理体制の充実を図っている。ロス・フィンドレー氏は平成14年度まで北海道支部長の要職を努め、先頭に立って北海道内の業界の指導にあたった。現在、同協会の加盟業者数は24に増加している。

北海道アウトドア資格制度への寄与

 また、北海道庁は、独自の活動として、誰もが安全で快適にアウトドア活動を楽しむことができるよう、質の高いサービスを提供するガイドや事業者の育成を目指して、一定程度の知識・経験・技術を有するアウトドアガイドの認定や優良事業者の登録を行う「北海道アウトドア資格制度」を2002年4月に創設した。
 ロス・フィンドレー氏は、この制度の検討当初から積極的に関わり、また指導者としてカヌー・ラフティングの技術向上に力を尽くしている。

ロス・フィンドレー氏の目指すもの

 2002年度のニセコ地域への観光入り込み客数は、年間466万人となっている。ロス・フィンドレー氏がNACを設立した1995年度には421万人だったことから、45万人の増加となっている。しかも、冬季4か月(12~3月)のスキー等を楽しむツアー客が171万人から159万人へと落ち込んでいることを考えると、春から秋にかけてラフティング等を楽しむツアー客の増加がいかに大きいかが伺われる(251万人から306万人と55万人の増加)。
 ニセコ地域における冬以外のアウトドアスポーツ等のレジャーがすっかり定着した感があるが、さらにロス・フィンドレー氏は自らの事業活動を通して、次のことを実現させたいと考えている。
 
・サマーリゾートニセコの実現
 現在のニセコの夏の観光は、アウトドアスポーツを単に楽しむだけの観光が主流であるが、ニセコは、豊かな自然環境の中で滞在時間をゆったりと有意義に過ごしたり、自然に親しむアウトドア活動ができたりするなど多様な楽しみ方を提供でき、日常の生活から離れて1週間程度は過ごすことができる環境や雰囲気がある。
 したがって、ロス・フィンドレー氏は、この地域に、もっと気軽に泊まれ、食事が出来るコンドミニアムのような宿泊形態を提供したり、地元のレストラン、マーケットなどとの連携等により、観光客が気軽に歩き、地域の人々とのコミュニケーションを楽しむ機会が増える環境を整備し、さらに自然と共生した建物、道路の整備により、リゾートの先進地としてのニセコの地域づくりに取り組んで行こうとしている。
 
・自然の中で人々を遊ばせる
 ロス・フィンドレー氏は、昔の日本人がそうであったように、現代人はもっと積極的にアウトドアに出て大自然を満喫し、楽しみ、遊びながら、自然とともに生きる知恵を蓄え、経験を積みながら、生きる自信や勇気、優しさ、そして環境へ配慮する気持ちを身につけてほしいと考えている。そのため、これまでのアウトドア体験事業に加えて、欧米で開発された冒険教育・環境教育のプログラムをベースに改良を加えた野外教育プログラムを開発し、企業・学校・グループを対象としたプログラム、あるいは小学生を対象としたプログラム、ファミリーを対象としたプログラムのほか、利用者のそれぞれの目的に応じたオーダーメイドのプログラムなど様々なプログラムの展開を図ろうとしている。
ロス・フィンドレー
【参考文献】
・月刊観光(エコツーリズムの楽しみ方)(2002.12)
・北海道の情報政策誌 エポカ22(北海道の自然と子ども達)(2001.1)
・観光ベンチャー経営REPORT vol.6(北海道経済産業局)(2003.11)
・J-RAFTING.com(ラフティングに関するホームページ)
・北海道地域政策課のホームページ
このページに関するお問い合わせ
(有)ニセコアドベンチャーセンター 広報 岩崎 敬様
電話  0136-23-2093
FAX 0136-23-2094