「環境にやさしい自動車」の包括的戦略に関する
大臣共同声明(仮訳)
A.基本認識
ディーゼルエンジンの技術、特に窒素酸化物と粒子状物質の排出抑制については、相当の進歩が見られ、今後ともさらなる進歩が予想される。
しかし、将来、世界規模で自動車の台数が増加することを考慮すると、追加的な技術改善が、温室効果ガスと排出汚染ガスを実質的に減少させるために必要である。
b)バスや大型貨物自動車に代表される大型車の分野については、動力源は近い将来もディーゼルエンジンのままであると考えられる。ディーゼルエンジンの排気は多くの国で厳しく規制されており、さらに厳しい制限が近い将来に導入される予定である。
排出ガスゼロを求める厳しい基準に適合する実行可能な技術開発の見込みは、いくつかの場で熱心に議論されている。そのような技術の導入は排気ガスによる大気汚染が緊急の課題となっている国で大至急必要となる。
c)他の優先度の高い問題は都市域における交通騒音である。高いレベルの騒音は生活の質の低下をもたらす。それゆえ、「環境にやさしい自動車」は低い騒音レベルを達成しなければならない。
B.将来の政策の方向性
我々は我々の将来の行動が以下の政策の方向に沿うべきである旨、合意に達した。
b)我々は「環境にやさしい自動車」のさらなる開発と普及を支援し、促進するべきである。特に、政府の役割はバスや大型貨物自動車の分野でさらに重要である。なぜなら、いくつかの国では、自動車メーカーはこの分野の市場規模の小ささと開発費用の大きさとにより、排出レベルを改善する自発的な努力を行うことが困難であるかもしれないからである。適切な燃料が利用可能であることは、先進的な排出抑制技術の市場への導入を容易にするための重要な要素である。「環境にやさしい自動車」の利用拡大のためには、必要なインフラにも十分注意を払う必要がある。
c)適切な燃料の利用可能性は、環境にやさしい自動車の開発と普及のために極めて重要な要因であり、集中的一体的に取り組まれるべきである。有鉛ガソリンの使用の世界規模での禁止と低硫黄ガソリン・軽油の導入は早急に行われるべきである。また、非化石代替燃料の導入を加速すべきである。
d)「環境にやさしい自動車」の概念を議論し、また、その開発と普及を容易にするため、緊密な国際協力は効果的な手法である。まずその第一歩として、我々は「環境にやさしい自動車に関する国際会議」を開催することが重要であるというとの認識を共有する。その国際会議で、我々は現存の、又は将来の自動車技術と、種々の燃料の利用可能性についての知識を基礎として、環境問題に関する解決策を議論するとともに、「環境にやさしい自動車」の開発と普及を容易にする国際的な政策調整の可能性を探る。その際、他の既存のフォーラムとの議題の重複を避けるべきである。
e)「環境にやさしい自動車」の普及を促進するため、世界中の「環境にやさしい自動車」の基準を調和させることが必須である。この観点から、我々は国連・車両等の世界的技術規則協定(グローバル協定)に基づく、国連欧州経済委員会の自動車基準調和フォーラムの枠組みでの、環境にやさしい自動車の基準及び試験方法の調和に関するイニシアティブを支持する。
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