国土交通省
 第4回「21世紀の土砂災害対策を考える懇談会」議事概
 要について(速報)
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平成14年8月9日

<問い合わせ先>

河川局砂防部砂防計画課

(内線36102、36142)

TEL:03-5253-8111(代表)

 

 第4回「21世紀の土砂災害対策を考える懇談会」が下記のとおり開催されましたので、報告いたします。

  1. 概要

     期日  :平成14年8月5日(月)14:00〜16:00
     場所  :都道府県会館 4階402会議室
     出席者:小橋座長、伊藤副座長、青木委員、石井委員、石川委員、久保委員、斉藤委員、三本木委員、中村委員、松村委員、水山委員、山脇委員

  2. 議題

     21世紀の土砂災害対策について

  3. 主な議事概要

     事務局より資料1及び資料2により、中間報告(案)の説明を行い、ご議論頂いたところ、各委員から頂いた主な意見は以下のとおりです。

    <安全・安心の確保>

    •  土砂災害対策を進めていく上で、今後の厳しい財政状況を勘案すると、全て施設整備で対応することは困難。将来的には、行政が施設整備等により対応することのできる範囲を示すことが必要であり、同時に行政が対応することのできない範囲を示すことにより、その地域の住民に土砂災害に対する自己責任の意識をもたせることが重要。
    •  ソフト対策を講じることによりハード対策がどれだけ不要になるのか、ハード対策を講じることによりソフト対策の必要性ががどれだけ軽減されるのかなど、ハード対策とソフト対策の組合わせによる具体的な取組み内容をマクロ的・構造的に図式等で示すことが必要。さらに、これらの対策により、例えば長期計画など一定の期間の目標や効果の表示方法等に基づき、数値等を用い定量的に将来の姿を示していただきたい。
    •  住民の安全を確保する手法には、砂防えん堤等の施設整備による方法、住宅補強を含む土地利用規制による方法、警戒避難による方法の3つの方法があるが、土砂災害防止法による効果を最大限発揮させるためには、これらの方法を如何に適切に組み合わせて取り組むかがポイント。
    •  地震や火山噴火災害等の発生に関しては、例えば、今世紀前半に東南海地震や南海地震が生起する可能性について政府が指摘していることなどを踏まえ、このような大規模かつ広域的な影響が見込まれている災害における土砂災害対策の果たす役割は重要。具体的な災害に触れた上で、土砂災害対策の観点から記述内容の充実を図ることが必要。
    •  地震や火山噴火対策に関しては、初動体制の整備のみならず、雲仙・普賢岳等で実施しているような2次的な土砂災害に対する対策の必要性についても記述することが必要。
    •  土地利用規制は安全・安心の国土づくりの基本となるもの。土砂災害危険箇所が増加する中で、土砂災害危険箇所の増加に歯止めをかけるために土砂災害防止法が基本にあることを明記すべき。さらに、土地利用規制に関する記述内容を充実させることが必要。
    •  既存施設の有効活用の内容については、他の部分との記述の内容とのバランスから、大局的な視点での記述としていただきたい。

    <都市と地域>

    •  今回の資料では、グリーンベルト整備事業に関しては、第4章で今後の課題として整理されており、具体的に新たな施策が提案されていない。グーンベルト整備事業は都市と地域という観点から重要な施策。グリーンベルト整備事業と土砂災害防止法等による土地利用規制との組合わせによる対策は、施設整備と土地利用のコントロールを相互に連携し一体的に実施する取組みとして重要であり、積極的にリーディングプロジェクトとして打ち出すことが必要。
    •  まちづくりにおける土砂災害対策の役割を明確にし、まちづくりの関係部局に対し、砂防部局の役割を示すことが必要。さらに、各々の役割分担を明らかにし、積極的にまちづくりに関与することが必要。また、まちづくりの関係部局とともに安全な斜面を形成する手法の開発、検討を進めるという内容についても記載していただきたい。

    <環境>

    •  スリット化の推進をはじめ、里地里山の保全、流木対策等の各環境に関する施策について、その施策の必要性や実施する内容について、具体的な捕捉説明が必要。
    •  環境に関する施策に関しては、従来の対策のみならず、新たな視点やビジョンのもとに、21世紀型の土砂災害対策として新たなものを打ち出すことができないか検討することが必要。なお、新しいビジョン等を示すにあたっては、従前より実施している施策との違いを明確にすることが必要。また、打ち出しにあたってはキャッチフレーズ的な表現方法についても検討することが必要。
    •  砂防法制定当時は「治水上砂防」には地震、里山、水源涵養対策等まで幅広い範囲が想定されていたところ。今後においては、従来の「治水上砂防」を基本としつつも、さらに一歩進め、例えば、「生態保護砂防」、「文化育成砂防」を追加するなど、次の100年を展望した新しい砂防の姿を示すことについて検討していただきたい。
    •  施策の転換に関しては明確に記述されていないが、砂防事業等においても、これまで様々な問題に直面し、その時代の要請に対応し施策を転換し実施している。このような施策が転換されている流れについて明確に記述することが必要。
    •  行政と一般の人との間に、公共事業に対する認識や考え方に大きなギャップがある。対策を一生懸命考えている行政(専門家)と、その一方で公共事業はいらないと、対策の必要性について問題意識や関心を持っていない一般の人が多くいるように思う。この大きなギャップを埋めることが今後の大きな視点の一つ。
    •  都市周辺の開発、地球環境問題、生態系の問題等は20世紀の「負の遺産」がもたらした課題。この「負の遺産」に対し、今後どのように砂防事業等が対応していくのかという視点を盛り込むことが必要。

    <ソフト対策>

    •  最近の災害の例に見られるように、洪水や土砂災害に対して危険な場所に新規の住宅が立地し、その結果災害により被害を受けるケースがある。このような状況を避けるためにも、土地利用規制を推進し、災害に対する危険性を明示することが必要であり、その上で自己責任による対応を求めるということについて明記することが必要。
    •  警戒避難に関しては、災害時に生命に対する安全は確保されるものの、財産の取扱いについては想定されていないため、財産を守る手法について検討することが必要。一つの手法として、今後の土砂災害防止法の本格的な展開を背景に、土砂災害に係る損害保険制度について検討することも必要。
    •  砂防法などの従来の法律・制度は、ある意味で災害対応型の法律・制度。今後は土砂災害防止法により土地利用規制が進められることとなり予知・予測が基本となる時代に。そのため、今後重要となる予知・予測の視点を対策に盛り込んでおくことが必要。
    •  第3章の5.のタイトルを含め、土地利用規制に関する内容を明確に記載することが必要。特に、これからの取組みが、リスクマネージメント等と相まって、土地利用をコントロールするという新たな概念のもとで対策を進めるという視点を打ち出すことが必要。
    •  20世紀の土砂災害対策がどこまで到達し、どのような成果をあげてきたかを評価した上で、21世紀の目標や対策に繋げることが必要。また、今後は「予防」の面が特に重要であり、「予防」の面に重点をおいた施策の展開が必要。また、これら施策の目標について分かりやすく説明するために、数値等により示すことが必要。

  4. 今後のスケジュール

     以上のご指摘、ご意見等を踏まえ、中間報告(案)の修正を行い、後日中間報告として公表いたします。
     なお、今後の懇談会に関しては、9月中を目途に現地視察を行う予定です。次回の第5回懇談会は10月頃に開催し、最終的なとりまとめを行う予定です。

  5. その他
     なお、懇談会に使用しました資料などは下記ホームページに掲載しておりますのでご参考下さい。
     URL:http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link21seiki.htm

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