平成14年4月30日 |
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国土交通省は、本日、自動車NOx・PM法(注)第15条第1項の規定に基づき「自動車運送事業者等の判断の基準となるべき事項」を告示しました。
この告示は、去る4月2日に閣議決定された「自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針」を踏まえ、自動車運送事業者及び第二種利用運送事業者(以下「自動車運送事業者等」という。)が、自動車から排出されるNOxやPMの排出を抑制するために講じるべき措置等について定めています。
また、同日付けで事業者が策定すべき計画に盛り込むべき事項、計画の提出手続き等を定めた「自動車運送事業者等に係る自動車排出窒素酸化物等の抑制のための計画の提出方法等を定める省令」(環境省との共同省令)を公布し5月1日から施行することとしました。それらの概要は、以下のとおりです。
(注)自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成4年法律第70号)
.自動車運送事業者等の判断基準(告示)の概要
自動車運送事業者等の取り組みスキーム(第2関係)
.「自動車運送事業者等に係る自動車排出窒素酸化物等の抑制のための計画の提出方法等を定める省令」概要
第1 趣旨
大都市地域を中心として、自動車交通に起因する窒素酸化物及び粒子状物質による大気汚染は、厳しい状況にあり、とりわけ近年、ディーゼル車から排出される粒子状物質については、発がん性のおそれを含む国民の健康への悪影響が懸念されている。
こうした状況を踏まえ、自動車から排出される窒素酸化物に加えて、粒子状物質による大気汚染の防止に関して、国、地方公共団体を通じた総合的な対策の枠組みを定め、一定の自動車について排出に係る規制を行うとともに、事業者による排出抑制のための措置を強化することにより、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る大気環境基準の確保を図るため、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成4年法律第70号。以下「特別法」という。)が施行されたところである。
この自動車運送事業者等の判断の基準となるべき事項は、特別法第15条第1項の規定に基づき、窒素酸化物対策地域及び粒子状物質対策地域における自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質(以下「自動車排出窒素酸化物等」という。)による大気の汚染の防止を図るため、道路運送法(昭和26年法律第183号)の規定による自動車運送事業者及び貨物運送取扱事業法(平成元年法律第82号)の規定による第二種利用運送事業を経営する者(以下「自動車運送事業者等」という。)の事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制のために必要な計画的に取り組むべき措置その他の措置に関し定めるものである。
第2 取組方針の作成とその効果等の把握
自動車運送事業者等は、事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制のための措置を計画的かつ効果的に行うよう、以下のように取り組むこととする。
自らの事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の実態について把握した上で、排出の抑制のための自主的な排出量に関する目標及びその達成に向けて講ずべき措置の方針を作成する。
に基づき具体的な措置を講ずる。
の措置の実施状況及びその効果を把握する。
を踏まえた上で当初作成した目標及び措置の方針を再検討し、更に効果的な取組を行う。
また、以上のような措置を行うために必要な自動車の使用状況等について記録化を行う。
第3 排出量の抑制のための措置
自動車運送事業者等は、次のような措置の中から個々の事業活動の規模、種類等の事情、事業活動を行う地域の環境の状況及び技術的可能性を踏まえて適切に選択した措置を講ずることにより、事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制を図る。
第3−1 すべての自動車運送事業者等に共通する措置
(2)低公害車の積極的導入
自動車排出窒素酸化物等の排出量が少ないCNG(圧縮天然ガス)自動車、ハイブリッド自動車、低燃費かつ低排出ガス認定車(LPG(液化石油ガス)自動車を含む。)等の低公害車やDPF(ディーゼル微粒子除去装置)等排出ガスを低減する装置等の開発状況等の十分な把握に努め、低公害車の導入が可能な車両について、補助制度などを活用しつつ、導入を積極的に進める。
なお、低公害車の導入に当たっては、車両割合等により自主的に定めた目標に基づいて計画的に進めることとし、低公害車の導入が可能な車種についての低公害車の割合を概ね5%以上とする等の目標の設定により、計画的導入に努める。
(3)適正運転の実施等
適正運転の実施
自動車の使用に際しては、運転方法により燃料消費量、ひいては、窒素酸化物等の排出量も大きく異なることから、以下のような事項につきマニュアルの作成、従業員の教育等を通じ、実施の徹底を図る。また、自動車の安全確保や燃料消費量の低減の観点から過積載の禁止の徹底を図るとともに、デジタル式運行記録計等の活用により、適正運転の実施の担保を図る。
第3−2 貨物自動車運送事業者及び第二種利用運送事業者に係る措置
(2)モーダルシフトの推進
自動車輸送と比較してより環境に対する負荷が少ない大量輸送機関である鉄道及び海運の活用(モーダルシフト)を推進するため、輸送機関の選択に際し、貨物の大口化等を通じて鉄道及び海運の積極的な利用を図るよう努める。
(3)情報化の推進
輸送効率の向上を図る上においては、貨物自動車運送事業者及び貨物運送取扱事業者を中心とした情報ネットワーク化等の推進が必要であることから、事業者団体、荷主等と連携をとり、VICS(道路交通情報通信システム)等のシステムも活用しながら、積載効率の向上等に資する情報システムの積極的な開発・導入を行う。
また、貨物自動車運送事業者は、帰り荷の確保に資する求貨求車システムを積極的に活用することにより、輸送の効率化を図る。
(4)物流施設の高度化、物流拠点の整備等
既存施設について、機械化・自動化及び流通加工、保管等の機能の付加による高度化・複合化を推進するとともに、共同輸配送、新輸送商品の開発に対応するため、施設間の適正配置・集約化及び荷受け、仕分け等の業務の効率化に配慮しつつ、物流拠点の整備を図る。
また、交通渋滞をもたらし、自動車排出窒素酸化物等の排出量の増大の原因となる路上駐停車を防止し、交通流の円滑化に資するため、路上駐停車の自粛と併せ、荷捌き場、駐停車場所及び進入出路についても他の事業者や事業者団体、地方公共団体等との協力を行うなどして整備を図る。
(2)調査研究体制の確立等
自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制を図るための代替対象車種及びその開発状況等の把握並びに的確な導入計画の策定方策の調査研究及び荷役時間の省力化を含む輸送の効率化に資するパレット、梱包材等の設備又は高機能輸送機材等の開発のための調査研究の体制の整備・充実を図り、開発メーカー等に対し、事業者としての立場からの提言等を行う。
第3−3 旅客自動車運送事業者に係る措置
(2)走行環境の改善>br> 大都市圏におけるバスの利用促進のためには、利用者利便を向上させるとともに、バス専用レーン、優先レーン等の設置、違法駐車の排除等のバス走行環境の改善を図ることが有効である。このため、一般乗合旅客自動車運送事業者等は、事業者団体と連携を図りつつ、バス活性化委員会等を活用し、走行環境の改善策の実現に向けたこれら関係者との連携の強化に努める。
(2)需要動向に応じた車両管理
無駄な走行を削減するため、定期的な顧客需要の把握に努めるとともに、当該需要の季節的な波動及び景気動向にも配慮しつつ適切な車両管理に努める。また、社用車等の自家用車からの誘導を促進する。
(2)調査研究体制の確立等
自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制を図るための代替対象車種及びその開発状況等の把握並びに的確な導入計画の策定方策の調査研究及び輸送サービス改善に資するシステムの開発のための調査研究の体制の整備・充実を図り、開発メーカー等に対し、事業者としての立場からの提言等を行う。
自動車運送事業者等に係る自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制のための計画の提出方法等を定める省令
(計画の提出)
第一条
自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(以下「法」という。)第二十二条第一項の規定により読み替えて適用される法第十七条の規定による計画の提出は、第一号から第五号までに掲げる事項及び第六号から第九号までに掲げる事項のうち特定事業者(法第二十二条第一項の規定により読み替えて適用される法第十八条に規定する特定事業者をいう。以下同じ。)が実施することとして選択した措置に係るものにつき定めた計画を提出することにより行わなければならない。
(定期の報告)
第二条
法第二十二条第一項の規定により読み替えて適用される法第十八条の環境省令、国土交通省令で定める事項は、前年度における第一号及び第二号に掲げる事項並びに第三号から第六号までに掲げる事項のうち特定事業者が実施することとして選択した措置に係る事項とする。
(立入検査の身分証明書)
第三条
道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)の規定による自動車運送事業者又は貨物運送取扱事業法(平成元年法律第八十二号)の規定による第二種利用運送事業を経営する者が特定事業者である場合における法第二十条第二項の証明書の様式は、別記様式のとおりとする。
(環境大臣及び関係都道府県知事への通知)
第四条
法第二十二条第二項の規定による通知は、受理した計画又は報告について行うものとする。
(計画書等の経由)
第五条
法第二十二条第一項の規定により読み替えて適用される第十七条及び第十八条の規定に基づく計画の提出及び報告は、それぞれ特定自動車の使用の本拠の位置を管轄する陸運支局長を経由して、地方運輸局長に行わなければならない。
附則
(施行期日)
第一条
この省令は、平成十四年五月一日から施行する。
(経過措置)
第二条
この省令の施行の日から二月以内に特定事業者に該当することとなる者については、第一条第三項中「特定事業者に該当することとなった日から三月以内」とあるのは「平成十四年九月三十日まで」と読み替えるものとする。
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