平成14年9月13日 |
<問い合わせ先> |
自動車交通局 |
技術安全部審査課 |
(内線42354) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
自動車事故対策センター |
企画開発室企画情報課 |
TEL:03-5276-4455 |
国土交通省と自動車事故対策センターは、平成14年8月2日(金)より8月20日(火)までの期間において、平成14年度自動車アセスメント実施要領(案)に対する意見の募集を行いました。
頂いた意見及びそれに対する国土交通省の見解を別添のとおり取りまとめましたので発表します。
なお、国土交通省では、頂いた意見募集の結果等を踏まえ、平成14年度自動車アセスメント実施要領を定めて9月下旬に告示を行い、それに基づき評価試験を順次実施する予定です。
別添
平成14年度自動車アセスメント実施要領(案)に対する意見及び国土交通省の見解
.チャイルドシートの安全性能試験について
<ご意見>
FMVSS No.213やECE R44/03 にそれぞれ適合している製品も同様に試験を行うべき。
(国土交通省の見解)
試験対象とする製品は、わが国の型式指定を受けたもの及び米国又は欧州の基準に適合するものとしており、米国や欧州の基準に適合している製品についても選定の対象としています。
<ご意見>
ベッド型の試験に用いるダミーは。
(国土交通省の見解)
ベッド型チャイルドシートの衝突試験には、CRABI−6M(6ヶ月ダミー、身長約67cm、体重約7.8kgで概ね6ヶ月児に似せたダミー)を使用します。
<ご意見>
乳児用の後向きタイプでは背中で衝突を受け止めるため、頭部傷害(加速度等)や頸部傷害(モーメント等)が問題となることはないが、ベッド型の製品では、構造上頭部側面とチャイルドシートの間に隙間が発生するため、頭部あるいは頸部へ負荷がかかると考えられることから、頭部傷害値や頸部傷害値の評価は必要ではないか。
(国土交通省の見解)
乳児の頭部及び頸部の傷害値については、現在生体に関する学術的知見が少ないこともあり、乳児用シートの試験で使用する9ヶ月ダミーにおいても測定を行っておりません。このため、頭部あるいは頸部に対する評価として、現状では拘束状態やダミー頭部移動量で判断することが適切であると考えております。
<ご意見>
昨年度に実施した乳児用シートで衝突時のシートバックの傾き角度が45度以下となっている(45度より立っている)ものがあるが、これは座席に取り付けた時点でのチャイルドシートのシートバック設定角度が、適当と言われている45度程度とはなっていないためではないか。本年は明確に、正確に試験をされたい。
(国土交通省の見解)
チャイルドシートアセスメントの衝突安全性能試験ではチャイルドシートを試験用台車の座席に取り付ける際には、取扱説明書等に従いセットしています。後向きの製品については、通常使用時にはシートバックの傾きを、45度程度で使用することが適当との考え方が一般に言われており、各製品は取扱説明書等に従って取り付けた場合、それに近い形になるよう製作されているものと思われますが、取付時点のシートバックの傾きの角度については計測しておりません。
なお、衝突安全性能試験では、シートバックの傾きについては、衝撃時の加速度が最大となった時点の傾き角度を計測しています。昨年度に試験を実施した乳児用チャイルドシートのうち、シートバック部を車両のシートベルトで保持する構造の製品の中には、衝撃を受けた時にシートバックが起き上がり、シートの傾きが試験開始前に比較して小さくなったものもあり、必ずしも衝突前のシートバックの傾きが衝突後のシートバックの傾きより小さいとは限りません。
本年度も、取扱説明書に従ってチャイルドシートの取り付けを行うこととしていますが、取付時のシートバックの状態を明確にするために、取付時点の傾きの角度の計測についても検討することとします。
<ご意見>
着衣型チャイルドシートについては、前回事前に定めた判定方法では適切な評価が出来ず、安全性がユーザーに分からなかったことから、今回改めて試験をするべき。
腹部の圧迫の状況を測定するのであれば、シェル型の股ベルトの圧迫についても測定し評価すべき。
(国土交通省の見解)
昨年度着衣型チャイルドシートにおいて評価を行えなかった、ベルトが身体の弱い部分を圧迫する等によりダミーに危害を加えるおそれがないかどうかの評価については、シェル型を含め幼児用チャイルドシートにおいて面圧計を用いて腹部への圧迫を定量的に把握するための測定を試行することとしており、評価方法については更に検討することとしています。
<ご意見>
昨年の試験の結果を見ると、着衣型において、ダミーの座席からの尻落ち現象があるが、ダミーへの加害性がある事例があるのではないか。
(国土交通省の見解)
実施要領(案)で示したように、本年度の評価においては、座席からのダミーの脱落の事象が見られた際には、×の評価を行うこととしています。
<ご意見>
着衣型についてはバケット型(シェル型)の製品に比べて使用性評価で該当する評価項目が少なく、項目によって評価が低いと決定的な評価になってしまい平等とは言えないのではないか。
(国土交通省の見解)
使用性評価試験の方法は、シェル型と着衣型とで特に差異を設けていません。ただし、該当するチェック項目が対象製品にない場合はその項目について評価を行いません。
また、評価の点数は各評価項目毎の平均点で表示していますが、評価項目が少ないことが、不平等であるとは考えておりません。
<ご意見>
アセスメントを行う上での評価基準と、2003年の新基準の内容について、ユーザーが混乱しないよう説明する必要がある。
(国土交通省の見解)
チャイルドシートの安全基準については、2000年より新しい基準(いわゆる「新基準」)が施行されました。ただし、2002年末までは従前の基準(いわゆる「旧基準」)に基づく製品を継続して製作することが可能であり、新基準に基づく製品のみ製作されるのが2003年1月以降であるため、市場等においては一部「2003年新基準」という呼称がなされています。
なお、アセスメントによる評価は、製品間の性能の差を明確にするため、安全基準(新基準)に比較して試験条件を厳しくし、多くの項目を測定するなど、厳しいものとなっています。
<ご意見>
ALR機能を持った座席ベルトで試験しているが、昨年度の試験でその機能に不備はなかったか。
(国土交通省の見解)
チャイルドシートを座席に取り付ける際には、シートベルトを一旦全部引き出してシートベルトのALR機能を作動させていますが、一定の位置までシートベルトが巻き込まれるとALR機能が解除されるものとなっています。シートベルトの引き出し長さが小さい一部の製品(着衣型など)においてはALR機能が作動状態にならないものがありますが、これは実際の使用と同じシートベルトの通常の作動であり、シートベルトの機能の不備であるとは考えていません。
<ご意見>
ベッド型、着衣型の判定基準については、具体的内容の決定後、再度意見募集の手続きをすべき。
(国土交通省の見解)
ベッド型の評価方法については、今回意見募集を行った実施要領(案)において提示したとおり他のチャイルドシート同様チャイルドシート自体の損傷、拘束の状態、加害性の確認等を行うこととし、具体的には衝突時のダミー頭部のベッドからのはみ出し、ベッド底面の傾き、ダミー頭部移動量を測定することを公表しており、改めて意見募集を行う必要はないと考えております。
また、着衣型については、これを含めた全ての幼児用チャイルドシートについて面圧計を用いた計測を行うこととしており、今後、アセスメント評価検討会等の場などにおいて腹部の圧迫等の具体的な評価方法について検討することとしています。
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