平成14年3月25日 |
<問い合わせ先> |
港湾局計画課企画調査室 |
(内線46344) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
長周期波とは、波の高さは小さいものの、いわば海面全体がゆっくりと上下する波のことです。 |
長周期波は非常に大きなエネルギーで、係留している船舶を大きく揺らすため、![]() ![]() ![]() |
実態把握のために行ったヒアリング調査では、船舶の接触による岸壁の損傷で、億単位の被害が生じた例、人身事故が起こった例、1年足らずの間に100隻以上の船舶が影響を受けた例等が見受けられました。 なお、記録に残っていない被害があること、船舶関係者が事故を未然に防ぐための対応をとっていること等を考えると、把握できた事例は氷山の一角であると想定されます。 |
全国の15の港湾において、実態把握のためのヒアリング調査を行いました。
ヒアリング調査から得られた被害の実態は以下のとおりです。
<大きな損害額が出た事例―志布志港(鹿児島県)―>
鹿児島県の志布志港では、沖縄本島付近の台風から発生した長周期波の影響を受け、2つの岸壁で船舶と岸壁が接触することにより、岸壁損傷分だけでも約6億5千万円の損害が生じている。船舶損傷分については記録がないが、これを含めるとかなりの損害額になる。
<人身事故が起こった事例―苫小牧港(北海道)―>
北海道の苫小牧港では、船舶の揺れ抑えるためのロープを増設作業中や、ロープの切断により、手指の裂傷や顔面を3針縫合するような人身事故が起こっている。なお、ヒアリングによると、切断したロープの直撃を受けた場合にはひとたまりもなく、死亡事故に至っても不思議ではないとのことである。
<荷役中断が頻繁している事例―小名浜港(福島県)―>
福島県の小名浜港では、平成13年1月〜11月だけでも、100隻を超える船が荷役の中断を余儀なくされている。これらの船は重油、ガス等の危険物積載船であり、万が一、油漏れ、ガス漏れが起こると、大変な被害になることが想定される。
<その他の長周期波によって生じる問題>
以上のような例のとおり、岸壁や船舶の損傷、ロープの切断、人身被害、荷役中断をはじめとして、この他にも、タグボートを使って船舶の揺れを抑えたり、緊急に岸壁を離れて沖で停泊・待機したりといったように、余分な燃料、時間、労働力の増加が生じている。
なお、ヒアリング調査では、特徴的な被害があったとして記録に残っているものや、長周期波に対する問題意識を持って記録に残しているもの等を把握できたにすぎず、記録に残っていない事例が存在するほか、事故を未然に防ぐために、被害が起こりそうな場合は入港しない、もしくは、他の港を利用する等の対応をとるとの船舶関係者の意見もあり、得られた事例は氷山の一角であると考えられます。
以上の結果を踏まえ、検討会として、国土交通省に対し、以下のような抜本的な対策を強く提言・要望します。![]() ![]() ![]()
これらの対策を講じることにより、 |
これらの対策を講じることにより、安全性の向上、
物流コストの削減(高コスト構造の是正)、
運航の定時性・安定性の確保、を図ることができ、また、モーダルシフト(環境負荷の少ない海上輸送へのシフト)の推進に寄与することができます。
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