国土交通省
 国内航空需要予測の一層の精度向上等について
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平成14年1月9日
<問い合わせ先>
航空局飛行場部計画課

(内線49202)

TEL:03-5253-8111(代表)


 
 今般、国土交通省では、今後の需要予測の実施に関し、「国内航空需要予測の一層の精度向上について」をとりまとめるとともに、関係地方公共団体等にお知らせいたしました。
 併せて、今後、予測方法の検証に必要な記録を整備、保存し、求めがあれば適切に公開するよう努めることとするとともに、関係地方公共団体にもその旨お願いいたしました。
 これは、昨年5月24日に総務省より当省に対して行われた「空港の整備等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/kansatu/index.htm)において、空港整備事業に係る需要予測の精度の一層の向上及び透明性の確保を図る観点から必要があるとされた措置を実施したものです。


国内航空需要予測の一層の精度向上について

平成13年12月 国土交通省航空局

  1. はじめに
    厳しい財政事情の下、空港整備について重点的かつ効果的な実施が求められており、空港整備の必要性についてより的確な評価が必要となっている。
    需要予測は、空港整備の必要性、施設整備の規模の検討材料となるほか、事業評価としての費用対効果分析の基礎データとしても重要なものである。
    空港整備事業の評価等の基礎となる航空需要予測については、各空港の設置管理者(以下、「実施者」という。)により実施されているところであり、これまでも予測した時点での知見等を踏まえ、適切に実施してきたものと考えられるが、近年の需要予測手法の研究・開発等や、関係データの整備といった諸情勢を踏まえ、今後とも需要予測の一層の精度向上を図ることとする。
    ここでは、各実施者がより精度の高い需要予測を行うことを目的として、「留意すべき事項」について以下の通り取りまとめる。
    「留意すべき事項」については、今後の需要予測に関する新たな知見の蓄積や研究の進展に応じて、改変すべきものと考えている。

  2. 国内航空需要予測の一層の精度向上のために「留意すべき事項」について
    .国内航空旅客の需要予測手法
    国内航空旅客の需要予測については、1「国内旅客総流動量」、2「地域別旅客流動量」、3「地域間旅客流動量」及び4「機関分担交通量」の各段階に分けて予測を行う。算出された航空旅客流動量については、さらに路線別に予測を行う。
    この手法は、(参考―1)に示す内容を標準とする。
    いずれの段階でも、A.現況データによる予測モデルの構築、B.将来データの設定による予測の実施という作業が必要となる(参考―2)

    1国内旅客総流動量の予測
    国内旅客総流動量の実績として、「航空+競合交通機関」を設定する。
    競合交通機関としてはJR(定期外)とする。
    将来流動量を算定するために、社会・経済指標と国内旅客総流動量の相関式を作成する。
    将来の経済指標(GDP)の設定の際は、最新の政府経済見通しを用い設定する。
    競合交通機関については、今後の高速道路の整備により高速バス等が航空旅客に大きな影響を及ぼすことが想定される場合には、JR(定期外)に加え自動車も含める。その際、「旅客地域流動調査」、「航空輸送統計年報」など、国土交通省編のデータを用いる。また、個人の旅客流動に着目し、航空・鉄道・自動車等の交通機関間の乗り換え状況を含めた総合的な流動を把握できる「全国幹線旅客純流動調査(国土交通省編)」のデータも使用することができる。
    相関式を作成する際には、過去の実績を分析することが必要であるが、その期間としては10年以上を基本とし、データ相互の相関係数(決定係数)に留意してその期間を定める。

    2地域別旅客流動量の予測
    地域別旅客流動量の将来値を求める際には、都道府県内総生産、都道府県別人口などとの相関分析にもとづき算定する。
    都道府県内総生産の将来成長率の設定は、全国の成長率(GDP成長率)の設定と同様とする。ただし、地域間旅客流動量の将来値を求める際に、都道府県別の独自の成長率を設定する場合には、設定の根拠を明確にしておくことが必要である。
    都道府県別人口の将来見通しは、国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県の将来推計人口」を用いる。

    3-1地域間(都道府県間)旅客流動量の予測
    国内旅客総流動量から地域間(都道府県間)旅客流動量を算定するにあたっては、国内旅客総流動量の予測と同様に、「旅客地域流動調査」、「航空輸送統計年報」、「幹線旅客純流動調査」など国土交通省編のデータを用いる。
    地域間流動を把握する際、競合交通機関は、「旅客地域流動調査」等により把握し、航空については、正確に把握するために、地域間の旅客流動量については、国土交通省航空局編の「航空旅客動態調査」※1)を用いる。
    「航空旅客動態調査」については、隔年毎に秋季の1日をとって実施している調査であり、個別データには、調査年、季節ごとのばらつきや、団体旅行等による影響(特異値)が含まれる可能性がある。そのため、1日調査である特性を踏まえつつ、複数回の「航空旅客動態調査」を分析し、平均的な流動パターンを設定するなど努める。
    複数回の平均的な流動パターンを設定する際に、特異値を排除する必要が生じる場合もあるが、特異値として取り扱う際には、その根拠を明確にしておくことが必要である。
    一般的に、地域間旅客流動量の伸びを設定する際には、地域間距離や競合手段の整備状況によりその特性が異なることが考えられるため、経済成長率と地域間旅客流動量の伸び率の相関を一律的にとるのではなく、距離帯別特性等の分析を行い、適切に設定する。また、その際は、設定の根拠を明確にしておくことが必要である。
    ※1)「航空旅客動態調査」においては、「航空輸送統計年報」、「旅客地域流動調査」では把握できない航空旅客の出発地、出発空港、到着空港、目的地等を把握できる。

    3-2地域間旅客流動量(細分化した地区間)の予測
    都道府県単位で地域間流動を把握するには、区域が大きいため、都道府県を複数の地区に細分化する。
    細分化した地区間の旅客流動量は、都道府県間旅客流動量を基に配分することとなるが、その考え方を明確にする。
    都道府県の細分化及びその中心地の設定にあたっては、利用者が各交通機関を選択する際の利用条件が、大きな選択要因となるため、空港や駅などへのアクセス条件や人口の重心など加味しながら、適切に設定し、その設定根拠を明確にしておくことが必要である。(その際、地方生活圏※2)等の設定が参考になる。)
    ※2)(財)地域開発研究所編:地方生活圏要覧より

    4機関分担交通量(航空分担率)の予測
    航空と競合する他の交通機関の分担を算出する際には、所要時間、運賃等、利用者が交通機関を選択する要因となるものを合理的に説明できるモデルを用いる。
    競合機関、競合空港の設定が、航空分担率算定に大きく影響を与えることから、予測年次におけるこれらの整備状況等を踏まえ設定する。(ただし、競合機関、競合空港の供用時期が明らかでない場合は、想定しうる最短の整備期間として設定する。)
    空港へのアクセス・イグレス手段の設定についても、空港間での分担に大きく影響を与えることから、予測年次におけるこれらの整備状況等を踏まえ適切に設定する。
    航空路線選択については、各地区間で唯一でなく、乗り継ぎを含め複数の経路が考えられる場合もあるので、航空旅客動態調査等を参考にし、航空路線選択の現状等を踏まえた上で、適切に設定する。
    サービスレベル(LOS)設定の際、乗車時間、乗り換え時間については参考―3をもとにする。また、運賃設定については、航空と競合交通手段間で、整合性が図られるようにする。
    なお、近隣に他空港が存在する場合には、便数等の利便性が空港選択に影響があると考えられる。これを考慮できるモデルの開発状況等を踏まえ、採用するよう努める。

    .妥当性の確認
     の内容に従って需要予測を行うことにより、予測精度の向上及び各実施者間での整合性の確保が図られるとともに、以下の観点から、予測結果についての妥当性の確認を行う。

     
    1 当該空港において、路線別に過去の実績の推移(伸び率)と、予測値の推移(伸び率)の比較を行い、大きな変動が見られる場合には競合交通機関の整備等との関連について要因分析を行う。
    2 当該空港の予測結果についてマクロ的な観点からの評価も必要である。例えば、全国国内航空旅客の見通し(航空局予測)等を参考に、当該空港の予測結果が全国的な動向と異なる傾向となっている場合には、その要因について分析を行う。
    3 自空港または近接する他空港が新設される場合の需要予測においては、自空港のみでの1及び2の確認は困難であるため、自空港及び近接する他空港の総需要を算定の上、1及び2の分析を行う。

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