国土交通省
 「機内迷惑行為防止に関する行動指針」について
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平成14年2月22日
<問い合わせ先>
航空局監理部
  総務課危機管理室

(内線48163、48166)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

  1.  近年、我が国においては、過度の飲酒を起因とした暴行・威嚇、化粧室内の喫煙等のいわゆる機内迷惑行為の発生件数が増加していると言われております。
     現在、これら機内迷惑行為の防止対策について、航空会社・労働組合の要望も踏まえつつ、新たな立法措置の必要性も含め検討しているところでありますが、本日付けで別添の「機内迷惑行為防止に関する行動指針」を定期航空協会あてに発出し、同協会傘下の航空運送事業者に対し、同指針に沿った対応要領を策定・実施することにより、機内迷惑行為の防止を図るよう通達いたしました。

  2.  なお、立法措置については、国民に新たな刑罰を課すという内容であるため、慎重な検討が必要であり、上記指針の運用状況、機内迷惑行為の発生状況、諸外国の動向等を更に見極めるとともに、現行法で刑罰の対象となっていない行為の可罰性や現行法定刑の加重の是非、機長権限の規定の在り方等について検討するなど、実態面から法制面に至るまで幅広い観点から、利用者も含めた国民のコンセンサスを探る努力をしつつ、引き続き検討することとしております。


機内迷惑行為防止に関する行動指針

平成14年2月
国土交通省航空局

 

  1. 指針の目的
     近年、我が国においては、航空機利用の大衆化等に伴い、過度の飲酒を起因とした暴行・威嚇、化粧室内の喫煙等のいわゆる機内迷惑行為の発生件数が増加している。
     これらの行為は、単に他の多数の旅客の迷惑となるだけではなく、中には航空機の安全な運航の阻害、旅客・乗務員に対する危害の発生などにもつながるケースがあり、そのまま放置することは許されない。
     航空運送事業者は旅客を安全かつ快適に目的地まで運送する者の当然の責務として、これらの行為の防止のため、旅客に対する広報・啓蒙活動や乗務員に対する教育・訓練を継続的に行うとともに、これらの行為が行われた場合には、法的な措置を含め、毅然とした対応をとる必要がある。
     このため、航空運送事業者は、本行動指針に沿った対処要領を策定・実施することにより、機内迷惑行為の防止を図るものとする。

  2. 機内迷惑行為の防止対策
    (1)機内迷惑行為に対する基本姿勢
     機内迷惑行為に対する姿勢を対外的に明らかにするとともに、全ての機内迷惑行為に対して可能な限り刑事責任・民事責任の追及を行う等、毅然とした対応をとる。

    (2)旅客に対する広報・協力要請
     チケットホルダー、パンフレット、ポスター、雑誌、ホームページ及び機内ビデオ等を通じて、継続的に機内迷惑行為に関する情報を旅客に周知し、協力を求める。また、重大事案については、上記に加え、積極的にマスコミ等を通じて広報する。

    (3)運送約款に基づく搭乗拒否
     泥酔者等に対しては、運送約款に基づき搭乗拒否を行う。

    (4)アルコール提供の自粛
     機内迷惑行為はアルコールに起因して発生する傾向があるため、必要に応じ機内におけるアルコール提供を自粛する。

    (5)警告の実施
     いわゆる迷惑旅客に対し、機内迷惑行為を行った場合のペナルティを警告書により通告することにより、その自制を促し、機内迷惑行為の未然防止を図る。

    (6)機内迷惑行為対処マニュアルの策定
     機内迷惑行為が生じた場合に、機長、客室乗務員等がとるべき行動を明確にするため、機内迷惑行為に対する手順、対処方法等について規定した機内迷惑行為対処マニュアルを策定する。

    (7)教育・訓練の実施
     機内迷惑行為に機長、客室乗務員等が迅速かつ的確な対応がとれるよう、本行動指針、2.(6)の機内迷惑行為対処マニュアル及び刑事・民事責任の追求のための知識等について、十分な教育・訓練を実施する。

  3. 個別事案への対処方策
    (1)航空法に基づく拘束・降機等の実施
     安全阻害行為等に該当する機内迷惑行為が機内で発生した場合には、機長は、航空法に基づき適切に拘束・降機等の措置を講じる。また、機内迷惑行為を行う者に対しては、必要に応じ運送約款に基づき降機させる。

    (2)刑事・民事責任の追及
     航空運送事業者は、全ての機内迷惑行為について、可能な限り刑事・民事責任を追及することを基本とし、このため、本社の法務部門等において一元的に対応を検討する。
     また、機長、客室乗務員等の個人に向けて行われた機内迷惑行為についても刑事・民事責任を追及できるよう、航空運送事業者はこれらを支援するための体制を確保する。

    (3)重大事案の広報
     重大事案については、積極的にマスコミ等を通じて広報する。

  4. 実態把握
    (1)機長への報告等
     客室乗務員は、機内迷惑行為を現認した際には、これを速やかに機長に報告するとともに、法的責任の追及に必要な行為者に係る情報及び現認した機内迷惑行為の状況について記録する。
     さらに、機内迷惑行為を行った者の近傍にいる旅客に対して、その目撃の有無を確認し、証人になるよう協力を求める。
     また、2.(5)の警告を行った場合は、機長に報告する。
     機長は、客室乗務員からの報告をとりまとめる。

    (2)航空運送事業者への報告
     機長は、客室乗務員からの報告に基づき、報告書を作成し、航空運送事業者に提出する。

    (3)航空局への報告
     航空運送事業者は、機長からの報告書に基づき、その概要を作成し、航空局に報告する。

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