国土交通省
 土木・建築にかかる設計の基本について
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平成14年10月21日
<問い合わせ先>
大臣官房技術調査課

(内線22333)

住宅局建築指導課

(内線39564)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 我が国においては、種々の構造物の設計に係わる技術標準を、土木構造物・建築構造物あるいは鋼構造物・コンクリート構造物・基礎構造物といった、各構造物の特性に特化させて技術標準類の策定を行ってきておりました。これは、各構造物の構造設計において最適設計を行うという面では優れたものであるといえますが、近年においては、各技術標準間や国際技術標準との整合性について問題を指摘する声も多くなっております。
 このような状況を鑑み、設計に係わる国際技術標準への対応といった面のみならず、国内の各技術標準間及び国際技術標準との整合性の確保といった面も含め、分野・構造種別を超えた「日本の考え」を示すことを主目的とし、建設省(当時)において、平成10年12月に「土木・建築の設計の基本検討委員会(共同委員長:長瀧重義新潟大学教授(当時)、岡田恒男芝浦工業大学教授)」を設置しました。本委員会には、土木・建築分野における鋼構造物、コンクリート構造物、地盤及び地震に係わる学識経験者(委員会・幹事会メンバーは別紙)により構成され、3年以上にわたる議論を重ねた結果、土木・建築分野の設計に関する基本的な考え方を示すものとして、平成14年3月に「土木・建築にかかる設計の基本」が策定されました。
 これを踏まえ、国土交通省は、この「土木・建築にかかる設計の基本」をはじめとする様々な国際標準に対する対応方針を決定するべく、平成14年10月11日に「土木・建築における国際標準対応省内委員会」を開催し、国際標準に対する検討体制、対応方針を決定しました。また、「土木・建築にかかる設計の基本」について報告され、了承されました。
 今後、国土交通省が所掌する設計に係わる技術標準については、「土木・建築の設計の基本」の考え方に沿って、今後の検討・改訂を進めていくとともに、この「土木・建築にかかる設計の基本」について、多くの学識者及び技術者に周知し、国内基準の制定など適切な対応を図ることとしています。

 

  1. 策定の経緯
     我が国においては、種々の構造物の設計に係わる技術標準を、土木構造物・建築構造物あるいは鋼構造物・コンクリート構造物・基礎構造物といった、各構造物の特性に特化させて技術標準類の策定を行ってきた。これは、各構造物の構造設計において最適設計を行うという面では優れたものであるといえるが、近年においては、各技術標準間や国際技術標準との整合性について問題を指摘する声も多くなっている。
     国際標準策定の舞台であるISOでは、設計に係わる技術標準として、基本的な考え方を示した規格に加え、荷重に関する規格やより具体的な設計法に関して言及すると考えられる規格策定が進められている。さらに、欧州においては、EU統合後の域内統一設計技術標準としての「ユーロコード」の策定完了が間近に迫り、この設計技術標準がISO規格案として提案される可能性が高い状況にある。
     こうした国際標準の策定への対応に際しては、土木・建築といった分野を超えた設計に関する日本の基本的な考え方を求められるが、従来は、各分野単位での主張を行う等の対応となっていた。
     設計に係わる国際技術標準への対応といった面のみならず、国内の各技術標準間及び国際技術標準との整合性の確保といった面も含めて、分野・構造種別を超えた「日本の考え」を示すため、平成10年12月より「土木・建築の設計の基本検討委員会(共同委員長:長瀧重義新潟大学教授、岡田恒男芝浦工業大学教授)」を設置し、「土木・建築にかかる設計の基本」を策定することとなり、平成14年3月に最終案が策定された。

  2. 内容の特徴
     策定された「土木・建築にかかる設計の基本」については以下のような特徴を有している。
    •  ISO規格をはじめとしてユーロコードも含めた設計技術標準とは、基本的に整合しており国際的に通用するものとなっている。
    •  ISOにおける規格改訂時に、地震国である我が国の特性を反映させるための提案を行うことを意識したものとなっている。(ISOでは、1回/5年の改訂が基本ルールとなっている。)
    •  「Code for Code Writers」という位置付けの技術標準として策定し、土木分野と建築分野の設計に関する基本的な考え方を包括するものとなっている。(個別の構造物の設計に関する技術標準の策定・改訂において、考慮すべき事項を示し、その取捨選択は個別構造物の特性に合わせた議論に委ねる。)

  3. 内容の概要
     1構造物の基本的要求性能として、「安全性」、「使用性」及び「修復性」の確保を規定している。
       安全性:
     想定した作用に対して構造物内外の人命の安全性等を確保する。

    図:各限界状態のイメージ

       使用性:
     想定した作用に対して構造物の機能を適切に確保する。
       修復性:
     想定した作用に対して適用可能な技術でかつ妥当な経費および期間の範囲で修復を行うことで継続的な使用を可能とする。

     2構造物の設計供用期間を定める。

     3要求性能を満たすことの検証方法としては信頼性設計の考え方を基礎として限界状態設計を考える。

     4耐震設計では設定した耐震性能を明示し、それに対する地震動レベルを設定する。

  4. 今後の取り扱い
     学識委員会において策定された「土木・建築にかかる設計の基本」については、今後、以下のような扱いとする。

    (1)国土交通省内における扱い
     国土交通省が所掌する設計に係わる技術標準については、この「土木・建築にかかる設計の基本」の考え方に沿って、今後の整備・改訂を進める。

    (2)対外的な周知
     国際技術標準策定への対応は、基本的には国内の各審議団体が中心となって進められることから、多くの学識者及び技術者に、この「土木・建築にかかる設計の基本」が設計に関する基本的な「日本の考え」として認知される必要があり、国内基準の制定など適切な対応を図る。

 

土木・建築にかかる設計の基本検討委員会

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土木・建築にかかる設計の基本検討委員会

 

委員会
   

氏名

 

所属

共同委員長   長瀧 重義   新潟大学工学部建設学科教授
共同委員長   岡田 恒男   芝浦工業大学工学部建築工学科教授
鋼構造   藤野 陽三   東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻教授
高梨 晃一 千葉大学工学部デザイン工学科建築系教授
コンクリート構造 田邊 忠顯 名古屋大学大学院工学系研究科土木工学専攻教授
上田 茂 鳥取大学工学部土木工学科教授
小谷 俊介 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
地盤 日下部 治 東京工業大学工学部土木工学科教授
杉村 義広 東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授
地震 大町 達夫 東京工業大学大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻教授

前任者

濱田 政則 早稲田大学理工学部土木工学科教授
西川 孝夫 東京都立大学工学研究科建築学専攻教授

前任者

松島 豊 筑波大学機能工学系教授

幹事会

※所属・役職は在任期間の最終時点のもの

   

氏名

 

所属

鋼構造 佐藤 尚次 中央大学理工学部土木工学科教授
平原 伸幸 独立行政法人土木研究所構造物研究グループ橋梁構造上席研究員

前任者

西川 和廣 建設省土木研究所構造橋梁部橋梁研究室長
小野 徹郎 名古屋工業大学社会開発工学科建築系教授

前任者

井上 一朗 京都大学大学院工学研究科生活空間学専攻教授
岡田 恒 独立行政法人建築研究所構造研究グループ長

前任者

山内 泰之 建設省建築研究所基準認証研究センター長
コンクリート構造 上田 多門 北海道大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻助教授

前任者

六郷 惠哲 岐阜大学工学部土木工学科教授
河野 広隆 独立行政法人土木研究所技術推進本部構造物マネジメント技術主席研究員
横田 弘 独立行政法人港湾空港技術研究所地盤・構造部構造強度研究室長
三橋 博三 東北大学工学研究科都市・建築学専攻教授
犬飼 瑞郎 国土交通省国土技術政策総合研究所建築研究部主任研究官

前任者

倉本 洋 国土交通省国土技術政策総合研究所建築研究部基準認証システム研究室長

前任者

平石 久廣 建設省建築研究所基準認証研究センター長
地盤 鈴木 誠 清水建設(株)技術研究所構造研究開発部応用解析グループ主任研究員

前任者

松井 謙二  (株)建設技術研究所技術本部技師長
恒岡 伸幸  独立行政法人土木研究所材料地盤研究グループ土質上席研究員

前任者

三木 博史 建設省土木研究所材料施工部土質研究室長
菊池 喜昭 独立行政法人港湾空港技術研究所地盤・構造部基礎工研究室長
桑原 文夫 日本工業大学工学部建築学科教授
二木 幹夫 国土交通省国土技術政策総合研究所建築研究部長

前任者

田村 昌仁 建設省建築研究所第三研究部基礎研究室長
地震 森 伸一郎 愛媛大学工学部環境建設工学科助教授

前任者

磯山 龍二 日本技術開発(株)環境防災事業部副事業部長
運上 茂樹 独立行政法人土木研究所耐震研究グループ耐震上席研究員
井合 進 独立行政法人港湾空港技術研究所特別研究官
石山 祐二 北海道大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻教授
大川 出 独立行政法人建築研究所構造研究グループ上席研究員

前任者

飯場 正紀 建設省建築研究所基準認証研究センター認証システム研究室長

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