平成15年4月18日 |
<問い合わせ先> |
都市・地域整備局下水道部 |
下水道企画課下水道管理指導室 |
(内線34151、34152) |
下水道部流域管理官付 |
(内線34302) |
電話:03-5253-8111(代表) |
委員の構成 | 委員長 | 植田 和弘 | (京都大学大学院経済研究科教授) |
副委員長 | 花木 啓祐 | (東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授) | |
委員 | 新澤 秀則 | (神戸商科大学経済学研究所教授)(ワーキング座長) | |
委員 | 只友 景志 | (滋賀大学経済学部助教授)(ワーキング委員) | |
委員 | 国土交通省下水道部、国土技術政策総合研究所、地方自治体 |
平成14年度の検討では、排出枠取引について、以下の検討を行なった。
1)事例調査による排出枠取引の仕組みの把握
2)東京湾流域の下水道を対象としたモデル検討による効果の把握
3)制度設計に向けた今後の課題の整理
排出枠取引制度を導入した場合に、どの程度の負荷削減費用削減効果が期待できるかを定量的に把握するために、東京湾流域の下水道を対象とした排出枠取引モデルの検討を行った。
1)モデル検討の前提条件
対象地域:東京湾流域(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市)
削減汚濁物質:COD,T−N,T−Pを換算係数によりT−CODに一元化注)
売買主体:東京湾流域内の77下水処理場
汚濁負荷量:簡略化のために、二次処理は100%整備済みと想定する。
東京湾流域への許容負荷量の初期配分は、「東京湾流域別下水道整備総合計画」(平成9年3月)に準じる。
注)今回は「東京湾特定水域高度処理基本計画」(東京湾浄化下水道連絡協議会)での検討結果に基づいて、窒素ならびに リンから生成されるCODを積み上げその値を持って、T−N、T−PをCOD換算した。
(2)モデルの考え方
処理水質レベル別の汚濁負荷削減量
処理水質レベル別の汚濁負荷削減量は、「H24排水量×流入水質」で算出し、各処理レベル別の流入水質は、表−1に示す。
レベル別費用と限界費用の設定
図−1 処理場単位における高度処理費用と排出枠売買要望の関係
表−1 処理方式及び水質の設定
2次処理 | 高度処理レベル1 | 高度処理レベル2 | 高度処理レベル3 | |
COD | 15 | 8 | 8 | 5 |
T-N | 25 | 8 | 5 | 3 |
T-P | 2.0 | 0.4 | 0.2 | 0.1 |
処理方式 | 標準活性汚泥法 | 嫌気無酸素好気法 | 凝集剤添加多段ステップ循環法 | 修正バーデンフォ法 |
(3)排出枠取引による効果(負荷削減費用の削減効果)
全体における効果
東京湾流域の下水道を対象とした下水道高度処理の排出枠取引モデルの検討により、全体の費用削減率が最大10%程度期待できることが示された。 (図―2 参照)
都県別に見た効果
都県別では、東京都が売却、埼玉県、千葉県、神奈川県が購入となり、費用の削減効果は埼玉県、千葉県、東京都が約10%、神奈川県が約20%となることが示された。
処理場別に見た効果
処理場別には、77処理場のうち、23処理場は排出枠を購入し、46処理場が売却となる。レベル1まで高度処理を行い、排出枠を売買しない処理場は8処理場である。費用削減率は、購入側で最大90%、売却側で最大28%の削減効果となることが示された。
費用負担の主体間調整に伴う負担の均等化の効果
排出枠取引前に、レベル1を達成するための削減単価の分布にばらつきが見られるのに対し、売買後は排出枠価格付近に分布が集まり、結果として主体間の負担の均等化が図られる。
図−2単価の低い順にならべた累積削減負荷量
(1)下水道事業における排出枠取引について
排出枠取引の対象範囲(面源や下水道に排出しない特定事業場の取扱い)
環境基準達成のあり方 等
(2)排出枠取引の制度設計について
排出枠取引と他の経済的手法及び規制的手法とのポリシーミックス
初期配分の問題(排出基準を上限と考えた改善努力の取り扱い)
基金の管理方法(基金の形態、役割、原資、運用方法など)等
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