平成15年6月19日 |
<問い合わせ先> |
都市・地域整備局特別地域振興課 |
(内線33212、33214) |
電話:03-5253-8111(代表) |
奄美群島振興開発審議会においては、これまで、平成16年度以降の奄美群島の振興開発のあり方について検討を行ってきたところであり、6月18日に、奄美群島の振興開発について審議会の意見をとりまとめ、 国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣あて別添のとおり意見具申がなされましたので、お知らせいたします。
奄美審 第 6 号 |
平成15年6月18日 |
国土交通大臣 林 寛子 殿 |
総務大臣 片山 虎之助 殿 |
農林水産大臣 亀井 善之 殿 |
奄美群島振興開発審議会 |
会長 宮廻 甫允 |
奄美群島の振興開発について
本審議会は、第三次奄美群島振興開発計画の最終年度にあたり、奄美群島の振興開発に関して今後とるべき措置につき審議した結果、奄美群島振興開発特別措置法第7条第2項の規定に基づき、次のとおり意見を申し出ます。
記
昭和28年12月にわが国に復帰した奄美群島については、昭和29年の復興計画以来、数次にわたる計画が策定され、産業の振興、社会資本の整備等のための積極的な諸施策が講じられてきた。
これらの諸施策は、国の特別措置及び関係地方公共団体や地域住民の不断の努力により着実に実施され、各般にわたり相応の成果をあげてきた。
しかしながら、奄美群島は、本土から遠く隔絶した外海に位置し、台風の常襲、ハブや特殊病害虫の生息等、厳しい地理的、自然的、歴史的条件等の特殊事情による様々な不利性を抱えており、その不利性を克服するための取組を実施する必要がある。また、本土や沖縄との間に所得水準をはじめとする経済面・生活面での諸格差がいまだ残されており、
また、高齢化の進展や若年層を中心とした人口の流出等の社会面の問題を含め、奄美群島の抱える多くの課題に対応していく必要がある。
一方、奄美群島は、広大な圏域の亜熱帯地域に位置することから、亜熱帯性・海洋性の豊かな自然環境や世界に類を見ない貴重な動植物を有する自然的特性、また、島唄に代表される多様で個性的な伝統文化等の文化的特性、加えて、長寿・癒しの島等の社会的特性など他の地域にない風土的な魅力と資源に恵まれている。
奄美群島の地理的、自然的条件等はこれまで不利性として捉えられてきたが、視点を変えれば、奄美群島の自然的特性や文化的特性、社会的特性などは、国の宝ともいうべき他の地域にない魅力と資源であるからこそ、優位性として捉えなおすことができるものである。
今後、奄美群島における地域振興を進めるに当たっては、格差是正の進展のみならず、優位性を伸ばすという視点を明確にして、必要な基盤施設の整備を進めるとともに、これを生かし、地域の魅力と資源を活用した内発的産業の振興を図り、その優位性の発想に基づく地域振興を進め、地域経済社会を自立的経済社会構造に転換することが必要である。
このため、まず、地域住民の意思を地域振興に反映させる必要があることから、島ごとの特性(文化、風土等)の相違を踏まえ、地域住民の参画のもと、地元発意による地域の個性と地元の創意を生かした、地元の自助努力による主体的な地域づくりが不可欠であると考えられる。
事業の実施については、経済・社会的基盤の整備を引き続き進めるとともに、奄美群島振興開発基金を活用しつつ、島ごとの独自性を重視した産業振興施策等を連携して実施し、いわゆるハード施策とソフト施策を一体的に実施する総合的な取組が必要である。また、地域経済の中心的役割を果たす地域産業の振興施策については、
島ごとの独自性を重視した観光産業等の地域の特性・独自性を活かした産業振興施策を展開するとともに、奄美群島のPRや特色を生かした商品開発等による集客力の向上、人材や研究機能の育成、文化を通じた交流活動の推進等を図り、総合的・戦略的な施策を推進することが必要である。
以上のような施策を展開していくためには、「優位性への転換と自立的発展」を基本とする法的枠組の下で、各種施策を効果的に実施することが必要であり、これにより、住民が安心して暮らせる活力に満ちた地域社会の実現と国民の利益の増進が図られるものと考える。
よって政府は、以上の諸点を勘案し、沖縄振興に係る諸施策の状況をも考慮し、関係地方公共団体と協力して平成16年度以降の奄美群島の振興のため、新たな計画の下、これに基づく事業の実施など特別の措置を積極的に講じていくべきである。
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