平成15年4月16日 |
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平成14年7月に道路運送車両法の一部を改正する法律が公布され、自動車の使用開始後にユーザー等が自由に取り付けたり交換したりするいわゆる「後付装置」のリコール制度が導入されることとなりました。
国土交通省自動車交通局では、平成14年9月に「自動車等リコール検討会」を設置し、後付装置リコール制度の運用方法等について検討をしてきたところであります。
この度、本検討会における検討結果が別添のとおりとりまとめられましたので公表します。
別添
自動車等リコール検討会報告書
.はじめに
平成14年7月に道路運送車両法の一部を改正する法律(平成14年法律第89号)が公布され、自動車の使用開始後にユーザー等が自由に取り付けたり交換したりするいわゆる「後付装置」のリコール制度が導入されることとなった。
自動車等リコール検討会(構成員は別紙のとおり)は、国土交通省自動車交通局長の私的懇談会として平成14年9月に設置され、後付装置リコール制度の運用方法等について、検討会を4回、チャイルドシートワーキンググループ及びタイヤワーキンググループをそれぞれ5回ずつ開催して検討を行ってきた。今般その検討結果をとりまとめたので報告する。
なお、検討会等の検討経緯は以下のとおりである。
.後付装置のリコール制度について
特定後付装置のリコール制度の運用等は次によることが適当と考える。
(1)リコールの判断について
改正後の車両法では、同一の型式の一定の範囲の特定後付装置が基準不適合状態(保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合していない状態をいう。以下同じ。)にあって、その原因が設計又は製作の過程にあると認められる場合に、リコールを行うこととされている。
リコール制度を適確に実施するため、後付装置のリコール制度の施行前に、チャイルドシートとタイヤのそれぞれについて、自動車のリコール制度の場合と同様に、基準不適合状態の判断の支援となるガイドラインを策定する。このガイドラインは制度施行後のリコール事案を踏まえ、適宜見直す。
なお、以下の基準不適合状態は、自動車のリコール制度の場合と同様に、その原因が設計又は製作の過程にはない例である。
(2)リコールの手続きについて
(ア)リコールの対象装置について
リコール対象装置は、設計又は製作の過程に起因する基準不適合状態にある同一の型式の一定の範囲の特定後付装置であって、以下のものを除くものとする。
(イ)リコールの届出
リコールの届出は、改正後の車両法第63条の3第2項各号に規定する事項を国土交通省が定める様式に記載して行うものとする。この場合、同項第3号に規定する国土交通省令で定める事項は、使用者、販売事業者及び自動車分解整備事業者に周知させるための措置とする。
(ウ)リコールの周知
製作者等は、リコールの届出を行った場合には、速やかに、(3)に定める方法によりリコールの周知を行うものとする。
(エ)改善措置の実施
製作者等は、リコールの届出を行った場合には、速やかに、(4)(ア)及び(イ)に定める方法によりリコール対象装置に対する改善措置の実施に努めるものとする。
(オ)リコールの実施状況報告
製作者等は、(4)(ウ)に定める方法によりリコールの実施状況について国土交通大臣に報告するものとする。
(カ)サービスキャンペーンの通知
リコール届出等の円滑な運用を図るため、リコールに該当しない場合であって、製作者等が同一の型式の一定の範囲の特定後付装置について、ユーザーに周知して自主的に対策を講じるときは、当該製作者等は国土交通省に通知するものとする。
(3)ユーザーへのリコール情報の提供について
製作者等は、ホームページ、社告、ユーザー登録カード等の活用により、リコールの実施をユーザーに周知するよう努めるものとする。また、販売店に対してリコール情報のユーザーへの周知について協力を依頼するよう努めるものとする。製作者等は、ユーザーが対象装置を容易に識別できるよう、あらかじめ識別記号・番号を装置本体に明示するとともに、リコール情報の周知に当たっては、対象装置の識別方法に関する情報を含めるものとする。
国土交通省はリコールの届出があった場合には、速やかに公表するとともに、国土交通省のホームページに掲載する。また、国土交通省では、車検時におけるリコール情報の周知を図るよう、地方運輸局・自動車検査登録事務所等、自動車検査独立行政法人及び軽自動車検査協会を活用するとともに、関係団体に協力を要請する。さらに、チャイルドシートに関するユーザー登録カードの重要性について、広く国民に周知する。
(4)リコールの実施による回収等について
(ア)改善の実施
リコールによる改善は、基準不適合状態を解消し、かつ、他の部分が基準不適合状態に至る可能性のないよう実施する。
製作者等は、契約により販売店等に改善の実施を請け負わせることができる。
チャイルドシートについては、適当と認められる場合には、製品の本体を回収することなく、ユーザーに対策部品等を送付することにより改善を実施することができるものとする。
国土交通大臣は、リコール届出された改善措置の内容が、基準不適合状態を解消し、かつ、他の部分が基準不適合状態に至る可能性のないよう実施されていないと判断される場合には、製作者等に対して改善措置の内容の変更を指示する。
(イ)改善までの暫定措置
製作者等は、改善に係わる部品の生産及び供給に時間を要する等の事由によりリコールの届出後速やかに改善が実施できない場合にあっては、必要に応じて、リコール対象装置の状況を把握し、使用上の注意事項の周知その他の暫定措置を実施するものとする。
(ウ)リコール実施状況報告
改正後の車両法第63条の3第4項の規定に基づく製作者等から国土交通大臣への実施状況報告は、四半期ごとにリコール届出日から3年間行うものとする。ただし、国土交通大臣が一定の改善措置が行われたものと判断した場合には以後の報告を要しないものとできることとし、また、3年間を経過しても十分な改善措置が行われていないと国土交通大臣が判断した場合には、製作者等に通知して報告期間を延長するものとする。[改正後の車両法第63条の3第4項に規定する国土交通省令関連]
なお、国土交通省への報告期間の終了が製作者等の改善措置の終了を意味するものではない。
(5)改正後の車両法第63条の2第2項及び第5項に基づく勧告及び命令について
国土交通大臣は、同一の型式の一定の範囲の特定後付装置について、事故が著しく生じている等により保安基準に適合していないおそれがあり、その原因が設計又は製作の過程にあると認める場合であって、当該特定後付装置の製作者等がリコールを実施しない場合には、当該製作者等に対しリコールの実施を勧告する。当該製作者等が勧告に従わず、その旨を公表された後において、なお正当な理由なくリコールを実施しない場合には、国土交通大臣は当該製作者等に対しリコールの実施を命令する。
(6)特定後付装置リコールの実施のための体制整備について
製作者等は、ユーザー相談窓口の設置や販売店からの不具合情報の収集、収集した不具合情報の管理と分析、製造時の検査、不具合原因の究明、リコール実施の判断、リコール実施の管理等を行うための体制の整備に努めるものとする。
国土交通省においては、不具合情報収集システムの活用と充実を図るとともに、後付装置に関する不具合情報について分析を行い、製作者等に提供するとともに、収集した不具合情報をホームページ上で公開する。
(7)その他
特定後付装置に関する不具合や事故を防止するためには、リコール制度の導入とともに、ユーザー自身による適正使用が必要である。また、特定後付装置のリコール制度の運用に当たっては、チャイルドシートのユーザー登録カードの返送など、ユーザー側の協力も重要である。このため、国土交通省は、関係団体の協力を得て、これらについて国民の啓発を行う。
なお、改正後の車両法第63条の2第2項に基づき国土交通省令で定めるリコール制度の対象から除かれる特定後付装置は、自動車のリコール制度の場合と同様に、輸入された特定後付装置のうち正規輸入業者が輸入した特定後付装置以外のものとする。
.後付装置リコール制度に関連する検討会での意見について
後付装置リコール制度の運用方法についての検討結果は上記Uのとおりであるが、これに関連して、検討会では様々な意見が出された。検討会としては、以下の意見を参考としつつ、国土交通省、後付装置の製作者等、関係団体などの関係者において適切な措置が講じられることを期待する。
(2)タイヤ
後付装置リコール制度の円滑かつ効果的な運用のためには、後付装置の製作者等、販売事業者、分解整備事業者等の関係者及びユーザーである国民が、この制度を正しく理解し、それぞれの役割を適切に果たすことが重要である。
このため、国土交通省は、関係団体の協力を得て、後付装置リコール制度について幅広く広報を行い、関係者や国民の啓発に努めるべきである。
後付装置は、自動車と異なり登録制度がないことから、リコールの実施に当たり、リコール情報をリコール対象後付装置のユーザーに如何に効果的に周知するかが重要な課題である。このため、以下のことを検討すべきである。
道路運送車両法では、後付装置リコール制度の対象となる者から正規輸入業者以外の輸入業者(いわゆる並行輸入業者)を除外している。しかしながら、後付装置については、まとまった数の製品が並行輸入業者によって輸入される事態も否定できない。
このため、並行輸入品についても、リコール制度の趣旨に則り、法に基づくリコールに準じたリコール届出や報告ができるものとするとともに、国土交通省は、リコールに相当する場合には、それら製品に関する安全情報を公表し、ユーザーに対し注意喚起を行う等、安全確保のための適切な措置を講じるべきである。
(別紙)
自動車等リコール検討会名簿
(座長) | 近森 順 | 芝浦工業大学工学部教授 |
廣瀬 久和 | 東京大学法学部教授 | |
永井 正夫 | 東京農工大学工学部教授 (タイヤワーキンググループ座長) |
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吉川 暢宏 | 東京大学生産技術研究所助教授 (チャイルドシートワーキンググループ座長) |
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岩貞 るみこ | 自動車ジャーナリスト | |
下平 隆 | 独立行政法人交通安全環境研究所理事長 | |
林 広敏 | (社)日本自動車連盟公益事業部長 | |
柳生 宜秀 | (社)日本自動車整備振興会連合会理事 | |
山本 卓志 | (社)日本自動車工業会技術管理委員会副委員長 | |
高橋 彬 | 日本自動車輸入組合理事 | |
島田 豊彦 | (社)日本自動車部品工業会副会長 | |
井上 晧 | (社)日本自動車タイヤ協会総合技術委員長 | |
酒井 勝 | 自動車用品小売業協会事務局長 | |
国土交通省(事務局): | ||
四倉 清裕 | 自動車交通局技術安全部審査課長 | |
木村 祐二 | 自動車交通局技術安全部審査課リコール対策室長 | |
宮武 宜史 | 自動車交通局技術安全部審査課総括課長補佐 | |
大庭 松雄 | 自動車交通局技術安全部審査課ユーザー情報企画官 | |
森田 雅文 | 自動車交通局技術安全部審査課リコール対策室専門官 |
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