国土交通省
 道路運送車両の保安基準等の一部改正及び道路運送車両
 の保安基準の細目を定める告示の一部改正について

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平成15年7月7日
<問い合わせ先>
自動車交通局技術安全部技術企画課

(内線42255)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 

< 運転者の視界の基準、自動車盗難防止装置の基準を導入! >
< 自動車装置の相互承認の対象に3品目を追加! >
< 基準の理解を容易にし、周知を徹底するため、細目を告示! >

 国土交通省は、道路運送車両の保安基準(以下「保安基準」という。)等の一部改正を行うため昨年6月に「乗用車等における運転者の視界の基準の導入」、 昨年8月に「盗難防止装置の構造基準の策定及びタイヤの基準調和」についてパブリックコメントの募集をし、今般これらの結果を踏まえ、次のとおり、保安基準等を改正いたしました。

  1.  走行中の前方の視界を確保し事故を防止することを目的とし、車高を変更した場合であっても走行中の前方の視界を損なうことがないよう、乗用車及 び小型トラックに対して直接視界基準を導入しました。
     また、乗用車及び小型トラック、中型トラックを対象とし、発進時、駐車時等における事故を防止することを目的として、自動車の直前及び左側方(左ハンドル車については右側方)の視界を鏡等を用いることなどにより確保する間接視界基準を導入しました(別紙1)

  2.  近年の自動車盗難の増加に伴い自動車盗難防止装置の重要性が増しているところ、自動車の安全性を妨げない適正な盗難防止装置の普及を図るため、以下について基準を強化しました(別紙2)
    • 施錠装置の構造基準を強化
    • イモビライザの構造基準を導入(装備は任意)
    • 盗難発生警報装置の構造基準を導入(装備は任意)

  3.  自動車の構造基準の国際的な整合性を図るため、「車両等の型式認定相互 承認協定(略称 別紙3)」に基づく相互承認対象装置に3品目の装置を追加することとしました。今回の措置により、相互承認対象装置が計38品目(24協定規則)となり、安全性の向上のほか、 自動車・同部品の国際流通の円滑化、生産・開発コストの低減等が、より一層図られることが期待されます。

    今回新たに相互承認の対象に追加する装置

    協定規則番号 装置(品目)
    30 乗用自動車用タイヤ
    54 トラック・バス用タイヤ
    75 二輪自動車用タイヤ

  4.  昨年9月に、保安基準の一部の条項に関して、保安基準に規定していた基準の細目事項と関係通達において規定していた事項とを一体的に整理し、新たに「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」として制定しましたが、 今回新たに下記の条項に関し、同様に告示化しました。なお、これらの 措置に際しては、上記1.から3.までの部分を除き、原則として基準の内容の変更を行わないことを前提としました。
     これらにより、基準の内容を一般のユーザー等に対し、より分かりやすく周知することとしています。
     なお、告示化されていない残りの保安基準の条項についても、今後、同様の措置を講じることとしています。

    今回の告示化の対象となる保安基準の条項は、以下のとおりです。

     第9条(走行装置),第11条(かじ取装置)
     第11条の2(施錠装置等),第14条(緩衝装置)
     第15条,第16条,第17条(燃料装置),第17条の2(電気装置)
     第18条(車枠及び車体)
     第18の2条(巻込防止装置等) 巻込防止装置関係の条項のみ告示化を実施
     第19条(連結装置),第20条(乗車装置)
     第21条(座席),第22条の3(座席ベルト等)
     第22条の5(年少用補助乗車装置),第23条(通路),第24条(立席)
     第25条(乗降口),第26条(非常口),第27条(物品積載装置)
     第28条(高圧ガス運送装置),第30条(騒音防止装置*),第31条(発散防止装置*)
     第43条(警音器),第43条の4(停止表示器材),第43条の5(盗難発生警報装置)
     第44条(後写鏡等),第46条(速度計等),第54条(臨時乗車定員)
     第61条の2(発散防止装置*),第65条(消音器*)
     *平成15年10月1日施行


(別紙1)

乗用車等の運転者の視界基準の概要

1.前方視界基準(新車及び使用過程車に適用する直接視界基準)

  1. 対象車種
    1専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員11人以上のものを除く。)
    2車両総重量が3.5トン以下の貨物自動車
     (いずれも使用過程車を含む。)

  2. 適用時期
    平成17年1月1日

  3. 基準概要(別紙「前方視界基準」(PDF形式)参照。)
    (1)要件
     自動車の前方2mにある高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を鏡等を用いず直接視認できること。
    (2)適用除外
     Aピラー(窓枠のうち車両最前にあるもの)、ワイパー及びステアリングホイールにより死角となる部分。

U.直前側方視界基準(新車に適用する間接視界基準)

  1. 対象車種
      軽自動車、小型自動車及び普通自動車(乗車定員11人以上のもの及び車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のものを除く。)

  2. 適用時期
     新型生産車:平成17年1月1日以降に製作された自動車
     継続生産車:平成19年1月1日以降に製作された自動車

  3. 基準内容(別紙「直前側方運転視界基準」(PDF形式)参照。)
    (1)要件
     自動車の前面及び左側面(左ハンドル車にあっては右側面)に接する高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を直接に又は鏡、画像等により間接に視認できること。
    (2)適用除外
     1Aピラー(窓枠のうち車両最前にあるもの)及び室外後写鏡による一定の大きさ以下の死角
     2ワイパー、ステアリングホイールにより死角となる部分


(別紙2)

盗難防止装置の構造基準の概要

  1. 目的
     盗難防止装置(施錠装置、イモビライザ及び盗難発生警報装置)の適切な普及を図るため、道路運送車両の保安基準において当該装置に係る規制強化を行った。 なお、規制強化にあたっては、盗難防止装置の国際的な水準との整合化を図るべく、欧州等で用いられている国際基準をベースとして構造基準の制定等を行うこととした。

  2. 適用時期
     平成18年7月1日(軽自動車にあっては平成20年7月1日)以降に製作された自動車

  3. 基準概要
    1施錠装置の規制強化
     施錠装置に関し、現在定性的な要件のみ定めているところ、鍵・錠の構造等に関し具体的な定量要件を規定し、その内容の充実強化を図った。また、施錠装置の装備義務付け対象に車両総重量3.5t以下の貨物自動車を追加した。

    2イモビライザの構造基準の制定
     イモビライザを備えた場合に適用される基準として、イモビライザの設定機構(鍵・錠、IDコードなど)の構造、その他の装置への影響等に関し定量的な要件を定めた。
     なお、イモビライザの装備義務付けは行っていない。

    3盗難発生警報装置の構造基準の制定
     盗難発生警報装置を備えた場合に適用される基準として、盗難発生警報装置の設定機構、警報音、警報信号の仕様、自動車への干渉・侵入等の検知・通報に係る性能等に関し定量的な要件を定めた。


(別紙3)

車両等の型式認定相互承認協定の概要

  1. 協定の目的
     1958年に締結された国連欧州経済委員会(ECE)の多国間協定であり、正式名称は、「車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件の採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定」(以下、「車両等の型式認定相互承認協定」という。)である。
     車両等の型式認定相互承認協定は、自動車の装置ごとの安全・環境に関する基準の統一及び相互承認の実施を図ることを目的としている。

  2. 加入状況
    平成15年(2003年)6月現在、40か国、1地域が加入。
    日本は、平成10年(1998年)11月24日に加入。
    ドイツ※、フランス※、イタリア※、オランダ※、スウェーデン※、ベルギー※、ハンガリー、チェッコ、スペイン※、セルビア・モンテネグロ、イギリス※、オーストリア※、ルクセンブルク※、スイス、ノールウェー、フィンランド※、デンマーク※、ルーマニア、ポーランド、ポルトガル※、ロシア、ギリシャ※、アイルランド※、 クロアチア、スロヴェニア、スロヴァキア、ベラルーシ、エストニア、ボスニア・ヘルチェゴヴィナ、ラトビア、ブルガリア、トルコ、マケドニア、欧州連合(EU)、日本、オーストラリア、ウクライナ、南アフリカ、ニュージーランド、リトアニア、アゼルバイジャン (※はEU加盟国)

  3. 基準の制定・改訂
    (1) 基準は、ECEの自動車基準調和世界フォーラム(WP29)での検討を経て、運営委員会(AC.1)で制定・改訂が行われる。同フォーラムには、40か国、1地域の車両等の型式認定相互承認協定締約国の他、アメリカ、カナダ等が参加している。
    (2) 平成15年(2003年)6月現在で、各装置ごとに115の協定規則(基準)が制定されている。

  4. 協定に基づく相互承認の流れ
    (1) 協定締約国は、受け入れる協定規則を選択する。
    (2) 協定締約国は、受け入れた協定規則について、当該協定規則による認定を行った場合には、国番号付きの認定マーク(E43:日本の場合)と認定番号を与える。
    (3) 認定を取得した装置については、当該協定規則を受け入れた他の協定締約国での認定手続きが不要になる。

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