国土交通省
 第2回 航空交通管制情報処理システムのフェイルセーフ
 のあり方等に関する技術検討委員会(審議概要)

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平成15年4月17日
<問い合わせ先>
航空局管制保安部保安企画課

(内線51101)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 日時:平成15年4月17日(木) 9:30 〜12:00
 場所:航空会館(701号室)

  1. 主な航空交通管制情報処理システムの開発コンセプト等についての意見交換
    1FDP(飛行計画情報処理システム)の開発コンセプト等についてNECから説明
    2RDP(航空路レーダー情報処理システム)の開発コンセプト等についてNTTデータから説明
    3ARTS(ターミナルレーダー情報処理システム)の開発コンセプト等について三菱電機から説明
    4委員、オブザーバ等を交えて、意見交換を実施。主な意見等は、次のとおり。

    •  今回の障害の教訓として、現行システムに基づく構造的な問題に眼を向けるべきだ。この点からは、FDPのほか、IDP(入力監査システム)、RDP、ARTSなどが接続しているが、統一したデータベースが必要ではないか。

    •  FDPの現在の大型コンピューターシステムが、この種の情報処理をするのに適合しているのか。現在、ハード面は10年前には考えられないほどのスピードで進化している。今の世代にあったシステムとすべきだ。

    •  システム全体を考えると、プログラムを次から次へと修正・追加していると、プログラム全体が非常に複雑・錯綜する。システム全体として、このような修正・変更を行いやすいものになっているか、全体のプログラムの中で現実にどれだけ使われているのかのチェックが必要だ。

    •  このようなシステムのパッチワークと信頼性の確保というのは、現在大きな問題となっている。

    •  航空交通管制情報処理システムについては、高い信頼性が求められる。このような高い信頼性の実現に向けては、これが有効という特効薬はない。いくつかの技術を組み合わせて、高い信頼性を維持するということしかないのではないか。
       ハード面についても、実態は、従来のシステムの信頼性の維持の方を重視しており、大型コンピューターの使用を止めるという傾向は、必ずしも高くない。

    •  このような高い信頼性が求められるシステムについて、今、直ちにできることは、ダウンして再立上げしたときに、どのように失われたデータを回復するかということ、すなわちどのように「リカバリー」ができるかということではないか。また、そのようなリカバリーのシステムを有効に活用するためには、どのように再立上げするのかという訓練も必要となる。
       リカバリーについては、現在、安価なシステムが開発されており、これを活用できるのではないか。

    •  ある公的なシステムトラブルの際の経験から言えば、システムの更新に際して、随意契約だと緊張感がないという面があり、過去のノウハウの活用ということを要件にして信頼性を維持しながら、競争入札とすることも検討すべきだ。この中で、信頼性を維持しながら、コスト・パフォーマンスの高いシステムが構築ができた。ただし、新しいシステムにするためには、5年ほどはかかる。

    •  発注する際には、メーカー側の現状のシステム開発能力を見極めて、どのような契約形態にするのか、検討すべきだ。

    •  メーカーとしては、発注者サイドのシステムが運用されている環境を十分把握し、発注者に説明をし、また、システムをモニターして情報を共有することが大切だ。

    •  FDPのみならず、主な他のシステムについても、信頼性の維持を図りながら、緊急に実施すべきフェイルセーフ策を取りまとめ、可能なものについては、現行のシステムについて、15年度からでもその実施に向け着手すべきである。
       さらに、更新のタイミングを見ながら、次期システム、次々期システムに導入すべきものを引き続き検討すべきだ。

    •  このような高い信頼性が求められるシステムの運用継続の必要性を見極めるため、障害が発生した際のインパクトの影響分析・評価を行うべきだ。

    •  FDPを使っているのは、結局は管制官であり、ダウンした際の影響を少なくするための対応については、システムのあり方のみならず、管制の運用のあり方を含めて、効果的な方策を検討すべきだ。

    •  発注者サイドの責任・能力を向上させることが必要であり、SDECC(システム開発評価・危機管理センター)などの体制の強化、職員の専門知識の継承などを検討すべきだ。

  2. SDECC(システム開発評価・危機管理センター)におけるプログラムの評価・検証方法の緊急改善方策
     SDECCにおけるプログラムの評価・検証に当たって、今後、次の緊急改善方策を実施することとし、また、現在、凍結している「防衛庁システム対応プログラム」等の変更を行うこととする旨、事務局から報告がなされた。

    1SDECCにおける評価体制の確立
     SDECC内に所長をヘッドとする「評価検討会」を設置し、チェック項目等事前チェックの具体的な方法について確認するとともに、テストラン等を踏まえた評価結果の判定を行うこととする。
    2チェック項目の拡大
     これまで変更箇所を中心に設定されていたチェック項目の設定を、変更箇所だけでなく変更箇所に関係する全てのプログラムを洗い出し、チェック項目を抽出する。
    324時間連続稼動等の事前チェックの充実
     全てのプログラムの事前チェックにおいて、24時間連続稼動のテストランを行うほか、テストランにおける入力も実際の現場の入力操作をできるだけ模した方式により実施する。
    4評価実施方式の拡充
     これまでチェック項目の評価は担当者が単独で行うこともあったが、全てのチェック項目について複数の担当者により、評価を行う。

  3. その他
     次回は、5月中旬に開催予定。

委員名簿

 
委員長  圓川 隆夫 東京工業大学 教授
    東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻
委員 浅野正一郎  国立情報学研究所 教授
委員 飯塚 悦功 東京大学 教授
    東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻
委員 中川 裕志 東京大学情報基盤センター 教授
委員 喜連川 優 東京大学生産技術研究所 教授
委員 橋爪 宏達 国立情報学研究所 教授
オブザーバ
白川 昌之 独立行政法人 電子航法研究所 管制システム部長
加藤 敏 独立行政法人 電子航法研究所 航空システム部長(代理)
大東 順三 日本電気株式会社 第三官庁ソリューション事業部第二航空システム部 部長
丸田 昌宏 株式会社NTTデータ 第一公共システム事業部ATC担当 部長
田中 康幸 三菱電機株式会社 システム統括部 システム第二部航空システム課 航空管制システム統括
吉田 宏明 富士通株式会社 第三システムインテグレーション事業部第二官庁システム部長
戸次 圭介 株式会社日立製作所 情報制御システム事業部 交通システム本部 主任技師
中野 康彦 ソフトウェア興業株式会社 常務取締役営業本部長(兼)第1システム事業部統括部長
事務局
岩崎 貞二 航空局管制保安部長
谷  寧久 航空局技術部運航課長
瀧口 敬二 航空局管制保安部保安企画課長
近藤 信行 航空局管制保安部管制情報処理システム室長
大喜多正明 航空局管制保安部システム開発評価・危機管理センター所長
平井 整冶 航空局管制保安部管制課長
高橋 和弘 航空局管制保安部運用課長
武田 洋樹 航空局管制保安部無線課長
脇 満須光 東京航空交通管制部長

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