国土交通省
 日中フォワーダー協議の協議結果について
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平成16年3月15日
<問い合わせ先>
総合政策局複合貨物流通課

(内線25402、25423)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 日中両国のフレイトフォワーダーサービス分野における諸課題への対応のため、第8回日中フォワーダー協議が、平成16年3月9日、10日に、北京の商務部、交通部及び民用航空総局においてそれぞれ開催された。また、中国国際貨運代理協会(以下「CIFA」という。)を訪問し、中国における物流の現状と課題について意見交換を行った。
 日本側からは、複合貨物流通課 福内課長、牛ア専門官、社団法人日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会の代表者が出席し、中国側からは、商務部から呉景春対外貿易司貿易秩序処処長ほか、交通部から熊偉水運司国際航運管理処副処長ほか、民用航空総局から張英運輸司市場監管処処長ほか、CIFAから李力謀副会長ほかがそれぞれ出席した。協議の結果は、以下のとおり。

  1. 国際複合一貫輸送に対する商務部と交通部の規制について
    • 中国では、商務部所管の「外国投資国際貨物運輸代理企業管理弁法」(以下「貨運代理弁法」という。)が国際貨運代理企業を規制しており、一方、2002年1月から施行された交通部所管の「中華人民共和国国際海運条例」(以下「海運条例」という。)がNVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier)業務を新たに規制することとなったため、外国人による外航利用運送事業について規制の輻輳関係が生じた。
    • 交通部としては、2002年12月の前回協議時及び2003年4月の訪日時の説明と同様、今回協議においても、1NVOCCは、荷主に対して自らB/L(運送証券)を発行して運送人となり、その一方で、実運送を担う船会社に対しては、荷主としての立場になる、2国際貨運代理企業は、荷主代理であり、運送責任のない託送人である、3海運条例に基づくNVOCC業務及びB/L発給の範囲は、port to port はもちろん、door to doorの範囲までカバーしており、従って、かかる業務は、海運条例のみが適用され、貨運代理弁法の手続をとる必要はない旨を明らかにした。
    • これに対し、商務部は、door to doorの国際複合一貫輸送を行うためには、貨運代理弁法に基づく認可が必要であり、また、同認可を取得すればこれに基づきB/Lの発給も可能である旨、一方、port to portの範囲においては、海運条例に基づきNVOCC業務の登録手続を行えば足りる旨を明らかにした。

  2. 国際貨運代理企業に係る外資規制について
    • 日本側より商務部に対して、国際貨運代理企業に係る外資規制を緩和し、独資(100%外資)を早期に認めるよう求めたところ、WTO加盟時の約束どおり段階的に自由化を行っており、外資比率については、現在75%まで認めている旨、また、独資については、約束である2005年12月までには対応を行う旨回答を得た。

  3. 国際貨運代理企業に係る事業規制について
    • 日本側より商務部に対して、「貨運代理弁法」に基づき、国際貨運代理企業を設立するときの最低資本金が100万米ドル(約110百万円)と高額であり、また、2社目を設立するためには、1社目設立から2年間の期間を置かなければならず、さらに、支店の増設に当たっては、1支店開設ごとに12万米ドル(約13百万円)の増資及び1年間の期間を置かなければならず、これらの規制が国際貨運代理企業の事業展開を図る上で大きな制約になっていることから、その緩和を求めた。
    • 商務部からは、中国国内企業と外国企業との規制に相違があることは承知しており、WTO加盟時の約束のうち未実施部分(支店設置時の12万米ドルの増資及び最低資本金100万米ドルについての内国民待遇化)の実施を約束したが、これら以外の事項については、中国国内企業の保護などの観点から現時点において規制緩和を予定していない旨回答を得た。

  4. 国際航空フォワーダーに係る事業規制について
    • 日本側より民用航空総局に対して、国際航空運送販売代理業では、外資制限が50%となっており、また、支店増設に当たって2年以上の期間を置かなければならず、国際貨運代理企業に対する規制よりも厳しいため、その緩和を求めたところ、規制に相違があることは承知しており、現在、規制緩和に向けて手続を行っている旨回答を得た。

  5. 大陸(中国本土)−香港協定(CEPA)について
    • 本年1月1日から、「大陸と香港とのより緊密な経済・貿易関係に向けた協定」(以下「CEPA」という。)が施行され、香港企業独資形式により、大陸において物流サービスの提供を行うことが可能となった。この点につき、我が国事業者の関心が高いにもかかわらず、運用が明確でなかったため、商務部に対し、詳細な説明を求めたところ、以下のとおり回答を得た。
       1物流サービスについては、「外国投資物流企業のモデルケース設立・事業展開の関連問題に関する通知」を準拠法としている。
       2CEPAのモデル地域である江蘇、浙江、広東、北京、天津、重慶、上海、深センの8地域において、香港企業独資による物流企業を設立する場合、登録資本金の基準は500万米ドル(約550百万円)である。また、企業名に「物流」の文言を付す場合、登録資本金は500万米ドルを必要とする。
       3上記8地域に設立した物流企業は、中国のその他の地域においても支店を設置することができる。
       4支店設置は、「貨運代理弁法」に基づき、1支店設立に当たって登録資本金を12万米ドル増資することにより可能である。また、「貨運代理弁法」に基づくため、本社としての登録資本金を100万米ドルとみなし、CEPA登録資本金として準備された500万米ドルの残りの400万米ドルを支店設置に利用することができる。
       5CEPAでは、上記8地域以外では貨運代理企業のみ設立可能で、最低登録資本金は500万人民元(約65百万円)である。独立法人資格を持った物流企業の設立は認めない。
       6物流企業のサービス内容(物流業務)とは、道路における貨物の輸送、倉庫、荷物の積み下ろし、加工、包装、配送及び情報処理と関連照会サービス、国内貨物運輸代理業務、インターネット管理である。
       7CEPAの物流サービスの規制内容の照会については、商務部外国資金利用司が窓口となる。

  6. 「海運条例」に基づくNVOCC登録時の保証金免除について
    • 日本側より交通部に対して、「海運条例」の登録の際にNVOCCが納付することになっている80万元(約1,100万円)の保証金について、その撤廃又は減額を求めたところ、交通部は、80万元の保証金が事業者にとって負担となっていることは承知しており、今後、負担軽減のためにどのような方法が適切であるか、新たな担保制度や保険制度について検討中である旨、また、今後、日本側より新たな担保制度等について具体的な提案があれば協議に応じたい旨回答を得た。

  7. 日中両国における効率的な物流システムの構築のための連携強化
    • CIFAを始め中国側関係者の話によれば、中国では、2001年12月のWTO加盟以降、大幅な開放政策を進め、貿易や国内取引が増加し、また、外資企業の進出により新たな物流システム事例に接する機会が増えたことから、物流への関心は非常に高まっている。このため、大手荷主や様々な研究機関等を中心に物流やロジスティクスに関する研究が進み、そのニーズは高度化の一途にある。
    • 問題点としては、物流分野に関する専門的人材の不足であり、人材育成が最も重要な課題である。これを受け、中国国内の47大学において「物流専門講座」を設置しており、また、各企業において物流に関する研修や海外派遣等を実施している。また、CIFAにおいては、物流資格認定を実施し、人材育成の強化を図っており、さらに本年9月からFIATA(国際フォワーダー協会同盟)の資格認定についても実施予定である。CIFAとしても、本年5月には上海物流博覧会を開催する予定である。
    • 今後は、中国を基点とした「戦略的ロジスティクス」を発展させることが重要であり、日中双方の官民が連携してこうした課題に積極的に取り組んでいくことで、中国側関係者と意見の一致をみた。

  8. その他
    • 日本側より商務部に対して、「貨運代理弁法」においても、「海運条例」と同様に申請の処理期間を明示することにより申請処理の迅速化を図るよう求めたところ、行政手続の一般準則となる「行政許可法」が新たに本年7月1日より施行されることとなり、個別法規において処理期間が明示されていない場合は、「行政許可法」に基づき処理手続が行われることになる旨の回答を得た。
    • また、昨年9月に「中国物流技術標準化委員会」を設立し、物流企業の分類基準、IT情報化、商品コード化、パレット等の標準化を検討しており、今後は、中国・日本・韓国の連携により標準化を進め、物流効率化を目指していきたい旨の回答を得た。

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