国土交通省
 「中国物流をめぐる日中ワークショップ/シンポンジウム」の
 キックオフ会合の概要と中国の物流関係行政機関訪問結果
 について

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平成16年6月29日
  <問い合わせ先>
総合政策局複合貨物流通課

(内線25423)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

  1. 「中国物流をめぐる日中ワークショップ/シンポジウム」のキックオフ会合の概要

     日中の官民連携による共同プロジェクトとして、標記のワークショップ/シンポジウムが本年11月17日、18日に東京で開催されるが、その準備作業の開始のためのキックオフ会合が6月22日に北京において開催された。
     なお、標記のワークショップ/シンポジウムは、社団法人日本インターナショナル・フレイト・フォワーダ―ズ協会(JIFFA)及び国土交通省の主催により、財団法人シップ・アンド・オーシャン財団の補助を得て行われるものである。出席メンバーなどについては、既に6月14日にプレス発表している。

     今回のキックオフ会合の主な出席者は、次のとおり(敬称略)。
    三井物産株式会社 執行役員物流本部本部長 松本 順一(日本側シェルパ)
    JIFFA 国際交流委員会委員長 最上 直
    JIFFA 事務局次長 竹永 泰芳
    国土交通省 総合政策局複合貨物流通課長 福内 直之

    中国遠洋物流有限公司(COSCO Logistics) 総経理 葉 偉龍(中国側シェルパ)
    小天鵞集団(Little-Swan Group) 副総裁 徐 源
    商務部 商業改革発展司現代流通発展処副処長 尹 虹
    交通部 水運司国際航運管理処主任科員 張 金堤(代理出席)

     キックオフ会合では、まず、今回のワークショップ/シンポジウムの開催目的を確認した。すなわち、中国は、世界の生産拠点から更に大消費市場へと急速な発展を遂げつつあるが、海外からの進出企業や国内企業いずれにとっても、円滑で効率的な物流システムの構築が重要な課題となっており、この改善のための対応策を協議すること、しかも、企業単位のサプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化に向けた対応策はもちろん、交通混雑の緩和、環境負荷の軽減、セキュリティの確保など、経済社会全体への影響も配慮して、実行可能な施策に結びつく提言を行うことを目指すこととした。また、これを契機に、物流をめぐる日中の官民連携を強化して、物流の効率化と円滑化の実現を通じて、経済交流の一層の発展に寄与することとした。
     また、11月のワークショップ/シンポジウムに向けて、日中双方のシェルパ(議論のリード役)を中心として、出席メンバーの意見や提言の集約作業を前広に行い、これに開催当日の議論などを加えて、「報告書」をとりまとめ公表すること、さらに、シンポジウム当日に、中国をめぐる物流の改善策や今後の両国の物流面の連携強化などをアピールする「東京宣言」を打ち出すこととした。

     このほか、キックオフ会合での主な発言、次のとおり。

     (中国側からの主な発言)

    • 中国では、「物流ブーム」が起きて物流への関心が高まっているが、物流企業が生まれてからの歴史が浅く、在庫管理の経験も少なく、SCM展開のための全過程におけるIT管理などはこれから本格化するところ。
    • 議論のアプローチ方法として、日本でのサービス内容を踏まえた「日本のSCM」を整理して、これを現状の「中国式SCM」と比較して、その格差、問題点、対応策を明らかにしたらどうか。
    • 日本での物流発展の歴史において、企業、行政機関、事業者団体は、どのような役割を果たし、どのような連携をして施策を進めてきたのか。
    • 中国企業では、運賃など「目に見えるコスト」の削減に熱心だが、今後は、在庫管理の徹底による商品散逸の防止、商品陳腐化リスクの回避、資金繰りの改善による金利負担減など「目に見えないコスト」の削減も大事である。取引先の物流企業から情報化ソフトの提供を受けて、実際に情報システム化を進めてみて、こうしたメリットを実感できた。
    • 専門の物流業者によるサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)は、今後大いに発展の可能性があるが、荷主企業からみて信頼に足る業者が見つからず、やむを得ず自分で物流手配をしている企業がある。3PLの草分け的存在を作って、良い事例を増やすなど、3PLの啓蒙普及活動を展開する必要がある。

     (日本側からの主な発言)

    • 中国は、変化のスピードが速く、途中過程をスキップして進化を遂げつつある。日本の物流をめぐる過去の取り組みよりも、いま日本で取組んでいる施策の方が参考になるのではないだろうか。
    • 松本本部長によると上海駐在時に、上海市長の諮問委員会のメンバーをしていて、「このまま交通量が増大すると、上海交通網が破綻しかねない。ロジスティクス・ラインが止まる懸念がある。」という議論をした。今回のシンポジウムでは、日中の官民連携で強力メンバーが揃っているのだから、市場メカニズムに委ねていては解決できない問題も大いに議論して、アクション・オリエンテッドな方法で、実のある提言を出していきたい。
    • JIFFA会員は300数社の会員がいるが、まだ中国に本格進出していない企業も多いので、議論の成果をわかりやすくまとめて、こうした企業にも参考になる報告書を作成できればと思う。
    • 日本での最近の物流施策例として、モーダルシフト、共同集配、3PL人材育成研修などを紹介。

     【参考:6月14日プレス発表(抄)】
      (ワークショップ/シンポジウム参加者)
       三井物産株式会社 執行役員物流本部本部長 松本 順一 様(シェルパ※)
       日産自動車株式会社 SCM本部SCM企画部VP 小山 彰 様
       株式会社セブン−イレブン・ジャパン 物流管理本部長 佐藤 和久 様
       山九株式会社 顧問 賀来 紀久男 様
       株式会社フレームワークス 代表取締役社長 田中 純夫 様
       国土交通省総合政策局複合貨物流通課 課長 福内 直之

      (シンポジウムでの基調講演)
       株式会社UFJ総合研究所理事長/多摩大学学長 中谷 巌 様

       なお、中国側出席者につきましては、現時点で以下の方々のご参加が決定しております

       コスコロジスティクス 総経理 葉偉龍 様(シェルパ)
       中国商務部商務改革発展司現代流通発展処 副処長 尹虹 様
       中国国際貨運代理協会 副会長 劉占芳 様

     上記のほか、中国からは中国交通部及びメーカー系の出席者が加わる予定となっています(具体的な人選については、現在調整中。)。
     ※シェルパ:議論のリード役となる者

  2. 中国の物流関係行政機関訪問結果

     6月23日、中国の国家改革発展委員会、商務部、交通部、民用航空総局の物流あるいはフレイト・フォワーダ―の担当部局を、福内 直之複合貨物流通課長、服部 真樹在中国大使館一等書記官が訪問したが、その際の意見・情報交換のうち、特筆すべき点を挙げれば、次のとおり。

    1 国家発展改革委員会 経済貿易司流通発展処 耿 処長

    • 国家発展改革委員会では、最近、物流政策に力を入れており、近く国務院の許可を得て、「物流の発展を早める政策」を公表する予定。この内容は、1市場形成を妨げる障碍の除去のための物流に関する許認可を簡素化する、2国家発展改革委員会がリーダーシップを持って、物流発展のための協調メカニズムを構築するため、日本の「新総合物流施策政策大綱」を参考にして、「物流に関する大綱」を発表する。
    • 「物流に関する大綱」は、現在、各方面のコメントを求めているが、目玉は次のとおり。
      • 中国企業へのロジスティクス管理技術の積極的導入 
      • 物流企業の3PL発展のための政策環境の整備、特に、3PL専門家の育成
      • 物流インフラ整備の指針策定、その中で既存インフラの有効活用と重複投資の回避に言及
      • 標準化・情報化・国際化の推進、特に、通関問題の解決に努力   など。
    • 「物流統計」の整備を進めているが、物流企業の定義、データの集計方法(トラック、鉄道、航空などモード毎の把握しかないと考えられる。)、自家物流の捕捉方法などについて、日本の手法を参考としたいとのこと。

    2 商務部 商業改革発展司現代流通発展司 王 処長ほか

    • 商務部としては、本年9月に予定していた物流セミナーを延期して、内容を拡充したうえで、11月1〜3日に、「中国現代物流の発展と国際協力に関するサミット」と題して、北京で開催する方向で準備中とのこと。主催は商務部で、実施機関は中国国際貨運代理協会であり、日本、韓国から次官クラスを招くほか、国内では、国家発展改革委員会、交通部、鉄道部、民用航空総局、税関当局、関係地方行政機関なども広く参加する予定。中国物流の現状と今後の物流政策、流通業とSCM、北東アジアにおける物流協力などのテーマで、パネルディスカッションを予定。中国進出企業にも参加を呼びかけ、会場には、「相談デスク」(ブースのことで、商談も可能)を設ける予定。
      国土交通省からも次官クラスを招請するので、全体会議での講演をお願いしたい。
    • 本年7月から「行政許可法」が施行され、フレイト・フォワーダ―関係については、7月から中国の国内系企業について参入時の資格審査に係る規制が撤廃される。外国投資国際貨運代理企業に対する規制(外資規制、支店増設規制、最低資本金規制など)は、今回は変更されない。

    3 交通部 水運司国際航運管理処 熊 偉 処長

    • NVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier海運利用運送事業者)が国際輸送業務を経営するに当たっては、中国国際海運条例第8条に基づき、債務不履行などが発生した際の賠償金や罰金の支払いに充当するための保証金80万元(約1200万円)の寄託が必要になるが、これが事業者にとって負担となっている。中国側としては、この保証金の寄託に代替する措置として、保険への加入措置を検討しており、現在、中国の保険会社から提案のあった新しい保険商品について、パブリックコメントを求めているところ。今後、金融当局、交通部などの許認可が得られれば、代替措置として認められる可能性がある。

    4 民用航空総局 運輸司市場監管処 張 英 処長

    • 航空運送販売代理業に対する規制緩和のための改正案は、国務院に上げているところで、まだ実施されていない。ただ、行政の許認可簡素化の一環として、同業についてこれまで民用航空総局が許認可事務を行っていたが、今後は、事業者団体である中国民航協会に移管することが決まっている。準備のうえ、移管は1年後を目途に実施予定。
    • いわゆる「航空一代免許」、すなわち一類貨物運送販売代理資格については、本年7月から「行政許可法」が施行されることに伴い、37号令と整合性を持たせるため、支店増設に当たっての待機期間が3年から2年になり、また、申請時に、商務部交付の国際貨運代理企業の批准証書の取得が要件でなくなる。7月1日から施行される。

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