平成16年8月13日 |
<問い合わせ先> |
都市・地域整備局公園緑地課 |
緑地環境推進室 |
(内線32912) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
発表の主旨
近年、都市においてはヒートアイランド現象の進行が見られるなど熱環境が著しく悪化しています。例えば東京においては過去100年間で平均気温が約3℃上昇しています。ヒートアイランド現象は、都心部の気温が郊外よりも島状に高くなる現象で、その「熱の島」の更なる高温化や範囲の拡大が問題になっています。とりわけ今年は猛暑が続き、多数の熱中症患者が出るなど、都市の熱環境の悪化は社会に大きな影響を及ぼしています。
このような状況を改善するひとつの手段として、緑化の推進や緑地の保全が注目されています。緑は日射を遮り、地表面の被覆を改善する等により気温の上昇を抑えるなど熱環境を改善する機能をそなえているからです。そのため、平成16年3月に定められた「ヒートアイランド対策大綱」にも緑化の推進と緑地の保全は重要な課題として挙げられています。
こうした背景から、国土交通省では、都市における緑の政策に活かすべく、緑の効果を把握するための各種の調査を行っています。今回、最近行った調査結果の一部を速報として報告いたします。
調査の内容
調査の内容は以下のとおりです。
【調査1】都市の緑に係る熱環境計測 緑による熱環境改善効果を熱画像カメラ等で実際に計測しました。 手法:熱画像カメラでの表面温度の計測等 調査対象エリア:六本木六丁目再開発地区(六本木ヒルズ)(東京都港区) |
【調査2】緑化効果の3次元シミュレーション 実在する街区をモデル的に緑化した場合の効果について、3次元モデルによるシミュレーションを行いました。 手法:現状及び緑化した街並みの3次元モデル作成と、体感指標による熱環境のシミュレーション モデル設定エリア:南青山地区(東京都港区) |
調査結果の概要(要約)
【調査1】都市の緑に係る熱環境計測(熱画像カメラでの把握)
平成16年7月22日(木)午後2時(14時)の現地実測の結果は以下のとおりでした。
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![]() アスファルト舗装の表面温度:40〜45℃(最も高い部分で48.6℃) 道路沿いのケヤキの表面温度:約35℃ 上記の差:約5〜10℃ |
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![]() エリアに隣接するアスファルト舗装の表面温度:約45℃ 緑化された場所の表面温度:約30℃ 上記の差:約15℃ |
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![]() 石舗装の表面温度:約40℃ 植栽部分の表面温度:約30℃ 上記の差:約10℃ |
【調査2】緑化効果の3次元シミュレーション
東京工業大学のほやの梅干野研究室が開発した熱環境の数値シミュレーションを用い、3次元CADで再現した「現況の街並み」(緑被率18%)と「緑化後の街並み」(緑被率43%)における暑さの体感指標「平均放射温度(MRT)※」を比較しました。
暑さが問題になる日中12時において、街路樹の植栽や壁面緑化などを行った「緑化後の街並み」では、地上1.5m(人の歩く高さ)におけるMRTが気温相当となっている分布域が10%から20%へと倍増し、特に歩道部分を中心に快適性が向上することがわかりました。【下図】
※平均放射温度(MRT):暑さ感を示す体感指標の一つで、周囲の全方向から受ける熱放射を平均化して温度表示したもの。MRTの値が気温よりも高いと、周囲から受ける放射熱による暑さを感じ、逆に気温よりも低いと涼しさを感じる。
現況の街並み(緑被率18%) 緑化後の街並み(緑被率43%)
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