平成16年3月17日 |
<問い合わせ先>
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政策統括官付政策調整官 |
(物流担当)付 |
(内線53315) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
国土交通省では、幹線物流において荷主企業と物流事業者が共同で海運・鉄道への輸送方法の転換やトラック輸送の効率化といった環境負荷低減策に取り組む場合に、一定の効果が認められるものについて支援する制度を平成14年度より実施中です。この制度を利用し、現在、42件の実証実験が全国で実施されているところです。
さて、このたび、「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」第3回検討会において、平成15年度中の実証実験の実施状況について検討・評価するとともに、本制度の今後の方向性についても提言がありましたのでお知らせいたします。
また、この提言を踏まえ、本制度の平成16年度実施方針を決定いたしましたのでお知らせいたします。
- 環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験検討会委員 → 資料1
- 実証実験の実施状況の評価について
- 認定している実験 → 資料2

現在認定している実験は42件(鉄道へのシフト 34件、海運へのシフト 8件)
- 平成14年度に認定した実験 7件(鉄道へのシフト 4件、海運へのシフト 3件)
- 平成15年度に認定した実験 35件(鉄道へのシフト 30件、海運へのシフト 5件)
- 現在実施中の実証実験の実施状況 → 資料3

現在認定している全42件のうち、平成16年1月末時点で1ヶ月以上の輸送実績がある19件について、実施状況の報告を求めました。残りの23件については、実験準備中であるか、実験実施期間が1ヶ月未満のものです。
- 実施状況の評価結果 → 資料4
実験開始当初にいくつか問題が発生し計画どおりの貨物量を確保できなかったためにCO2排出削減量が計画の7〜8割程度にとどまった実験が多いですが、そうした課題もその都度解決され、事業者間の協調体制が確立されていく中で事業も軌道に乗り、貨物量も計画量に達すると見込まれます。
- 認定の取り消しについて
認定を受けながら実験の開始に到らず、実験を中止したい旨の申請があった下表の5件の実験について、認定を取り消すこととし、検討会に報告しました。 → 資料5
認定年度 |
実験名称 |
申請者 |
H14 |
シュレッダーダスト輸送 海運活用実証実験 |
北日本興産(株)(現社名:(株)シー・ロードエキスプレス) 商船三井フェリー(株) 日東陸運(株) 北一トラック(株) |
H14 |
鍋島〜東京ターミナル間定温物流ラインの新設 |
JA佐賀経済連 日本貨物鉄道(株)九州支社日本通運(株)佐賀支店 |
H14 |
大内新興化学(株)東北→関西・四国・九州間鉄道活用実証実験 |
大内新興化学工業(株) (株)日輪 日本貨物鉄道(株) |
H14 |
山形〜札幌間JR31フィート冷凍コンテナ活用実証実験 |
日東ベスト(株) 日本貨物鉄道(株) 日本通運(株)山形支店 |
H15 |
宮崎県から関西へのRORO船活用実証実験 |
旭化成(株) 八興運輸(株) |
- 実証実験支援制度検討WGからの中間報告
検討会の中に設置したワーキンググループにおいて今後の制度のあり方等について専門的見地から検討した内容をとりまとめた中間報告が示されました。 → 資料6
[提言の主な内容]
- 現行支援制度の大幅な拡充
- オークション制度の柔軟な運用
- 支援対象事業の範囲の拡大
- 応募機会の増加
- キャンペーン等、他の施策との連携強化
- 本制度の平成16年度実施方針について
上記の中間報告のうち平成16年度から採用できるものについて反映し、本制度の平成16年度の実施方針を決定しました。 → 資料7
[主な改善点]
- 応募締切りから認定までの期間を短縮するとともに、年に2回公募することを当初から予定するなど、利用しやすいスケジュールとなります。
- 単位補助金あたり1年間のCO2排出削減量が36t-CO2/百万円・年 以上あることが必要であるという条件を応募要件から除きました。
- トラックから鉄道や海運に転換する場合のCO2排出削減量の算出方法に加え、トラックの大型化や共同化等を行う場合の算出方法を提示することで、トラック輸送の効率化によりCO2排出削減を図る実験についても応募いただきやすくなります。
資料4
実施状況の評価概要
- CO2排出削減量
報告対象の19件について、CO2排出削減量の目標達成率ごとの分布は下図のとおり。
実験期間が1年未満の場合は1年あたりに換算して計画と実績を比較した。
- CO2排出量が計画を上回ったもの 4件
4件中2件は、荷主の出荷が予定より好調なものや、計画には織り込んでいなかった規制強化(スピードリミッター装着義務付け、首都圏での排出ガス規制)等の影響により貨物量が増加したものである。
残りの2件はほぼ計画どおりの値となっている。
- CO2排出量が計画を下回ったもの 15件
実績が計画を下回る要因としては、貨物量の少ない時期の集計である場合、新しい輸送方法へと徐々に転換している場合、着荷主側からの急送要請に応じ一時的にトラック輸送で対応した場合、想定以上に需要が低迷し出荷量自体が少ない場合などがあり、とくに実験期間がまだ短い場合は影響が大きいようである。また、既に長期間実験を実施している場合では、その間に荷主の生産計画が変更されるなど前提条件が変化し、当該実験ルートでの輸送貨物量が大きく減少することがある。
- 前記のうち、とくに達成率が60%未満のもの 5件
上記のマイナス要因が顕著に現れた実験である。
達成率が最も低い実験(26.8%)では、コンテナへの積み込み技術を作業員が習熟するまでの期間を助走期間とし、従来の輸送方法と併用したために低い達成率となったものであるが、現時点では安定した輸送体系を確立しており、既に課題は解決されている。
達成率が2番目に低い実験(38.3%)は、冬季の輸送需要が少ないことと、使用するRORO船の輸送能力が不足した時期が重なったことにより低い達成率となったものであるが、現時点では、貨物量に見合う輸送能力も得られており、夏に向けて需要が回復するにつれて計画どおりの輸送が実現されることと思われる。
- CO2排出量削減以外の効果
- トラック走行台キロ
全ての実験において、トラックの走行台キロの削減分に相当する量のNOx、PMが削減されている。
- 輸送コスト
19件中10件が輸送コストを削減できていると報告している。(コスト増もしくは不変 のものが2件、不明が 7件)。中には運賃を4割も削減できたとする実験もあった。
- 今後の見通し
実験開始当初に発生した課題もその都度解決し、軌道に乗り始めた実験が多い。着荷主側の要請で緊急に従来どおりトラック輸送せざるを得ない場合もあるようだが、事業者間の協調体制を改善するなどにより克服できているようである。今後の展開については、早くも実験終了後の拡大展開の方針を打ち出しているものも多く、大いに期待できると考えられる。
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