平成１７年度建設産業ノウハウ移転セミナーの開催について（結果概要）

平成１８年２月６日

＜問い合わせ先＞

総合政策局

国際建設経済室

（内線25854）

TEL：03-5253-8111（代表）

趣旨
　開発途上国における社会資本整備を支援するに当たって、その国の民間建設産業を育成していくことは、援助プロジェクトの円滑な実施につながるだけでなく、その国の経済発展にとっても極めて重要である。このような観点から、国土交通省では、開発途上国への協力として、我が国建設産業が持つ経験、技術、ノウハウの移転を図るためのセミナーを対象国において開催している。
　本年度は、ニカラグア共和国及びグアテマラ共和国の両国において、日本の道路行政、建設事情、道路建設の施行や品質管理、災害に強い道路・橋梁づくりなどに関し、セミナーを開催する。セミナーは両国の建設技術者、政府関係者等を対象とし、両国政府のインフラ整備担当省と共催で開催する。また、セミナーの企画に当たっては、日本国内の専門家による委員会を開催し、両国政府や両国において活動している我が国の建設会社等を通じて把握した現地の開発ニーズを踏まえ、発表テーマや内容の選定を行った。
　
セミナー日程・開催場所
＜ニカラグア共和国＞
　平成１８年１月３１日（火）９：００～１７：００
　レアル・インターコンチネンタル・メトロセントロホテル（マナグア市）

＜グアテマラ共和国＞
　平成１８年２月２日（木）９：００～１７：００
　マリオットホテル（グアテマラ・シティー市）
日本側講師
　建設産業ノウハウ移転委員会委員長（セントラルコンサルタント（株）社長）　住吉幸彦氏
　（株）間組土木事業本部部長　西嶋岳郎氏
　大林道路（株）技術研究所所長　高橋哲躬氏
　　（セミナー実施事務局：社団法人　海外建設協会）
セミナー開催の概要
　両国とも、セミナーは建設技術者、大学、政府関係者など１００名を越える参加者を得て盛況に開催された。
　開会では、当該国のインフラ整備担当大臣や日本国大使館大使からご挨拶をいただいた。
講演では、日本側からは、住吉講師より、インフラ整備が国の発展に果たす役割、我が国の代表的なインフラ整備プロジェクト、道路整備制度のしくみ、新たなコンセプトによる道路整備の例などが紹介された。また、西嶋講師からは、災害に強い道路・橋づくりとして、ラオス、ネパール及びニカラグアにおけるプロジェクトの実施例や、我が国において実施されている土砂・斜面災害を予防する工法が紹介された。さらに、高橋講師からは我が国における道路舗装の施工方法や品質管理が紹介された。
　また、両国の技術専門家からも自国の道路整備の状況や技術・維持管理に関する報告が行われた。
ニカラグアでは、道路の舗装率が１０％強にとどまっており、また既存の道路や橋梁についても近年の交通量の増大により損傷が激しくなっており、舗装道路の建設や既存道路・橋梁の維持管理が課題となっている。また、グアテマラでは、国土の多くを占める山岳地帯において、主要幹線道路の一部をなす橋梁の維持・更新や、同地帯で生活する貧困層にも恩恵をもたらすような道路建設が課題となっている。さらに両国では地震やハリケーンなど自然災害が多く発生しており、特にグアテマラは昨年秋のハリケーンにより甚大な被害を受けたところである。
　こうした中、我が国の経済発展の基礎となった道路網整備のしくみ、度重なる自然災害からの教訓を生かした安全度の高いインフラづくり、耐久性の高い道路舗装を実現するための技術・ノウハウ、コストや環境保全の面で有利な山岳部における1.5車線道路の整備など、我が国の建設産業に関する経験に関心が寄せられ、出席者から講師に対する質問が相次いだ。
　今後、本セミナーで紹介された我が国の建設産業ノウハウが両国におけるインフラ整備の参考になるとともに、こうした優れたノウハウ・技術を有する我が国の建設業に対する関心が両国においてさらに高まることが期待される。