平成18年2月8日 |
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住宅局建築指導課 |
(内線39502、39515) |
TEL:03-5253-8111(代表)
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- 経緯
福岡市が、構造計算書偽装問題の一連の調査として、木村建設の施工物件の調査を行っていたところ、サムシング(株)一級建築士事務所(H14に廃業)※が構造計算を行った賃貸共同住宅4件について、再計算を依頼されていた(社)日本建築構造技術者協会(JSCA)から市に対し2月3日に報告があり、4件中3件について偽装があったと考えられることが判明し、国土交通省に同日報告された。
福岡市は、その後、報告書の内容の精査を行うとともに、サムシングの開設者であった仲盛建築士への聴取を2月7日に実施し、事実関係の確認を進めた。
国土交通省においては、2月3日以降、福岡市に詳細の報告を求め、福岡県等と情報共有を図ってきたが、2月8日、福岡市から元開設者の聴取結果を踏まえ、偽装を確認した旨の報告を受けたことから、これまでに把握された事実関係等について公表する。
※サムシング(株)一級建築士事務所
- 開設者・管理建築士 仲盛昭二(なかもりしょうじ)1級建築士
- 事務所登録期間
- S55年〜S61 設計工房サムシング(株)一級建築士事務所(福岡市)
- H元〜H6 設計工房サムシング(株)一級建築士事務所(春日市)
- H6年〜H14 サムシング(株)一級建築士事務所(春日市)(H14.9廃業)
- 偽装の内容
再計算を行った4件のうち3件について、計算に連続性が無く、建物の荷重を軽減して計算を行う偽装(不正な操作)が判明した。
物件建築確認機関建築確認年用途構造設計者JSCA報告概要
(1)福岡市H12賃貸共同住宅サムシング(株)・構造計算に連続性がない。
- 9〜13%少ない荷重で設計が行われている。
- 1次設計は建築基準法上の耐力を満たしている。
- Qu/Qun値 = 1.0以上
(2)福岡市H12賃貸共同住宅サムシング(株)・構造計算に連続性がない。
- 16%少ない荷重で設計が行われている。
- 1次設計は建築基準法上の耐力を満たしている。
- Qu/Qun値(最小値)= 0.85
(3)福岡市H13賃貸共同住宅サムシング(株)・構造計算に連続性がない。
- 10〜15%少ない荷重で設計が行われている。
- 1次設計を満たしていない梁があることが判明
- Qu/Qun値(最小値)= 0.9
4件のうち残りの1件については、建築確認申請図書が保管されていないため、偽装の有無は確認ができていないが、竣工図を基に所有者が作成した構造計算書により再計算を行ったところ、2次設計のQu/Qun値が最小値で0.9程度、また、一次設計を満たしていない柱・梁等があることが判明した。
これら4件とも、緊急に安全性が問題となる状況にないが、一部基準に対し不適合となる部分があるので、実情に合わせた再度の詳細な検証が求められる。
なお、これら物件については、福岡市が、概ね1ヶ月以内を目途に、所有者に再度詳細な検証を行うことを求め、その結果を確認することとしており、現時点で物件の公表、入居者への通知は行わず、検証の結果、構造耐力が充足されていることが確認されないときに物件名称、所在地、建築主、設計者等を公表することとしている。
- 今後の対応
- (1)偽装物件の調査と把握の方法
- サムシング活鼡煙囃z士事務所については、昭和55年に開設し平成14年に廃業するまで(一時中断あり)、福岡県を中心に多数の業務を行ってきた可能性がある。 これらの業務に係る物件について、偽装の有無を確認することについては、
-
福岡市が行った仲盛建築士に対する聴取内容を踏まえ、必要に応じ、建築士事務所を監督指導する県と、建築士の処分権限を有する国土交通省において再聴取を行い、偽装の事実関係とサムシングの関与物件の把握を進め、
県内特定行政庁及び民間確認検査機関が保存している確認申請書のうち、サムシング関与物件について偽装の有無、耐震強度等を調査し、
- ※福岡県35件、福岡市4件の確認申請書類が保存されている。

、
の調査の結果、偽装物件が多数確認されるなど、サムシングによる偽装の拡大の可能性が高い場合には、マンション管理組合連合会、建築士事務所協会、建設業団体、宅建協会及びマンション供給業者等関係団体等に呼びかけ、サムシング関与物件を特定し、福岡県、福岡市、その他所在する特定行政庁において調査を行うことを想定している。
- また、上記によってただちに把握できない場合でも、調査を継続するとともに、建築物所有者からの申し出に基づき、構造計算書のチェックや耐震診断を支援することにより、サムシング関与物件の安全性の確認を進めることとしている。
- ※ 福岡市では1月から、構造計算書偽装問題に関連し、一般のマンションの管理組合等の要望に応じて、マンションの構造計算書のチェック等の費用について3分の2の補助を行う制度を運用しており、実績が2月6日までにすでに74棟にのぼっている。
- (2)偽装を行った建築士等の厳正な処分・告発
- 事実関係を把握した上で、偽装を行った建築士等には厳正な処分・告発を行う。
- (3)再発防止策
- 本件の事実関係の把握の中で、新たな再発防止策の必要性が認められた場合は社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会において所要の検討を行う。

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