平成18年3月7日 |
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住宅局建築指導課 |
(内線39515、39516) |
TEL:03-5253-8111(代表)
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- 1.経緯
- 札幌市からの報告では、札幌市内のマンションの建築主が、自社物件の検証を行ったところ、構造計算書に疑義が生じ、下請けの構造設計者から「構造計算書の偽装を行った」旨の発言があったとして、平成18年2月6日に札幌市に対して報告がなされた(札幌市からの第一報は、道に対し7日、国土交通省に対し10日)。
- その後、札幌市は、(社)日本建築構造技術者協会北海道支部(JSCA)への再計算の委託、同一の構造設計者の関与物件の把握・調査など、事実関係について慎重に調査を進めてきたところ、市が建築確認した5件について3月2日に偽装があったものと判断し、道及び国土交通省にその旨連絡がなされた(5日)。
- 札幌市においては、耐震性の検証等を続け、一定の確認ができた段階での公表を予定していたところであるが、3月5日以降、札幌市内のマンションの耐震性について各種報道がなされたことから、住民の不安を解消する必要があると判断し、判明している事実関係と調査中の状況について公表を行うこととしたため、道及び国土交通省もこれに合わせ公表することとした。
- 札幌市では、JSCAの中間報告を踏まえ、入居者の退去など緊急に対応が必要とされる保有水平耐力が0.5未満の建築物は無いと判断しており、調査途中の段階で、具体的な物件名や所在地については公表を行わないこととしている。今後、耐震性の確認がなされ、問題のある物件が判明した場合は、直ちに所有者等への通知及び物件名等の公表を行う。
- ※なお、国土交通省においては、住宅品質確保法に基づく住宅性能評価機関から、当該構造設計者が関与した物件について偽装の疑いがあるとの連絡を受け(2月9日夜)、札幌市に詳細調査等の要請を行った(翌10日、この時点で既に札幌市において調査実施中。)。
- 2.構造設計者の氏名
- 浅沼良一建築士(2級建築士)
- ※2級建築士の資格では、鉄筋コンクリート造300u以上の建築物などの構造計算書の作成は認められていない。
- 3.偽装の内容
- 北海道及び札幌市からの報告では、浅沼建築士は、「耐震性能を確保するため、耐震壁を多く配置するなど努力したが、思うような計算結果とならなかった物件について、自分なりの判断で耐震強度上は支障がないと考え、構造耐力の数値の割増しを行ったものである」としており、計算書類の差し替えの疑いが認められたとのことである。
- なお、浅沼建築士は「建築主や元請設計事務所からの指示を受けて行ったものではない」としているとのことである。
- 4.構造設計者が関与した建築物
- 浅沼建築士は、現時点の調査では、全道で112件の物件に関与しており(北海道以外では仕事していないとのこと)、うち札幌市内の79件中の33件について偽装を認めているとのことである。なお、道の所管区域の確認物件は20件であり、現在のところ、構造設計者から、この20件については、構造計算書の偽装はなかったと聞いているが、札幌市、北海道は他の特定行政庁、国土交通省とも連携し、これらについて調査を開始しているところである。
○関与した確認申請物件数(北海道外はなし) (3月6日現在)(件)

- 5.住民への対応等
- 住民の不安を早期に解消するため、 札幌市、北海道とも耐震性等の調査は早急に実施することとしており、併せて、相談窓口対応等を行うこととしている。国土交通省においても調査の早期実施等について必要に応じ技術的支援等を行う。
- 6.偽装を行った建築士等の厳正な処分・告発
- 事実関係を把握した上で、違法行為が明らかになった建築士等には、道及び札幌市等と連携し、厳正に対処する(なお、2級建築士、建築士事務所に関する指導監督は北海道となる。)。
- 7.再発防止策
- 本件の事実関係の把握の中で、新たな再発防止策の必要性が認められた場合は社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会において所要の検討を行う。

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