国土交通省
II 予測方法及び前提条件
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1.輸送需要予測の方法

 (1) 国内輸送
 2010年度の国内旅客、貨物需要予測にあたっては経済社会の情勢や輸送条件等の変化が交通の輸送量に反映できるように、人あるいは貨物が移動する際の発地と着地に着目し、その発着地間の流動である純流動をベースとして予測した。まず、全国の旅客、貨物の純流動ベースの合計値を予測した。次に旅客の場合は、地方生活圏単位で207に区分し、貨物の場合は県単位で50に区分(北海道は4つに区分)し、全国合計値をコントロールトータルとして、各地域の発生・集中交通量、地域相互間及び地域内々の分布交通量を求めた。そして、これらを各輸送機関を利用した時の費用等によって各輸送機関別に配分し、最後に純流動量を総流動量に変換し、輸送機関別の輸送需要を求めた。
 各段階において、旅客については通勤、通学、業務、観光等の各目的毎に、また貨物については15品目毎に輸送需要予測を行った。

1.全国純流動量の予測
 旅客については、各旅行目的別に、全国幹線旅客純流動調査結果、国内総生産等より性・年齢階層別の交通生成原単位を設定し、これらと将来の就業者数、人口等から目的別全国旅客純流動量を予測した。
 また、貨物については、国内総生産との相関等を用いて将来の部門別国内生産額、輸入額を推計し、それを過去の弾性値等を考慮しながら生産重量に変換した。そして、過去の実績からその輸送される割合を設定し、15品目別の全国貨物純流動量を予測した。
2.地域別発生・集中量及び分布交通量の予測
 各地域における発生・集中交通量の実績を考慮しつつ、社会経済指標等から重回帰分析により将来の各地域の発生・集中量を予測した。用いた主要な指標は、旅客については、業務目的では就業者数、県内総生産、観光等目的では夜間人口、県内総生産、ホテル・旅館の部屋数とした。     貨物については、各品目毎に商品販売額、業種別工業出荷額とした。
 また、旅客については、地域相互間の分布交通量は、業務目的、観光等目的毎に、地域別発生・集中量、抵抗要因(所要時間、運賃等)を変数としたモデルを構築し、将来の分布交通量を予測した。
 地域別内々交通量は、4つの目的(通学、通勤及び業務または観光等)毎の過去の都市規模別、性別及び年齢階層別の原単位のトレンドを考慮し予測した。
 また、貨物については、地域相互間の分布交通量、地域内々交通量は、品目別に、地域別発生・集中量及び抵抗要因(所要時間、運賃等)を変数としたモデルを構築し、将来の交通量を予測した。
3.輸送機関別輸送量の予測
 このようにして得られた将来の地域相互間及び地域内々の分布交通量をもとにして、地域相互間は、旅客、貨物とも各輸送機関毎のネットワークを設定し、各輸送機関の費用、所要時間等を説明変数とする輸送機関選択モデルによって輸送機関別の輸送需要を予測した。
 地域内々は、旅客は面積あたりの道路延長、面積あたりの鉄道営業距離、一人あたりの乗用車保有台数及び高齢者比率を説明変数とする輸送機関選択モデルを用いて予測した。貨物は自家用・営業用貨物車について品目別の輸送量の推移に基づき各貨物車の輸送コスト指標を説明変数としたモデルを用いて予測した。
 最後に純流動を総流動に変換し、輸送機関別輸送量を求めた。
 なお、貨物輸送の品目のうち、原油の国内における二次輸送量及び廃棄物輸送量は、データ上の制約などから別途予測した。
 また、国内旅客船、国内航空貨物は、それぞれ国内輸送量に占める割合がごく僅かであること、国内貨物鉄道車扱、国内貨物海運バラ(コンテナ船、RORO船以外の海運)は輸送する品目が固定的であり他のモードとの競合関係が弱いことから過去のトレンドを考慮し別途予測した。

 (2) 国際輸送
国際航空旅客は、日本人・外国人別に、国内総生産及び為替レート等の説明変数を用いて、全国出国者数の実績値との相関分析により将来値を予測した。
 国際海運旅客は、国内総生産と全国出国者数の実績値との相関分析により将来値を予測した。
 国際航空貨物については、国内総生産及び為替レート等の説明変数を用いて、輸出入量との相関分析により将来値を予測した。なお、継越貨物については、過去の動向から予測した。
 国際海運貨物は、金属機械工業品、化学工業品等の国際的な価格等の競争が貿易量変動に大きく関わると考えられる品目については、主要貿易相手国の経済成長率、為替レート、国際産業連関表等を勘案し、品目別全国輸出入量を予測した。また、それ以外の農水産品、鉱産品等については、関連産業の動向等を勘案し、品目別全国輸出入量を予測した。

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