国土交通省
10.交通事業者におけるリサイクルの推進
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1.問題の所在とこれまでの取り組み

 現在の大量生産、大量消費、大量廃棄型社会は、廃棄物の量の増大、廃棄物の質の多様化、最終処分場の残余容量の逼迫等をもたらし、環境への負荷が高まっている。これまで、廃棄物の減量化・リサイクルの促進については、政府として「再生資源の使用の促進に関する法律(リサイクル法)」の改正(平成3年10月)、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に係る法律(容器包装リサイクル法)」の全面施行(平成12年4月)、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」の一部改正(平成9年6月)などによる取り組みを進めており、平成13年には「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」の施行が予定されている。また、交通関係事業者では、「経団連環境自主行動計画」(平成9年)などの業界団体や各事業者独自での自主的な取り組みを策定している。
 しかし、厚生省の資料によれば、平成8年度の我が国の廃棄物量は約4.5億トン(一般廃棄物0.5億トン、産業廃棄物4億トン)であり、最終処分場の残余年数は一般廃棄物で8.8年、産業廃棄物で3.1年と厳しい状況にある。また、リサイクル率は一般廃棄物で11%、産業廃棄物で37%と低い水準に止まっている。
 今後の社会経済の発展に伴い廃棄物の排出量も増加が予想されるが、廃棄物の処分場の新規立地が非常に難しくなってきており、それに伴い処分場の残余年数も年々減少している。このため、廃棄物の排出をできるだけ押さえ、極力リサイクルを推進する「循環型社会」の構築が重要になってくる。
 このような状況に鑑み、平成11年 9月28日に開催されたダイオキシン対策関係閣僚会議では、リサイクルや中間処理(脱水や焼却等)の強化などで、埋立に回される最終処分量を平成22年度(2010年度)までに平成8年度の半分にする等の減量化目標を決定し、関係省庁が連携して当該目標達成への取り組みを進めることにした。
 また、廃棄物・リサイクル対策の基本法である循環型社会形成推進基本法の制定、従来のリサイクル(再資源化)に加えて廃棄物の発生抑制(リデュース)や製品の再使用(リユース)の概念を盛り込んだリサイクル法の改正、建設廃材や食品といった個別具体的な廃棄物に関する対策についての法制度の整備等が進められているところである。

2.2010年における環境制約要因となるか否か

 「経団連環境自主行動計画」は地球温暖化と廃棄物の対策にどう取り組むかを41業種について業界毎にまとめたもので、廃棄物対策について28業種において数値目標を設定している。しかし、当省所管業種に関しては、上記計画に参加していないJR、バス、タクシー、ホテル業等については、事業者毎の取り組みはあるものの、行動計画は設定されておらず、同計画に参加している当省所管業種(自動車部品、自動車、造船、鉄道車両、海運、航空、鉄道等)についても、廃棄物削減の具体的な数値目標を設定しているのは2業種(自動車、造船)に止まっている。
 また、今後リサイクル輸送の増加が見込まれる中、輸送自体が与える環境負荷の影響を看過することができなくなることが予想される。
 循環型社会の構築に向けて、それぞれの交通関係事業者が、1. で述べた各種法案で盛り込まれているリデュース・リユース・リサイクルの3Rの取り組みを強化することが必要である。

3.今後の施策の方向性

 このためには、各交通関係事業者が数値目標を含む上記3Rの達成のための自主行動計画を策定し、具体的活動を進めることが必要である。
 なお、この行動計画の策定に際しては、目標の設定方法や対策のあり方について、統一した指針を国が定めることが必要である。
 また、交通部門におけるリサイクルの推進においては、交通事業に特有の製品について、例えば、引越用段ボールにおける3Rの取り組みのため、事業者自らの導入に加え消費者(利用者)の積極的な使用を働きかけることや、自動車用更正タイヤの営業用車両での利用促進などの幅広い対策を検討する必要がある。
 さらに、今後、各主体のリサイクル等の取り組みが進むことに伴う、廃棄物・リサイクル輸送の増大が予想される中、それに伴う環境負荷を軽減するため、効率的で環境にやさしい静脈物流システムの構築を検討する必要がある。

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