国土交通省
12.FRP廃船の適正な処理対策(リサイクルの促進)
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1.問題の所在とこれまでの取り組み

 FRP(Fiber Reinforced Plastic)はガラス繊維とプラスチック樹脂を積層して凝固した複合材料である。昭和40年代以降、その優れた強度、耐久性等により、小型船体の構造材料として急速に普及し、今日ではプレジャーボートや小型漁船の殆どがFRP艇体を採用している。
 レジャー用FRP船は廃掃法上「一般廃棄物」に該当するが、自家用自動車、ピアノ等と同様、その大きさ及び処理の困難さ等の理由により自治体では処理を行うことができず、限られた産業廃棄物処理事業者により処分されるケースが殆どである。
 現在、FRP廃船は粉砕して埋設又は焼却により最終処分されているが、現行の廃船処理手法では費用が高く、処理を行う事業者も限られていることから、不法海洋投棄などFRP船利用者による適正な廃船処理が実施されないケースも多い。
 なお、こうした状況を踏まえ、FRP廃船処理の円滑化と資源の有効活用の観点から、これまでに、FRP廃材を粗粉砕してアスファルトやモルタル等に混入する方法、FRP中の樹脂成分のみを熱分解して分離する方法など、様々なリサイクル手法が検討されてきた。しかしながら、これらの方法は、新品材料と同等の品質を確保しようとすると新品材料よりもコストが高くなるなどの問題があり、普及には至っていない。

2.2010年における環境制約要因となるか否か

 現在の発生量が約3千隻と推測されるレジャー用FRP廃船が、2010年までには年間1万隻を越える隻数が廃船時期を迎えると推測されるとともに、FRP廃船の処理体制の整備が進まない場合は、現在約14万隻と言われる放置艇の沈廃船化が懸念される。
 また、処分場の逼迫を背景に、廃棄物の発生を抑制することが重要な課題とされており、複数の自治体より国に対して低廉な廃船処理方法の早期実現が求められている。
 そのため、FRP船の廃船問題が2010年における環境制約要因となると考えられる。

3.今後の施策の方向性

1.今後、FRP廃船処理費用の低減を図るとともに、処理能力を向上させるため、FRP廃船の経済的なリユース手法、リサイクル手法を確立し、事業化を進展させる必要がある。その際、FRP船だけでは廃材の発生量が比較的限られていること等を勘案すれば、他のFRP製品の処理と連携を図る必要がある。
2.舟艇の所有者に対して適正な処理業者に関する情報の提供等を行うことにより、廃船のリサイクルシステムを確立する必要がある。
3.一部自治体から要望があるFRP船に係る預託金制度の導入については、上記@及びAがある程度確立された段階において、廃船処理体制の整備状況を見極めたうえで、必要に応じ、その効果、廃棄物の発生量への影響及び数十年以上にわたり預託金を管理するシステムのあり方等について、十分に検討する必要がある。

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