国土交通省
5.自動車騒音対策
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1.問題の所在とこれまでの取り組み

 (1)環境基準
 騒音に係る環境基準については、平成11年4月1日より新しい環境基準が施行された。主な変更点として、騒音の計量単位が中央値(LA50)から等価騒音レベル(LAeq)に変更となり、それに伴う基準値の見直しが行われている。
 一般に、等価騒音レベルを採用することにより以下のような利点がある。
1.間欠的な騒音を始め、あらゆる種類の騒音の総曝露量を正確に反映
2.環境騒音に対する住民反応との対応が、騒音レベルの中央値に比べ良好
3.道路交通騒音等の推計において、計算方法が明確化・簡略化される
4.国際的に多くの国や機関で採用されているため、国際比較が容易
※LA50:騒音レベルの中央値
 LAeq:騒音のエネルギー平均値

 (2)環境基準の達成状況
騒音に係る環境基準の達成状況(平成10年度)は以下のとおりである。
全国の測定地点(4,688地点)のうち、4時間帯(朝・昼・夕・夜間)すべてで環境基準が達成されたのは、619地点(13.2%)であった。
5年間継続して測定を行っている地点(2,944地点)を対象とした環境基準の達成状況の推移をみると、4時間帯すべてで環境基準が達成された測定地点は、370地点(12.6%)と、引き続き低い水準で推移している。

 (3)運輸省がこれまでに行ってきた対策
 運輸省はこれまでに自動車騒音低減対策として、昭和27年に定常走行騒音及び排気騒音に対する規制、昭和46年に加速走行騒音に対する規制を導入した。環境庁発足後は環境庁と連携して規制の強化を行っている。昭和61年から順次街頭における検査を容易にするため、排気騒音規制に替えて近接排気騒音に対する規制を導入した。近年では、平成4年11月の中央公害対策審議会中間答申及び7年2月の中央環境審議会答申「今後の自動車騒音低減対策のあり方について」で示された許容限度設定目標値に沿って、逐次保安基準の改正を行っている。
 例えば、大型トラックについては、上記の答申において加速騒音規制の目標値が81デシベルに設定されている(平成13年より実施予定)。これは昭和46年規制の92デシベルと比較して、騒音のエネルギーに換算すると8%まで低減されている。

2.2010年における環境制約要因となるか否か

 新しい環境基準制定後の環境基準達成状況の推移を見極める必要があるものの、現在の環境基準の達成状況が急激に改善されることは想定し難く、2010年においても自動車騒音問題は環境制約要因となると考えられる。

3.今後の施策の方向性

 新しい環境基準は、既設の道路に面する地域については、環境基準の施行後10年以内を目途として達成又は維持を図るよう努めるものとされており(ただし、幹線交通を担う道路に面する地域であって、道路交通量が多くその達成が著しく困難な地域については、10年を超える期間で可及的速やかに達成するよう努める)、環境基準の達成に向けてソフト・ハード両面から引き続き種々の施策を講じる必要がある。
 自動車単体対策については、現在まで大きな騒音源であるエンジン騒音と排気系騒音に様々な遮へいや消音器の大型化等による大幅な騒音低減が図られており、これら寄与率の高い音源に対する対策が既に施された結果、各音源からの発生騒音の大きさが平均化されてきているが、今後さらに低減を行うためには、タイヤをはじめとしてあらゆる部位にきめ細かな対策を施すとともに、これらの騒音低減装置の性能を維持させることにより全体の騒音低減を図ることが必要がある。
 また、抜本的な自動車騒音問題の解決のためには、自動車単体対策のみでは不十分であり、緩衝緑地帯の整備、低騒音舗装の整備、道路の地下化等の道路構造対策、大型車の交通規制等の交通流対策など総合的な対策についても推進していく必要がある。

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