国土交通省
運輸政策審議会総合部会第4回環境小委員会 議事概要
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1.日時:平成11年10月19日(火) 10:00〜12:20

2.場所:運輸省10階特別会議室

3.出席者
【委 員】 石委員長、石谷、佐和、杉山、田宮、山田各委員
【事務局】 運輸政策局次長、政策企画調査室長、総合計画課長、地域計画課長、運輸産業課長、環境・海洋課長、海洋室長、貨物流通企画課長、観光部企画課長、鉄道局鉄道企画室長、環境対策室長、自動車交通局企画課長、環境対策室長、海上交通局総務課長、海上技術安全局総務課長、舶用工業課長、港湾局海域環境対策室長、航空局航空企画調査室長、飛行場部管理課長、環境整備課長、海上保安庁海上環境課長、気象庁企画課長

4.議 事
(1)2000年代初頭における環境課題について
(2)その他

5.議事経過
(1) 事務局より、2000年代初頭における環境課題について資料2に基づき説明を行った。
(2) 第5回環境小委員会は平成11年11月18日(木)10:00より開催予定。
(主な質疑)

  【地球温暖化対策】
 運輸部門での二酸化炭素排出量抑制策を検討すると、最後はどうしても総量規制、ロードプライシングをするという話になるが、単にロードプライシングを行うというよりも、いつどこでどのように行うかを検討する必要がある。技術的に燃費を20パーセント向上させるためには膨大な努力が必要だが、適切なロードプライシングは経済効果が大きく、実質燃費も飛躍的に向上させることが出来る。その反面不適切なロードプライシングは逆効果が大きい。適切なロードプライシングを行うためにはベースとして技術的な検討をしっかりやる必要がある。そのことも(資料に)取り入れて頂きたい。
  →ご指摘を踏まえ、検討する。
 
 温暖化問題に関連して、フロンについての記述がまったくないが、いかがなものか。
  →フロンの問題については、回収率が芳しくないこともあり、ご指摘を踏まえ、検討する。
 
 現在、軽自動車を初めとして小型の自動車がよく売れているようだが、この傾向は今後も続くものなのか、また消費者の小型車指向の理由について分析していれば教示願いたい。
  →詳しい分析は行っていないが、●不景気ゆえ価格の安い小型自動車に人気が集中●バブル期に比べ、国民の環境配慮に対する一定の理解が得られてきた●新機能等による商品そのものの魅力の増加 が原因と考えられる。
 
 それほど小型の自動車が普及しているのであれば、運輸部門におけるCOの排出量は減少するのではないか。
  →自動車用燃料の月毎の販売実績は対前年比で2%程度伸びている。これは、小型車の普及の効果を打ち消すほど車両台数が増加しているためではないかと考えられる。
 RV車が最近5〜6年で相当程度普及しているのに比べ、消費者の小型車指向はここ1、2年程度の話であり、CO排出量にその効果が現れるのは2、3年後になるのではないか。
 
 ロードプライシングによる収入は、環境対策に特化されるのか。
  →そういう方向で議論を進めたい。
 ロードプライシングによる収入については、単なる環境対策ではなく、運輸部門の環境対策に充てるべきである。
 
  【航空機、鉄道に係る騒音】
 新幹線については、騒音の評価方法を変更するとこれまでと騒音に対する評価が大きく変わる可能性があるが、2010年を考えるとそのような可能性も考慮する必要があるのではないか。
  →現在環境庁で、新幹線の騒音の評価方法について検討を行っていると聞いている。現在の環境基準である70ないし75デシベルについては、単純換算で等価騒音60デシベルくらいになる。これはヨーロッパの中で一番厳しい水準のものに相当する。今後は、環境庁における検討状況を踏まえつつ、運輸省においても検討を進めていく。
 
 資料中「2010年の環境制約要因となるか否か」のところで、航空機と鉄道で資料の表現が異なるが何故か。
  →航空の場合は等価騒音で評価する際の前提条件である便数や機材構成などに不確定要素が多く予測の精度に問題があるのに対して、新幹線は音の最大値で評価していることや車両型式もある程度騒音について想定がしやすいということがあり、それが両者の表現の違いに反映されている。
 
 地域類型指定というのは我が国独自の制度か。指定の基準はどうなっているか。
  →外国の事例は承知していない。また、地域類型の指定については都市計画における用途地域と整合をとる例が多いが、各地方自治体が行うこととなっているため、自治体の環境に対する考え方によっても若干差が出てくる。
 
 航空機、鉄道の騒音規制について、欧米諸国と日本を比較したときにどちらが厳しいか。
  →航空機については、海外では夜間の飛行禁止、あるいは騒音に応じて課徴金を課す制度を実施しているところもあると聞く。我が国と同様、地域類型の考え方を用いて規制を行っているところも多いと聞く。おしなべて我が国の規制は諸外国に比べてきめが細かいといえる。
 鉄道の騒音に関しては、評価方法が異なるため単純比較はできないものの、鉄道先進国のフランス、ドイツと比較しても、日本のほうが相当厳しいと認識している。
 ヨーロッパにおいては、鉄道は環境にやさしいことを加味して騒音基準は多少甘いといえる。世界の趨勢は、等価騒音レベルで評価する方向にある。航空機の騒音に関する規制は、国によって様々であるが、日本の基準は厳しいほうだと認識している。
 
  【船舶に係る排ガス、騒音、海洋汚染】
 大型船の場合、NOxの排出が問題になるのは港の周辺だけだと考えられるが、港の周辺でのNOx排出量低減を図るためのエンジンを搭載することによって、結果としてCO排出量が増加するのでは意味がないのではないか。港内と外洋で(燃焼形態を)切り替えられる舶用エンジンは技術的に可能か。
  →現在は存在しない。将来的にも、(舶用エンジンは)部品が大きいこともあり、難しいと思われる。
 
 NOWPAP(北西太平洋行動計画)の状況如何。
  →各活動に係る、地域の本拠地は4カ国に分けて設置することが決まっている。統轄本部については、来年ソウルで開催される会合で設置の手続を、同年日本で開催される会合で設置国を決める段取りとなっている。現在のところ、我が国(富山)のみが誘致の意思を表明している。
 
 MARPOL条約97年議定書は、便宜置籍船国の同意がないと発効が見込めない状況ではないか。
  →パナマ、リベリアといった船腹量の大きい国の賛同がないと発効できない状況である。
 すると、船舶からの排出については、国内問題と国際問題が混在していると思うが、国際問題については、要望ベースでしか対応できないということか。
  →IMO(国際海事機関)でのコンセンサス作りが今後の課題である。
 
  【自動車からのNOx排出について】
 欧州では、ディーゼル車の3リットルカーが開発され、一方で東京都は「ディーゼル車NO」といっている。ディーゼル車に対する運輸省の考え如何。
  →運輸省として統一的見解はまだ出していないが、東京のような都市型、局地型の地域的特性ゆえの施策であると認識。ディーゼル車も燃費の問題を勘案し、更に排ガス規制を強化していく方向。
 
 ディーゼルエンジンからのNOx排出量を減少させる技術は発達しているのではないか。言い換えれば、コストさえかければディーゼルエンジンからのNOx排出量を減少させることは可能ではないか。
  →今後、ディーゼル排ガス規制は現在の排出量の3割削減を目標としている。更なる削減のためにはさらに技術開発が必要であるが、それにはコストも時間もかかるという認識である。
 
 新たに環境監査制度を創設する必要があるのか。
  →新規に監査制度を創設するのではなく、既存の監査制度に環境の観点について拡充することを想定している。
 
 ディーゼル車の黒煙の環境に対する影響如何。
  →粒子状物質に係る環境基準達成状況はむしろNOxより悪い状況。粒子状物質は健康上問題とされ、また、都市部の粒子状物質の3割から4割がディーゼル車に起因するものではないかといわれており、その対策についても重要な課題であると認識。
 
 低公害車導入に対する補助額が大きくなると、財源等経済的措置が必要なのではないか。
  →施策の方向として、経済的措置を含むあらゆる方法を検討することとしている。経済的措置に特化したWGを本小委員会に設置することを考えている。
 
 低公害車については経済的措置だけでなく、専用道を通すなど優遇措置も検討すべき。
  →検討する。
 
  【リサイクル】
 先日のテレビ番組「サンデープロジェクト」において、我が国においては廃車からのフロンの回収率がわずか12%であるのに対して、諸外国においてはフロンの大気放出に対して刑事罰を含む厳しい法規制をかけているとの紹介があったが、このことについての見解如何。
  →我が国においても、自主規制を柱にした基本的枠組みはできているが、有効に機能していないのが実情。問題点についてはフォローアップしていく所存。また、国会においてフロン規制立法の動きもある。
 フロンの問題等は「効率化」の名の下に環境対策上必要なコストまでも切りつめるために起こっており、これに対処するためには規制を強化する必要があるのではないか。
 
  【環境に配慮した空港、港湾】
 港湾と陸上交通との接続については現在の日本では問題ないか。また、港湾における環境対策という観点では、港湾本体よりもむしろ港湾に接続する道路の問題の方が大きいのではないか。
  →現在では、運輸省と建設省で意見交換を行って共同でアクセス道路の整備等行っている。また、港湾に接続する道路も含めた検討を行う。
 
 将来臨港鉄道を復活させることは考えているか。
  →現在でも、臨港鉄道はある程度機能している。地球温暖化防止の観点からも、現在特定区間で利用の進んでいる鉄道によるコンテナ輸送等を今後も推進する。
 
  【全体】
 2010年の環境課題を論じるにあたっては、何らかの横を貫くフィロソフィーが必要。これまでは需要を充足するのが行政の使命であったが、これからは需要を抑制する行政が必要になってくるのではないか。「循環化」を進めるためにも、まず抑制を進める必要がある。また、抑制を進める上ではマストランジットやドイツ・北欧で行われている車の共同所有(カーシェアリング)などの「共有化」という新しい交通パラダイムを打ち出していく必要があるのではないか。
 「抑制」については、より適切な表現を考える必要があるのではないか。カーシェアリングについては是非調べていただきたい。
  →調査の上、お示しする。
 
 自動車の騒音についても検討するべき。
  →課題に加える方向で検討する。
 
 2010年を考えた場合、高齢化と交通の関係が重要になると考えるが、これも広い意味では、環境と関係する問題ではないか。例えば乗り換えの不便から鉄道ではなくタクシーを使ってしまうというような。
  →企画小委員会で高齢化の問題について検討を行っている。その結果を本小委員会にフィードバックさせる方法を検討する。

以 上


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