２１世紀初頭における総合的な交通政策の基本的方向について　序

　２１世紀を目の前にして、我が国は、久しく経験しなかった困難な経済状況に直面した。これは、戦後我が国が立脚してきた経済社会システムそのものが時代に合わなくなって機能不全に陥ったことに起因する。現在、我が国は官民を挙げて、２１世紀という新しい時代に相応しい経済社会システムへの移行を目指して模索を続けている。新しいシステムに移行するための「産みの苦しみ」の中で、経済社会の活動の一つである交通も、そのあるべき姿を変えていく。
　本答申は、こうした時代の潮流を読みとり、新しいニーズに適合する交通のあり方を探り、既存施策の枠組みを超える新たな政策対応が求められている点に重点を置いて、２１世紀初頭における総合的な交通政策の基本的方向を指し示すものである。