国土交通No.116

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国土交通No.116

2012.6-7・バリアフリー構造・一定の面積、設備サービス付き高齢者向け住宅高齢者にふさわしいハード・安否確認・生活相談・ケアの専門家が常駐安心できる見守りサービス・前払家賃の保全措置など入居者の安定が図られた契約ここがポイント実施することで、より柔軟な住宅整備が可能となったのである。また、サービス付き高齢者向け住宅と併せて「高齢者生活支援施設」の新築や改修を行う事業も支援している。施設は、住宅の入居者をはじめ周辺地域の住民に保健医療サービスや福祉サービスを提供することが想定されている。例えば、デイサービス、訪問介護ステーション、在宅医療診療所などである。世界一と言われる少子高齢化社会では、高齢者向け住宅と併せて訪問看護などの「医療サービス」やヘルパーなどの「介護サービス」も提供されることが期待されているのだ。平成23年10月から登録がスタートし、24年6月時点で、すでに5万戸以上がサービス付き高齢者向け住宅として登録されている。国土交通省では、高齢者のみならず障がい者や子育て世代の住まいを安定的に供給していくために、平成21年度から「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」を実施してきた。民間企業や社会福祉法人などから、「高齢者」「障がい者」「子育て世帯」が安定して暮らし続けられる住宅整備モデルを募集。応募のあった民間から新しい発想を募集事業の意義と継続性を評価特集多様なライフスタイルに応える柔軟な住宅整備提案内容について、有識者で構成する「評価委員会」が精査し、373件の応募の中からモデルケースとなりうる提案を72件選定した。国は委員会が評価した提案に対して助成金を支給する一方で、提案者からは定期的な報告を受け、それをもとに活用状況を精査していくのである。評価では、ハード的な側面だけでなくソフト面も重要視される。提案の意義、継続性、採算性、自立性も検証されモデルケースとして参考になる提案を選定した。例えば、「提案の意義が魅力的であること、新規性、サービスの連携方法、グループの組み方、創意工夫」なども問われる。モデルケースとなった提案内容や評価の結果はシンポジウムやホームページで発表する事例集で広く紹介している。居住の安定といっても、地域や家庭によって抱える課題やニーズはさまざまだ。多様な要望に応える住宅を供給していくには、行政だけではなく、提案者との協働が不可欠である。民間の発想を支援し、モデルケースを広く全国に紹介して住宅と住環境の整備を進め、地域の活性化などを図ることが狙いだ。「民間の力と発想で住宅の新しいあり方を探っていただき、多くの方が安心して暮らせるまちづくりの先導的な事例を誕生させてほしい」(細萱)。次ページからは、地域の実情に合わせたモデルケースを3つ紹介いたします。各事例は、それぞれの地域が抱える課題に対応するものでありつつ、全国各地で同様の課題が多く存在しています。これらの課題に対応するために必要な知見を与える先進的なモデルケースとして期待されているものです。最初は、過疎化の進む鹿児島県霧島市で高齢者向け住宅「隠居長屋ろんち」と地域交流スペース「たまり場」を創出し、人と人とのつながりの中で地域ケア体制を構築する社会福祉法人「山陵会」の事例です。次に千葉県千葉市稲毛区で、老朽化に伴い建て替えた大規模団地の敷地内に「複合福祉拠点」を整備し、多様な事業主体が連携してさまざまな家庭のニーズに対応している社会福祉法人「生活クラブ」の事例です。最後に、高齢化が進む千葉県千葉市美浜区の海浜ニュータウンで「住宅のリフォーム」と「文化づくり」により、地域の活性化に挑むNPO法人「ちば地域再生リサーチ」の取り組みを紹介していきます。05