国土交通No.133
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18行政や鉄道会社を動かした住民の本気の熱意JR和歌山駅の9番ホームに“いちご〟や“猫〟がびっしり描かれた、ひときわ目を引く車両が止まっている。思わず足を止めたくなるユニークな車両を運行しているのが、和歌山電でんてつ鐵貴きしがわ志川線だ。貴志川線は元々別の事業者が運営していたが、平成15年経営難を理由に廃線検討が発表された。沿線住民にとっては唯一の公共交通機関であったため、突然の発表に「通勤や通学の手段がなくなってしまう」と大変な危機感に襲われたという。そんな絶望的な状況の中「住民の声を届けたい」と立ち上がったのが、当時団地の区長(自治会長)で現在「貴志川線の未来を“つくる〟会」代表の濵はまぐち口さんである。当初数名でスタートした有志の会も、鉄道存続に向けた濵口さんらの熱心な活動により、会員数も6 4 0 0名を突破、宣伝・啓蒙活動の広がりなど、目公共交通と地域を支える“人々の熱い想い〟に見える住民の本気の熱意に押され、厳しい財政事情を理由に難色を示していた行政も財政支援を決断した。そして同じく熱意に動かされ運営事業者の公募に応募した岡山電気軌道が、平成17年、後継事業者に決定し、和歌山電鐵株式会社が設立されたのだ。日本一心ゆたかなローカル線を目指して「実際に利用している方の意見を聞かないと何が必要とされているか分からないので、利用者の方と一緒に話し合える場を作りました」と語るのは和歌山電鐵取締役の山木さん。沿線の住民団▲貴志川線を支える皆さん。(左から)和歌山電鐵 竹添さん、貴志川線の未来を“つくる”会 濵口さん、和歌山電鐵 山木さん、麻生さん、和歌山市 上江さん。「公共交通の重要性を共感してもらうためには、一生懸命働く姿を見てもらうしかありません。これからも皆さんに喜んでもらえる路線を目指したいです」(麻生さん)二タマ駅長

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