国土交通No.133
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22きちんと掃除されているそうで、その話がなぜか印象的でした。広告の仕事をしているので、この面白い空間は何かに使えないかと考えました。聞くと、実際にスタジオ利用はあって、ミュージシャン・アイドル・仮面ライダーなど、いくつかの映像作品で使われているとか。そうした対外活動もやっているんですね。自分の住まいは、首都圏外郭放水路から離れています。けど、都心で働いている限り、知らない間に恩恵を受けていたかもしれません。見えないところに、こんなに大きな仕組みがあって、暮らしが守られている。改めて、自分は生かされているというか、小さい存在だなと感じました。(談)今回の見学をする前は、首都圏外郭放水路の存在をまったく知りませんでしたから、見学の最初に解説を聞き、「あふれた川の水をこっちの川に地下でつないで解決しよう」という発想に驚きました。ものすごく広いエリア、しかも地下に。自分なら、もし思いついても無理だと考えるでしょうね。日本の治水技術の凄さを感じました。説明が終わると地下の調圧水槽に向かいました。階段から冷たい空気が昇ってくる、基地のような雰囲気にテンション上がりました。調圧水槽はとにかく広くて、高い。見学エリアの足元はきれいですが、奥には放水後に残った泥がありました。見学者の入るエリアは、見学会の前に調圧水槽首都圏外郭放水路見学会の目玉。高さ18m、サッカーグラウンドほどの広さに、重さ500tの柱が59本並ぶ。「地下の神殿」のような迫力。立坑底面からの高さは約70m。底部の側面にトンネルが見える。世界最大級のスケールで注目を集め、申し込みはいつも満員の「首都圏外郭放水路」見学会。今回は、コピーライターの竹田芳幸さんに、体験レポートしてもらいました。首都圏外郭放水路ゲスト 竹田芳幸さん(コピーライター)首都圏外郭放水路(埼玉県) あふれそうになった近隣河川の洪水を地下に取り込み、地下50mを貫く、直径10m、総延長6.3kmのトンネルを通じて江戸川に流す「地下の人工河川」。川の氾濫を防ぐためにつくられた。近隣河川が増水すると巨大な立坑に水が流入。流れ込んだ水は見学コースでもある「調圧水槽」に一時的に貯水され、江戸川へ放水される。 通常の見学は約1時間。基本説明、紹介ビデオの鑑賞、模型を使った説明、調圧水槽、操作室を見学できる。毎年11月には特別見学会が開かれ、ジェットエンジンを改造した14000馬力のポンプ室も見ることができる。竹田芳幸(たけだ・よしゆき)株式会社POOL(プール)コピーライター。法政大学経済学部卒。京王エージェンシー、goen゜、浪漫堂を経て2012年よりPOOL所属。WEBマガジン“マチノコト”クリエイティブディレクター。NPO法人シブヤ大学授業コーディネーター。2014年に東京コピーライターズクラブの新人賞受賞。首都圏外郭放水路 見学会の詳細はこちらhttp://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/kengaku/

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