国土交通No.133
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07水害の減少を起爆剤にさらに暮らしやすい環境をつくる「首都圏外郭放水路の完成によって春日部市のポテンシャルが大いに高まりました。大切なのは行政自らがそのポテンシャルをもっと高めていくことです」と石川市長。まず、企業の進出が加速していることを踏まえ、国道4号バイパスと国道16号が交差する庄和インターチェンジと外環道を結ぶ「東埼玉道路」建設を、市が後押ししています。また、主要駅である東武鉄道春日部駅の「連続立体交差事業」も促進しています。現在の春日部駅は東西を連絡する通路がなく、鉄道と駅が周辺地域を分断しているのが実情です。放水路完成後に高まった駅周辺のにぎわいをさらに広げていくには、東西の交通を円滑にする必要があります。市の事業としては、「新・春日部市立病院」の建設が進められています。建設の現場は、駅からも近い市役所に隣接する場所です。このエリアは従来、道路冠水が頻発していましたが、安全性が高まったことで、新しい市立病院の用地としての活用が可能になったのです。新病院は「がん診療連携拠点病院」に指定されるなど、春日部市のみならず周辺地域にとっても重要な医療拠点になる予定です。「地域をよくするためのインフラ整備は、国や県にお願いするだけでなく、共に考え、力を合わせていく必要があります。建設に必要な用地の取得でも、市自らが積極的に行動すべきだと考えています」と石川市長は熱く語りました。「コラボレーション」がストック効果を高める水害対策が強化され、その事実を積極的に伝えてきたことで新しいコラボレーションが次々に生まれています。その一つが「古ふるとね利根公園橋と水辺のデッキ」の整備です。古利根公園橋は、市の特産品である麦わら帽子がモチーフの橋と公園を一体化した施設。夏には「夕涼みフェスタ」を開催し、スペースを民間事業者に商業利用してもらいながら、イベントを盛り上げています。「春日部市には元々素晴らしい魅力がたくさんあります。首都圏外郭放水路で防災能力が高まったことを知ってもらうことで、川に親しむイベントが盛り上がったのです」。石川市長は、行政がインフラ整備の効果を積極的に外部に伝えながら、好循環を引き起こすことが大切であると強調します。「そのためには伝え方も大切です。情報をただ出せばいいのではなく、分かりやすく伝える努力が必要。きちんと伝わったか、市民や企業の反応に耳を傾けることも大切です。今後も市民や民間企業、県や国とコラボレーションをしながら、もっと魅力的なまちにしていきたい」と市長の熱意ある言葉があふれました。春日部市はこれからもまちと社会資本の相乗効果を生み出していくでしょう。株式会社玉俊工業所の肥田正雄さん。放水路に関する情報は地元の方から聞いたという。市の熱心なPRの成果と言えるだろう。今後の発展にも期待株式会社玉俊工業所大手スーパー・百貨店などで展示や陳列に使う什器を販売している株式会社玉俊工業所は、平成19年12月に、東京都江東区新木場から春日部市下柳に物流センターを移転しました。計画では、都内を通過せずに主要な高速道路へアクセスできる候補地が複数ありましたが、首都圏外郭放水路の情報なども踏まえ、この地に決めました。春日部物流センター所長の肥田正雄さんは、「移転した時は何もない場所でしたが、弊社の後に続くように数多くの企業が進出しました。一昨年には目の前に大型の商業施設も完成し、従業員の利便性も向上。今後もこのエリアが発展していくと確信しています」と話してくれました。江戸川河川敷での大凧あげ祭りの様子。石川市長は、「放水路ができたことで、市民の川に対する見方は、怖い存在から親しみある憩いの場に変わりました」と表情を和ませる。企業も参加するようになり、規模の大きな凧が増えて祭りはいっそう盛り上がりを見せている。積極的な情報発信によって、住民の増加、産業の活性化が起きると、そこから新しい活動や需要も生まれ、好循環につながっていく。水害の心配がぐっと減りました!● 市民の安心● 川への親しみ● 企業の進出● 不動産投資市内市外ストック効果

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